○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。
 まず、総務大臣にお伺いをしたいと思いますが、本法案の基本理念の中に個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現というものが入っているわけでございまして、それぞれの地域また地方公共団体がより自立性を持って行政を運営をして、そしてまた個性豊かな地域を実現するということがうたわれているわけでございまして、私も、この方向性には、この委員会の他の同僚議員もそうだと思いますが、全面的に賛成なわけでございます。
 他方で、じゃ、日本の戦後の開発の歩みの中で、本当に地域社会が個性豊かになってきたかといいますと、これには異論があるわけでございます。
 私、議員になる前の前職が大学の講師だったんですが、その職場の同僚の八割が外国人でありました。
 この外国人の同僚の講師と会話をする中で、よく頻繁に聞いたことがあるんですね。それは、この外国人の大学講師の皆さんが休みのときに日本の各地を旅行するわけです。帰ってきて必ずほとんどの方が言っていたのは、日本はいろんな地域で豊富な伝統とか文化とか、独自の多彩なものがたくさんあるというふうに外国人なりに聞いているし勉強もしてきているんですね。ところが、日本国内を彼ら旅行しますと、非常に町全体が画一的で、どこ行っても同じように最初は見えると。
 特に彼らが一番強調してたのは、これは総務省の所管でも何でもありませんので、うちの冬柴が大臣やっておる国土交通省に聞いた方がいいのかもしれませんが、彼らが一番言ってたのは、鉄道の沿線の駅降りて見る風景が全国どこ行っても一緒だと。駅ビルがあって、ロータリーがあって、バスが止まってて、タクシーが止まってて、それで西日本に行こうが東日本に行こうが北海道行こうが、ほぼ駅前というのは同じ風景だと。そうすると、彼らが、別に行政の専門家じゃない人もたくさんいるわけですけれども、外国人旅行者として思うのは、戦後の日本というのは個性を消すという哲学で国づくりやったんじゃないかというふうに思えるぐらい似てると。
 こういう話を聞いて、私自身のことで恐縮ですけれども、私はイギリスという国に六年半留学生で暮らしていたわけでありますが、確かに言われてみれば、イギリスはロンドンにある駅も、キングスクロス駅とかビクトリア駅とかいろいろあるんですが、みんな建物も風景も違いますしね。これは地方に行けばまた地方の特色ある町づくりになっているわけなんですね。
 ですから、まあこの法案とは直接関係ない話なんですが、ただ、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会の報告書でもやっぱり同じようなニュアンスの話が出ているんですね。その地域の魅力を高めると言っているが、実態は全然そうなってきてないということが戦後日本はあるわけなんですね。で、非常に象徴的な例として駅前の風景がどこも同じだというのがあると思うんですが。
 これから地方分権を進め、かつ、その目標の一つとして個性豊かな地域社会を実現するという方向を目指している総務大臣として、この戦後日本の今までの社会開発の在り方、地域振興の在り方というのをどのように総括をされて、また今後はどういう哲学、ビジョンの下に地域社会の振興を図っていかなきゃいけないかとお考えか、伺いたいと思います。

○国務大臣(菅義偉君) 日本は明治維新後、中央集権社会、その体制の下に、欧米列強に追い付き追い越せという形で大変な発展を遂げてきたと、このことも事実であったというふうに思います。そして、この敗戦という中で、戦後もまたその体制を日本は維持しながら今日を迎えてきております。例えばドイツなんかは、敗戦後は逆に中央集権から地方分権に向かった国もあります。
   〔委員長退席、理事二之湯智君着席〕
 ただ、そういう中央集権の体制の中で、今駅前広場の話がありました、国が様々な事業に関与をし、国のそうした決められたものでなければ補助金を受けることができないという形の中で、全国どこに行っても同じような施設ができてきたということもこれ事実であるというふうに思いますし、駅前広場もその一つであるというふうに思います。かつては公園をつくるのに、平らでなければならない、平面でなければ、起伏があっちゃ駄目だと、そこには必ず砂場とブランコがなきゃならないとか、あるいは、全国どこに行っても全部銀座があってアーケードは同じであるとか、そういうことをやゆをされたときもあります。
 しかし、ここにきて少子高齢化そして市町村合併が進んでくる中で、日本の国のあるべき姿というものを考えたときに、やはりこれからは地方分権がこの国の在り方を私は決める大きな形になってくるのではないかなというふうに実は思っています。そのためには、地方が魅力ある地方に変わらなきゃならない。そのために何が必要であるかといえば、権限とか財源とか税源をやはり地方にゆだねる、国と地方の役割というものをはっきりと分担をする、そうしたことが地方が個性あふれる豊かな魅力ある地方に生まれ変わる基本的なことではないかなという思いは多分皆さん一緒であるというふうに思います。
 そのための、そうした魅力ある地方を確立をするために今回そのプログラム法としてのこの推進法を出さしていただいている、このように御理解をいただければ大変に有り難いと思います。

