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内閣委員会-第177回通常国会

国会質疑, 復興支援

○遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。

官房長官初め閣僚の皆様には、不眠不休で大震災の対応また原発問題の対応に当
たっていただいていることに対して、深く敬意を表したいと思います。

また、官房長官も仙台にお住まいだったということですが、私も小学校、中学校時
代に、父親の転勤に伴って仙台、青森、東北に一時住んでおりまして、今回の震災に
は大変ショックを個人的に受けております。

また、私自身、今、公明党の対策本部の中で復旧復興支援チームの座長をさせてい
ただいておりまして、きょうはその立場から、震災復興関連の質問をさせていただき
たいと思っております。

まず一点目でございますが、復興構想会議について、その役割について官房長官に
お伺いをしたいと思います。

官房長官の表現をかりれば、オール・ジャパンの専門家、有識者を網羅したという
ことでございますが、確かに構成メンバーを拝見いたしますと、大変深い見識の方が
入られていると思っております。

私ども公明党としましても、先般、山口代表から菅総理の方に第二回の緊急提言を
させていただきましたが、その中で明示をさせていただいたように、単なる復旧、も
とに戻すということではなくて、より安全で、また震災前よりも活力のある東日本、
東北の地域を復興させるためのグランドデザインとなるような復興ビジョンをつくる
ことが急務であるというふうに申し上げているわけでございます。

そこで、これは後ほども言及しますが、各政党の中にも、復興ビジョンを考えよ
う、それは、私も私の党でやっておりますし、民主党さんの中にも復興ビジョンチー
ムかプロジェクトチームがあると伺っておりますけれども、政党の中でも復興ビジョ
ンについていろいろと検討されている中で、この復興構想会議の役割というものは何
なんでしょうか。

○枝野国務大臣 まさに復興のためのビジョンをかいていただく。それについては、
もちろん政治ベースでいろいろなことを考えなくてはならない、それを実行していか
なきゃならないのと同時に、いろいろな専門家の皆さんの英知を結集して、日本のさ
まざまな知恵やアイデアを生かさせていただく。その取りまとめの仕事は、政治が直
接行うよりも、まさにそうしたことに造詣の深い、あるいはそういったことの経験の
ある関係者の皆さんに取りまとめていただいて、それに基づいて政府としては復興を
進めていくという形が望ましいのではないか。阪神・淡路のときもそういった形でう
まく、あのときは委員会だったと思いますが、復興委員会が大きな役割を果たされた
ということを踏まえております。

今回、御党初めさまざまな政党、あるいは政党以外でも、いろいろなところで復興
に向けたいろいろな御提言が既に出されてもおりますし、今後も出てくるものという
ふうに思っております。

具体的な運営そのものは、これは、五百旗頭議長を初めとして委員の皆さんに最終
的にはおゆだねをするべきだというふうに思っておりますが、まさにオール・ジャパ
ンの知恵を結集する場として、あえて言えば、政府の中でもこんなことを考えてい
る、与党もこんなことを考えている、そして、各党、野党の皆さん含めて、できれば
民間も含めて、さまざまな提言というものをこの復興構想会議のところに集めていた
だいて、それを集約した形で、東北の皆さん、被災地の皆さんはもとより、日本国民
挙げて、あしたに期待の持てるような復興ビジョンを描いていただくというのが望ま
しい形ではないかというふうに思っております。

今後、具体的なことは、五百旗頭議長とも御相談をした上で、委員の皆さんで御相
談いただいた上で、各党にもいろいろな御相談があるかもしれませんが、そのときは
ぜひ御協力をいただければというふうに思っております。

○遠山委員 官房長官、今の御答弁はそれでいいんですが、二点御指摘をしたいと
思っております。

まず一点目は、これは新聞等でも指摘されておりますが、阪神・淡路のときの復興
委員会には、後藤田正晴先生、もうお亡くなりになりましたけれども、お入りになっ
て、また、たしか事務次官経験者の官僚OBも入っておりました。ですから、復興ビ
ジョンをまさに政府の外側から、政治の外側からも専門家に立てていただいたもの
を、実際に実施する行政機関との調整とかあるいは執行の促進について、きちんとパ
イプがあった、ラインがあったというような指摘があるんですが、今回はそれがな
い。

官僚OBもいない、政治家OBも入っていないということで、だから、立派なビ
ジョンを立てることはできるかもしれないけれども、それを本当に実現できるかどう
かというところについて不安があるという点、これについて、御見解があれば後でお
伺いします。

それからもう一つは、これは私の想像ですが、復興構想会議の専門家の皆様が具体
的に、あと東北の知事の方も入っていますので、地元の声も当然聞いて出すんですけ
れども、大体想像にかたくないわけですが、各政党からもいろいろなビジョンとか案
が出てくる、マスコミも出す、それから復興構想会議に入らなかった専門家からもど
んどん出る。これは恐らく、各論のレベルになってくると、賛否両論、ばあっと出て
くると思うんですね。

そういう中で、それを調整して、実際に決断をして実行していくということを考え
たときに、大事な点は、これはもう一部の識者とかマスコミが主張しておりますけれ
ども、まず政府・与党が基本的な哲学というか復興にかけるコンセプトを示して、そ
のコンセプトの上で各論をしっかり決めていくという形にしないといけないと思うん
です。

菅総理がきのう記者会見で、野党にも青写真をつくる段階から参加してほしいと呼
びかけられました。呼びかけることはいいんです。だけれども、まず大事なことは、
我々野党も意見を言いたいけれども、政府・与党として、総理としてどういうコンセ
プトで復興するのかということについては、正直、こんなことを言っちゃいけないか
もしれませんが、きのうの総理の記者会見では全く不十分ですよ。そんな、津波から
避難して高台に町をつくるとか、エコの町にしたいとか、弱い人に優しいという抽象
的なスローガンで、これがコンセプトですなんということになると、それは何でもい
いわけです、各論は。

そうではなくて、これは私個人の周辺でも、多分、官房長官のところにもいろいろ
な人が進言を今してきていると思いますけれども、例えば、東北を期間限定でシンガ
ポールのようにして経済特区にして、要するに東北の人たちの雇用を創出するなら
ば、外資も税は極力安くしてどんどん誘致をする、そういう特別なところにして復興
させなきゃいけないよ遠山さんとか言ってくる民間の社長さんとか、いろいろいらっ
しゃるわけです。

それは世間にはいろいろな意見があっていいんです。しかし、やはり今国をつかさ
どっている政府・与党として基本方針をしっかり示した上で、各論については復興構
想会議やいろいろなところの意見を聞いて取りまとめるという形にしてもらわない
と、これはまた混乱するんじゃないかと思いますが、いかがですか。

○枝野国務大臣 まず前段についてでございますが、実際に復興を進めていくに当
たっては、官僚の皆さんあるいは官僚システムの皆さんに最大限力を発揮していただ
いて、復興ビジョンとの連携が重要であるというのは、全く御指摘のとおりでござい
ます。

率直に申し上げて、阪神のときの下河辺委員長、役所の大物OBの方が委員長にな
られたというのも参考にいたしまして、それも検討いたしました。ただ、ビジョンを
つくるところについては、必ずしも官僚OBの方にこだわらなくても、民間のさまざ
まな方、そして知事さんが入っていただくというようなことで、むしろ、それを支え
る事務方、復興構想会議も、運営をするに当たっては当然事務方がサポートいたしま
す。これは官房副長官補室のもとで行いますが、そうした構造が、いずれこれの実行
体制における事務方へと移行していくことになっていこうと思っております。

そこにおいては、現役に必ずしもこだわらずに、まだ具体的な固有名詞を検討して
いる段階ではありませんが、OBも含めて、行政経験の豊かで力のある官僚の皆さん
に存分に力を発揮していただける体制をつくろうということで、これについては、私
や瀧野副長官のもとで今その検討にも入っているところでございます。十分に霞が関
の力を生かして進めてまいりたいと思っております。

それから、後者についてでございますが、まさに御指摘の御趣旨は非常によく理解
をいたすところでございます。

これが、総理あるいは内閣、あるいは与党として出すのがいいのか。それとも、早
い段階で復興構想会議のメンバーの皆さんともしっかりとある意味での事実上のコ
ミュニケーションをとって、復興構想会議そして政府としての大きな柱の部分という
か方針をまずしっかりと固めて、そしてその上で、今御指摘いただいた具体的な各論
に当たるような部分については、さまざまな知恵を復興構想会議で集約していただく
というような手順がいいのかなと今伺いながら思っておりますが、いずれにしても、
しっかりとした方針をまずは第一段階でお示しをすることは重要だと思っておりま
す。

○遠山委員 官房長官、今の話の続きになりますが、阪神・淡路のときは、実は、
私、今手元に当時の年表を持っておりますけれども、一月十七日に兵庫県南部地震が
発生いたしまして、ちょうど五週間目、三十六日目に、国会で、阪神・淡路大震災復
興の基本方針及び組織に関する法律案、いわゆる通称すれば復興に関する基本法律を
全会一致で通しているんですね。それを皮切りに、その次の一週間で六つの関連法案
も国会で上げているわけです。

今回の事態は広域で起こったし、より規模が大きかったということもあります。そ
れから、地方統一選挙と重なった、また原発の問題が収束しないという別の要素があ
りますから、私は何も、野党だから、一週間おくれているからとんでもないとか、そ
ういうことを言うつもりはないんです。だけれども、阪神・淡路のときは、五週間で
基本法律をつくって、関連法案六本をとりあえず通して、さらにその後手当てして
いったというスピード感はあったわけですね、村山内閣ですけれども。

そこで、こちらの方は今ちょうど四週間過ぎたところでございますが、この基本法
なんですね。つまり、今、これまでの質疑でやりとりしたビジョン、これからという
話をしているときに、時間軸でいったときに、復興構想会議のビジョンが出てから復
興に関する基本法律を国会に出して通すのか。それだと相当先になるわけですね。先
ほど申し上げたように、阪神・淡路のときには、今でいったら来週、国会で通ってい
るわけです。

公明党も緊急提言に入れています。恐らく自民党さんも表現は違っても同じことを
言っていると思うんですが、復興基本法と、とりあえずやらなきゃいけない関連の個
別の法律の改正、それをできれば一括にして、だから、公明党案では災害復興一括法
案という名前をあえて仮称ですけれどもつけていますが、早急にすべき法的手当て
は、これはやはりゴールデンウイークの前にもやった方がいいんじゃないかというふ
うに私は思います。

官房長官はよく御存じのとおり、弁護士でもございますし、いろいろな震災後の被
災者を救援する法律の中には、発災後二カ月だけで認めるというものが非常に多いわ
けですね。それは、政令の発令で変えられる、運用で変えられるものもありますけれ
ども、そうじゃないものもありますから、ぜひその辺は政府の方でおまとめになっ
て、基本法と、それからまずイニシャルに必要な災害復興に関する改正の一括法案、
これをやはり出すべきだと思いますが、いかがですか。

