○江崎委員長 次に、遠山清彦委員。

○遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。
 きょうは、委員長は朝八時五十分の理事会からでございますし、大臣、副大臣、政務官も、朝から大変長い間御苦労さまでございます。
 簡潔に、最後の質疑者として質問させていただきます。
 まず、きょうの議題の少年法の一部改正につきましては、私、公明党の法務部会長をさせていただいておりますが、我が党として、この改正案に賛成の決定をいたしておることをまず表明いたします。
 この少年法の質問に入る前に、一点、矯正局長に御答弁いただきたいと思っております。
 過日、公明党法務部会の視察で神奈川医療少年院を訪問させていただきました。この施設では、知的障害を持っていたり情緒的に問題がありまして社会適応が難しい少年につきまして、専門的な治療処遇を実施しております。その実情を学びまして、大変勉強になりました。
 正直申し上げて、非行、犯罪に走ってしまった少年たちではありますけれども、私どもが施設で見た少年たちは大変明るい顔をしておりまして、処遇している方にいろいろ聞いたら、やはり社会にいるときに相当ないじめに遭ってしまっている、障害を持っていたりしまして。その結果として、犯罪を犯して非行に走り、施設に来たわけですけれども、逆に施設の中で非常に、ちょっと語弊はありますけれども、幸せそうな生活をしている様子を見て、いろいろ思うところがございました。
 ただ、これは、今後少年院法の改正案等が出されたときの審議でまた詳しくお話をしたいと思います。
 この医療少年院の施設がひどく老朽化しておりまして、特に体育館のひどさは目に余るものがございました。これにつきましては、私とともに視察をした佐々木さやか参議院議員が既に参議院の法務委員会の方で要望しておりますけれども、私からも重ねて早期の修繕を要望いたしまして、できれば来年度中にも、もう来月からですけれども、予算の関係はあろうかと思いますけれども、修繕に向けた着手をしていただきたいと思いますけれども、局長の答弁をいただきたいと思います。

○西田政府参考人 お答えいたします。
 神奈川医療少年院は、おっしゃるとおり、昭和五十四年に建築されまして、建築後三十五年を経過する老朽施設でございます。したがいまして、経年に伴う劣化が随所にあらわれておりまして、先般御視察いただいた際にも、佐々木議員の方からも、体育館の雨漏りがひどいという御指摘を受けております。
 そんなことがございまして、現在、工事実施に向けて諸準備を進めておりまして、来年度、速やかに工事に着手したいというふうに考えております。
 以上でございます。

○遠山委員 大変明快な御答弁をありがとうございます。来年度中に工事に着手するということでございますので、佐々木とともに感謝を申し上げたいと思います。
 さて、本日議題の少年法改正案でございますけれども、もう既に論点について大分重なるところもございますが、党を代表しての質問ですので御容赦をいただきまして、まず刑事局長に数字を伺いたいと思います。
 これから、この改正が成立いたしますと、国選付添人がいる少年事件の数がふえるわけでございます。これは平成二十四年の数字で結構でございますが、年間、国選付添人がいる審判の数は現状幾つで、また、先ほど来いろいろな委員から話題になっております検察官関与の事件数は現在何件なのか、確認をしたいと思います。
 そして、あわせて、今回の改正案が成立した場合に、それぞれの数字がどれぐらいになると見込んでおられるのか、御答弁をいただきたいと思います。

○林政府参考人 今回の改正によりまして、例えばどの程度国選付添人の選任件数がふえていくか、その基礎となる数字でございますが、もとより、個別の具体的な事件における裁判所の判断いかんによるものでございますので、確たる数字を申し上げることは困難でございますけれども、まず、平成二十四年における現行法における国選付添人制度の対象事件というものは約六百件でございます。同じ平成二十四年で見まして、同年における今般の改正によって拡大する後の国選付添人制度の対象事件というものは、この六百件が約八千四百件ということになります。
 なお、これは過去の数字でございますが、平成二十年から平成二十四年までの過去五年間、国選付添人というのは対象事件に必ず全部つくわけではございませんので、その選任率などを見ますと、これまでの統計では約六〇%ぐらいでございます。単純にこれらの数字を計算しますと、国選付添人制度の対象事件の範囲を拡大することによって四千から五千件ほどの選任件数が増加する、これはあくまでも計算上の数字でございます。
 他方で、検察官関与についてでございますが、これもまた裁判所の個別判断でございますので確たることは申し上げられませんが、その上で、これまでの現行法の運用の検察官関与の事件というのは、経年で見ますと、少ない年で九件、また多い年で二十六件、こういったような数字でございます。しかも、年ごとの件数もまちまちでございますので、一概に今後どのような推移になっていくかということは申し上げることは困難でございますが、いずれにしても、これまでの運用自体が、真に検察官関与が必要な事件に限って検察官関与決定がなされているということを踏まえますと、法改正によって検察官関与事件の数が大幅に増加するということはないものと思われます。

