○遠山清彦君 公明党の遠山清彦です。
私は、公明党を代表し、鳩山総理の訪米報告に対し、質問させていただきます。(拍手)

質問に入る前に一言申し上げます。

今、鳩山内閣の支持率は急落しておりますが、その背景には、民主党政権は内政のみならず外交においても失政を重ね、国益を損ねていると多くの国民が痛感をしていることが、間違いなくございます。

グローバリゼーションが進む今日、経済産業分野では日本の国際競争力が問われ、安全保障分野では国際テロリズムへの対処能力が問われ、環境や核廃絶の分野で日本のリーダーシップが問われている中で、鳩山政権の外交ビジョンの欠如と場当たり主義的な戦略性のない対応に、多くの国民が、今、大きな失望と不安を感じております。

総理がこのたび訪問された日本の最重要パートナーである米国でも同様です。総理の訪米に関し、米国有力紙コラムが総理のことを最大の敗北者、哀れでますますいかれていると酷評したことに関しては、その非礼に対し、私も怒りを禁じ得ません。あの記事を読んだときは、率直に、本当に悔しいと思いました。

しかし、小泉内閣時代に外務大臣政務官をさせていただいた私としても、なぜここまで日本の首脳外交が米国メディアに軽く見られるようになったのか、その原因も考えざるを得ませんでした。そして、やはり、その第一の原因は、普天間問題に象徴されるように、また昨日の党首討論に如実にあらわれているとおり、鳩山総理、あなた自身の一貫して混乱した言動にあると言わざるを得ないわけでございます。

第二次世界大戦直後に英国アトリー内閣で外務大臣を務め、国民の尊敬を集めたアーネスト・ベヴィンは、外交政策とは、良識、コモンセンスや人間性の上に成り立っていると語っております。幕末維新期に日本で活躍した英国外交官アーネスト・サトウも、外交とは知性と機転の応用という言葉を残しております。

鳩山総理におかれましては、これらの言葉を深く胸に刻まれ、国際外交舞台で動かれる際には、ぜひとも国際社会のリーダーたるべき日本の内閣総理大臣にふさわしい良識と人間性と知性と機転を持っていただきたい。今さらのお願いでございますが、切にお願いを申し上げる次第でございます。

それでは、質問に入ります。

今回米国で開催された核セキュリティーサミットは、核兵器や核物質を使った国際テロリズムという重大な現実の脅威について、世界四十七カ国の首脳が初めて協議し、共同声明を出したという意味においては、まことに画期的でございました。しかし、その真価が問われるのは、これからの各国の具体的な取り組みであります。

我が国に求められる取り組みは、国内における核物質の防護及び管理徹底は当然として、不透明な核開発を進めている国々や、これからエネルギー供給源としての原子力利用を始めようとしている国々への適切な働きかけや支援であると考えます。

この点で、まず伺いたいのは、核開発疑惑の絶えないイランや、既に二回の核実験を実施している北朝鮮への対応です。

両国は、これまでに核のやみ市場にも関与した疑いがあり、核セキュリティーを担保する上で看過できないことは明白です。サミットの成果も踏まえ、日本政府として、両国政府にどのような働きかけを行う意向なのか、総理の見解を具体的に示されたい。

また、サミット参加国の中には、核兵器を保有しているとされるイスラエル、インド、パキスタンが含まれておりますが、これらの国々の核問題は、サミットでは不問に付されました。核セキュリティーの観点から、これも看過できない問題であります。

特にパキスタンは、国際テロ組織アルカイダや、隣国アフガニスタンで米軍と交戦しているタリバンの活動拠点の存在が強く疑われており、核が奪取されるリスクが他の地域より格段に高いとの指摘もございます。

来月には、五年に一度のNPT再検討会議の開催も予定されており、核不拡散、核軍縮を推進してきた日本として、今は、まさにこれらの国々の核問題を取り上げる好機と考えます。NPT再検討会議を視野に、政府としてどのような対処をされるのか、総理の答弁を求めます。

また、現在、原子力発電所の新規導入を検討している国の数は約六十と言われておりますが、そこには多くのアジア諸国も含まれております。原子力エネルギーの平和利用については、今回のサミットの共同声明も容認しておりますが、私は、あえて二つの懸念を表明しておきたいと思います。

