米国議員交流団報告
党国際局次長、参院議員 遠山清彦

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米国防総省で東アジア担当官と基地問題などで意見交換する遠山氏(中央)

世界平和と安定へ独自の外交戦略必要
地位協定 米、運用改善で対処望む
 

私は、9月13日から5日間、米国首都ワシントンDCを米政府招へいの議員交流団の一員として訪問、米政府・議会関係者ならびに民間シンクタンク研究者などとさまざまな意見交換をした。交流プログラムを企画・準備してくれた東京アメリカンセンターおよびマンスフィールド財団の尽力もあり、ホワイトハウス・国務省・国防総省の東アジア担当者らとかなり率直に有意義な議論ができた。

 今回の訪問では、主に安全保障と日米関係をテーマに議論したが、とりわけ米軍再編と日米地位協定の問題について集中的に意見交換をすることができたので、その要点を本稿で報告したい。

 まず、米軍再編については、その主な対象が「陸軍」であることが繰り返し米側から説明された。すなわち、海外に駐留する米陸軍の規模と配置はおおむね冷戦期のままであり、今日の国際安全保障環境の変化を反映したものになっていない問題があり、それを是正するために今、本格的な協議がなされている。議論は期限を設けず行われており、最終的には最近ブッシュ大統領が演説で述べたように、数万人規模の米軍部隊が米本土に帰還する方向だ。もっとも大きな変化が予測されているのは、陸軍の占める割合が高いドイツと韓国である。

 この再編が在日米軍に与える影響について日本の議員団から質問が集中したが、これに対する米政府側の現時点での回答は、在日米軍に占める陸軍の割合が低いことを念頭に、「実際のところあまり大きくない」というものであった。しかし、在韓米軍の量的削減がほぼ確実な中で、その後方の日本の基地機能が強化される可能性は残っており、今後この点について推移を慎重に見守る必要がある。

 と同時に、米軍基地を抱える日本の立場から、情報発信を積極的に行う必要も強く感じた。日本の安全保障議論は受け身の傾向が強い。日米関係が日本の安全保障にとって最重要であることは間違いないが、だからといって日本が独自の外交戦略を持たなくて良いことにはならない。貿易立国でその国益の大前提として「世界の平和と安定」を重視しなければならない日本としては、その大目標から逆算して対米関係を考え、言うべきことは明確に言わなければならない。

 そのような意味で、日米地位協定問題をめぐっては、米側とかなり激しいやり取りを交わした。私は、先日の沖縄での米軍ヘリ墜落事故に関連し、日本で日米地位協定の改定を求める声が高まっていることを指摘し、米政府として本格的な交渉に入る意思があるか問いただした。

 ホワイトハウスのアジア政策担当官は、改定交渉に否定的な姿勢を示し、その理由として「条約である日米地位協定の改定案を審査・承認する米連邦議会(特に上院)においては、海外駐留の米兵の権限を最大限擁護する機運が強く、(米兵の権限をさらに制約する)改定案が承認される可能性が低い」点を指摘した。さらに、「改定交渉が契機となって、現在良好な日米関係に亀裂が生じる」可能性についても強い懸念を表明した。

両国間の問題 議員外交で解決の道筋も

 米政府が改定を望まず運用改善で対処したい姿勢を堅持している、その背景を具体的に理解することができたことは一定の前進だった。日本の外務省も同趣旨の答弁を国会で繰り返しているが、その背景についての説明は不十分であり、やはり議員外交の次元で直接交渉することの重要性を痛感した。

 しかし、改定へ向けた交渉は、本当にできないのだろうか。私は今回の一連の意見交換で、日米の議会の性質の違いを再認識した。米国連邦議員は与党であっても議員辞職をしない限り行政府の一員にはなれないため、時の政権からかなり独立性を保っている。だからこそ、ホワイトハウスも議会の動向に多大な配慮をしているのであり、日米地位協定問題もその文脈の中で語られている。

 しかし、そうであるならば、日米間の議会同士でこの問題についてもっと議論があってよいはずで、残念ながらその部分が今日まで欠落してきたのではないだろうか。

 今回の議員団は、超党派の若手中心だったが、かなり積極的に(時には喧嘩腰で)意見交換をした。興味深いのは米政府関係者の多くは、たとえ意見の中身で争っても、そのような姿勢を「歓迎」したことだ。日米関係には多くの難問が横たわっているが、議員外交の活性化で問題解決の道筋をつけることは可能であり、私も責任ある与党・公明党の一員としてさらに努力を重ねていきたいと決意している。
(公明新聞:2004年9月24日付)