○遠山委員 今、数字の御説明がありました。もちろん、予断を持って数字を当局が言うというのはなかなか難しい面があると思いますが、局長、また大臣に一問した後にお伺いしますけれども、結局、予算の要求をするためにはある程度の数字を見込まないとできないので、あえて聞いてみたわけでございます。
 今お話ありましたとおり、この国選付添人がいる審判事件というのは、現行法のもとでは現在六百件、これが法務省の見立てでは八千四百件になるわけですから、これは十四倍にふえるということになります。そうしますと、私も弁護士出身ではありませんし、この分野は素人でございますが、今まで六百件だった審判の数が八千四百件に十四倍もふえるとなると、いろいろな別の疑問が出てくるわけです。
 まず、件数が純粋に大幅にふえますので、弁護士の手当てがきちんとできるんだろうか、こういう疑問が一つございます。それからもう一つ。いろいろ資料を読んでおりますと、一部では、審判の数が大幅にふえるので、付添人として弁護士はつくんだけれども、中には、経験不足だったり得意分野が違ったりして、少年審判の特質を理解していない弁護士さんがつくことで、少年の更生促進につながらないケースがふえてしまうのではないか、こういう懸念があるやに感じております。
 きょうの参考人質疑の中でも、参考人の方から、少年審判の特質を理解していない弁護士が実際いた、あるいはいる、こういう話もあったわけでございまして、これらの、大幅にふえることによって付添人の質が低下する可能性があるのではないかというような意見に対して、大臣として御見解をいただければと思います。

○谷垣国務大臣 弁護士である付添人は、少年の正当な利益をきちっと守って、少年審判が適正な審判を行い、それから適正な処遇決定のために尽力してもらわなければいけないわけです。そして、そういう中で、少年がきちっと更生をしていく手だても講じていくことが期待されているわけですから、今、遠山議員がおっしゃるように、少年事件の特質、当然そういうものを十分理解した者でなければいけないということだろうと思います。
 ただ、急に相当、量が拡大することが予想されるわけですので、その準備はやはりきちっとしておかなければいけないということではないかと思います。
 そこで、日本弁護士連合会なんかのお話を伺いますと、相当、日本弁護士連合会もこれに向けた研究会であるとか研修をやっていただいております。また、各単位会においても同じような活動が行われておりまして、こういう取り組みを通じて付添人の適性を確保していくということをやはりきちっとやっていかなければいけないということではないかと思います。
 今、当然、司法試験の合格者がふえたりしている中で、職域の拡大ということも言われております。だから、職域の拡大ということも当然意識し、こういうこともそれに当たるんだと思いますが、それには、それに対応する資質、適性というものを磨く努力をしていただかなきゃいかぬ、こういうことではないかと思います。

○遠山委員 大臣、ありがとうございます。私も同感でございます。
 その上で、先ほどちょっと予告しましたが、刑事局長に、国選付添人がつく審判がふえることに伴う予算の増額というのはどの程度であるのか、また、その確保については手当てをしっかりされているのか、お聞きしたいと思います。

○小川政府参考人 お答えいたします。
 平成二十五年度予算の国選付添事業経費は約五千六百万円、平成二十六年度予算の同じく国選付添事業経費は約五億六千九百万円でございまして、改正少年法が成立、施行された場合に平成二十五年度と比べて増加する国選付添人の対象事件数の見込みなどを踏まえまして、約五億一千三百万円を増額した予算を計上しているところでございます。

