○江崎委員長 次に、遠山清彦委員。

○遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。
 私も、早速、本改正案の質疑に入りたいと思います。
 この改正案によりまして、宮澤委員からもいろいろありましたとおり、外国法事務弁護士、必ずしも外国人だけじゃありませんけれども、日本人で外国で資格を取った方も含んでのことでございますが、いわゆる外弁とよく略される皆さんが社員となりまして、外国法に関する法律事務を行うことを目的とする法人を設立することが可能になります。
 まず私が伺いたいのは、この制度の創設によりまして、法務省としてはどの程度の外弁法人が実際につくられると見込んでいるかということをお聞きしたいと思っております。
 ちなみに、日本の弁護士、これは既に法人化が認められているわけですが、日本の弁護士の登録者数は現在三万五千百五人、実際に法人化されている団体は七百四十三団体にすぎません。ですから、三万五千百人の弁護士がいて、法人は七百四十三団体ということでございます。
 実は、法務省の資料によりますと、外国法事務弁護士の登録者数は三百七十六人しかいないわけでございます。そうしますと、三万五千の日本の弁護士で七百四十三の法人ですから、三百七十六人の外国法事務弁護士だと団体の数はそんなに多くないんじゃないかという印象を受けますけれども、どのような見解を持っているか、小川部長から伺いたいと思います。

○小川政府参考人 お答えいたします。
 この法律案に基づきます外国法事務弁護士法人の具体的な設立見込みの件数を求めることはなかなか困難ではございますが、今御指摘ございましたように、現時点で外国法事務弁護士の数が三百七十六名程度であることからいたしますと、今回の法改正によって創設される外国法事務弁護士法人の数にも、当然のことながら、おのずと限度があるものと思われます。
 他方で、これまで国内外から法人制度の創設に関する要望が継続してあったこと、それから、検討の過程において外弁の事務所などにヒアリングをした際にも一定の要望などがあったことからいたしますと、ある程度の利用数は見込まれるものと認識しているところでございます。

○遠山委員 そうですね。実際にどれぐらいの外弁法人ができるか、これは法改正をしてみて結果を待つしかないという面はあるかと思います。
 今回の法改正の必要性につきましては、今、司法法制部長から若干言及がありましたけれども、法律事務の国際化、専門化及び複雑多様化により的確に対応するためという説明を法務省さんはしております。確かに、グローバリゼーションも進みまして、日本政府も外国企業の日本への投資増加などを歓迎している観点から、欧米諸国関係団体などからも要望があったと認識をしております。
 私、大臣に伺いますけれども、今回の改正を、欧米の関係団体、例えば具体的に一つ申し上げますと、欧州ビジネス協会、これは在日のヨーロッパ諸国の商工会のような組織でございますが、EBCと略されておりますけれども、このEBCの昨年の報告書では、本改正案を原則歓迎しながらも、先ほども宮澤委員の質問にあったかと思いますが、外国弁護士と日本の弁護士の双方で構成される弁護士法人ではないという点について強く批判をしております。
 そこで、大臣にまず基本的なことを伺いますが、この法人の社員を外国法事務弁護士に限定した理由について、御説明をいただきたいと思います。

○谷垣国務大臣 今委員がおっしゃいましたように、EBC、欧州ビジネス協会等々からは、弁護士及び外国法事務弁護士がともに社員となる法人の制度、いわゆる共同法人とかB法人とか言っておりますけれども、それに対する強い御要望もあったことは事実でございます。
 ただ、それにつきましては、先ほど小川司法法制部長も御答弁申し上げたと思いますが、外国法事務弁護士が法人制度を利用して権限外の業務を行っていくということについて、それを容認するのじゃないかという懸念があるという御意見がありました。そういう弊害が生じないような立法のあり方というものもいろいろ我々は議論してきたんですが、現段階に至るまで、十分その懸念を払拭するというところまで至っていなかったというのは一つございます。
 それから、他方、外国法事務弁護士による法人の設立に関しては、アメリカやEU等の要望がございまして、それは、外国法事務弁護士だけが社員となる、そして外国法に関する法律事務を行うという、いわゆるA法人と申しますか、外弁法人と申しますか、そういう設立を可能とすることによってアメリカやEUの要望に応えることができるのではないか。だから、差し当たって、これを速やかに実現する必要があるというようなことで、今回の立法になりました。
 つまり、いわゆる共同法人というものをこれで全部なしよとかというようなことを必ずしも考えているわけではございませんで、外国法事務弁護士のみが社員となる法人の設立、それから、その利用状況あるいは活動状況を見た上でまた検討していく必要はあり得るのかな、このように考えております。

