○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。今日は、四参考人、大変参考になりました。ありがとうございます。
 まず、ずっとしばらく黙っておられた渡辺参考人にお聞きをしたいと思いますけれども、先ほど渡辺参考人の話の中でも言及されておりましたが、現在、政府の中で社会保障制度の一体的見直しの議論が本格的に始まってきております。
 参考人、御存じだと思いますけれども、経済財政諮問会議の民間議員からは、今後社会保障費の総額が伸びていくわけでありますけれども、特に医療と介護、この二つの分野が一番の伸び率であろうと言われておるわけでございます。とりわけ医療費は元々の規模が大きいわけでございますので、最もその伸び率が懸念をされているわけでございますが、この医療費の伸び率の管理、抑制をするために管理をしなければいけないという議論が経済財政諮問会議民間議員から出ておりまして、さらにその具体的な手法として、名目GDPの成長率でキャップをはめて、その名目GDPの成長率の中に医療費の伸び率を収めてしまうと、これ人為的にやるわけでございますが、こういう方法はどうかという提案が先月正式に出されております。これを、経済財政諮問会議、これは民間議員ですけれども、側の表現を使えば、経済規模に見合った社会保障にするべきだということを言っております。それからもう一つ、現在の小泉政権もコミットしているわけですけれども、二〇一〇年代初頭のプライマリーバランスの均衡化、これを実現するためにもこういった政策が必要だということを言っておるわけでございます。
 他方、厚生労働省の方は、ありていに申し上げれば真っ向から反対をしておるわけでございまして、この医療費の抑制は大事だけれども、この名目GDPの成長率でキャップをはめるというのは暴論であると、使うべきところには使わなきゃいけないということを言っているわけでございますが、先ほど参考人も言及されていたわけでありますけれども、もう少し詳しく参考人のお立場をこの問題についてお聞かせ願えればと思います。

○参考人(渡辺俊介君) 確かに今お話しのように、経済財政諮問会議を中心としまして、社会保障の総枠管理あるいは医療費の伸び率管理といったことが打ち出されております。
 結論を先に申し上げますと、私はこの案に反対でございます。特に年金、介護含めて言うと時間なくなってしまうので、特に医療費に限らしていただきますけれども、医療費に伸び率管理、総枠抑制、キャップ制という、今御指摘なさったようにGDPの伸び率に合わせるといいますと、今、日本の国民医療費三十一兆円、GDPの約七・五%前後と言われておりますが、OECDの中で大体十八番目程度と言われておりますが、計算の仕方、多少あって、ヨーロッパ諸国等は例えば分娩費等も医療費の中に入れておりますので、そういった計算いたしますと、日本の医療費は、大ざっぱですが八%程度と考えることができます。つまり、経済財政諮問会議の考え方は、この八%を今後とも絶対伸ばさないぞということを意味するわけですね、GDPの伸び率にしか合わせないということは。
 そうしますと、今先進ヨーロッパ、まあアメリカの場合はちょっとある意味じゃ別格でありますが、見ましても、やはりこれはイギリスと並んで極めて低い水準であると私は思います。それを八%程度あるいは八%未満程度で据え置くということは、私は、これまでの諸外国の例、経験を踏まえると、決していい結果にならないと。
 例えばイギリスも、サッチャー政権のときに、一九八〇年代半ばにいわゆるNHS予算を徹底的に抑制して、今ややはり日本とほぼ同じ水準になっていると。その結果として、非常に医療が、私に言わせれば貧困になって、今トニー・ブレアは逆に医療費予算を増やして、何とか他のヨーロッパ諸国並み、つまり一〇%近くまで増やそうとしていると。あるいは、フランスにしてもまた、総枠抑制的な予算主義を持っていますので、非常にまた医療現場が混乱しているということも私自身の取材では見ております。
 そういった意味からしますと、私は、八%にとどめると結局同じことを言っているわけでありまして、経済財政諮問会議は。やはりせめて、それが九か一〇か、米国並みの一四とか一五までは行かないにしましても、やはり医療費としては一〇%程度あってもいいのかなと、それは私の個人的な考えでありますが、せめてそういった議論からしてほしいと。いきなりキャップをはめて、つまり事実上八%弱でとどめるんだよといったことはちょっと乱暴過ぎる議論だと私は考えております。
 取りあえず以上です。