○遠山委員 済みません、ちょっと答弁者を私、間違えまして。
 今御答弁が明確にありましたように、今年度、平成二十五年度五千六百万円の予算で、非常に件数が少なかった、少ない六百件だったという数で五千六百万円が、来年度は五億六千万円台に、十倍以上の予算を確保しているという御答弁でございました。これはまさに、先ほど大臣がおっしゃった職域の拡大にも明確につながっているわけでございます。
 そこで、ちょっと角度を変えて質問させていただきたいんですが、これだけの国費、予算をつけて国選付添人を選任していくことになるわけでございますが、一部で、資力要件がないことについてどう考えるか、御指摘があると思います。きょうの委員会でも既に出ていたかと思いますが、つまり、少年自身は少年ですからともかくとして、その保護者の資産が十分にある場合でも国選付添人が選任をされて、今申し上げた五億数千万の予算の中からお金がつけられるということになります。
 この保護者の資力要件を設けない理由については、やはり国民の理解をしっかり法務省として求めていかなければいけないと思いますが、大臣の御説明を改めて伺いたいと思います。

○谷垣国務大臣 確かに、国選付添人、これを広げていくと、当然その予算というものをお願いしなきゃいかぬということになります。
 まず、こういう裁判所の裁量による国選付添人を広げていくというのは、一つには、今までは国選付添人の対象とされていない事件の中にも、より適正な事実認定をしていく必要があって、それには国選付添人が関与することが妥当であるというような分野があるわけですね。それと同時に、付添人が少年審判の段階から環境調整を行うことによって少年の更生あるいは再犯防止に資するということから、今回こういう措置をとるわけですが、おっしゃるように、資力要件というのは設けていないわけです。
 それはなぜかといいますと、その前に、私選で付添人をつければ、もちろん、それはそれで結構なことなんですが、要するに、裁判所がこの事件ではやはり付添人をつけることが必要であるなと判断した場合に、資力要件をつけて、本人が私選をつけない、当事者ないしその保護者が私選付添人はつけないということになりますと、結局、弁護士の付添人なしに少年審判を行わなければならない。そうなると、今回拡大していった目的と相反する、そごが出てしまうということがございます。
 ただ、そこをやたらに、では付添人、付添人ということになれば、国費の無駄遣いじゃないかという批判も出てくる。
 そこで、家庭裁判所においては、国選付添人の選任の要否、これはいろいろなことをお考えになると思うんですが、やはり本人ないし保護者の資力の有無ということも一つの判断理由にされることもできる。
 それから、もう一つは、法律に、国選付添人が付された場合でも、少年または扶養義務者が資力を有していれば、家庭裁判所は事後的に費用を徴収することができるという規定もございますので、このあたりの規定を適切に使っていただくことも大事かなと思ったりしております。

○遠山委員 そうすると、家庭裁判所の判断の要素としては、保護者の資力というのは残っている、それをどう運用するかというのは、それぞれの事案ごとに、裁判所ごとにということで理解をさせていただきます。
 次に、これもけさからずっと議論になっているんですが、少年審判に関与する検察官の役割についてでございます。
 これは、当然、先ほど来出ておりますとおり、検察官として関与する数は少ないとは思いますけれども、実際に母数が八千四百になったときに、先ほど刑事局長はそんなにふえないという趣旨の答弁をされておりましたけれども、普通に考えれば、やはりちょっとはふえるのかなという気もいたします。
 その際に、やはり、一般の刑事訴訟における訴追官としての役割と少年審判に関与する検察官の役割というのは根本的に違うんだろうと思いまして、その辺についての違いというか、検察官を関与させる、させないの判断基準にも影響してくると思いますので、大臣のお考えを簡潔に伺えればと思います。

○谷垣国務大臣 これもきょういろいろ御議論になったところでございますが、少年法は、保護主義といいますか、職権主義的な審問構造、つまり、裁判官が懇切を旨として、和やかに行うというように定められているわけですね。
 そういう中で、検察官は、そこに関与する場合であっても、通常の刑事訴訟における原告官であったり訴追官であるという役割とは違いまして、あくまで、家庭裁判所の手続主宰権のもとで、それに協力して少年審判の目的を果たしていくという役割を持っている。ですから、当事者が対立構造の中で果たす役割とはおのずから違う。
 それから、もう一つ申し上げておかなければならないことは、あくまで、検察官が関与いたしますのは、事実認定について関与していくわけでございまして、少年としての今後の処遇をどうしていくかというような問題については、これは検察官は関与しないという仕組みになっております。
 これで当事者が対立するような手続になってしまうのではないかという御懸念もありますが、それに対しては、今のような手だて、手だてといいますか構造上、十分これを理解して運用していかなければいけないということではないかと思います。