○遠山委員 いろいろ御丁寧に御答弁いただいて、ありがとうございます。
 それで、大臣が今おっしゃった一つ目の点ですね。つまり、外国法事務弁護士が法人をつくって、その法人を利用して、今大臣のお言葉だと権限外の事務を行うおそれがあるということで、これは言いかえれば、日本法にかかわる法律事務を取り扱うことをいわば違法に行う可能性が起こるという懸念を大臣がおっしゃったんだと思います。
 それで、ちょっとまた事務方に伺いたいんですが、確かに社員になれるのは外国法事務弁護士だけなんですが、この法人が日本の弁護士を雇うことはこの法律でもできるということになっております。この雇われた日本の弁護士は、当然、日本法を取り扱う有資格者でございますので、法人業務外で日本法にかかわる法律事務を取り扱うことは可能だと認識をしておりますけれども、この点は間違いないでしょうか。

○小川政府参考人 お答えいたします。
 日本の弁護士が、外弁法人の業務のほかに、個人で日本法に関する事件を受任することは可能でございます。

○遠山委員 そこで、また大臣にお伺いをいたしますが、外弁法人の社員になれるのは外国法事務弁護士だけですが、その法人に雇用された日本の弁護士がいて、その人が日本法にかかわる法律事務を法人業務外で取り扱うことができる。
 そうしますと、この法人はこの弁護士を雇っている雇用主でございますので、これはあってはならないことかもしれないけれども、理論的には、自分が雇った日本の弁護士が日本法の法律事務を行う、そして、自分はその弁護士を法人において雇用しているという関係をいわば利用、悪用とまで言っちゃいけないのかもしれませんが、利用して、事実上関与することが可能なのではないかという指摘も一部であるやに聞いておりますが、この点についての法務省の御見解を伺いたいと思います。

○谷垣国務大臣 外国法事務弁護士法人も、弁護士との関係で緊密な提携・協働関係をつくって、複雑多様化している法的需要にきちっと対応していく必要性がある、これは当然でございますが、それは自然人である外国法事務弁護士も同様であるということから、外国法事務弁護士法人についても日本の弁護士を雇用することができるという今までの経緯がございました。
 他方、今おっしゃった点ですが、外国法事務弁護士が、雇用している弁護士を通じて、権限外の事務といいますか、非弁活動ということにもなるのかもしれませんが、そういうことを取り扱うことを防止する必要があるではないかということから、外国法事務弁護士法人についても、雇用関係に基づく業務上の命令を禁止するなどの措置、五十条の十一といったような規定が生まれておりまして、弊害をストップさせる措置、弊害を生じないようにさせる措置というのができている、こういうことでございます。

○遠山委員 そうすると、大臣が今おっしゃったように、法律の条文では日本の弁護士を雇用できるけれども、その人が法人の業務外で行う日本法を取り扱う業務について法人が不当に関与しないように罰則つきで法整備がされています、こういうふうに理解をしているわけでございますが、そこで、大臣、もう一点伺いたいと思います。
 先ほども私、申し上げましたけれども、基本的にあってはならないことでございますが、仮に、この法改正によって可能となった法人が、法律で禁じられている業務を実際行っているかどうかのチェックをする体制はどうなっているのか。これは、私も法律を読みまして、一義的には、弁護士会、また日本弁護士連合会、日弁連に監督責任があるというふうに理解しております。
 ところが、この日弁連と外弁法人との関係において、例えばですけれども、ちょっと疑わしい業務を、権限外のことを法人がやっているんじゃないかといったときに、情報を開示せよと弁護士会あるいは日弁連が言ったときに、クライアントとの守秘義務の関係で全ての情報を開示できませんと弁護士会に断りを入れてきたりした場合、どこまで日弁連あるいは所属の弁護士会が調査できるのか、つまりチェックをしっかりできるのかどうか。これがしっかりしていないと実際の摘発にはつながらないと思いますので、その点について大臣の御見解をいただきたいと思います。