○枝野国務大臣 まず、さまざまな具体的な法案については、御指摘のとおり、でき
るだけ早い方がいいと思っておりまして、もう既に私のところにも第一弾、この辺の
線で出せそうだというような報告も上がってきております。これは国会の日程等との
調整等も要るのかもしれませんが、準備は相当進めておりますので、できれば本当は
今月中には国会で御採決をいただけるようなことが望ましいと思っていますので、そ
れを目標に鋭意作業を進めさせます。

それから、基本法とかの関係でございますが、恐らく、大変具体的な理念を書こう
という基本法だとやはり時間がかかるだろうというふうに思います。ただ、阪神・淡
路のときぐらいの一定の方向性と復興に向けた体制ということであれば早い段階で出
せる。今、どちらかというとそちらの方向でまずは一つつくって、そして、基本理念
については、具体的に書く法律が必要であればそれは二段階目で、こういう線を軸に
今調整を進めているところであります。

○遠山委員 官房長官、それでいいんですが、私の個人的な所感を申し上げますと、
きのう記者会見を開いてこんなことを言うのもあれですが、やはり総理の方できちん
と、理念をもう一度ちゃんと出していただく。これは政府・与党主導でいいんです
よ、政府・与党なんですから。

それを出していただいて、今、官房長官がおっしゃったような復興の基本方針、行
政府としての基本方針と組織体制を書いた法律案をしっかり国会に出していただい
て、それを通す。その後に、イニシャルに手をつけなきゃいけない関連法案を処理す
る。その上で、補正予算、そして復興構想会議なんかから出てくる具体的な、そうい
うきちんとした日程感覚をてきぱきと、まあ、原発対応で多分お疲れなんだと思いま
すけれども、大変だと思いますけれども、やっていただかないと、私ども野党も協力
しますといっても、そういう具体的な日程と仕組みが見えないとなかなかどの部分で
協力するかということもわかりませんので、よろしくお願いをしたいと思います。

それから、そのまさに組織体制のところですが、今一部のメディアでほぼ連日、官
邸の方に司令塔が不在なのではないか、つまり、会議とか何とか本部とか何とかチー
ムとかが林立して、どの役人が言っているのかわかりませんよ、匿名で引用されてい
ますからね。しかし、自分が会議に出ていて、この会議は何だったっけというふうに
思ってしまうというようなコメントまで報道されておりますけれども、官房長官、ま
さにど真ん中にリーダーとしておられて、この御指摘についてどう思いますか。

○枝野国務大臣 御指摘の趣旨はわからないわけではないんですが、実は、これは多
分皆さん御理解いただけるかと思いますが、今回のような事態の対象は各省間の調整
の仕事がほとんどでございます。一つの省で完結するような仕事は、逆に言えばそれ
ぞれの省でやっていただいておりまして、省庁間の調整を要する仕事が非常に多い。

それについて、それぞれのレベルごとにというか分野ごとに、いろいろなレベルで
の各省間の調整が必要だということの中で、ここはここで、こういうチームで責任を
持って各省間調整しましょうとかということがある程度のところは明確になっていま
せんと、例えば災害対策本部、それから原子力災害対策本部と、法律に基づく大きな
本部が二つあるわけですが、すべてをそこの閣僚級のところで調整することは当然あ
り得ませんし、あるいはそこで全部クリップをして各省間の調整をやろうと思って
も、なかなか現実的に動かない。

そうしたことで、例えば災害対策本部のもとに生活者支援、これは量的にもべらぼ
うに膨大で、各省、相当な人員を出してもらってチームを組みました。そこについて
は、では、ここが責任を持ってしっかりと対応していこうというようなことで、チー
ムが幾つもできているという状況でございます。

そういった意味では、全体の司令塔は、災害対策については災害対策本部、原子力
対応については原子力災害対策本部、いずれも本部長が総理でございまして、そこの
もとでの指揮体制といいますか、所管体制というものはしっかりとさせた上でしてい
るところでございますが、御指摘もありますので、それぞれを担当している事務方の
関係者の中には、その辺の趣旨が十分に伝わっていない、理解をされていない方がい
るのかもしれませんので、そうしたそれぞれのチームの役割とか位置づけというもの
をさらに共有化できるように努力をしてまいりたいと思っております。

〔委員長退席、大島(敦)委員長代理着席〕

○遠山委員 官房長官、省庁の調整が大事だし、恐らく大変なんだと思います。

その上で、幾つか質問を割愛して一つ伺いたいのは、内閣危機管理監、伊藤哲朗さ
んが今おやりになっているんですけれども、この内閣危機管理監が、本来は、法律を
見ても役割を見ても、危機管理の司令塔としてまさに省庁の調整等を担う役割のはず
が、余り機能していないのではないかという指摘がございます。

危機管理センターというのは、百名ほどのスタッフを持って内閣官房を補佐すると
ころでございますから、ここがしっかりしていなきゃいけないんですけれども、そこ
がしっかりしていないがゆえの何か問題も起こっているという指摘がマスコミで一部
あるわけです。別に私は、伊藤さんが余りメディアに出てこないとか目にしないから
頑張っていないと言うつもりはないんですよ。つもりはないんですが、本当にこの内
閣危機管理監が危機管理監に与えられた職責をきちんとこなす体制に今なっているの
か。その点、どうですか。

○枝野国務大臣 伊藤危機管理監には、震災発生直後から、危機管理の先頭に立ちま
して、官邸地下の危機管理センターで危機管理の指揮をとってきていただいていま
す。私は、伊藤危機管理監はこの間しっかりと職責を果たしてきていただいていると
いうふうに思っております。

ただ、先ほどもちょっと申し上げたんですが、今回の震災、そして震災に加えて原
子力発電所の事故ということで、危機管理として対応すべきボリュームが、率直に申
し上げて、想定されているものよりも、直観的に言うと三倍ぐらいのボリュームに
なっているというのが正直なところだというふうに思っております。

したがいまして、そうした全体のボリュームをどういう形でしっかりと対応してい
くのかということの中で、広い意味では危機管理監のもとで最初調整をしていた、こ
の避難所にこういう物資を届けるみたいな話については、これは直接危機管理監でな
くても、しっかりとしたチームができれば、省庁間の調整と、それをさばく人間が
しっかりいればできるということで、生活者支援の特別本部をつくって、それを切り
分けて危機管理監の仕事を軽減する。

あるいは原発の方についても、これは避難との関係があるので危機管理監の直の仕
事となかなか切り分けにくいところはあったんですが、それでも、原発周辺地域の皆
さんのところに物資を届けるとか、そのあたりのところはうまく切り離せる職種があ
るので、そこは切り離してチームをつくるというような形で、できるだけ危機管理監
あるいは危機管理対応チームが本来の危機管理の仕事、コアの危機管理の部分のとこ
ろに対応できるように、この間、できるだけ切り分けられる仕事は切り分けるという
オペレーションをやってきたところでございます。

今後に向けては、危機のボリュームによって一人の危機管理監ですべての危機管理
の集約を必ずしもできないということは、今回の事態である意味では裏づけられてお
りますので、危機管理体制のさらなる強化ということ、あるいは初動の危機管理とあ
る時点からのオペレーションということとか、これは、今後の検証と、それを踏まえ
た体制として考えていかなければならないだろうというふうには思っております。

○遠山委員 官房長官、まさに今官房長官の御答弁に最後あったんですが、今回のよ
うな大震災はなかなか想定しにくかったわけでして、初動の、つまり、まだ生存者が
いるとされる最初の七十二時間の対応で、私も、これはだんだん検証されていろいろ
な具体的な問題点が明らかになってくると思います。

きのう、たまさか超党派の病院船を建造する議連が発足しまして、私も呼びかけ人
の一人でございまして、そこに出ました。そのときに偶然にわかった事案を一つ官房
長官に御報告したいんですが、今、日本には、いわゆるすべての機能を病院とした船
というのは一隻もありません。民間で済生丸というのが瀬戸内海を回っている、医療
法人が持っている船がありますけれども、政府所有では、防衛省の何隻かの艦船に医
療設備等が一部ある。

ただ、実は、私も浅学で最近知ったんですが、海上保安庁に阪神・淡路の大震災を
受けてつくられた三千五百トン級の災害対応型巡視船というのがあるんです。二隻あ
るんです。これは海上保安庁の方に聞きましたけれども、明確に、阪神・淡路を受け
てつくりました、予算をとってと。

これは、装備は結構すばらしいんです。輸送については被災者を千五百名輸送する
機能を持ち、手術台等があるから医療行為もできる。そして、宿泊も百二十名程度で
きますし、二百名程度に対して給食もできる。それから荷役クレーンもあるし、ヘリ
ポートもあってヘリコプターで患者も搬送できる。私の手元に資料がありますが、こ
ういう立派な船なんです。

それで、きのうそれが紹介された超党派の議連で、今回の震災に出動したんですか
と。しました、海域に行きましたと。ところが、こういう災害救助型巡視船とされな
がら、ほかの巡視船と同じ仕事をして終わっているんです。全く患者さんも運ばれて
きていない。被災者を預かって一泊泊めたとか、そういうのもない。

しかも、何でそんな仕事をしていないんだと言ったら、いや、港が壊れて接岸でき
ませんでしたと。ヘリポートを持っているんですよ。ヘリコプターはどうしたんだ、
いや、どこからも飛んでこないと。その七十二時間のとき患者さんを何で受け入れな
かったんだと聞いたら、官房長官、ここが省庁縦割りなんです。みんなざわめいたん
ですけれども、医者が乗っていませんと言うんです、この船に。

それはどういうことかというと、要は、大震災が起こりました、海上保安庁は自前
の医者を持っていないんです。ということは、厚生労働省で二百ぐらい、災害のとき
の医療チームを持っていますよね。今回それを陸上で派遣しているでしょう。その一
つのチームか二つぐらいのチームを海上保安庁が要請をして乗せなきゃいけないんで
す。乗せて出動する手はずが、それを海上保安庁はしていない。

今度、その場に厚生労働省がいたから、厚生労働省の役人に、あなた方、海保の船
を使うということは全く考えていないのかと。全く頭にありません、海保から要請が
なかったと。海保は、厚生労働省から医療ニーズがなかったと言うんです。典型的な
見合いですよね。それで、とりあえず船を派遣して、ほかの巡視船と同じことをやっ
ているんです。

これは建造費が幾らかかったか知りませんよ。前の政権時代につくったんでしょう
けれども、結局、宝の持ち腐れですよ。

私が言いたいのは、今回のことで教訓にしなきゃいけないんですけれども、だか
ら、私たちが今つくろうとしている病院船だって、病院船をつくってもこういう連携
がなければ、つまり、官房長官、ドクターヘリとか消防庁のヘリとか自衛隊のヘリ
が、わあっと被災地に行ったわけです。いろいろな患者さんを連れていったときに、
いろいろ聞くと、消防庁のDMATとか厚生労働省の広域医療圏の中で、ヘリコプ
ターに乗せた患者を運ぶ先に海上保安庁とか防衛省の病院機能を持った船はもともと
入っていないんですよ。データがシナジーされていないんです。だから、飛んでいか
ない。全部陸上の病院に行くんです。それで、使われませんでしたと。しかも、海保
に至っては医者も乗っていないんです。来られても困りますでしょう。

