○遠山清彦君 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました平成十八年度決算検査報告について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
決算の質疑の前に、いわゆるねじれ国会状況下における国会運営の在り方に関連し、福田総理大臣の御所見と御決意を伺いたいと思います。
私は、ねじれ国会を選挙結果を経た民意の表れであると厳粛に受け止めております。他方で、憲法により唯一の立法機関であると定められている国会が立法府本来の機能を十全に果たすことができなければ、国民の更なる政治不信を招くばかりか、行く行くは国民生活に深刻な悪影響を及ぼす懸念を持たざるを得ません。この懸念は、本院において与野党の多くの同僚議員の共有する認識であると思います。
ゆえに、真に国民にとって必要な法案、法改正案については唯一の立法府である国会として必ず成立させていく、そのための知恵を与野党で出し合っていくことが重要であると考えます。例えば、今日余り機能していない小委員会を活用し、事前の党議拘束も外し、国民から見える場所で政府案と野党の対案を毎日でも審議し、法案の成立を図っていくような努力が不可欠であると考えます。このような取組について、与党自民党の総裁でもあります福田総理のリーダーシップを期待しておりますが、率直な御見解と御決意を賜りたいと思います。
さて、平成十八年度決算報告では、四百五十一件もの不当・不適正処理が指摘され、その総額は約三百十億円に上ります。会計検査院は、政府並びに政府関連機関の活動全般を検査対象としているとはいえ、経費、人員の制約等から、例えば実地検査などは対象機関事務所等三万二千六百か所余りのうち、その一割に満たない二千七百か所について実施されているのみであります。にもかかわらず、今般の報告にあるような巨額の税金の無駄遣いが毎年指摘されるという事態は極めて深刻であり、遺憾であります。
国民の多くの声は、財政難を嘆く暇があったら、まず無駄遣いをなくせというものであります。公明党は、最近新たな対策検討プロジェクトチームを立ち上げましたが、この国民の声にこたえるべく、必要ならば会計検査院の機能強化のための法改正等も行い、税金の無駄遣いを徹底してなくしていく決意であります。
以下、何点か具体的に伺います。
不当、不適切な経理処理がなくならない背景には、まず会計関係書類の保存義務等を定めた法律がないという問題があります。現状では、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく政令で定めているだけで、極めて緩い行政文書管理体制と言わざるを得ません。その結果、関係書類が不当に廃棄され、会計検査が阻害されるという事例が今日まで続いています。これはもはや看過できない重大な法制度上の欠陥と考えますが、総理大臣の所見を求めます。
今回の決算報告では、超過勤務手当の不適正支給の指摘を受けた長野県の労働局の局長が、実地検査直後に関係書類の廃棄を指示するという不正が内部通報により発覚し、報告されております。これは、検査妨害行為であるだけでなく、刑法第二百五十八条規定の公用文書等毀棄罪に該当する可能性もある犯罪性の高い行為であり、厳正な処分が必要な事案です。結局、この局長は減給処分となっておりますが、官に甘く民に厳しい処分の典型ではないのか、厚生労働大臣の所見を求めます。
また、会計検査院においては、本来ならば、本件については、会計検査院法第三十三条に基づき検察当局に通告することが妥当だったのではないかと考えますが、通告いたしておりません。そもそも、問題を起こした職員が所属する省庁に懲戒処分などを任せてしまい、結局身内に甘い処分が下されるという現在の政府の問題処理構造そのものに国民は納得していないのではないでしょうか。会計検査院や検察庁、そして人事院など関係機関が連携し、公務員の不正・不当行為により厳しく対処する体制を構築すべきと考えますが、総理大臣の見解をお伺いいたします。
同時に、再発防止の観点から、同じ省庁や機関について同種の不正・不適切行為が決算検査報告で指摘された場合、その省庁、機関の次年度予算を自動的にマイナス査定にするなどのペナルティーを科すことも検討すべきではないかと考えますが、総理大臣の御答弁を求めます。