○遠山清彦君 ありがとうございます。
 ちなみに、先ほど私が言及しました二十一世紀ビジョン懇談会の報告書の中でも、地方の歳出の約九割について国が定めた基準が存在しており、全国どこでも似たり寄ったりの画一的な地域の形成につながっているということが端的に書かれているわけでございまして、是非これは変えていかなきゃいけない。
   〔理事二之湯智君退席、委員長着席〕
 それから、今これ、大臣のお話伺ってたら突然思い出したんですが、私ちょっとラジオで対談したことがあるんですが、昔、路地裏の経済学という本を出して有名になった竹内宏さんという経済評論家おりますけれども、彼が一番最近出した本が、とげぬき地蔵通りの経済学という面白い本がございまして、これは、大臣御存じかと思いますが、豊島区の巣鴨駅の近くにおじいちゃん、おばあちゃんの原宿通りと言われるとげぬき地蔵通りという商店街があって、ここは、私もちょっと対談するときに勉強してびっくりしたんですけど、一日平均四万人ぐらい訪れて、縁日とかあると十万人近く来ると。縁日もしょっちゅうありまして、年に五、六回十万人以上集めるという、もうたった一つの通りの商店街でですね。
 なぜここが成功したのかというのをその竹内さんが本の中で詳しくお書きになっているんですが、一つは、今のお話で思い出したのが、国から補助金をもらってできる事業を幾つか断っているんですよね、商店街として。で、その竹内さんに言わせると、ほかの商店街だったら当然にやっていた事業を断った結果、そのとげぬき地蔵通りにしかない雰囲気とか物が残って、それが集客の要因になって、今非常に経済的に潤っている商店街になっていると。だから、ある意味でいうと、国が推し進めた事業にあえて乗っからなかったから今日があるという皮肉な、行政区の側から見ると皮肉な結果になっているという事例もあるので、大臣お忙しいでしょうけど、簡単に読める本ですから、このとげぬき地蔵通りの経済学という本を一度目を通していただくとまた面白い発想があるかと思います。
 次にお伺いしたいのは、先日の決算委員会で私大臣に、頑張る地方応援プログラムの具体的な中身についてお聞きをしました。大臣の御答弁の中で、要は地方の考えを聞いてしっかり中身を考えていきたいとおっしゃった上で、例示として、例えば、就業率とか出生率の改善、あるいは地域ブランド、それから企業誘致、こういったものをその成果指標として使って、そして地方交付税の算定に反映をしていくと。で、結果として独自にいろんなプロジェクトを考えて、また改革努力をして頑張っている地方を応援していくと、こういうものにしたいということだったんですが。
 ちょっと、若干続きの質問で素朴な疑問がございまして、それは、例えば、就業率とか出生率というのはデータですぐ出てくる話ですので分かりやすいんですが、例えば企業誘致とかに関しては、公共インフラがそろっている地域とそうでない、整っている地域と整ってない地域が元々あるわけであって、そうすると、整ってないところはハンディを背負ったままこの頑張る地方応援プログラムで淘汰されてしまうと。
 それから、地域ブランド、地域資源の活用についてもいろんな形態の活用方法が考えられるわけで、私がお聞きしたいのは、要は、単純に数値化できないものとか質的に同列化できない成果指標になるんじゃないかなというふうに若干疑問を持っているわけですが、この点について現時点での大臣のお考え、伺えればと思います。

○国務大臣(菅義偉君) 今、具体的な例として企業誘致の例がありました。これについて、やはり何らかの基準が必要であるというふうに私ども考えておりまして、これは経済産業省とも今お互いに打合せをさせていただいておるところでありまして、そうしたものもそれなりになるほどなと思える、そうした指標というものを是非つくっていきたいというふうに私は思っています。
 先ほど、今、その出生率やいろんな話がありました。地方から、こういう話をしますといろんなアイデアが出てくるんですよね。やはり、地方と農村の交流だとか、あるいは生活保護を今までよりは減らしたとか、いろんなことが出始めてきていますので、そうした地方の努力ですよね、就業に向けて、生活保護減らして就業を市が応援をしたとか、そういう意味では少しずつ私どもの頑張る地方応援というものが浸透し始めてきているのかなというふうに実は思っています。
 いずれにしろ、そんなにしゃくし定規のようなものではなくて、やはり財政力指数の低い地方でも、農村との都会との交流なんかもできるわけですから、そうしたものも含めて様々なことを考えていきたいというふうに思っています。