私は何でこんな話をするかというと、内閣危機管理監が、本来、緊急事態になった
ときに、海上保安庁の持っているリソース、防衛省が持っているリソース、厚労省が
持っているリソース、消防庁が持っているリソースをどこかでシナジーして指示を出
さないと、やらないですよ。これは、多分、我々が政権をやっていても、目配りでき
なかったらまた同じことになっていたと思います。

ですから、ぜひここは教訓にしていただいて、最初の七十二時間のときに、やはり
各省庁が持っているリソースとかデータを全部集約して、共有化して、的確な指示
を。こんなのは簡単なんですよ。厚生労働省の医療チームを一チームか二チーム、海
保の船に乗せればいいんですから。それで後は搬送させればいいんですね。ヘリコプ
ターの運転手たちにデータを上げて、ここもあるよ、海にいるよということでやれば
いいわけで、これは非常に残念だったなというふうにきのう思いましたので、御指摘
をさせていただきます。

最後に、時間がなくなったので、蓮舫大臣にお越しいただいたので、一、二問伺い
たいと思います。

ことしの夏は節電をしなければいけないということでございまして、まず一つは、
範を示すという意味も含めて、この国会において、既に大分クールビズは男性の方は
進んでいるわけですけれども、本会議場はいまだにネクタイをつけて上着を着ており
ますし、私は沖縄に事務所を構えておりますから、国会でみんなアロハシャツを着ろ
とは言いませんけれども、やはり国会の中で冷房も余り使えない状況になっていくと
思いますから、こういった服装のこと。

また、最近、石原都知事が、自動販売機等々の、なくても困らないのではないかと
いう電力を使う機器を具体的に挙げながら、私なりに解釈しているのは、石原都知事
が言っているのは、便利至上主義のライフスタイルを今回の震災、電力問題を契機に
見直すべきじゃないか、こういうことをおっしゃりたいんだろうと思いますけれど
も、節電担当の大臣として、いかがでしょうか。

○蓮舫国務大臣 既にクールビズ、ウオームビズにおいては、これまでの政府におい
ても極めて積極的に取り組んでくださった結果、一般的に定着するに至ったと認識を
しています。

ただ、ことしの夏は電力の供給量におのずと制限がございますので、需要が供給量
を上回った場合に、東京電力管内あるいは東北電力管内で、いつどこでどのような大
規模停電が起きるかわかりませんので、やはりそれは確実に節電をしていただくこと
が大事。その中の一つとしては、さらなる節電ビズが行えないかということを政府の
電力需給緊急対策本部でも提言をさせて今検討しているところでございます。

自動販売機の件はよく象徴的に出されるんですが、私は、節電をするときに、何が
何でも節電をすることが最優先という考え方はあるんですが、他方で、経済社会活動
に対する影響というのは最小限に抑える、その調整というのも大事だと思っているん
ですね。

自動販売機の電力というのは二つありまして、照明の電力と冷やすための電力があ
る。地震が起きた直後、業界の方とも話をしましたが、照明の部分はもう消してくだ
さるような取り組みをしている。これは、夜歩いたら、自販機が暗いからおわかりに
なると思います。

冷やす部分はどうかというと、実は、今の清涼飲料自販機、これは缶とペットの自
販機ですが、すべて午後一時から四時まで冷却機の運転を停止するピークカット機能
がついています。つまり、午前中に冷やした分の余熱といいますか保冷効果を一時か
ら四時までは続けることができる。これを既にもうやっていただいている。一台当た
り、ピークカット時は十七ワットしか使わない。最大で三百ワット使っておりました
ので、東京電力管内の清涼飲料自販機は八十七万台ありますから、単純計算すると、
ピーク時最大で二十四・六万キロワット今削減しています。

つまり、これだけの努力を実は自動販売機業界みずから取り組んでいただいてい
る。

他方で、清涼飲料業界の規模をちょっと調べました。業界動向によりますと、これ
は主要十九社で約四・五兆円の売り上げがあるそうです。清涼飲料の自動販売機は日
本に二百五十七万台あります。その売り上げは一・九兆円。それだけで四二%を占め
るんですね。

つまり、ではこれをなくしてしまうのか。そこで働いておられる方たちもいる。こ
の部分の経済効果も考えながら、石原都知事がどういう思いで言ったのか私にはわか
りませんけれども、節電をすることと経済効果に支障を最小限に抑える知恵というの
は、私は同時進行で取り組むべきだと改めて思っています。

○遠山委員 大変的確なデータに基づいた御答弁、ありがとうございました。

官房長官、本当に原発で大変だと思うんですが、きょう私が冒頭から前半で申し上
げました、復興プロセスについての理念と、それから法的手当てと体制、また、当
然、具体的な理念、各論、そこに向けてぜひとも政府・与党がきちんとリーダーシッ
プを発揮して、だれかに任せるのではなくて、この流れをしっかりとそろそろ本腰を
入れてつくっていただきたいということを要望申し上げて、私の質疑を終わらせてい
ただきます。

ありがとうございました。

政府の支援体制の早急な整備を!

デイリーメッセージ, 復興支援

遠山清彦です。東北関東地域を襲った大震災から5日がたちました。お亡くなりになった数多くの皆様のご冥福を心よりお祈り申し上げるとともに、被災された皆様にも心よりお見舞い申し上げます。

地震が発生した11日金曜日の午後、私は九州・宮崎行きの飛行機に搭乗中で、夕方着陸してから知ったわけですが、徐々に明らかになる被害規模の甚大さに言葉を失いました。私は、小学校・中学校時代、仙台と青森にいたこともあり、本当に、今でも信じられない思いです。

大震災は、まだ終わっていません。余震も続いていますし、生存者の救出活動、避難所の確保、衣料や食料、毛布等の支援、給水、医療ケア、精神ケア、等々、緊急にすべき事が山積しており、それに政府関係機関の努力が追いついていないのが実情です。

また、福島原発が想定を超える強度の地震の頻発と高い津波に襲われ、施設損傷・機能不全がおき、爆発や火災がすでに発生し、放射線量の増加が懸念されています。今も、自衛隊や東電職員等が、深刻な炉心溶融(メルトダウン)を回避するために努力をしていると思いますが、新たな被害が生じたり被害者が出ないことを切にいのりつつ、国会でできる限りの支援に全力を挙げてまいります。

公明党は、大震災発生直後から対策本部を立ち上げ、山口代表・井上幹事長を先頭に、政府や他の野党と一致協力しながら、あらゆる支援をしております。被災地でも公明党地方議員が懸命に救援活動しているとの報告が党本部にも届いております。公明党としては、現場からの声を重視し、政府に毎日のように提言しています。官房長官や総理の記者会見に手話通訳をつけるべきだ、との公明党の提案は、すぐに実現することができました。

その他、千差万別の提言がありますが、私が今政府に早急に取り組んでいただきたいことのひとつに、NGO・NPOやボランティア団体や、国際機関等からの支援を調整(コーディネート)する体制の整備、があります。

深刻かつ大規模な被災状況をみて、今、多くの団体や個人が「何か支援をしたい」との思いを募らせていると理解しています。海外の人道支援に直接関わった経験のある私としては、その思いを大切にしつつも、今は人道支援で言うところの「緊急支援フェーズ(段階)」であり、誰でも彼でも被災現場に行くべきではないという立場です。

被災現場は過酷な環境であり、そこに支援に行く人や団体は、相当のリスクを覚悟しなければなりません。支援者自身のトイレや食料、燃料の補給、居住場所の確保もままならない現場ですから、それらは全て自ら供給できる能力と備えが必要です。(これを、自己完結性と言います。)このような自己完結の能力と備えがない人や団体が現場に行っても、かえって迷惑をかけることになるのが、人道支援の現実です。

しかし、逆に言えば、自己完結型の支援ができ、人道支援の経験等がある団体には、現場に早く行ってもらった方が良いわけで、その体制が政府内に整備されてないことが問題として指摘され出しています。まず、政府の中に、総理官邸主導でそのような団体が支援の申請をできる場所を早急に整備し、自己完結性の審査をした上で、東北自動車道などの高速道路通行許可を出し、燃料確保にも一定の配慮をしながら、被災地入りの支援をすべきではないでしょうか。また、被災自治体との連携調整もし、支援の濃淡がなるべき起こらないように配慮することが重要と考えます。

先日就任したばかりの辻元清美首相補佐官(ボランティア担当)に今日の午後初めて会議で会いました。是非リーダーシップを発揮して、一日も早く体制を作ってもらいたい、と直接申し上げました。また、あわせて、今外務省を窓口として支援協力をオファーしてきている国連機関や日本語ができない国際ボランティア団体の支援を受け付ける窓口も早期に設置してもらいたいし、協力を申し出ている民間企業の活用の方法も検討してもらいたいと思います。

いずれは「復興支援フェーズ」に移行しますが、今は「緊急支援フェーズ」です。緊急支援フェーズで一番大事なのは、スピードです。一分一秒の違いが人命に影響する緊急時代であることを肝に銘じ、これからも支援に全力を尽くす決意です。

日本の地下鉄の駅の安全対策について、緊急事態基本法ついて

国会質疑, 復興支援

○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。
 まず最初に、有事関連法案の質疑に入る前に、日本の地下鉄の駅の安全対策について一つ質問させていただきます。
 私は、昨年の十月の当院のテロ対策特別委員会で日本の地下鉄の安全、地下鉄の駅の安全性に非常に問題があるということを取り上げて、御出席いただいた小泉総理にも強くその改善を求めました。
   〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕
 国土交通省が、昨年二月の韓国の大邱での地下鉄放火事件、井上大臣も報道は覚えていると思いますが、あれを受けて全国の地下鉄の駅を調査をいたしました。数は六百八十四。実はこの調査の結果、これはもう国交省は分かっているんですよ、約四割の三百弱、四割の駅で安全基準に問題があるということが分かりました。私は、去年の質疑では国会議員もよく使う丸ノ内線の国会議事堂前駅がそのうち最悪の駅の一つだったということを指摘したわけでありますが、それで、もし日本の地下鉄の駅がテロ攻撃に遭えば、このような状況では大惨事になることが明白でありました。また、先ほどもちょっとありましたけれども、オウム真理教の地下鉄サリン事件があったにもかかわらず去年まで対応取ってこなかったということは、これは私、与党の立場でありますけれども、政府の危機感のなさを指摘せざるを得ない状況であったわけです。
 そこで、最近の新聞報道によれば、今年の三月末にようやく地下鉄の駅の安全対策の改善を国交省が省令で指示をしたということがございますので、その内容、中身について、具体的にかつ簡潔にお答えいただきたいと思います。