○遠山清彦君 ありがとうございます。
 この件について、私も今年の予算委員会で厚生労働大臣と財務大臣と一度議論をしたんですけれども、また今日の御意見も参考にしながら議論を進めていきたいと思っております。
 次に、山本参考人にお伺いをいたします。ちょっと顔が見えにくい対角線ですが。
 私も、ちょっと議会の調査室からいただいた参考人の資料を読んでおりまして、お聞きしたい点が一つございました。それは、市町村合併の国保財政に与える影響についてどのようにお考えかということなんですね。特に、市町村合併と一口に申し上げてもいろいろな形態があることは参考人よく御存じだと思いますが、市町村合併によって財政能力が高まるところであればこれは改善しますよということを言えるんだと思いますが、なかなかそういう側面だけで合併が決まっておらないというふうに私は思いますので、合併しても財政能力が改善できない場合も念頭に置いて、是非参考人の御意見を伺いたいと思います。

○参考人(山本文男君) 市町村合併は御承知のとおりだと思いますけれども、合併がどんどん進んでいるところは合併しやすい環境下にあるんですね。ですから、合併のしやすくない環境にある市町村というのはなかなか合併が進捗しません。これはもう事実です。ですから、そういうような市町村には、やっぱり国保は先ほど申し上げたような状況を背負ったままでございますから、それらを合わせて見ても、財政が好転したり、そういうような制度の運営がうまくいくということにはならないと思いますね。
 ですから、私はむしろ、合併をしていくための障害にならなければいいがなと、そういうように思っているところですから、そういうように、合併の障害になるような市町村が合併をしようとするときに援助をしてやるということも考えることが必要じゃないでしょうか。そうすることによって、国保が少しでも向上していけばいいなと、そういうふうに現在では思っているところです。
 以上です。

○遠山清彦君 ありがとうございます。
 山本参考人、続けて御質問をさせていただきますが、そうすると、先ほど参考人の陳述の中では、都道府県がより今まで以上に積極的にこの医療行政、負担の部分も含めて、これは後で浅野知事の方にもお伺いしたいと思いますけれども、裁量の方も含めてかかわるべきだというのは、市町村合併が仮に進んでいったとしても、国保財政面における地域間格差というのは解消できないわけですから、そこの財政調整等も含めた機能は都道府県がもうちょっと積極的にかかわることで今よりも改善できる、そういうお考えでしょうか。

○参考人(山本文男君) 私どもが言っているのは、今先生のおっしゃるように、確かに合併をしたからといって地域間格差が解消するものではないことは事実です。だから、地域間格差を解消するためには県単位で一つになることの方が望ましいと、こういうように思っていますね。だから私は、今回のこの調整金を、五%、七%を、本年度と来年度で国保の財源の一部を地方へ移すということになっておりますが、これはやり方そのものが唐突とか、あるいは無計画でやったんじゃないかといういろいろな批判はあるかもしれませんけれども、私はいいことだと思うのは一つあるんです。それは、県が今までは国保に対しては指導したり助言したりすることだけであって、言葉が悪うございますけれども、口は出すけれども金は出さなかったんですね、県は。これはもう御承知のとおりです。ですから、今回は口も出す代わりにお金も出しますよということになるから、本当の意味での地方地方言っているわけですから、地方団体には県であろうと市町村であろうと変わりはないわけなんですね。だから、同じ共通の立場に私は立つべきだと思っていますから、これから、さっき申し上げたように、県単位で一本化をしていくという意味での大きな切り口を今回は私は作ったものだと、そういう評価をしているんです。
 ですから、この県単位でやっていくことによって地域間格差をなくし、しかも被保険者の皆さんたちに安心、安堵を与えることにも私はなると、そういうふうに思っておりますので、今回のこの措置については、私は決して、やり方がいいとか悪いのは別です。やったこの結果については、私は大きな切り口を作ったということで高く評価をしたいと、そういうふうに思っています。

○遠山清彦君 ありがとうございます。
 続けて浅野参考人にお伺いをしたいと思います。
 私の質疑で都道府県と町村の争いをあおるわけではございませんので、その点、御了解いただきたいんですが、私も、先ほどの浅野参考人の陳述を聞いておりまして、お怒りの趣旨はごもっともであるというように理解をしております。つまり、医療保険制度の抜本改革の文脈の中で今回の都道府県の負担の話が出てきたんではなくて、三位一体の改革の中で出てきたというところの手続論として非常な怒りを感じているという趣旨は、今回直接お話を伺ってよく理解をいたしました。
 ただ、その部分をちょっと離れて、手続論を離れまして、いわゆる政策論として、今後この都道府県が、負担とあえて申し上げますけれども、負担と裁量権のバランスが取れた形でより積極的に医療行政にかかわることについて、浅野参考人としてはこれを支持する立場でしょうか、それとも反対なのか、あるいは条件付支持、反対、どれなのか、お聞かせ願えればと思います。

