○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。
 まず最初に、有事関連法案の質疑に入る前に、日本の地下鉄の駅の安全対策について一つ質問させていただきます。
 私は、昨年の十月の当院のテロ対策特別委員会で日本の地下鉄の安全、地下鉄の駅の安全性に非常に問題があるということを取り上げて、御出席いただいた小泉総理にも強くその改善を求めました。
   〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕
 国土交通省が、昨年二月の韓国の大邱での地下鉄放火事件、井上大臣も報道は覚えていると思いますが、あれを受けて全国の地下鉄の駅を調査をいたしました。数は六百八十四。実はこの調査の結果、これはもう国交省は分かっているんですよ、約四割の三百弱、四割の駅で安全基準に問題があるということが分かりました。私は、去年の質疑では国会議員もよく使う丸ノ内線の国会議事堂前駅がそのうち最悪の駅の一つだったということを指摘したわけでありますが、それで、もし日本の地下鉄の駅がテロ攻撃に遭えば、このような状況では大惨事になることが明白でありました。また、先ほどもちょっとありましたけれども、オウム真理教の地下鉄サリン事件があったにもかかわらず去年まで対応取ってこなかったということは、これは私、与党の立場でありますけれども、政府の危機感のなさを指摘せざるを得ない状況であったわけです。
 そこで、最近の新聞報道によれば、今年の三月末にようやく地下鉄の駅の安全対策の改善を国交省が省令で指示をしたということがございますので、その内容、中身について、具体的にかつ簡潔にお答えいただきたいと思います。

○政府参考人(丸山博君) ただいま先生御指摘いただきましたように、大邱の事故の後、日本の全地下駅六百八十四駅のうち二百六十八駅が五十年にできました地下鉄道の火災対策基準に合致していないということでございました。それで、利用者の安全を確保するためには至急にこの基準に合致させる必要があるということで、今御指摘いただきましたように、本年三月に省令を改正しまして、十六年度から五年間ですべての駅につきまして五十年の基準に合致するようにしたというところでございます。
 ただ、省令を改正しただけではなかなかその基準適合への動きが進まないということで、十六年度の予算におきまして、特にお金が掛かります避難通路と排煙設備の新設に関しまして三十億円の国費を計上いたしまして、その整備費用の一部を助成するという制度を立ち上げたところでございます。あわせて、税制上の措置も講じておりまして、今申し上げましたような形で形成されました資産につきまして、固定資産税などを軽減する租税特別措置も併せて講じたところでございます。

○遠山清彦君 是非、井上大臣も今の御答弁を認識をしておいていただいて、やはりテロというのはどこで起こるか分からないからテロなわけで、なるべく社会の脆弱性を、社会インフラの脆弱、脆弱性に事前に気付いて、政府がやっぱり手を打っていくことが重要だという意味で、是非国土交通省にはしっかり対応していただきたいと思います。
 続きまして、緊急事態基本法、これ仮称でありますけれども、の件についてお聞きをしたいと思います。
 五月二十日に自民党、民主党、公明党の三党の幹事長間で、この緊急事態基本法についての覚書について合意の署名がございました。これ、井上大臣に聞こうと思っていますが、現行の憲法にこの緊急事態に関する規定がほとんどないという状況にかんがみますと、こういう方向性を私も基本的に賛成の立場でありますが、問題は、これから基本法の中身を三党間で検討していくんだと思いますけれども、この中身ができた段階で、その中身を担保する、運営上、実態上担保するこの体制の整備というものが非常に大事だというふうに思います。
 これは、先ほどいらっしゃっていた民主党の前原委員なんかはずっと国会でしょっちゅうおっしゃっていることですが、一つの障壁になるのはやっぱり省庁の縦割り行政の壁というものが明確にあるというふうに思います。
 やっぱり大事なのは、総理大臣の指揮の下に省庁横断でこの緊急事態に対処できるシステムというものを日常的に作っておかなければいけないと思いますが、この点について、現時点での井上大臣の御見解を伺いたいと思います。