○政府参考人(丸山博君) ただいま先生御指摘いただきましたように、大邱の事故の後、日本の全地下駅六百八十四駅のうち二百六十八駅が五十年にできました地下鉄道の火災対策基準に合致していないということでございました。それで、利用者の安全を確保するためには至急にこの基準に合致させる必要があるということで、今御指摘いただきましたように、本年三月に省令を改正しまして、十六年度から五年間ですべての駅につきまして五十年の基準に合致するようにしたというところでございます。
 ただ、省令を改正しただけではなかなかその基準適合への動きが進まないということで、十六年度の予算におきまして、特にお金が掛かります避難通路と排煙設備の新設に関しまして三十億円の国費を計上いたしまして、その整備費用の一部を助成するという制度を立ち上げたところでございます。あわせて、税制上の措置も講じておりまして、今申し上げましたような形で形成されました資産につきまして、固定資産税などを軽減する租税特別措置も併せて講じたところでございます。

○遠山清彦君 是非、井上大臣も今の御答弁を認識をしておいていただいて、やはりテロというのはどこで起こるか分からないからテロなわけで、なるべく社会の脆弱性を、社会インフラの脆弱、脆弱性に事前に気付いて、政府がやっぱり手を打っていくことが重要だという意味で、是非国土交通省にはしっかり対応していただきたいと思います。
 続きまして、緊急事態基本法、これ仮称でありますけれども、の件についてお聞きをしたいと思います。
 五月二十日に自民党、民主党、公明党の三党の幹事長間で、この緊急事態基本法についての覚書について合意の署名がございました。これ、井上大臣に聞こうと思っていますが、現行の憲法にこの緊急事態に関する規定がほとんどないという状況にかんがみますと、こういう方向性を私も基本的に賛成の立場でありますが、問題は、これから基本法の中身を三党間で検討していくんだと思いますけれども、この中身ができた段階で、その中身を担保する、運営上、実態上担保するこの体制の整備というものが非常に大事だというふうに思います。
 これは、先ほどいらっしゃっていた民主党の前原委員なんかはずっと国会でしょっちゅうおっしゃっていることですが、一つの障壁になるのはやっぱり省庁の縦割り行政の壁というものが明確にあるというふうに思います。
 やっぱり大事なのは、総理大臣の指揮の下に省庁横断でこの緊急事態に対処できるシステムというものを日常的に作っておかなければいけないと思いますが、この点について、現時点での井上大臣の御見解を伺いたいと思います。

○国務大臣(井上喜一君) この基本法の議論でありますけれども、私は、考えなくちゃいけないのは二つ大きな点があると思うんですね。
 一つは、やっぱり憲法との関係です。幾ら基本法を作りましても、やっぱり日本国憲法の中で作るということでありまして、今の日本国憲法が想定してないところを超えて、そこまで踏み込んで基本法で規定をしていくこと、これはできないわけですね。したがいまして、日本国憲法の中でぎりぎりどの辺までができるのかというようなことをよく考える。つまり、一番効果的なその対処の仕方と、仕方の基本になるものですね、それを整理をしていくことだろうと、こんなふうに考えます。それが一つであります。
 それからもう一つは、事態が起こりますと、やはり迅速に的確に、しかもやっぱり総合的に内閣を挙げて対処をしないといけない、そういう体制作りが必要でございます。
 それぞれの国のこの緊急事態への対処の体制というのは、その国の歴史なり政治の制度なり、あるいはある種の文化というんですか、そういうようなものを背景にも作られておりまして、あるところの制度がそれうまくいっているからといって日本に持ってきても必ずしもうまくいかないというようなところがありますんで、その辺は総合的に考えないといけないと思うんですが、どっちにしましても、やはり事態が起これば迅速に的確に内閣を挙げて対処できるような体制を作るということが必要だと思います。日本の場合は、これ、縦割りは長い歴史の中で割かし整備されてきているわけですね。要は横の調整です。だから、横の調整をして、みんなが協力して一体になって当たる、当たれるかという、そこなんですよね。
 率直に言いまして、今の制度といいますのは、阪神の大震災以来、これまでの体制に反省が加えられまして、私は相当、内閣府を中心にこういうそれぞれの緊急事態といいますか、そういった事態に対応できるようになってきていると思います。やっぱり経験を積み重ねながら一つ一つ良くなってきていると思うんでありまして、今のところの制度は、例えば各省の局長級が集まるとか、あるいはある場合には関係閣僚が集まるというような体制作りは、これは非常に進んできているんじゃないかと、こんなふうに思います。
   〔理事常田享詳君退席、委員長着席〕
 しかし、いろんな意見があるわけですね。我々はその意見に対しまして、いや、それはこうだということは答えられるんだけれども、この際、虚心に現行制度について本当に大丈夫なのかということをもう一遍よく反省するような視点に立ちましてよく検討して、変えるべきところがあれば、しかじかの理由で、これ根拠をやっぱり明確にしないといけないと思いますね。何と、何か組織をいじればいいというものじゃありませんからね。組織としてはこういう理由で現行これをこう変えた方がいいというようなことを明確にしながら、今後のこの組織の在り方については検討していきたいと、こんなふうに思います。
 差し当たりのことにつきましては、まず対応できるようになっているんじゃないかなというふうには考えております。

○遠山清彦君 井上大臣、これは何も大臣だけの責任ではなくて、合意をした少なくとも三党はしっかりと真剣に議論していかなきゃいけないテーマだと思いますが、ただ私、一点だけ申し上げると、確かに縦割りの行政というのは、日本の文化、伝統、また歴史もあるということは事実だと思いますが、横の連携したとき何が一番問題かというと、これは大臣も議員として活動されていて感じていると思いますが、やっぱり省庁間の横の連携をさせたときに、これは別に有事に限りませんよ、だれが最終的な決定権者であって、それで責任の所在がどこにあるのかというのは非常にあいまいになることが特に役所の世界多いんですね。
 大臣が今いらっしゃる内閣府も、いろんなほかの案件で私が話すると、いや、内閣府は調整するだけですからと、だから最終的な決定権も責任もありませんというようなことを内閣府がおっしゃると、その下に集まっている各省庁のお役人さん、みんなそれぞれ自分たちの担当のテリトリーにだけしか責任持ちませんので、じゃ、最終的にだれが調整して、だれが最終的に責任を負うんだというところで非常にあいまいなことがいろんな政策案件で時折見られるわけですから、これ、有事のときにそういうことあってはならないと私思いますので、是非その点を御勘案いただきたいと思います。
 続きまして、また井上大臣になるかと思いますが、具体的に米軍行動関連措置法案についてお伺いをいたします。
 その法案の第十条でありますけれども、二項において、これ防衛庁長官も関係あるんですが、米軍に対する自衛隊の役務の提供に関して十条の二項では、防衛出動を命ぜられた自衛隊がこれを実施することができると規定をされております。そのまま読み続けますと、次の三項では、防衛庁長官が内閣総理大臣の承認を得た場合には同様に自衛隊の部隊等に対して役務の提供の実施を認めております。
 そうなると、二項でわざわざ防衛出動の命令を受けた自衛隊の部隊等は米軍に対して役務の提供等の支援ができると書いておきながら、三項では、事実上、防衛出動命令下令前でも内閣総理大臣の承認を得れば同じことができるというふうに書かれていますが、これはどういう経緯でこういう法規定になったのか、御説明いただけますか。

○国務大臣(井上喜一君) この第十条の第二項ですね、これは、今委員御指摘のとおり、防衛出動を命ぜられたときの行動関連措置を書いているわけですね、行動関連措置として役務の提供ができると。第三項は「前項に規定するもののほか」ですから、ですから防衛出動が下令されてないときであります。
 したがいまして、いずれにしたって、この行動関連措置といいますのは武力攻撃事態等でありますから、武力攻撃予測事態においてはこの三項の規定を援用しまして、適用しまして、役務の提供ができると、こういうことであります。

○遠山清彦君 分かりました。つまり、この十条の三項は、防衛、あっ、違います、済みません、防衛出動下令前、つまり、武力攻撃予測事態のときにも米軍に対して役務の提供等の支援が行動関連措置としてできるということですね。
 それで、次の質問、これ関連するんですが、十条の、大臣、四項の規定で、物品の、自衛隊に属する物品の提供あるいは自衛隊による役務の提供等として行う業務の中身について書いてあるわけですが、いろんな指摘があるように、この規定によって武力攻撃事態等において自衛隊から米軍に対して弾薬の提供ができるようになったわけでございます。これは、周辺事態法においては、周辺事態の場合は弾薬の提供も禁じられていたわけでありますが、問題は、これもう衆議院でも指摘があったと思います。
 周辺事態と武力攻撃予測事態が併存できるというふうに政府は解釈取っているわけでありまして、そうすると、武力攻撃事態予測、あっ、済みません、武力攻撃予測事態の方に着目をして弾薬を提供すれば、本来は周辺事態のみであれば弾薬提供を米軍に対してできないけれども、併存しているがために事実上できてしまうと。そうすると、周辺事態法で米軍に対する弾薬の提供を禁じられているけれども、ここの項目は事実上消されてしまうということがあって、これは問題なんじゃないかという御指摘がありますが、この点についてどのような議論の整理をされているか、御答弁いただきたいと思います。

○国務大臣(井上喜一君) これも度々問題になるといいますか、議論の対象になるところでありますけれども、武力攻撃予測事態と周辺事態というのが理論的には併存することがあるということは、これは度々御答弁を申し上げているところでございます。ただ、この武力攻撃事態の認定、周辺事態の認定というのはそれぞれの法律に基づいて認定をするわけでありまして、これは違うわけですね。明らかに違うということであります。
 そのときに、武力攻撃予測事態が認定されましたときに我が国が行動関連措置として弾薬の提供ができるようになっておりますけれども、これは日米安保条約に従って、武力攻撃を排除するために必要な準備のための米軍の行動に伴い実施するものに限られるわけでございます。
 また、米軍が行動関連措置として我が国が提供した弾薬を受領し、また使用し得るのは、武力攻撃事態又は武力攻撃予測事態に際し、日本国に対する武力攻撃を排除するために必要な行動のために必要な場合に限られるわけでございます。
 さらに、度々申し上げておりますように、この日米間の調整メカニズムというのが、周辺事態におきましても、また武力攻撃予測事態におきましても、これが運用を開始されることになるわけでございまして、そういった運用を通じまして、この弾薬の提供もこの制度の規定に従いまして適切に調整が行われると、このように考えておりまして、私どもとしましてもそのような運用を図っていきたいということであります。

○遠山清彦君 私、時間ないのであれですけれども、野党の皆さんから厳しく追及される前に、ちょっと今の御答弁だと難しいのは、米軍の方が、日本の法で、法律で規定する、防衛庁長官もね、これ周辺事態と武力攻撃予測事態と武力攻撃事態と三類型に分けて作戦行動取らないでしょう、多分、米軍は。そうなると、武力攻撃予測事態に着目して、周辺事態と併存しているときに弾薬提供して、米軍はこの日本が提供した弾薬は武力攻撃予測事態においてのみにしか使いませんということを言い切れるかというと、その米軍の行動作戦を日本の国内法が制約していないという限りにおいては、これは言い切れないんじゃないかと思いますけれども、防衛庁長官、一言、簡潔に。どうせ後で野党に言われますけれども。

