* 新たな雇用につながる国際貢献 ジャーナリスト・吉田鈴香
* 人材活用し日本の潜在力を発揮へ 公明党代表代行・浜四津敏子
* NGOの身分と命を保障すべき 公明党国際局次長・遠山清彦

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てい談する吉田鈴香さん(中央) 、浜四津敏子さん(左)、遠山清彦氏(右)

 国際的な人道支援や平和構築の分野で、NGO(非政府組織)の果たす役割が増している。NGOと日本の国際貢献のあり方について、紛争や開発の現場に詳しいジャーナリスト・吉田鈴香さんと、公明党の浜四津敏子代表代行(参院議員)、紛争予防が専門の平和学博
士でもある遠山清彦国際局次長(同)に語り合ってもらった。

日本の貢献に国際社会の評価
浜四津 吉田さんは、紛争や開発の現場で精力的に取材を続けておられますね。てい談の機会をいただき、ありがとうございます。

吉田 こちらこそ、光栄です。イラク戦争直前に、お二人がイランの難民キャンプ予定地を視察したのを知り、「よくぞ、やった」と思いました。

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吉田鈴香さん

遠山 先進国の多数の外交官がイラン内務省に対し、イラク国境への視察を打診してきましたが、できませんでした。

吉田 「あなたの国とのパイプを持ち続けたい」という日本の意思をイラン政府に示すことができたという点で、大きな成果があったと思います。

浜四津 政党や議員外交の本領を発揮することができましたね。

吉田 ところで、イラク戦争での対応を見て感じたのは、英国は国益に関わる問題について、政治家や外交官だけでなく、国民も含めて、非常に熟練した政治センスを持っている国だということです。何が正義かは大切なことですが、国の姿をどう見せ、現実的にどう貢献するか、という判断ができる賢明な国をめざすべきではないでしょうか。

浜四津 それは、政治の側にも責任があります。ブレア首相のように国民の皆様に向けて、丁寧に明確に説明責任を果たすことが必要です。

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浜四津敏子代表代行

遠山 日本の弱点は、冷戦中、安全保障だけでなく、外交面でも、主体的な判断を怠ってきたという点です。ところが、冷戦後、独自の判断を迫られる場面が増えた。今こそ、政治家、官僚、国民が一体となって、日本独自の外交のありようを築く時を迎えているのではないでしょうか。

浜四津 一方で、国民の実感は別にして、日本は国際社会から「ソフト面での国際貢献に非常にまじめに取り組んでいる」という評価が徐々に高まっているのも事実です。きめの細かい復興支援にまで手が届くようになり、柔軟にNGOと政府の役割分担ができるようになりました。そのノウハウを発揮することが日本の国益にもつながります。

吉田 そうです。日本人の活動の特徴は“現地の人に寄り添う”ということです。そうした姿勢がある限り、現地の人々のニーズを発掘することができると思います。

遠山 議員になる前からNGOの人道支援に携わってきた一人として言えるのは、日本は欧米に比べて相対的には人材の層が薄い。しかし、この5年ほどで、人材が育ってきました。外務省の支援の受け皿として、16団体が加盟するジャパン・プラットフォームが誕生したのは画期的なことです。日本の人材がさらに活躍できる制度や社会づくりへ政治の後押しが求められています。

浜四津 現地で必死に汗を流してくださっているNGOの人たちの声に耳を傾け、その要望に真摯にこたえていくことが大事だと感じています。

吉田 政府とNGOの共同作業ですね。予算にしても、正直言ってまだ両者の信頼関係は弱いですね。質の良い人材が豊富に必要なのですが、NGOでは暮らしていけないからと入って来ない。予算を大々的に入れてみてはどうでしょう。

遠山 日本のODA(政府開発援助)予算の中でNGOが使えるのは約2%です。これに対し米国や欧州では、10%以上をNGOが使っている。日本の代表としてNGOにきめの細かい支援を任せ、そのための予算も確保すべきです。当然、NGOの側も、会計の透明性と活動内容の説明責任を確保しなければなりません。

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遠山清彦参議院議員

吉田 当然です。その試錬に耐えなければ、NGOの成長もないのですから。

浜四津 今、キャリアを積んだ中高年や優秀な青年たちの中にも、NGOで働きたいと希望する人たちが増えていますね。日本は今後、そういう人材群をどう大切にし、活かしていくかが国としての潜在力を高める上で、重要な視点になってくるのではないでしょうか。

吉田 そうですね。雇用と思えばいいのではないでしょうか。国際貢献が雇用を生む。NGOは多様な技術が必要とされるプロ集団です。その集団を日本として抱えていくことは、日本社会全体のレベルアップにもつながるはずです。

遠山 ところが、日本では長年、NGOの存在意義や活動内容が理解されてこなかった。NGOの活動には、プロフェッショナリズムが要求されないものと勘違いされてきた。しかし、紛争直後の人道支援などでは、素人感覚でやっていると命にかかわることもあるわけで、そうした人たちの身分や命の安全を保障すべきです。

日本人の精神に刻まれた平和
吉田 人材と力が日本にはあります。アフガニスタンの復興でも、日本は平和定着のためのDDR(武装解除・動員解除・社会復帰)で主導的役割を担っていますが、外交上、非常に大きな意味があることです。

浜四津 日本は、平和構築に非常に向いていると思います。日本人の基本的な精神構造の中に、「平和憲法をずっと守ってきた」「戦争をしてこなかった」ということが、染み込んでいると思うのです。民主主義、基本的人権の尊重、恒久平和主義の3原則がそろわない限り、市民は平和で安心した生活が実現できないということを知っています。

遠山 国際貢献の柱として、日本政府が平和構築を打ち出そうとする今、NGOとの連携がますます重要性を増していますね。

吉田 NGOの門戸を広げられる環境が整えば、NGOは、さらに多くの人材を吸収できるという感じがしています。

浜四津 そうすることによって、米国や他の国々とも違う日本らしい国際貢献の道を切り開くことができるのではないでしょうか。

吉田 期待しています。