一つは、原発利用国が飛躍的にふえることで、世界のプルトニウム及び高濃縮ウランの総量も増大し、結果として核セキュリティーを阻害することになるのではないかという懸念であります。

既に、今日、世界には核爆弾に換算して二十三万発余りに相当するプルトニウム、高濃縮ウランが存在します。これは、既に兵器化されている核爆弾約二万発の実に十倍の総量であります。この総量を規制せず、さらにふやした場合、安全保障上のリスクが相対的に高まることは避けられません。

もちろん、発電源としての原子力が即軍事的脅威を意味するわけではありません。しかし、原子力の平和利用の国際的な普及拡大と核セキュリティーの確保という、二つの政策目標の間に一定の矛盾が内包されているという認識を持っておくことは重要だと考えますが、この点についての総理の考え方をお聞きしたいと思います。

二つ目の懸念は、これから原発を導入しようという国が政治的に不安定な場合、核管理が脆弱になり、テロリスト等への核流出の危険性が増すという問題です。

この点、日本はアジア地域でかぎを握っていると言っても過言ではありません。既に、前政権時代の平成十八年十一月、日本はアジア諸国を対象とした核セキュリティー強化のための国際会議を開催しており、その第二回目の会合も本年一月に開かれております。これらの実績を踏まえ、総理もサミットの席上、アジアの核セキュリティー強化のための総合支援センターの設置を提唱されておりますが、その予算規模や活動期間、育成される人材の数などは必ずしも明らかにされておりません。この場で、これらの点について明快にお答えいただきたいと思います。

次に、鳩山総理がサミットで提唱された、もう一つの具体的取り組みである核鑑識技術の開発について伺います。

核鑑識とは、盗まれたり、不正取引された核物質の同位体の比率等の物理的データをいわば指紋として活用し、その流出元を特定するという極めて高度な技術であると理解しております。
ただし、この技術が実用化される前提として、各国に存在する核物質のデータベースを構築し、照合することが不可欠であります。この点、各国が保有する核兵器や核物質のデータを本当に日本が入手できるのか否かが成否を決めるわけであり、この見通しについて、総理の見解を伺いたいと思います。

サミット関連で最後の質問ですが、核セキュリティー確保の上で、それと表裏一体をなす政策は、やはり核軍縮であり、核廃絶と考えます。

今、核兵器超大国であるアメリカ合衆国大統領が核のない世界を主張し、ノーベル平和賞を受賞する時代となりました。冷戦時代では想像もできない変化であります。公明党も、結党以来、一貫して悪魔の兵器とも呼べる核兵器の廃絶を訴えてまいりました。

次回、二〇一二年の核セキュリティーサミットの開催国は韓国に決まりましたが、私は、核兵器廃絶を主題としたサミットを被爆国である日本が提唱し、広島及び長崎で開催するようなドラスチックな外交イニシアチブをとる段階に来ているのではないかと感じてなりません。ぜひこの会議を開催すべきと考えますが、総理の御決意を伺います。

さて、鳩山総理は、米国滞在中に、オバマ大統領と十分間の非公式会談を持たれたと伺っております。通訳を入れて十分間ですから、正味約五分間の会談であったと推察します。

そのたった五分間の中身は、外務省の説明では、総理から、普天間基地移設問題に関しての大統領への協力要請、オバマ大統領から、イランの核問題に関する提案があったとのことです。しかし、遺憾なことに、総理の発言に対してオバマ大統領がどのような反応をしたのか、政府より全く説明がなされておりません。総理の先ほどの御報告の中では、普天間問題について意見交換したとなっておりましたが、本当に双方向の会話をされたのでしょうか。

改めて総理に伺いますが、オバマ大統領は総理の協力要請に対し同意なされたのか否か、それとも総理の発言は実は無視されて終わってしまったのか、ここで明快な答弁をいただきたいと思います。