○国務大臣(石破茂君) いえ、おっしゃるとおり。
 それは、先生、言い切れないと言ってはいけないのでありまして、結局、脱法行為みたいなことになっちゃうわけですよね。本来やっちゃいけないことをやれるようなことに結果としてなるんじゃないかということですが、今、井上国務大臣からお話がありましたように、さればこそ調整メカニズムというものによってきちんとそれは仕分けられなければいけない。やっぱり私どもの国内法によってできないことというものが、米軍の作戦行動というものがそれが一元的になされるからといって、国内法においてできないものが結果的にできてしまったということは、私どもとしてはあってはならないことだと思っております。
 併存事態というのも、じゃ周辺事態と武力攻撃事態がどのように併存をするか、それはもう可能性としては幾つか考えられるわけですが、その場合に、私どもとしては調整メカニズムを通じましてそのようなことがないように、実際にその二つは日本にとっては異なる事態でございますので、そのようなことがないように心掛けていかなければいけないと思っています。調メカがきちんとワークするように、それは平素からきちんとした検証が必要だと考えております。

○遠山清彦君 分かりました。また野党の皆さんとやっていただきたいと思います。
 次に、またちょっと厳しめの質問ですが、井上大臣、この第十一条、第十一条の規定見ていただくと、指定行政機関も「法令及び対処基本方針に基づき、必要な行動関連措置を実施する」と書いてあるんですね。ただ、ここには前条の第四項とは違って一切条件が付いていないんです。それで、これは私、個人的にはあり得ないと思っていますよ、あり得ないと思っていますが、第一条に条件の制約が入っていないために、この行政指定機関を通じて第十条の四項では禁止されている武器の提供を日本が米軍に対してすることが可能なんではないか。だから、立法者が、法案提出者が意図的にこの第十一条では武器の提供できませんという明示を落としたんではないかという指摘が一部であるんです、一部で。
 私は、自衛隊が、自衛隊の部隊ができない武器の提供、あるいは後でも議論しますけれども、米軍も全然望んでいない日本からの武器の提供というものを、例えば国土交通省を通してとか、あるいは防衛庁本庁を通してとか、米軍に対して武器の提供をやるなんということはあり得ないというふうに思っていますが、この点について、実態上あるいは法律上もできないということでよろしいですか。確認の質問です。

○国務大臣(井上喜一君) これはもとより積極的にそのできるという根拠規定がなければできないことではありますんで、もとよりできないわけでございますし、しかもこの武器は、アメリカの国内法令でこれACSAに基づく手続の枠組みに従って他国から武器を受領することができないということは、これはっきりしているわけですから、アメリカの方もこれはもうできないということであります。また、現実的にもまあそういうことですね、アメリカが要請するような状況ではないと。こういうことでありますんで、法律のその根拠規定、あるいは米国の中の法律の規定、それから現実の要請、そういう必要性があるのかという、もういずれの点からいきましてもこれはないということであります。
 この第十一条でありますけれども、行動関連の規定、措置でありますから、いずれにしても武力攻撃とか武力攻撃予測事態じゃないとこれは発動しない規定ですからね。だから、各省庁で何かの支援ができるようなことがあれば各省庁の権限の範囲内でそれはあり得ると思うんでありますけれども、御指摘のような、武器をこの規定を援用して提供するということはないということであります。

○遠山清彦君 次に、防衛庁長官にお伺いをいたします。
 簡単な質問ですが、武力攻撃事態等発生の際に日米安保条約に基づいて米軍も行動するわけですね。これ武力攻撃排除のために行動するわけですが、その際に、自衛隊との関係でいうと共同対処ということになると思いますが、これ、双方の、自衛隊と米軍の指揮権の関係はどうなりますか。

○国務大臣(石破茂君) 指揮権は各々が持っております。指揮権が併存という形になりまして、具体的な行動はそれぞれ調整をしながら行うことになります。

○遠山清彦君 そうすると、自衛隊と米軍は指揮権の統合、共有はしないと、双方で緊密な連携調整を行いつつ武力攻撃排除の作戦行動をするということになるんですけれども、日本有事の場合は、当然、日本の国土が舞台、シアターになるわけでありますから、この国レベルの調整だけでなくて、あるいは軍隊同士の実務者レベルの調整だけではなくて、例えば、仮に日本の国内のある一部の地域で米軍自体が武力攻撃排除のために行動すると、展開すると、そうすると、その米軍が展開した地域の地方自治体とか、あるいは場合によっては民間団体との調整もやらなきゃいけないと思うんですね。
 実際に、この米軍行動関連法案の八条、第八条には、ちょっと読みますよ、こう書いてあります。政府は、合衆国軍隊の行動又は行動関連措置の実施が地方公共団体の実施する対処措置に影響を及ぼすおそれのあるときは、関係する地方公共団体の連絡調整を行うものとすると。
 それで、これ、井上大臣と防衛庁長官、どっちでも、両方でもいいんですが、これ、いろんな資料を見ますと、例えば実務レベルでは日米共同調整所というのは既に既存で、そこで調整できますけれども、でも地方自治体、日本の地方自治体、県知事と、例えば県知事周辺が武力攻撃事態に対していろんな対処取っているところに、米軍がそこに展開してきて、そこと調整が必要だったときに、だれが責任持ってその調整やるのかということは、実は具体的には全然分かんないんですよ。これ、どうします。

○国務大臣(井上喜一君) これは、基本的にはやっぱり国が責任を持ちまして調整することになると思いますけれども、ただ、現場で具体的にそれじゃどうするのかとなりますと、それはやっぱり地方公共団体の長の調整にまつところもあろうと思うんであります。したがいまして、いろんな情報をきっちりと関係の地方公共団体に伝えることはもちろんでありますし、その場合に国として必要な指示をするときはやっぱり指示をするということでありまして、この地方公共団体がその指示を、指示といいますか、状況において大変戸惑うというようなことのないようにそれは措置をしていかないといけないということは当然のことだと思います。
 したがいまして、基本のところはやっぱり国が調整をする。個別といいますか、地方公共団体限りで調整できるようなところは、国からのいろんな情報を勘案しながら地方公共団体で調整をしていただくと、こういうことになると思います。

○遠山清彦君 大臣、今の答弁だとちょっと納得できないんです。要するに、国が、だから日本の地方公共団体と米軍の間に国が間に入って調整しますと。それは概念としてはそうだと思いますよ。
 私が聞いている質問は、それ、運用上どこがやるかということが今の時点で、政府、これ明確になっていなかったら全然説得力ないですよ。ですから、例えば武力攻撃事態が起こって、まあ予測事態でもいいんですが、対処本部できるでしょう。でも、対処本部がやる総合調整というのは国内の総合調整なんですよ。地方自治体と国の、政府の間の総合調整、あるいは自衛隊も含めて総合調整しますけれども、僕が聞いているのは、米軍と地方自治体の調整が必要になったときにだれが、政府内のだれが、どこが責任持ってやるんですかということなんです。これ、もう一回。

○国務大臣(井上喜一君) 基本的にはそれは米軍でありまして、それは作戦なんかに行動いたしますこれは自衛隊ということに、それはもう当然のこととしてなると思います。

○遠山清彦君 いやいや、ですから、米軍じゃないんですよ。米軍と地方自治体の間に入って調整するところは、いや、これね、もしお考えになっていないんであれば、例えば、私が考え得るに、事態対処本部の中にそういう地方自治体と米軍の調整が必要になった場合に動く調整官を置いて、そういうスタッフ付けてやりますよということぐらいは今の時点で言わないとこれいけないんじゃないですか。もう一回。参考人、じゃ、はい。

○政府参考人(増田好平君) お答えいたします。
 ただいまの大臣の答弁に若干補足させていただきますと、まず米軍とそれから我が国政府との調整という段階がございます。これは再々申し上げておりますように、日米間の調整メカニズムというものを通じて調整が行われるということでございます。
 そういった中で、米軍の行動というものが我が政府に分かるわけでございます。その上で、政府といたしましては、正に対策本部を通じまして総合調整の一環として地方公共団体にも連絡をして、こういうことがあるよと、正にそれを具現化してこの法案の中で明文化しておりますのが第八条だというふうに理解しております。

○遠山清彦君 分かりました。あのね、法律の建前論としては私、一応ここで理解しておきますけれども、もう一問質問ありますから。
 ただ、いや、今のお話だったら、そしたら新潟県の方に、済みません、森先生の地元、新潟県に米軍が展開していて、それで国、国と調整するといって、じゃ米軍の司令官も米軍も新潟県にいるときに、すぐ近くに地方公共団体で調整しましょうといっているのに全部東京を通してやるなんてのは、これははっきり言うと米軍、プラクティカルですから絶対こんなことしませんよ。ダイレクトに地方とやる。だから、そのときに、そのときにそれは国が関与しないと、それは法律上も建前上も良くないですから。だから、私が言っているのは、そういうシステムを、メカニズムをちゃんと作るということを政府として意思持っとかなきゃいけませんよということなんです。それは防衛庁長官、うなずいているから分かるでしょう。その点、ちょっと訴えておきます。
 最後の質問、外務省、外務大臣、お願いしたいと思いますが、国際人道法違反処罰法案に関連をいたしまして、これは外務大臣よく御存じだと思いますが、戦争犯罪の問題で、やっぱり過去にいろんな事例が各国の軍隊の中であるわけですね、戦争犯罪。必ず、この戦争犯罪のいろんな事例を研究しますと、常に出てくる問題というのは上官命令の問題と上官責任の二つの問題なわけですね。
 つまり、ベトナム戦争なんかで幾つか象徴的な事例があったわけですけれども、上官が部下に対して戦争犯罪となるような行為を強要すると。部下から見れば、もし上官の命令に従わなければ上官に撃たれるかもしれないというぐらいの恐怖感を感じながら虐殺をしてしまったと。その場合に、上官から命令されたと、従わなかったら、で、軍隊の中においては上官の命令に従うことが一番大事なんだと言われているわけですから、それによって自分の罪の違法性は阻却されるということがよく言われるわけですね。
 もう一つ、上官責任というのは、部下が逆に戦争犯罪やっているのを知りながら、あるいは場合によっては知らなかったとしても、それを積極的に防止する措置を取らなかった場合に、その上官の責任が阻却されるかどうか。
 この点について、日本政府として今回こういう国内法を整備するに当たってどのような立場で臨まれるのか、お答えいただきたいと思います。

○政府参考人(林景一君) お答えいたします。
 二点、上官、上官命令の抗弁といいますか、の問題でございますけれども、これにつきましては実定法上明示的な規定を置いたものがあるわけではございません。