会計検査院は、毎年度の決算報告で、問題に関与した公務員のモラルの低下と綱紀の緩みについて指摘しております。再発防止策として、人事院による公務員倫理研修の強化、特に過去の不正経理事例等に焦点を当てた集中研修の導入などが考えられますが、その根拠となる規定が国家公務員法にはありません。公務員倫理研修の強化について、総理大臣の御決意をお伺いします。
政府は現在、三十一ある特別会計を平成二十二年度末までに十七に統廃合するとともに、同会計の剰余金や積立金等を一般会計に繰り入れ、二十兆円程度を目標に財政健全化に役立てる方針を示しております。既に平成十八年度予算には十三・八兆円、十九年度予算には一・八兆円の繰入れが行われ、二十兆円目標達成まで四兆円強となりました。しかしながら、国の長期債務残高は六百兆円を超え、国債利払いも毎年二十兆円前後という中で、特別会計からの財政健全化への貢献は二十兆円を超過しても継続すべきではないかと考えますが、総理大臣の御見解を伺います。
また、天下り問題や外部監視が甘い、巨額の隠れ損失があるとの指摘もある独立行政法人の改革も喫緊の課題と考えます。今回の決算報告には、十五の法人が独法移行の際、それらの繰越欠損金解消のために計五兆四千六百億円余りの政府出資金が充てられたことが記載されております。現在、百一ある独立行政法人の事業の多くは、公益性は高いが採算性が低いとされ、巨額の運営費や補助金が政府から交付されております。他方、効果に疑問のある事業や公益性が減じている業務もあり、また対国家公務員指数、いわゆるラスパイレス指数の平均が一〇七・四と、役職員の給与水準が高いなどの問題もあります。
政府としては、公明党が従来からマニフェスト等で主張している事業仕分方式を更に厳格に適用し、独立行政法人業務のスリム化を図るべきと考えますが、行政改革担当大臣の御決意を伺います。
最後に、若年者雇用支援について伺います。
私は、平成十六年三月に若年者雇用促進策の柱の一つである若年者トライアル雇用制度の利用年齢上限を三十歳未満から三十五歳未満へ引き上げることを政府に提案し、すぐに運用の改善を行っていただきました。年長フリーターの数はいまだ九十二万人おり、フリーターのまま三十代後半へ移行している人も多いことから、可能な限り若年者雇用施策の三十五歳未満とされる利用年齢上限を弾力的に取り扱っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
またあわせて、従業員三百人以上の企業でトライアル雇用を利用している人の割合は全体の一・八%にすぎない状況にかんがみ、政府として経団連などに大企業の積極的な参加を呼び掛けて制度の実効性を更に強化すべきと考えます。
以上二点につきまして、厚生労働大臣の明快な御答弁を求め、私の質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣福田康夫君登壇、拍手〕

○内閣総理大臣(福田康夫君) 遠山議員からお尋ねの件につきまして、お答え申し上げます。
まず、国会の審議における小委員会の活用についてのお尋ねでございますが、現在、いわゆるねじれ国会の下で、多くの法案の成立が困難な状況にあります。こうした状況が長引けば国民生活に悪い影響が生じる可能性もあり、深刻に受け止めております。
こうした状況を打開し、国家国民のための政策を一つ一つ実現していくことは、与野党の立場を超えた、政治に携わる者の責任であります。御指摘の小委員会の活用も含め、政策実現のため何らかの枠組みをつくり上げていかなければならないと考えております。
会計関係書類の管理についてのお尋ねがございました。
御指摘のような不当、不適切な経理が発生することはあってはならず、再発防止に努めることは大変重要なことと認識しております。また、会計関係書類を含め、政府の保有する行政文書の管理は、行政に対する国民の信頼を確保するという観点から不可欠の前提であり、関係書類が不当に廃棄されるような事態はあってはなりません。行政文書について、現行の法令や規則に基づき一層適切に管理するとともに、その管理を一層充実するための法制度の在り方についても検討を進めてまいります。
公務員の不正・不当行為への対処についてのお尋ねがございました。