今、沖縄県民を初め日本国民の大多数、そして米国政府も、普天間問題についての総理の発言を全く信用することができなくなっております。本当に五月末までに決着をする、結論を出す覚悟がおありなのですか。平野官房長官の御説明される決着と総理の御説明される決着と意味が違うと感じているのは、もはや私一人ではないと思います。総理のおっしゃる決着とは、五月末までに、日米両政府、沖縄県及び移設先となる地域の地元住民の合意を得て、普天間基地の具体的な移設先を決定することである、そういうことを意味するのか、イエスかノーかで簡潔明瞭にお答えください。

昨年の総選挙前に最低でも県外と約束して政権についた鳩山総理に対する沖縄県民の期待が日増しに強まっていくのを、私は、沖縄の地で肌身で感じてまいりました。

ところが、鳩山内閣の関係閣僚の言動は、県民の期待を裏切るものばかり。特に、鳩山総理、あなた自身の発言がどれだけ多くの県民を落胆させ悲憤慷慨させてきたか、想像したことがおありでしょうか。先日も、総理御自身の北海道の支援者の前で、普天間なんて、皆さん、知らなかったでしょうなどと無節操なことをおっしゃっていることからすれば、きっと県民の苦しみを想像したことなどないと思います。このどこが友愛政治、友愛外交なのですか。

もはや、鳩山内閣は、総理御自身の言動により看板倒れ内閣、裏切り内閣になりかかっていると言わざるを得ません。

もう一つ、鳩山総理は、三月三十一日の党首討論で、基地問題について、とことん議論を地元の皆様とも行ってまいりたいとか、車座の対話集会のようなものをやりたい、こういう意向を大きな声で語られました。しかし、鳩山総理は、総理就任後、一度も沖縄に来ておられません。一体いつ来られるのでしょうか。

私から、沖縄県民に成りかわって御提案申し上げたい。

総理も御承知のとおり、きょうから三日後、四月二十五日、沖縄県読谷村で普天間移設に関する県内移設反対の県民集会が開催されます。私も参加する予定でございますが、ぜひ鳩山総理にも御参加をいただきたいと思います。

この集会には、数万人規模の沖縄県民が集うと言われております。御多忙な総理にとって、より多くの県民の声を直接聞くまたとないチャンスであります。お望みなら、車座の対話集会だってそこで幾らでもできます。勇気を持って御参加いただけるかどうか、イエスかノーではっきりとお答えください。これは仮定の質問ではありません。予定されている会合への参加を求めておりますので、明快な答弁を国民の前で、沖縄県民の前でおっしゃっていただきたいと思います。

鳩山総理御自身が覚悟や命がけという言葉を多用されているから、十分御自覚されておられると思いますが、もはや、普天間基地問題は単なるシングルイシューではありません。総理の総理としての命運が尽きるか否か、それがかかっているキーイシューになっている。ぜひ、総理におかれましては職を賭してこの問題に当たっていただきたいということを申し上げ、私の代表質問を終わらせていただきます。(拍手)

〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇〕

○内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 遠山議員にお答えをいたします。

まず、イランや北朝鮮の核開発問題への対応についての御質問でございます。

まずは、北朝鮮については、六者会合が早期再開されること、そして、北朝鮮の核放棄に向けて、引き続いて、国連安保理決議の着実な履行を含めて、関係国と緊密に連携をしていくことが不可欠だ、そのような認識をしております。

イランに関しましては、国際社会の懸念にこたえていないという状況の中で、イランの核問題の平和的・外交的解決に向けて、より強い対応を検討する必要があると考えております。同時に、我が国としては、イランとの独自の関係に基づいてさまざまな働きかけをこれまでも行ってまいっておるところでございますが、これからも継続をいたしていきます。

NPTの非締約国との関係についてのお尋ねでございます。

NPTの枠外にとどまるインド、パキスタン、そしてイスラエル、この三カ国の問題は大変重要であります。我が国は、この三カ国が非核兵器国としてNPTに加入することをこれからも粘り強く追求してまいります。

NPT運用検討会議におきましては、まさにこの非核兵器国がNPTに、いわゆる三カ国が加入することを追求する意味での条約の普遍化ということも重要な論点になってまいります。したがいまして、このような条約の普遍化という議論を通じて、前向きな合意を得られるようにリーダーシップを発揮しなければならないと考えております。