○遠山清彦君 ICCはある、ICCは規程はある。

○政府参考人(林景一君) 済みません、我が国に関しましてということでございます。済みません。
 ジュネーブ四条約及び追加議定書におきましては明示的な規定は置かれておりません。ただ、もちろん、今おっしゃいましたようにICCの規程三十三条、あるいは旧ユーゴ国際刑事裁判所、ルワンダ国際刑事裁判所の規程におきましては、原則として上官命令の抗弁によって責任が阻却されないという形になっております。この範囲というものについてどうかということについてはいろいろ議論ございますけれども、大きな流れといたしましては、いわゆる上官命令の抗弁の効力には相当制限があるというのが国際的な流れだろうというふうに考えております。
 二点目といたしまして、いわゆる上官責任の問題でございますけれども、これにつきましてはジュネーブ四条約には明示的な規定は置かれておりませんが、第一追加議定書の八十六条二項におきましては、上官は部下の違反行為を知っており、それを防止するためにすべての実行可能な措置を取らなかった場合等におきましては責任を免れないということになっておりまして、これは旧ユーゴの国際刑事裁判所あるいはルワンダ国際刑事裁判所、あるいはICC規程の第二十八条等におきましても、上官責任ということが原則として免れないといったようなことが書かれておるということでございます。ただ、これにつきましても、やはり範囲ということについては明示的に定まっているということではございません。

○遠山清彦君 終わります。

※政府参考人
増田好平氏(内閣官房内閣審議官)
林景一氏(外務省条約局長)

有事の際の医療について:病院船など、米軍支援に関して

国会質疑, 安全保障, 復興支援, 沖縄

○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。
 両大臣、連日長い審議、大変御苦労さまでございます。私が最後の、今日ラストバッターでございますので、なるべく早く終わるように頑張りますので、よろしくお願いします。
 いよいよ当委員会の質疑も、審議も大詰めになってまいりましたけれども、私、冒頭に一点だけ指摘させていただきたいのは、大臣よく御存じのとおり、今審議をしておりますこの三法案が成立をいたしましても、できれば野党の皆さんも賛成をしていただいて参議院でも成立をさせたいと願っているわけでありますけれども、しかし、この三法案が成立してもこの有事法制の整備が終わったわけではないわけでありまして、今後、国民保護法制やあるいは国際人道法に対応した国際、国内法整備などの重要な作業が残っているという意味では、私たち国会議員は緊張感を失うことなくこれからもしっかりとした審議をしていかなければならないというふうに思っております。
 これを前提に今日幾つか質問させていただきたいと思いますが、既に当委員会でも多くの委員が指摘をしておりますけれども、有事の際に最も大切な国の役割の一つが国民の生命と安全を守ることであると。当委員会の審議の冒頭でも、我が党の山口理事の方から、有事の際の死傷者あるいは傷病者に対する迅速かつ適切な対応の重要性が指摘されました。この延長線上で、今日はもう少し突っ込んだ質疑をさせていただきたいと思いますけれども、まず最初に、これ官房長官かと思いますが、武力攻撃事態法案第二条の五の指定公共機関の定義のところには医療機関が明示されてはいませんけれども、これは含まれると理解してよろしいでしょうか。

○国務大臣(福田康夫君) 事態対処法案二条六号……

○遠山清彦君 六号ですか、済みません。

○国務大臣(福田康夫君) 指定公共機関につきまして、公共的機関及び公益的事業を営む法人で政令で定めるものと、こういうふうに規定しております。
 どのような事業者を指定公共機関とするかと、こういうことでございますが、これは今後の法制整備の中で、これで検討してまいります。
 医療につきましては、武力攻撃事態においても重要な役割を担うものと考えられるため、医療法人等を指定公共機関として指定することを検討いたしております。

○遠山清彦君 分かりました。
 じゃ、医療機関もこの有事の際の指定公共機関に含まれると、指定を検討しているというお答えだったと思うんですが。
 それで、防衛庁長官が先日当委員会で、有事においては民間人の方々が戦闘によって負傷されるということは基本的に想定しない、そういう場所から避難していただくのが前提というふうに発言をされております。そういうのは、理想としては全くそのとおりです。しかし、武力攻撃の形態によっては民間の中に負傷者が出るということも十分あり得るわけでありまして、そうなると、その際の対応、特に民間に大量の傷病者が、有事の中でですよ、出るといった場合にはどうするかということを国の責任としてしっかりと整理をしておく必要があるのではないかと。
 最初に私が伺いたいのは、この多数の傷病者が民間に発生するような事態で、現体制において、この救命治療等どのような対応ができるのかということなんですが、これはあれですか、厚生省になっているのかな、お願いします。

○政府参考人(篠崎英夫君) ただいま御指摘の、現行でどのような体制かという御質問でございますけれども、例えば災害発生時のようなことについてお話を申し上げますと、医薬品の備蓄倉庫ですとかあるいは自家発電装置などが整っております全国五百三十一か所の災害拠点病院におきまして、多発外傷、いろんなところがけがをする多発外傷ですとか、あるいは広範囲熱傷、これはやけどでございますが、そういう重症な救急患者などに対応するための救命医療の提供、こういうものを現行の体制では行える。また、広域災害救急医療情報システムというようなものを活用いたしまして、災害拠点病院を中心として広域的な患者などの受入れとか、あるいは転送などを行う。また、救護医療チームの派遣のための医師、看護師などの確保を行う。そして、地域の医療機関への医薬品などの安定供給及び応急用機材の貸出しなどを通じまして、必要な医療提供の確保を図ることといたしております。
 ただ、多数の傷病者が出たような場合には、有事の規模などによっては様々な限界が出てくるおそれがあるというふうに考えておりまして、いずれにいたしましても、今後国民の保護のための法制を検討していくことといたしておりますので、国民の生命、健康の安全を確保するために必要な医療体制を確保できるように努力をしてまいりたいと考えております。

○遠山清彦君 それで、官房長官、今答弁にありましたけれども、全国で五百三十一か所の災害拠点病院があると。それは大規模災害が起こったときにも現状でも対応できるということになっているんですが、実際には全国の医療機関では非常に多くの入院患者を抱えております。病床もベッドもほぼ満員の病院も多い状態なんですね。
 そうすると、これは必ずしも武力攻撃事態に限らないかもしれませんけれども、短期間に大量の傷病者が発生をした場合、これは緊急の受入れをするのが困難な場合があると。今も限界は当然あるということがあったわけですけれども、そうすると、この武力攻撃事態の法案が成立した後の話になると思いますが、有事の際のやはりこの医療体制の計画策定というのは、これ非常に重要になってくると私は思っております。
 私の質問は、これは、じゃどこが主体になってこの有事の際の医療計画を作っていくのかと。政府が国会に提示をいたしました「国民の保護のための法制について」という書類を見ますと、これ基本的には都道府県知事が主体になってこの有事の際の医療対応をやることになっています。緊急時の医療施設の確保だとか使用、あるいは医療の提供の要請や指示ということを場合によっては行うことになっているんですけれども、しかし、これ都道府県によって対応の質の差が出てくることは間違いないわけで、そうすると、やはり国も一定の関与をしなければいけない、役割を持たなければ、これは効果的な有事の際の医療体制の計画策定ってできないと思うんですが、どこがこれ主体になってこれやっていくことになるんでしょう。

○政府参考人(篠崎英夫君) それでは、私の方からお答え申し上げますけれども、有事の際には、国が策定する基本方針を踏まえまして、基本的には先生今御指摘のございましたように、各都道府県知事が行って、そして必要に応じて国が支援を行うと、このようになっておるわけでございます。
 具体的には、先生も御指摘になりましたように、具体的にはその骨子案におきまして、緊急あるいは臨時の医療施設につきましては医療法の適用を除外するというようなことですとか、あるいは都道府県知事が医療従事者に対して医療の提供を要請、そして指示できる旨の規定を設けるなどの仕組みを作ると、そのような方向で検討しているところでございます。

○遠山清彦君 分かりました。
 それで、今おっしゃったことは、ある程度このガイドライン的に政府の文書に書かれていることになるわけですけれども、地方自治体がかかわりますから、恐らく総務省とかもかかわって、内閣官房も当然中心的な役割でやると思うんですけれども。
 次に聞きたいのは、正に今お話がありましたけれども、既存の医療施設だけでは民間に大量の傷病者が発生したとき対応できないと。自衛隊の野戦病院、これも当委員会でもちょっと議論になりましたけれども、自衛隊の野戦病院は基本的には自衛隊の負傷者、傷病者への対応ということでありますから、これは限界があると、民間の対応という意味では。
 そうすると、政府の文書には、今厚生省で言っていただいたんですが、「緊急の必要がある場合に開設する臨時の医療施設については、医療法を適用除外」という文言が明記されております。これは、そうなると、自衛隊の野戦病院とはまた別個に臨時の、必ずしも野外病院とは限りませんけれども、そういった病院を造っていくということになるんでしょうか、これは官房長官。

○国務大臣(福田康夫君) そういうことになると思います。
 今考えておりますのは、傷病者がもう非常に多数に上ったというようなときに、これは既存の医療施設では足りない、当然臨時の医療施設を開設する必要が出てくるわけでございます。その場合に、委員の御指摘のとおり、医療法の特例を設けなきゃ、これはいろいろな基準がございますので、これは無理だろうということでございますから、御指摘のことも踏まえて体制整備しなければいけないということになります。
 その場合に、そういうような臨時の医療施設を確保するために、都道府県知事による土地や建物の一時使用に関する規定を置くといったようなこともしなければいけないと思っております。