○遠山委員 ぜひ、今の大臣の考え方を検察に徹底していただきまして、非行事実を争うケースで少年が過度に不利な立場に追い込まれることがないようにしていただきたいと思います。
 次に、虞犯少年は、今回、国選付添人の対象事件としておりませんけれども、その理由は何なのか、刑事局長から。

○林政府参考人 国選付添人制度の対象事件の範囲の拡大となりますと、当然、国費でもって賄われるわけでございますので、その必要性を慎重に吟味しなくてはいけないところでございます。
 虞犯事件につきましては、犯罪に結びつくような問題行動があって要保護性は高い、しかしながら犯罪に至らないような少年でございますけれども、そういった少年に係る事件については、それ自体は、罪を犯した少年と比較しますと、社会的に見て、比較上は重要な事件であるとまでは言えないという点。
 もう一つは、虞犯少年は、家裁係属前の手続におきましては身柄を拘束されることはないわけでございます。そうしますと、今回の改正の趣旨の一つでございます、付添人に、被疑者国選弁護の段階等、継続的な活動を保障できないことから生じる不都合というものを今回の改正で解消するという趣旨がございましたが、そういった点にもこの虞犯事件については直ちには当てはまらない。
 こんな理由から、今回、その対象事件の範囲とはされていないところでございます。

○遠山委員 よくわかりました。
 最後の御質問でございます。
 先ほど来、これも出ているわけですけれども、刑期が延びる問題につきまして、刑期が延びるということは、単純にその少年の社会復帰がおくれるという懸念の声もございますし、また、日弁連の資料等を読んでおりますと、やはり少年の凶悪犯罪というのは近年減少しているわけだから、今、刑を引き上げる必要性は乏しいのではないかというようなお話があります。
 私ども党内の議論では、そういった意見にも配慮しながら、今回の改正案を部会として、また党全体として賛成を決めたわけでございますが、きょうの参考人質疑を伺いながら、やはり一方で、刑期を上げるということに対しての深刻な疑念等を持たれている方は意外と多いなという実感も私は持ったところでございまして、改めて大臣の御答弁を伺いまして、私の質疑を終わりたいと思います。

○谷垣国務大臣 いろいろな御批判もあるわけですが、特に少年犯罪の動向が減ってきたとか、あるいは、こういう傾向があるからということで今回の改正を考えているというわけではございません。
 むしろ、先ほど来何度か御答弁を申しておりますように、例えば無期刑と五年以上十年以下の有期刑というのでは、無期も選択できるんだけれども、有期刑は五年以上十年以下だというのでは、その間にちょっとすき間があり過ぎて、裁判官とすれば、適切な判断を示していくのに非常に苦労する場合があるという御指摘。
 それから、これも何度も申し上げておりますが、共犯なんですが、一番主導した者はまだ少年である、年はちょっと違うけれども従たる成年、そういう場合に、また著しく量刑がアンバランスに、量刑といいますか結果がアンバランスになってしまうということの指摘がございまして、そういったものに対応していこう、裁判所の選択範囲を広げていこうというのが今回の主たる狙いでございます。
 それで、もちろん、少年に対する刑罰につきましても、罪刑の均衡というものは私は必要なことだと思います。犯した罪に対して著しく軽い刑を科すということは、やはり少年の特別擁護といいますか、そういう観点から見ましても、あるいは社会復帰、健全育成という観点からしても、対応した処遇が必要ではないかというふうに私は思います。
 もちろん、それに加えて、少年に適切なプログラムというものを少年刑務所の中でも、あるいは、二十六歳になったら一般の刑務所に移りますがそういう中でも、適切な処遇をきちっと用意してやっていくということが大事ではないかと考えております。

○遠山委員 終わります。