○谷垣国務大臣 これはなかなか難しいところもある問題でございますが、今おっしゃった秘密保持義務というか守秘義務は、これは、弁護士の仕事というのが、依頼者が法律事件について秘密に関する事項を打ち明けて法律事務を委任するという、その職務の特質がありますから、弁護士にとっては基本的な職業倫理であるというふうに考えられてきた。
 その事情は、外国法事務弁護士でも、その職業、プロフェッションを確立するためには当然必要なことだとして、外弁法の五十条一項において弁護士法第二十三条を準用してそういった倫理を法の上でもフォローしているわけですね。
 そこで、確かに、今おっしゃったような、日弁連が監督するとしても、いや、職業上の秘密である、だめだということになれば、そこから先はなかなか行きにくいということも事実でございます。ただ、これは日本の国内弁護士についても同様の仕組みでなっておりまして、日弁連が監督していくということになっても、やはり職業上の守秘義務があるということは前提になっている。
 ですから、そういう意味では、国内弁護士それから外国法事務弁護士は同様の規律のもとにあるということになっておりまして、日弁連の懲戒手続の中でそこは適切な対応、御判断をなさるのではないか、こう思っております。

○遠山委員 わかりました。
 大臣、冒頭申し上げたように、実際どれぐらいの数の外弁法人ができるかというのはまだちょっとわからないところがありますし、せっかく法改正しますのでゼロでは困ると思いますけれども、最初の数はそんなに多くないんじゃないかと私は推測しております。そういう意味でいうと、そこの最初に出てくる外弁法人の活動がスムーズに滑り出すことでこういった問題も、おっしゃったように、日本の弁護士も一緒ですよと言われればそのとおりなわけでございまして、しっかりとその辺のコンプライアンスの確保については法務省も目を光らせながら、また日弁連の自律性のもとでしっかりとやっていただきたいというふうに思います。
 それから、再び事務方に御答弁を求めたいと思いますけれども、本改正案では、外国法事務弁護士法人は複数の事務所を設けることができるとされております。ただし、条件がついておりまして、全ての事務所に社員が常駐をしなければならないとされております。
 その理由について丁寧に御説明をいただきたいと思いますけれども、これは弁護士法の規定を準用しているからと理解をしているんですが、ただ、弁護士法人の場合は、社員が常駐しない従たる事務所を設ける特例措置というものが認められております。しかし、外国法事務弁護士法人は、複数の事務所を設けてもいいですよといいながら、全ての事務所に社員が常駐しなさい、こういう規定しかなくて、特例はないと理解をしております。もし私の認識が間違っていれば正していただいても構いませんが、いずれにしても、なぜ全ての事務所に社員が常駐しなければならないのか、御説明いただきたいと思います。

○小川政府参考人 お答えいたします。
 今回の改正法案では、御指摘いただきましたように、いわゆる複数事務所の設置を外弁法人に認めますとともに、従たる事務所についてのいわゆる常駐義務というものを定めてございます。
 これは弁護士法人でも基本的には同様でございまして、外弁法人の事務所がいわば非弁行為の温床となることを防止し、つまり、弁護士はいないで、ほかの事務員と称するような人などが法律事務をとるといういわゆる非弁行為の温床となることを防止し、あわせて弁護士会による指導監督の実効性を確保する必要があるということから、その事務所に当該事務所の所在地の弁護士会の会員である社員を常駐させなければならないこととしたものでございます。
 他方で、弁護士法人の従たる事務所においては、委員から御指摘がございましたように、特例措置、すなわち、例外的に非常駐許可の規定が設けられております。
 これは、いわゆる弁護士過疎地域における法律事務の需要に対応するといった公益活動の基盤となることも期待されておりまして、常駐はしていなくても、一定期間中に何回か来るということによってもそのニーズに対応するということを踏まえたものでございまして、そういった公益活動の基盤となることも期待する、こういったことが理由でございます。
 しかしながら、外弁法人についてはそのような、これは条文で申しますと弁護士法三十条の十七のただし書きに当たりますが、そのただし書きに相当する部分は準用してございません。この趣旨は、外国法に関する法律事務のみを取扱業務といたします外弁法人につきましては、少なくとも現時点におきましてはこのような例外的な措置を講ずる必要性が認められないということによるものでございまして、以上の理由から、非常駐許可の規定を設けないこととしたものでございます。