○遠山清彦君 そうすると、有事の際に、仮に、ちょっと最悪のシナリオみたいで申し訳ないんですが、しかし最悪の場合に備えないといけませんから。有事の際に民間に傷病者が大量に発生したという場合には、既存の医療施設でも当然限界一杯対応する、それから臨時の医療施設も医療法の適用除外をして対応すると。自衛隊の野戦病院は基本的に自衛隊でしょうけれども、場合によってはやや民間も診る場合もあるというふうに私理解しているんですが。
 次に、それを前提としても、もう一個問題があると思うんですね。それは、傷病者、患者の輸送、搬送の問題なんです。
 仮に、こういった今私が冒頭述べたような施設がちゃんとあっても、陸路であるいは空路でこの病院に傷病者を搬送するのが困難な事態というのも想定され得るわけですね。これは、実は後でもちょっと申し上げますけれども、阪神大震災のときも道路とか鉄道が寸断されましたので、いわゆる患者さん、傷病者を陸送するあるいは空輸するというのは大変困難だったんですね。後で言おうと思ったんですが、今言いますが、自衛隊、海上自衛隊があの阪神大震災のときには六百八十隻の艦船投入、それから海上保安庁は二百八十隻だったかな、二百八十隻投入して、かなり海から支援したんですね。
 そこで、それを、そういうことを前提に私今日提言をしたいのは、こういう有事の際に、やはりシナリオによりますけれども、事態によりますけれども、陸送や空輸が難しい事態も想定した場合には、やはり病院船のようなものが私は必要なんではないかというふうに思っております。
 日本は今、病院船持っておりません。防衛庁長官よく御存じだと思いますが、海上自衛隊の船の中には、私、見たことないんですけれども、迎賓艇「はしだて」というのがあるんですか、迎賓艇「はしだて」とか、それから輸送艦「おおすみ」、それから補給艦とわだ型の三隻。ここがある程度の医療施設を持っているというふうに言われておりますが、限定的です。
 私、今ここに資料を持っていますが、「おおすみ」は、医療設備では、ICU、集中治療室が一室、ベッドは一床だけ、一般病室は二室あって、ベッドは八床、手術室が一室ということで、一番いいと言われている「おおすみ」でもこういう状況だということなんですね。
 実は、この病院船については、従来から災害関係で政府の中でも、九〇年代に入ってから特にそうなんですが、多目的災害救助船みたいな名前で検討がされてきました。調べたら、一九九一年には政府の調査予算も付いたと。ところが、災害のときだけに稼働する船を造るのは費用対効果の面で問題があるんじゃないかということで、流れた経緯があるんですね。
 ただ、じゃ、世界を見渡したときに病院船がないかというと、ありまして、今、世界じゅうで病院船は、少ないんですけれども、八隻ございます。
 アメリカが、タンカーを改良した巨大なやつを二隻、これは七万トン級ですけれども、二隻持っておりまして、どういう装備かといいますと、参考までに、ベッドは千床、手術室は十二、そしてICUのベッドが八十床、回復室が二十床、ベッドですね、中等度、中程度のケア用病室が二百八十床、軽度が百二十床、部分的ケア用が五百床、患者用のエレベーターも九基、酸素製造設備も有しているというのがアメリカに二隻ございます。それから、一万トンクラスでロシアで四隻。中国は、非常に小さい、余り使えないんじゃないかと私は思うんですけれども、二隻、二千トンぐらいのやつがあるということになっているんですね。
 そこで、官房長官に、これは今返答できるような話じゃないかもしれないけれども、是非こういう、やはり日本は四方を海に囲まれておりますし、山も多い、川も多いと。武力攻撃事態、有事の形態によっては、先ほど私、申し上げたとおり、病院どうするかという問題もあるけれども、じゃ、病院そろっても、そこに人を運ぶという輸送の問題出てくるんですね。そうなったら、やっぱり海にそれなりの設備を持った病院船があればその近くの海域に行ってこれ対応できると。これは是非、ほかの国にも例がありますから、政府として検討いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(福田康夫君) 緊急事態もそうであります。と同時に、災害、大災害のようなときにそういうような可動性の、可動する医療機関があるというのは、これは一つの手段として大変いい構想だというふうに思います。
 ですから、もう今から十年前にそういうことを検討したというのも、これ私もちょっとそのころ検討したのは知っておりますけれども、いつの間にか立ち消えになってしまったと。立ち消えになったというのはいろいろ障害もあるんだろうというふうに思うんですけれども、それは大変考えとして結構なことだというふうに思っております。
 確かに、日本は島国ですから、その周りをぐるぐる回れるようなというふうな、そういうふうなこともあります。しかし反面、船というのは時間掛かるんですよね。例えば、ちょっと調べたんですけれども、神戸から、例えば阪神・淡路の大震災があった神戸からこの間あったあの岩手まで船を回航すると、五千トン、一万トンの船ですと一日半掛かるというんですよ。というようなこともありますので、緊急を要するというような意味においてはちょっと問題があるんじゃないかなというような感じがいたします。
 しかし、じゃ、二隻持ったらいいじゃないか、三隻持ったらいいじゃないかというふうな議論も、想像力は幾らでも拡大してくるというふうに思いますけれども、そういうようなことも踏まえまして、今後いろいろと検討していく課題の一つだというふうに思っております。

○遠山清彦君 官房長官、大変前向きなお答えありがとうございます。
 実は、長官自ら立ち消えになったというお話していましたけれども、私、今日、これ、こっち向いて言わなきゃいけないんですけれども、私、調べたら、これ、私のオリジナルのアイデアじゃ全然ないんです。一九九六年、自民党病院船建造プロジェクトチームというのがあったんですね。今やっていますか、何か。全然やっていないんですね。ですから、自民党の中に名前まで病院船建造プロジェクトチームというのが、座長だれだったかまで調べていませんけれども、できていたのに、今は跡形もなく消えてしまっているということでありますので。
 それから、今、長官もいろんな障害があったと。私も考えました、確かに費用対効果の面で言えばいろいろ難しいところあるだろうなと。しかし、これ、例えば病院船、病院機能の付いた政府専用船を造っても、平時に遊ばせておかなくてもいいと思うんですね。例えば、人材研修に使ったり、修学旅行、学生にちょっと貸し出したりとか、あるいは昔、日本で行われていた青少年の洋上学校、これに使用したり、場合によっては政府の会議とかキャンペーンもこの船使ってやるとかということもできると思いますし、それからもう一つ、私が思ったのは、船だから時間が掛かるという問題があるんですが、国際協力の分野の医療援助にも場合によっては使えるのかなという思いがありまして、ですから、決して、有事のときのためだけにこれを造って、平時は遊んでいるじゃないかということには、アイデアの出し方によってはならないんじゃないかと。
 できれば、太平洋側一隻、日本海側一隻とか、少なくとも。そうすると九州が怒るかもしれないんであっち側に一隻とか、そうすると北海道も必要になって、いろいろ大変なんですが、それは予算との相談もありますけれども、是非、多目的災害救助船というか、名前はどうでもいいんですが、病院船というか、検討した方がいいというふうなことを申し添えておきます。
 それから、次の質問が、仮に専用の病院船を持つことがじゃ難しかったとしても、次に考えなきゃいけないことがあるんです。それは、民間の商船の利使用、利用の問題なんですね。
 民間の商船を徴用して病院船や輸送船として活躍させた例として参考になるのが、フォークランド紛争のときのイギリスなんですね。当時、イギリスは枢密院令を発布しまして、商船を利用しました。病院船ということに限って言いますと、民間の客船であるウガンダ号、ウガンダ号というのが一万七千トン級あるんですが、これを徴用して、改装して病院船として活用いたしました。
 イギリスは、これは防衛庁長官御存じかもしれませんが、緊急時には軍事所要として病院船あるいは海軍の後方支援にも実は使っているんですけれども、平時から客船とか貨物船の商船の徴用計画を策定をしております。イギリスはNATOに対しても緊急時に船舶を提供する義務を負っているわけですけれども、それで、イギリスの国防省と貿易産業省が中心となって海運会社とか船主の英国海運総評議会と定期的に打合せをしておりまして、実はフォークランドのときは、アルゼンチンがイギリスに、いや違う、フォークランドに侵攻するという意図が明らかになった日に、国防省で官民合同の海運計画会議というのを開きました。民間商船の利用について迅速な調整をしたというふうに言われております。
 それで、私もびっくりしたんですが、フォークランド紛争で動員されたイギリス海軍の船というのは三十九隻なんですね。じゃ、民間の商船が何隻動員されたかといいますと、客船キャンベラ号やクイーンエリザベス二世号や、さっき言ったウガンダ号も含めて徴用された船が三十二隻、チャーター契約で動員された、使ったのが十七隻で、四十九隻。つまり、イギリスはフォークランド紛争の際には英国海軍の船よりも十隻多い民間の船を投入をしたということがあるわけです。
 そこで、先ほど病院船を政府専用で持った方がいいんじゃないかという話をしたわけですが、イギリスとすべて同じようにはできないわけですから、私はここに絞り込んで、いわゆる人道的な医療対策。ですから、戦争の場合はこれはジュネーブ条約上も敵側の兵士も負傷したらみんな面倒見なきゃいけないわけで、実際ウガンダ号はやっているわけですけれども、フォークランドで。この医療対策としての民間船舶の利用と、使用というものも検討した方がいいんではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(石破茂君) 戦争中は我が国も病院船というのをたくさん有しておりました。そして、戦争中は我が国は商船会社の持っている船を一杯徴用をいたしました。戦後そういうことがなぜないのかといえば、結局、第二次世界大戦、太平洋戦争中にそういう船は片っ端から沈められたということがありました。
 アメリカにおきましても、そしてまたイギリスにおきましても船舶の徴用制度というものがございます。そういう場合に、私、正確には存じませんが、船舶の建造費の幾らか部分を政府が負担をすると。しかし、有事においては、あるいは緊急時においては徴用する、そういう関係にあるやに私、記憶をいたしております。
 日本の場合にじゃなぜ今、先生御存じのとおり、日本籍船というのはほとんどないんですね。ほとんどが便宜置籍船という形を取っております。それは、もうそういうことにも基づいて、じゃ我が国が日本国籍船を持ちたければ、船舶の建造費、日本が出せばいいじゃないかという話になるんですが、そうすると何で嫌がられるかというと、そうすると何か有事に徴用されるんだろうと。そうすると太平洋戦争のときみたいに片っ端から沈められるというような一種の悪夢みたいなものが残っておりまして、この徴用というものがなかなかうまくいかないということは、やはり我々は、戦争時における一種の反省みたいなもので、国家としてそういうものに対してどう取り組むかということで考えなければいけない。
 他方、我が国の船の中で、我が国のほとんど輸入を負担いたします船の中で我が国国籍の船がほとんどないということをどのように考えるかということとも裏表の問題だと思っております。そういうことも十分踏まえました上で、先生がおっしゃいますような病院船、それをどういう形で持つか。
 自衛隊の「おおすみ」の話をいただきました。「おおすみ」も、私も呉に置いてあります「おおすみ」、何度か見ましたが、確かに高度な医療システムを持っております。ただ、それが大勢の人を一遍に収容できるかというと、できません。じゃ、それに拡張性はどれぐらいあるんだろうか。あるいは、これはもう思い付きみたいな話なんですが、陸上自衛隊の野戦病院のセットみたいなものをその「おおすみ」に積み込んだら一体どういうことになるのだろうか。そういうのは素人の思い付きの域を出ないのかもしれませんが、どうすれば一番納税者の御負担に資するのか、そしてどうすれば日ごろ遊んでいるというようなことが起こらないのか、そういうことをよくよく考えてみなければいけないことだと思っております。
 その病院船の自民党の委員会、私もかかわったことございますが、確かにおっしゃるようなことであります。ただ、そこにおいて、中山太郎先生なんかが中心になって御議論なさっておられるものでありまして、阪神大震災におきましても、またいろんな、世界各地でいろんな紛争が勃発して医療の必要となる人々が出る場合にも、我が国として何ができるのかというときに、この病院船において議論されたことは常に自民党の中で生きておりますし、また今後も先生始め多くの方の御教導をいただきながらいろんな可能性を模索していくべきものと思っております。