○国務大臣(井上喜一君) この基本法の議論でありますけれども、私は、考えなくちゃいけないのは二つ大きな点があると思うんですね。
 一つは、やっぱり憲法との関係です。幾ら基本法を作りましても、やっぱり日本国憲法の中で作るということでありまして、今の日本国憲法が想定してないところを超えて、そこまで踏み込んで基本法で規定をしていくこと、これはできないわけですね。したがいまして、日本国憲法の中でぎりぎりどの辺までができるのかというようなことをよく考える。つまり、一番効果的なその対処の仕方と、仕方の基本になるものですね、それを整理をしていくことだろうと、こんなふうに考えます。それが一つであります。
 それからもう一つは、事態が起こりますと、やはり迅速に的確に、しかもやっぱり総合的に内閣を挙げて対処をしないといけない、そういう体制作りが必要でございます。
 それぞれの国のこの緊急事態への対処の体制というのは、その国の歴史なり政治の制度なり、あるいはある種の文化というんですか、そういうようなものを背景にも作られておりまして、あるところの制度がそれうまくいっているからといって日本に持ってきても必ずしもうまくいかないというようなところがありますんで、その辺は総合的に考えないといけないと思うんですが、どっちにしましても、やはり事態が起これば迅速に的確に内閣を挙げて対処できるような体制を作るということが必要だと思います。日本の場合は、これ、縦割りは長い歴史の中で割かし整備されてきているわけですね。要は横の調整です。だから、横の調整をして、みんなが協力して一体になって当たる、当たれるかという、そこなんですよね。
 率直に言いまして、今の制度といいますのは、阪神の大震災以来、これまでの体制に反省が加えられまして、私は相当、内閣府を中心にこういうそれぞれの緊急事態といいますか、そういった事態に対応できるようになってきていると思います。やっぱり経験を積み重ねながら一つ一つ良くなってきていると思うんでありまして、今のところの制度は、例えば各省の局長級が集まるとか、あるいはある場合には関係閣僚が集まるというような体制作りは、これは非常に進んできているんじゃないかと、こんなふうに思います。
   〔理事常田享詳君退席、委員長着席〕
 しかし、いろんな意見があるわけですね。我々はその意見に対しまして、いや、それはこうだということは答えられるんだけれども、この際、虚心に現行制度について本当に大丈夫なのかということをもう一遍よく反省するような視点に立ちましてよく検討して、変えるべきところがあれば、しかじかの理由で、これ根拠をやっぱり明確にしないといけないと思いますね。何と、何か組織をいじればいいというものじゃありませんからね。組織としてはこういう理由で現行これをこう変えた方がいいというようなことを明確にしながら、今後のこの組織の在り方については検討していきたいと、こんなふうに思います。
 差し当たりのことにつきましては、まず対応できるようになっているんじゃないかなというふうには考えております。

○遠山清彦君 井上大臣、これは何も大臣だけの責任ではなくて、合意をした少なくとも三党はしっかりと真剣に議論していかなきゃいけないテーマだと思いますが、ただ私、一点だけ申し上げると、確かに縦割りの行政というのは、日本の文化、伝統、また歴史もあるということは事実だと思いますが、横の連携したとき何が一番問題かというと、これは大臣も議員として活動されていて感じていると思いますが、やっぱり省庁間の横の連携をさせたときに、これは別に有事に限りませんよ、だれが最終的な決定権者であって、それで責任の所在がどこにあるのかというのは非常にあいまいになることが特に役所の世界多いんですね。
 大臣が今いらっしゃる内閣府も、いろんなほかの案件で私が話すると、いや、内閣府は調整するだけですからと、だから最終的な決定権も責任もありませんというようなことを内閣府がおっしゃると、その下に集まっている各省庁のお役人さん、みんなそれぞれ自分たちの担当のテリトリーにだけしか責任持ちませんので、じゃ、最終的にだれが調整して、だれが最終的に責任を負うんだというところで非常にあいまいなことがいろんな政策案件で時折見られるわけですから、これ、有事のときにそういうことあってはならないと私思いますので、是非その点を御勘案いただきたいと思います。
 続きまして、また井上大臣になるかと思いますが、具体的に米軍行動関連措置法案についてお伺いをいたします。
 その法案の第十条でありますけれども、二項において、これ防衛庁長官も関係あるんですが、米軍に対する自衛隊の役務の提供に関して十条の二項では、防衛出動を命ぜられた自衛隊がこれを実施することができると規定をされております。そのまま読み続けますと、次の三項では、防衛庁長官が内閣総理大臣の承認を得た場合には同様に自衛隊の部隊等に対して役務の提供の実施を認めております。
 そうなると、二項でわざわざ防衛出動の命令を受けた自衛隊の部隊等は米軍に対して役務の提供等の支援ができると書いておきながら、三項では、事実上、防衛出動命令下令前でも内閣総理大臣の承認を得れば同じことができるというふうに書かれていますが、これはどういう経緯でこういう法規定になったのか、御説明いただけますか。