○参考人(浅野史郎君) 私は、さっき申し上げましたように、社会保障審議会の医療保険部会の都道府県代表の委員としても出ています。そこで今のような議論はされているわけですね。その場がされる場所なんですね。まだ実はそこまで佳境に入っていないんですよ。佳境に入っていけば今のような問題提起が私の前にされるわけです。
 そうすると、お答えするなら、何というんですか、条件付というか、県のこの医療保険、医療行政における役割というのは今以上に増やすべきかどうかと言われたら、これはイエスですね。増やすべきだろうと。それがどういうふうにかかわっていくかということについては、ある程度というか緻密にやっていかなくちゃいけないと。緻密にというのは、方法論とともに、それから皆さんようござんすかというふうに同意も取りながら、同意も取りながら押さえてやっていくというのが、制度改革ですから、その制度改革が成功するかどうかということのこれはかぎなんですね。
 ですから、ちょっと経過はさておいてもというんだけれども、さておけないといえばその部分はあるんです。怒るか怒らないかじゃなくて、怒るといかにも個人的なあれのようですけれども、私は、むしろこれは、今回こんなようになっているのは不幸な事態ではないかということで言っているんで、ちょっと怒りと別なことで言っています。
 今の御質問について言えば、我々はと言っていいと思いますけれども、複数形で、そういう用意はありますと、その議論をしっかりやっていきましょう、方法論についてしっかりと詰めていきましょうということで待ち構えているところにぽんと来たということです。

○遠山清彦君 率直な御意見ありがとうございます。
 続けて浅野参考人にお伺いしたいと思うんですが、この地方分権、三位一体の改革の議論の中で、国会の審議なんかで必ず、これは厚生労働の行政の分野に限りませんけれども、必ず出てくるのは、政策によるんでしょうけれども、分野によっては、あるいは政策項目によっては、分権が行き過ぎるとナショナルミニマムの確保、これがしっかりとできなくなるんではないかという意見が必ずどこからか出てまいります。
 これ、もう知事御承知のとおり、憲法二十五条で、ちょっと読みますけれども、国は、すべての生活部門について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならないという義務規定が、国に課されている義務規定が憲法二十五条にございます。厚生労働省も国の中央省庁としてこの義務の下にあるわけでございまして、そうすると、これは教育行政、義務教育の国庫負担問題で話題になりましたけれども、教育行政でも国はこういう、文科省もこういう義務の下にあるわけでございます。
 そうすると、先ほど参考人もおっしゃっていましたが、都道府県間の財政調整は国がやる、都道府県内の市町村の格差については都道府県がやるというような形なんですが、私が懸念するのは、懸念というか疑問に思っているのは、都道府県の中の、都道府県の裁量を拡大していったときにこういう調整が本当にできるのか、つまりナショナルミニマムを担保するというスタンダードを守った調整というのが都道府県レベルでちゃんとできるのかどうか、この点について、今医療の話していますから医療に限っていただいて結構なんですが、私は教育とかいろんな分野に行くと思いますけれども、簡潔にお答えいただければと思います。