○遠山清彦君 大変に専門的なお答えをいただきまして、ありがとうございます。
 確かに戦時中は民間の船、病院船も含めて、あるいは民間人しか乗せていない避難する船も機雷で沈められたケースもありますし、実際に攻撃されて、潜水艦等ですね、沈められたことがあったわけでありますけれども、ただ一点だけその点で指摘したいのは、ジュネーブ条約の第二条約ですね、あそこでも病院船の保護が今義務付けられておりますし、さらに一九七七年の追加議定書でも義務付けが行われておりますし、さらに、ちょっと私これ記憶、今手元に資料がない、定かじゃないんですけれども、一九九〇年代半ばぐらいにやはり海運関係の学者たちが集まって病院船保護についての詳細なマニュアルをたしか策定をいたしまして、白地に赤い赤十字をどこに付けてどういうパターンで点滅をしたら病院船と認識されるかということまで決まっておりますので、今日ではそういったことは、戦時中起こったようなことは起こらないんではないか。そもそもこれは戦争犯罪に当たることになりますので、その点は指摘をしたいというふうに思います。
 それで、時間がなくなってまいりましたので、前回ちょっと私もやらせていただきました在日米軍基地関係の話をもう一回やらせていただきたいと思います。
 今回、政府が出している法案の中で米軍の行動の円滑化に関する法律は出ていないわけでありますけれども、これは一般国際法上、外国軍隊がある国に駐留している場合には、これはその国の法令が適用されないと。ただし、これも一般国際法上もそうですし日米地位協定上もそうですけれども、米軍の場合は尊重義務があると。ただ、法令適用されませんから法令の適用除外の法制は作る必要がないということで今回出ていないというふうに理解をしています、大ざっぱに言えばですね。
 ただ、私ここで、これは官房長官でも防衛庁長官でもいいんですけれども、今、もし仮に有事の際に米軍が動く。今、日米ガイドラインの中では、米軍と自衛隊の作戦の調整をすることはこれ取決めがちゃんとあるんです。しかし、米軍が仮に行動した場合に、やっぱり国民生活に何らかの影響を与えたときにそこを調整する、法律を言っているんじゃないですよ、枠組みはガイドラインにも書いていない。つまり、民生面に、米軍が日本有事で動いた際に民生面で影響を与えるかもしれない、その際にそれをどうするかということを調整する、協議をする枠組みはないんですね。
 私は、これもしかしたら官房長官、これ後でやるぞと思っていることかもしれませんけれども、日米ガイドラインを改定するのか新しく枠組み立ち上げるのかして、いわゆる米軍が行動した際に国民生活に影響を与えた場合にどうするんだということを協議をする、調整をするスキーム、枠組みをしっかりと作らなきゃいけないと思うんですが、これについての政府の立場、どうでしょうか。

○政府参考人(海老原紳君) これはガイドラインに書いてある事実関係でございますので私から御説明をさせていただきたいと思いますけれども、ガイドラインにおきましては、日米政府間はこういう場合には整合性を確保しつつ適切に共同で対処するということになりまして、書いてあるわけでございますけれども、具体的に申しますと、平成十二年の2プラス2、いわゆる2プラス2でございますけれども、この際に発表されました日米間の調整メカニズムというのがございますけれども、これを通じまして日米両政府間の必要な調整が行われるということになっております。
 今、遠山委員がおっしゃいましたような、米軍の行動によりまして日本の国民の生活に対して影響があり得ると、正にそういうことでございまして、したがいまして、この調整メカニズムといいますのは、局長級のもの課長級のもの、いろいろなものございますけれども、必要に応じまして、これは外務省、防衛庁ばかりではなくて関係の省庁、あらゆる関係の省庁から代表が入れるということでございますので、このメカニズムを通じまして今おっしゃいましたような必要な調整が行われることになるだろうというふうに考えております。

○遠山清彦君 分かりました。
 じゃ、既存の調整メカニズムで、私は、頭の中は、基本的にこれは軍事作戦上の調整が中心なんではないかという思いがありましたし、また、かかわるのも外務省と防衛庁だけなのかなというのがありましたので、今の御答弁で、既存の調整メカニズムでもそういった民生面に対する影響も含めて米国政府と調整ができるというふうに理解をいたしますけれども、他方、これから国民保護法制作っていく中で、こちら側が新しい体制整えるわけですから、そこの点からも踏まえて、必要なまた米国政府との調整はやっていただきたいというふうに思っております。
 それから次の質問が、これは、政府は今後米軍の行動の円滑化に関する法制を出すのか出さないのかちょっと分かりませんけれども、いわゆる政府の答弁見ますと、物品役務の提供等の課題について検討しているというふうに聞いております。そうなりますと、これ、現在、共同訓練とPKOと周辺事態の発生時に限定されて適用されている日米物品役務相互提供協定、ACSAですか、この適用対象を、今、だから申し上げた三つに限定されているわけですが、これを日本有事にも拡大する改正というか、その変更ですね。それを検討されているのか、それとも全く新しい新法をやっぱり作らないといけないのか。そこはどうなんでしょうか。

○国務大臣(川口順子君) ACSAについては、今、委員がおっしゃられたようなことでございますけれども、米軍に対する支援の具体的な在り方、これにつきましては、このACSAを武力攻撃事態等に適用するというために改正をする可能性も含めまして、今後、政府全体の問題として関係省庁の間で協議をいたしまして、その上でまた米側とも協議をしていくと、そういう考え方でおります。

○遠山清彦君 分かりました。
 この米軍関係では最後の質問なんですが、これは最近の話で、在日米軍に関して、特に沖縄駐留の海兵隊に関して、米国政府内で大幅削減あるいは撤退、行く先もオーストラリアなんて話も出ているわけですが、具体的に。これは検討されているという報道が、一連の報道がありました。政府としては、未確認あるいは正式に聞いていないということであるようでありますけれども、他方、報道見ていますと、アメリカ国防総省に、沖縄県、官房長官、ちょっと何かあれだったみたいですが、沖縄県とか一部のマスコミが国防総省に問い合わせをしたら、検討しているという事実を認めたという話もあります。
 これあくまでも、この報道が本当だったとしても、あくまでも検討中であって最終決定ではありませんから、日本政府として特段反応する必要もないというお立場なのかもしれませんが、しかし問題は、この中身が、沖縄の海兵隊の問題という中身が正に、沖縄県では当然のことながら、また日本の安全保障全体に大きな影響を与える話ですし、またその沖縄でも在日米軍基地の整理、縮小という大きな問題にかかわる案件でありますから、余り、米国政府で検討始まっているけれども、まあ最終決定じゃないから待ちましょうという、消極的、受動的な姿勢でいいのかと。
 それ、私が言いたいのは、この海兵隊をどうするかということに関して、日本政府としての意見というか、立場ということもあらかじめ言っておかなければ、向こうが最終決定しましたよというのを後からああだこうだと言って私は何となくそれは変えるのは難しい状況に追い込まれるんじゃないかと。
 ですから、案件が案件だけに、しかもこれだけ大々的に報道されているわけですから、マスコミは当然、憶測記事も書きますし、全く根拠のないこともあり得るわけでありますけれども、案件が案件なので、日本政府としてどういう立場でこれ臨むのか、お答えいただきたいと思いますけれども、外務大臣。

○国務大臣(川口順子君) この沖縄の報道の件につきましては、これは別な委員会でも申し上げたかと思いますけれども、こういうことが今、米側によって検討されている、報道されているようなことがあるというふうには私どもは確認をした上で承知をいたしておりませんで、また、つい先日でしたでしょうか、ウォルフォビッツ国防省の副長官が来た際にも、ウォルフォビッツ副長官の方から、そういうことはないということを話として聞いております。
 それで、一般的に、我が国とアメリカとの間で、これは外務省、防衛庁両方の当局間で様々な安全保障問題については議論をしてきております。また2プラス2、昨年の十二月にやりましたときにも、それから先般の日米首脳会談におきましてもこういった協議については安全保障問題についての協議を強化をしていきましょうという話はあったというふうに記憶をいたしておりますけれども、そういった場で引き続き、アメリカとの間では緊密に協議をしていきたいと考えております。

○遠山清彦君 分かりました。
 いずれにいたしましても、私も沖縄北方特別委員会等で、この沖縄の米軍基地に関しましては、やはりSACOの最終合意、特に普天間の基地の移設問題が暗礁に乗り上げているというか、進捗状況が見えないということに対していろんな立場の方がフラストレーションを感じているという現状でございますので、特に沖縄県民の立場に立てば、本当に政府が本気で取り組んでいるかどうか分からないといった声が強いことも事実でございますので、是非、そのことも含めてしっかりとやっていただきたいというふうに思います。
 もう時間がなくなってまいりましたので、最後の質問になりますが、外務大臣にお聞きをいたします。
 私は、この有事法制が整うことは大事である、これは法治主義の観点から大事であるというふうに思っているわけでありますけれども、他方、やはりこれから日本がやっていかなければいけないのは、世界の安定と平和のために日本がどういうふうに貢献をしていくかと。
 日本は、従来、国連中心主義という言葉がありますけれども、これに対する批判も最近強くなってきております。私は、国連は非常に重要な国際機関であると、唯一の国際社会の合意形成機関という意味でですね、重要性は落ちていないと思いますけれども、他方で、国連というものを今、私たちは直視しなきゃいけないと。日本人はどうしても国連というと中身を考えずに何でもいいということを思いがちなわけでありますけれども、しかし他方で、国連安保理の構成国を見ても、例えば、国連分担金出せば、日本は一九・六%負担をしております。しかし、安全保障理事会の常任理事国であるフランスと中国とロシア、三か国合わせてもこの日本の分担金の半分に達しません。そういう状況をこれからやっぱりしっかりと変えていかなきゃいけないんじゃないかという問題があります。
 それから、外務大臣、今日、具体的に最後に答えていただきたいのはこの点だけでいいんですが、安保理改革と並行してかなり長い間指摘されている国連憲章の五十三条と百七条、いわゆる敵国条項ですね。
 これは、第二次世界大戦中に連合国の敵国であった日本、イタリア、ドイツに対しては、安全保障理事会の承認なくしてこの三か国が現状改変をしようとしたときには武力行使ができるという条項で、とんでもない、現在ではですよ、条項になっているわけです。
 これについては、一九九五年に国連総会が撤廃を進めようという決議をしているんですけれども、八年たっても全然進捗していないと。これに対しては、日本が、ドイツ、イタリア政府と共同で、やはり敵国条項は今の時代に全く合っていないわけだからなくすべきだということでやっていくべきだと思いますが、これについての決意を伺って、私の質問を終わります。

○国務大臣(川口順子君) それぞれ重要な点であると思います。
 国連改革については、先般、日米首脳会談でも総理から取り上げて、一緒にフォローをしていきましょうということになっておりますけれども、これについては全力を投球したいと思いますし、それから、敵国条項については、委員おっしゃいましたように、九五年の時点で決議もございますが、これについてはほかの、その決議の他の部分との関連でしばらく時間が掛かっているという状況にありますが、我が国としては、これはもはや敵国、我が国には敵国は適用はないというふうに考えておりますけれども、なおこの敵国条項の削除については最大限の努力をしていきたいと考えております。
 それから、日米首脳会談で総理がブッシュ大統領におっしゃられたことでございますけれども、これについては、国連改革は非常に重要である、敵国条項についても具体的に取り上げられて、ブッシュ大統領とお話をなさって、その結果として、一緒にフォローをしていきましょうということになったわけでございます。

○遠山清彦君 ありがとうございました。

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