○遠山清彦君 これについては年内に策定をされるということでございますので、私、個人としても、また地方の皆さんも大変楽しみにしていると思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 それで、今の話にもちょっと関連するんですが、昨日のまた参考人質疑でも要望がございましたけれども、国が地方の声をしっかり聞く場を、いわゆる定期協議の場を制度化してほしいという話がございます。昨日、参考人質疑でお聞きをしておりましたら、三位一体改革、まあ辛口の批評も多かったわけですが、ただ三位一体改革を小泉内閣でやる中で非常に良かったのは、十四回ですかね、国と地方で真剣な協議の場があったと。これは、地方の六団体の代表の方々も国の代表と真剣な討議をまあ小泉総理も入ってやったことで、誤解が解けたり勉強になったこともあったというようなニュアンスで昨日はお話になって、大変高い評価だったわけでございますが。
 これから地方分権の推進の委員会とか推進本部とか、いろいろと枠組みは具体的に出ているんですが、プログラム法ですからある程度の期限が付いているわけで、そういう期限付きのプロジェクトとしてやる中での国と地方の対話もそうですが、それとは別途により長期的な観点からこの国と地方の協議の場というのを制度化した方がいいんではないかと私は考えておりますが、大臣の御意見を伺いたいと思います。

○国務大臣(菅義偉君) 国と地方の協議の場というのは、どのような形で国の政策決定の中に取り入れていくかということは、ある意味で非常に難しい問題も実はありまして、多角的にこれ検討を実はしているところであります。
 しかし、地方のそうした協議の場がなければならないということもこれ事実であります。今は六団体の会合だとか、あるいは官邸で総理あるいは全閣僚が出席をして、県、都道府県知事との会談、つい先般終わりましたけれども、そうしたこと等を実は行っていますし、私ども、この頑張る地方応援プログラム、そういう中では、私や副大臣や政務官、四十七の都道府県手分けしながら私どもも考えもし、現場の声というものも聞いていきたいというふうにも思っています。
 いずれにしろ、やはり地方と極めて密接な連携を取りながら、そうした声というものを反映できる仕組みというものも考えながら進めていきたい、こう考えています。

○遠山清彦君 是非よろしくお願いいたします。
 それから次に、事務方で結構でございますが、地方公共団体の財政状況についてですが、一般に経常収支比率が八〇%を超えると財政構造として弾力性を失うと言われているわけでございまして、これは、意味するところは、臨時的な財政需要に対応ができない財政構造を抱えているということになるわけでございます。
 現在、すべての都道府県、また政令市がこの弾力性を失うラインと言われております経常収支比率八〇%を超えているというふうに私は理解しておりますが、この現状についての総務省の認識と今後の改善の見通しについてお伺いをしたいと思います。

○政府参考人(岡本保君) 今委員御指摘のように、十七年度決算で見てみますと、全都道府県と政令指定都市の経常収支比率は八〇%を超えておりまして、都道府県全体でも九二・六、政令指定都市で九四・三というようないずれも高い水準にございます。
 この要因といたしましては、例えばこれまでの累次の経済対策等に係ります公債費負担が非常に累増しているというようなこと、それから市町村におきましてはやはり高齢化の進展、あるいは生活保護世帯の増加といったような扶助費、社会保障系統の義務的な経費の増といったものが、こういう経常的収支比率を構造的に押し上げていっているという要素があるのだろうと思っております。
 ただ、十七年度について前年度と比べてみますと、各団体でこれまで人件費の削減努力というのをかなり努力をしてきていただいているということもございますのと、分母の標準的な収入といったものが若干持ち直しているということ等もございますが、政令指定都市から市町村全体の平均では、微減ではございますが、経常収支比率がやや改善をしたということもございます。
 こういう改善に向けて努力するためには、人件費、それから公債費といったものがやはり大どころの改善の対象になるわけでございますので、こういうものについて集中改革プランで削減努力をしていただく、あるいは公債費におきます、少しでも金利をどうやったら軽減できるかとかというような各般の対策を私どもとしても講じてまいりますとともに、各市町村に対しましても、そういう自己努力と正にそういう今各般の努力を入れた中長期的な財政計画をつくっていただいて、適切な財政運営でその経常収支比率を改善していけるようにともにやってまいりたいというふうに考えております。