○参考人(浅野史郎君) これは、医療に限ってというのとほかのところでちょっと違うんじゃないかという気がしています。
 今、国民健康保険の議論をしています。医療保険全般ですけれども。だから、社会保険の診療報酬の点数というのは全部全国一緒ですよね。それ、どれが認められているのかどうかというのは、宮城県だけで認められている施設というのがあったり、保険が適用されるというのがあるということでもないし、料金表みんな同じでやっています。そういうことからいうと、医療の分野というのは、物事の性格上、その均一性、公平性というのが多分求められる非常に高い分野だろうというふうに思います。
 というのは、ちょっと、その分野でいうと、逆に今国民健康保険で議論しているのは、そこにこういう形で都道府県の財政調整交付金というのは余り議論もされずにぽんと入るというのは、我々の望んでいる正に裁量というのとちょっと違う形じゃないですかという、本来の三位一体改革について我々が不徹底と言っているのと反対の方向でちょっとこれ議論が行われているということなんで、これは特異分野だと思います。
 ちょっと別なところでいいますと、これもキーワードは、例えば福祉の分野についてでもいいです。先ほどの交付金についてどうのこうのとありましたけれども、これも、どうして交付金というのを霞が関は、これ厚生労働省は手放そうとしないのかという議論ですね。これは権限に執着しているとは思いたくありません。そんなものじゃないと思うんですよ。それは、マジックワードは格差なんですよ。霞が関の志を立てて役人になった者は、この日本の国土において格差があることは絶対許せないということが仕事のモチベーションじゃないかと思えるぐらいなんですね。そこはまあいいです。
 そのときに、その次の思い込みがあって、それを是正する、唯一とは言わないけれども、非常に大きなツールが補助金だと思い込んでいるんです。後ろから行ってとんとんと肩たたいてあげたいんですね。そうじゃないでしょうと、もしそうだったら、補助金というのは別に昨日今日始まったのでなく、ずうっといったら格差なんかなくなっているはずでしょうと、どうしていつまでもないんですかということなんです。で、さっきに戻していけば、その格差にしても、辻さんのおっしゃるような、例えば一定程度のレベルの行政水準というのがどうやって担保されるのかという議論なんですよ。それを霞が関のあれはかたくなにそれは補助金だと信じ込んでいます。
 我々為政者というか、立場から言うと、非常に分かりやすく言うと、格差を埋めなくちゃいけない、下に行くときに。というのは、朝日新聞における四十七都道府県のランキング調査です。これである分野において宮城県が堂々の第四十七位となったらまずいと、これが実は知事たるもののモチベーション、インセンティブというんですかね、それのかなり大きな部分なんですよ。それは、そこで別に朝日新聞に言われるからでなくて、まあどこの新聞でもいいですけれども、それを見た読者である宮城県住民がそれを引用します。浅野さんひどいじゃないのと、うちの県最下位だっていうじゃないのといったときに、為政者は、霞が関の補助金をもらうもらわないでなくて、その住民の目が怖いんです、有権者の目が。というシステムにしましょうと。繰り返しになりますけれども。
 ということの議論をしているので、そのためにどういう合目的的なシステムがいいかという議論が三位一体改革の議論だというふうに理解しています。

○遠山清彦君 ありがとうございます。
 最後に、渡辺参考人、一問だけ。
 私も、医療費の適正化で予防医療の推進、非常に重要だと思っております。私の友人でオーストラリアの方は、オーストラリアの州政府が音頭を取って、医療と教育がかなり連動していると。例えば塩を取り過ぎないようにとか、たばこを吸わないようにとか、あるいは運動をしっかりするように等々、あるいは紫外線に当たっちゃいけないとか、こういったことはオーストラリアにおいては相当教育の現場で浸透していて、小学生、中学生のころにかなり教えられるということで、実際に二十代、三十代で実践している方、今非常に増えておるというふうに聞いておりますし、私も現場見ております。
 そういった観点から、日本でそういった医療と教育の連動みたいなもっと進めることによって予防医療を推進するというようなアイデアについてどういうお考えか、お聞きしたいと思います。

○参考人(渡辺俊介君) 今の遠山委員がおっしゃったとおり、私、予防を進める上で教育といったものは非常に重要だということは論をまたないと思っています。その場合の、ただ、教育というのはいかにも、例えば子供に対する教育、これももちろん重要なんですが、これは当然成人に対する教育も必要だなと私は思っております。それは別に子供のときから学校教育だけという意味じゃなくて。
 そして、その際に私がもう一点だけ申し上げたいのは、今正に塩、たばこといった、あるいは紫外線等オーストラリアの状況おっしゃいましたが、例えば日本で健康増進法ができました。これはなかなか立派な法律だと私は思っておりますが、どうも何といいましょうか、やはり塩分は取り過ぎるな、たばこはやめろと、あるいはアルコールは控えろと、それはそれで重要な、生活習慣病対策で重要なんでしょうが、どうも私自身いろいろ地域回ってみて住民の方々の意見を聞きますと、言わばネガティブリストといいましょうか、これも駄目あれは駄目と、なかなか付いていけないと。むしろ逆に、これは体にいいよと、こういったことがいいんじゃないかといえば、まあある意味ではポジティブリストと申しましょうか、ちょっと言い方がおかしいかもしれません、そういった住民が喜んで予防活動に取り組める、それは保健師さんの役割も大きい、あるいは医師の役割も大きいと思いますが、むしろそういった意味も含めた教育といったことを大いに進めていただきたいと思っています。
 以上です。

○遠山清彦君 以上で終わります。