懲戒処分は任命権者が行うこととされており、各府省において問題を起こした職員に対し厳正な対応を取る必要があります。行政に対する国民の信頼を取り戻すことは喫緊の課題であり、公務員の不正・不当行為に対しては、関係機関が十分連携を図って、いやしくも身内に甘いといった批判を受けぬよう厳正に対処すべきものと考えます。
不正・不適切行為に対する次年度予算における対応についてお尋ねがございました。
各年度の予算において、不正・不適切行為が行われることのないよう、無駄を徹底して排除することが重要です。政府としては、施策ごとの必要性や効率性の洗い直しを行い、各省庁において不正、不適切な予算執行が指摘された予算についてはゼロベースで査定することとし、再び同様の問題が生じることのないよう厳正に予算を見直してまいります。
倫理研修の強化についてお尋ねがございました。
最近、公務員の不祥事が相次ぎ、そのモラルの低下と綱紀の緩みが指摘されることにつきましては、国民に対し申し訳なく思っております。公務員が公の立場にあることを常に自覚し、職務を忠実に遂行し、自己に恥じることのないようにしなければなりません。行政に対する国民の不信を率直に受け止め、国民の信頼の回復を図るため、各府省の幹部職員が公務員の使命、原点に立ち返って綱紀の厳正な保持と倫理の向上に全力を尽くすよう指示したところでありますが、さらに御指摘の公務員倫理研修について、その充実と倫理保持の再点検を徹底してまいります。
特別会計の剰余金等の活用についてのお尋ねがございました。
政府としては、行革推進法において、特別会計の剰余金の縮減等により、平成二十二年度までの五年間で総額二十兆円程度を財政健全化に役立てることを目標としております。平成十九年度予算においても、特別会計に関する法律に基づき、七つの特別会計から合計一・八兆円の一般会計への繰入れを行うこととしており、平成十八年度予算における十三・八兆円と合わせて合計十五・六兆円の活用を実施したところであります。
今後とも、政府としては、行革推進法や特別会計に関する法律に定められた方針に沿って、毎年度の予算編成において最大限財政健全化に活用するため、剰余金等を厳格に精査してまいりたいと考えております。
残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣舛添要一君登壇、拍手〕

○国務大臣(舛添要一君) 遠山清彦議員にお答えいたします。
まず、御指摘のありました書類等の廃棄指示は、会計検査院の調査活動に対する不誠実かつ不適切な対応であるのみならず、会計経理の適正化に取り組む労働局の姿勢に対する信頼をも損ねるものでありまして、極めて重大な問題と受け止めております。
廃棄を指示した労働局長につきましては、局長の職を解くとともに、人事院の定める懲戒処分の指針を参考としつつ、減給十分の一、三か月の懲戒処分としたところであり、各労働局に対しこの事案の内容を具体的に示した上で、再発防止を徹底したところであります。
なお、今後、二度とこのようなことが行われないよう会計検査への協力及び適切な対応について徹底してまいります。
続きまして、御指摘のように、年長フリーターのまま三十五歳を超えていく方に対する支援も必要となっていると考えております。各種の若年者雇用施策のうち可能なものにつきましては、個々の対象者の置かれた状況等に応じて支援の対象とすることができることとなっていますが、引き続き適切に対応してまいります。
また、御指摘いただきました経済団体への働き掛けにつきましては、若年者トライアル雇用制度が大企業も含めて積極的に活用されるよう、利用状況等を踏まえつつ要請を行うことを検討してまいります。(拍手)
〔国務大臣渡辺喜美君登壇、拍手〕

○国務大臣(渡辺喜美君) 独立行政法人についてのお尋ねでございます。
独立行政法人の見直しにおいては、百一の独法事務事業の必要性や組織の在り方について、本年八月十日に閣議決定した基本方針に基づき、原点に立ち返って徹底的に見直しを行い、本年内に整理合理化計画を策定することといたしております。
九月以降、各法人の整理合理化案について、内容が不十分なものについては随時再検討を求めております。また、行政減量・効率化有識者会議において個別法人に関するヒアリングを集中的に行うなどして、各法人が実施する個別の事務事業ごとに真に不可欠なものかどうかといった観点から議論を行ってまいりました。
今後、国民の立場に立った整理合理化計画の策定に向け精力的に取り組んでまいります。(拍手)