○遠山委員 よくわかりました。
 要は、専門家でない私の言葉で申し上げれば、日本の弁護士法人も外国法の弁護士法人の場合も、原則的には、非弁行為が行われないように全ての事務所に社員を常駐させなければいけない、有資格者がいなきゃいけない。しかし、日本の弁護士の場合は、過疎地域、弁護士がほとんどいないゼロワンとか呼ばれている地域でも法律サービスを提供するために、やむない場合は特例として弁護士のいない事務所を設けることを認めている。この外国法事務弁護士法人の場合はそういうニーズがないだろうということで、ないというふうに理解をいたします。
 まあ理論上は、弁護士過疎地域でも、もしかしたら、ニューヨーク州法に基づく相談がないとは一〇〇%言い切れませんが、それはそのときで考えればいいということで、最後の質問に行きたいと思います。
 大臣に伺います。
 これは私がきょう質問する中では一番答えづらいお話なのかもしれませんが、要するに、外国法事務弁護士法人だけに限らず、日本の弁護士法人もそうなんですが、社員の責任が無限であるという問題についてでございます。
 無限であるということは、もしいろいろなトラブル、債務の関係が生じて、法人の財産で債務を完済できないときには、原則として法人の全社員が無限連帯責任を負うという形になっております。
 先ほど私が言及いたしました欧州ビジネス協会の報告書では、有限責任制度の導入をぜひしてもらいたいということを言っております。私の限られた知識の理解では、外国においては、一定規模の弁護士法人は有限責任事業組合、英語でリミテッド・ライアビリティー・パートナーシップ、LLPと呼ばれる方式になっていますので、社員の責任というのは有限化されているわけです。
 先ほど申し上げましたように、これは日本の弁護士法人も無限責任になっておりまして、ですから、欧州ビジネス協会の報告書は、日本の弁護士法人も外国法事務弁護士法人も、両方とも有限責任制度を導入すべきではないかと言っているわけでございますが、今回の法改正でも導入されておりません。その理由についてお聞きしたいと思います。

○谷垣国務大臣 委員おっしゃるように、今の日本の弁護士、現行の弁護士法人の社員、これは無限責任を負う、それで外弁法人にも同様な規律を及ぼしていこう、こういうことなんですが、その背景にある考え方は、いわゆる外弁法人も弁護士法人と同じように、基本的には、構成員たる社員個人の人的信用を基礎とする、そういう法人である、だから、社員に無限責任を負わせることによって依頼者その他の債権者の保護を図るべきものだという考え方が背景にあるわけでございます。
 そういう観点からしますと、確かに有限責任法人というものは外国にあるようでございますが、債権者をどう保護していくかという観点からは相当な詰めが必要な議論だということになると思います。
 それで、それでと言ってはなんですが、弁護士法人の中に指定社員制度というものが設けられておりまして、外弁法人についてもその制度を利用したらどうかということになるわけでありますが、要するに、特定の事件を担当する社員を指定する、この事件に関してはこの人が担当であるという社員を指定することによって、この事件について全く業務に関与しない社員は無限責任を負わない、そういうことが可能である、そういう仕組みは用意されているところでございます。

○遠山委員 よくわかりました。
 無限責任を全社員に及ぼしたくない法人の中で、特定の事件というか事務について特定の社員を充てることで責任を事実上限定化することができるという制度で、それを今回の法改正で容認される外国法事務弁護士法人も使えるということを確認させていただいて、ちょっと早いですけれども、私の質疑を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。