○遠山清彦君 それで、今の話に関連をしますけれども、大臣にできればお答えいただきたいと思いますが、今全国の自治体間の財政力の格差というものが拡大しているという指摘がございます。たしか十二月三日でしたか、朝日新聞に北海道のある都市と東京の二十三区のある区を比較をした図を基に自治体間の財政力格差ということを特集した記事がありまして、両方とも人口規模が二十万人程度で、どれだけ財政力に格差があるかというのを分かりやすく表で示しておりましたけれども、私も大変勉強になったわけでございますが、当然この背景には地方交付税の減少がございますし、また今景気回復局面でございますので、都市部にどうしても企業がございますから、地方法人二税ですね、法人事業税とか法人住民税の収入が景気のいい企業がいる都市部だけ上がるということもありますので、ある意味、政府のコントロールできないエリアでも自治体間の格差というのは広がっている状況になるわけですが。
 そこでお聞きをしたいのは、当然、先ほど大臣もおっしゃっていたいわゆる中央集権体制の中では、中央に権限を集中させることによって負の側面が当然この今の法案の議論では多いわけですけれども、プラスの側面としては、いわゆる格差が生じたときの格差是正機能、あるいは調整機能というものを国が持っていたという面があるわけでございます。当然、これは地方分権が進んでいきますとこの格差是正調整機能というのは弱まっていく面があるわけでございますし、またこの文脈で申し上げれば、先ほどの頑張る地方応援プログラムも、逆にこの頑張るところはどんどん交付税が増えて頑張らないところは減っていくということになって、総務省としては、その自治体間を競争させることによって生じるメリットの方が競争させないことによって生じるデメリットよりも大きいという判断でやっておられるんだと思いますが、可能性という次元で申し上げれば、国の格差是正機能が弱まっていって、頑張る地方をどんどん伸ばしていくという予算の重点化ということをやっていきますと、なかなか格差なくならないんじゃないかと。そうしますと、格差の付いた自治体に住んでいる住民から見るとどうしても国に対して不公平感が強まってくるわけでございまして、大臣として、これから地方分権進めていくこの改革の流れの中で、現実に格差が拡大してきたといったときに、この格差の是正、調整というのはどういうふうにしていけばいいとお考えなのか。また、その格差というのはどうしても生まれてくるということはあるわけですけれども、それをどこまで容認をして、どこまでの格差是正は国として考えていかなきゃいけないのか、この辺について、ちょっと雑駁な質問でございますが、所見をいただければと思います。

○国務大臣(菅義偉君) 地域の財政力の格差というのは、これは地方分権というよりも少子高齢化だとか、あるいは企業が特定のところに今集中をしている、そうしたことにもかなり私よるのではないかなというふうに実は思っています。有効求人倍率なんかを見ても、例えば愛知県なんかは一・八とかで、地方の低いところは〇・五とか、そういう形にもなっておりますし、そういうことを考えるときに、やはりこの企業が全国に平均的に存在することが一番かなというふうに実は思っています。
 ただ、そういう中で、今は税の仕組みが、御指摘いただきましたように、地方の法人二税、このことが東京が極めて多いということもこれ事実でありますので、この偏在の少ない地方消費税というものを例えば地方税の基本とするとか、いろんなこの改革、税についても私は必要だというふうに考えております。
 ただ、この間総務省で地方自治体の長の皆さんとの懇談会を開いたときに、例えば島根県の隠岐島の海士という町であります。町長さんに来ていただきましたけれども、非常に人口も少ないし財政力としても非常に少ない。しかし、海に囲まれている、そうした自分の地域の資源を生かして様々な商品開発をしたり、あるいは都会の人からファンドという形でお金を集めたりもしながら人口も少しずつ増えているとか、やはり地方が私はそうした魅力ある地方づくりを行うことによって地方も必ずそういうことができるのかなという私は可能性というのは非常に持っておりますので、しかし、そういう自由にできるような仕組みを私もやはりつくってやる、つくってやるというとあれですけれども、つくることがやはり国の、私どもの役割じゃないかなというふうに実は思っておりますので、この分権改革推進というものを何としても進めていきたい、そういう思いです。

○遠山清彦君 時間が来ておりますので一言申し上げて終わりたいと思いますが、私もこれ最終的に税制改革をしっかりやっていかないと地方が自立的に発展していく素地というのはなかなか広がらないんだろうというふうに思いますし、また自治体も破綻しますよと、だから財政規律を緩めないでくださいという意見が専門家の間で強いわけですが、私も沖縄を担当しておりまして、離島を回りますとなかなかそういうところにはそういった議論がストレートに適用できない現実というのもございますので、そういった日本の国土の中の多様な、地域の多様な条件というのも御配慮いただきながら必要な改革を進めていただければと申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。