原子力の平和利用の普及拡大と核セキュリティーについてのお尋ねでございます。

原子力の平和利用の国際的拡大に伴い、防護の対象となる核物質の量が増加する見込みであり、核セキュリティーの確保が一層重要になってきておりますことは、お尋ねのとおりでございます。

したがいまして、先般のサミットでは、このような考えに基づいて、我が国の具体的な貢献策を、先ほども申し上げましたけれども、表明をいたしたところでございます。また、採択されたコミュニケと作業計画では、可能な場合には、高濃縮ウランではなく低濃縮ウランを使用することを検討することが確認をされております。

今後とも、核セキュリティーが国際的に一層強化されるように、関係国としっかりと協力をしてまいります。

総合支援センターについての御質問がございました。

このセンターは、アジアを初め世界各国の核不拡散、核セキュリティー分野の人材育成に貢献することが目的でございまして、本年中に核セキュリティーに関する訓練コースをまず開始する予定でございます。さらに、御指摘の予算規模などについては、今後早急に詰めて、本センターの本格稼働に向けて取り組んでまいりたいと考えておりまして、現在のところ、予算規模など、早急に決めるという状況であることを御理解願いたいと存じます。

核鑑識のための核物質データベースについてのお尋ねでございます。

このデータベースの構築のためには、国際原子力機関、IAEAやアメリカなどと連携をしながら、国際的な協力体制の中で対応することが必要でございます。

まさに、今後、核鑑識の技術開発とあわせて、国際連携をさらに深めることによって、データ取得に最大限努めていきながら、より充実した核鑑識システムの実現を目指してまいりたいと考えております。

現在、御案内のとおり、日本が十分なデータベースを持っているというわけではありません。主として、これはアメリカが持っているデータベースであるわけでございます。こういったデータベースを利用する、そのための日米での協力というものが不可欠だということを申し上げておきます。
核廃絶のための国際会議についての質問でございます。

まずは、NPT運用検討会議で前向きな合意を達成できるように、リーダーシップを発揮することが重要でございます。

日本は、唯一の戦争による被爆国として、核廃絶に向けて行動していかなければならない。これは、道義的責任を有するということを何度も申し上げているところでございます。

その意味において、日本として、広島及び長崎でサミットを開催すべきであるという一つの御提案、これは傾聴に値する御提案だと思っておりますが、こういった御提案も踏まえながら、こういった考え方を国際会議に広げ、核廃絶に向けて、先頭を切って走ってまいらなければならないと考えております。

オバマ大統領との意見交換についてのお尋ねでございます。

核セキュリティーサミットのワーキングディナーの席上、冒頭でありますが、十分間、オバマ大統領と二人だけでじっくりと話を行うことができたわけでございます。

自分として、日米同盟を一層深化、発展させたいと述べて、さらに、そのためにも、普天間の飛行場の移設問題に関しては今努力しているところであるけれども、この問題に関しては岡田外務大臣とルース大使との間でよく協議をさせてまいりたいので、オバマ大統領にもぜひとも協力を願いたい、そして、必ず五月末までに決着をしたい、その旨を述べたところでございます。

言うまでもありません。オバマ大統領との間で双方向の議論をいたしたわけでございますが、これは信義の関係で、大統領がどのようなことを申し上げたということをこの場で申し上げることができないことを御理解願いたい。

普天間の飛行場の移設問題についてのお尋ねでございます。

普天間の飛行場の移設問題については、沖縄県民の負担軽減、普天間の飛行場の危険性の除去の原点に立って、安全保障上の観点を踏まえつつ、沖縄を初め国民の皆様方の御理解をいただいて、地元とアメリカの理解を求めて、五月末までに具体的な移設先を決定する、これは何度も申し上げているとおりでございまして、改めて申し上げておきます。

沖縄県で開催される県民大会に関して質問をいただきました。

四月二十五日に、米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と、県内移設に反対し国外・県外移設を求める県民大会が開催されるということは承知をしております。

私自身といたしましては、現地の皆様方の声を十分に伺いたいと考えておるわけでございまして、しかるべきタイミングが参りましたときには、必ずそのようにしたいと考えております。
以上であります。(拍手)