○国務大臣(井上喜一君) この第十条の第二項ですね、これは、今委員御指摘のとおり、防衛出動を命ぜられたときの行動関連措置を書いているわけですね、行動関連措置として役務の提供ができると。第三項は「前項に規定するもののほか」ですから、ですから防衛出動が下令されてないときであります。
 したがいまして、いずれにしたって、この行動関連措置といいますのは武力攻撃事態等でありますから、武力攻撃予測事態においてはこの三項の規定を援用しまして、適用しまして、役務の提供ができると、こういうことであります。

○遠山清彦君 分かりました。つまり、この十条の三項は、防衛、あっ、違います、済みません、防衛出動下令前、つまり、武力攻撃予測事態のときにも米軍に対して役務の提供等の支援が行動関連措置としてできるということですね。
 それで、次の質問、これ関連するんですが、十条の、大臣、四項の規定で、物品の、自衛隊に属する物品の提供あるいは自衛隊による役務の提供等として行う業務の中身について書いてあるわけですが、いろんな指摘があるように、この規定によって武力攻撃事態等において自衛隊から米軍に対して弾薬の提供ができるようになったわけでございます。これは、周辺事態法においては、周辺事態の場合は弾薬の提供も禁じられていたわけでありますが、問題は、これもう衆議院でも指摘があったと思います。
 周辺事態と武力攻撃予測事態が併存できるというふうに政府は解釈取っているわけでありまして、そうすると、武力攻撃事態予測、あっ、済みません、武力攻撃予測事態の方に着目をして弾薬を提供すれば、本来は周辺事態のみであれば弾薬提供を米軍に対してできないけれども、併存しているがために事実上できてしまうと。そうすると、周辺事態法で米軍に対する弾薬の提供を禁じられているけれども、ここの項目は事実上消されてしまうということがあって、これは問題なんじゃないかという御指摘がありますが、この点についてどのような議論の整理をされているか、御答弁いただきたいと思います。

○国務大臣(井上喜一君) これも度々問題になるといいますか、議論の対象になるところでありますけれども、武力攻撃予測事態と周辺事態というのが理論的には併存することがあるということは、これは度々御答弁を申し上げているところでございます。ただ、この武力攻撃事態の認定、周辺事態の認定というのはそれぞれの法律に基づいて認定をするわけでありまして、これは違うわけですね。明らかに違うということであります。
 そのときに、武力攻撃予測事態が認定されましたときに我が国が行動関連措置として弾薬の提供ができるようになっておりますけれども、これは日米安保条約に従って、武力攻撃を排除するために必要な準備のための米軍の行動に伴い実施するものに限られるわけでございます。
 また、米軍が行動関連措置として我が国が提供した弾薬を受領し、また使用し得るのは、武力攻撃事態又は武力攻撃予測事態に際し、日本国に対する武力攻撃を排除するために必要な行動のために必要な場合に限られるわけでございます。
 さらに、度々申し上げておりますように、この日米間の調整メカニズムというのが、周辺事態におきましても、また武力攻撃予測事態におきましても、これが運用を開始されることになるわけでございまして、そういった運用を通じまして、この弾薬の提供もこの制度の規定に従いまして適切に調整が行われると、このように考えておりまして、私どもとしましてもそのような運用を図っていきたいということであります。

○遠山清彦君 私、時間ないのであれですけれども、野党の皆さんから厳しく追及される前に、ちょっと今の御答弁だと難しいのは、米軍の方が、日本の法で、法律で規定する、防衛庁長官もね、これ周辺事態と武力攻撃予測事態と武力攻撃事態と三類型に分けて作戦行動取らないでしょう、多分、米軍は。そうなると、武力攻撃予測事態に着目して、周辺事態と併存しているときに弾薬提供して、米軍はこの日本が提供した弾薬は武力攻撃予測事態においてのみにしか使いませんということを言い切れるかというと、その米軍の行動作戦を日本の国内法が制約していないという限りにおいては、これは言い切れないんじゃないかと思いますけれども、防衛庁長官、一言、簡潔に。どうせ後で野党に言われますけれども。

○国務大臣(石破茂君) いえ、おっしゃるとおり。
 それは、先生、言い切れないと言ってはいけないのでありまして、結局、脱法行為みたいなことになっちゃうわけですよね。本来やっちゃいけないことをやれるようなことに結果としてなるんじゃないかということですが、今、井上国務大臣からお話がありましたように、さればこそ調整メカニズムというものによってきちんとそれは仕分けられなければいけない。やっぱり私どもの国内法によってできないことというものが、米軍の作戦行動というものがそれが一元的になされるからといって、国内法においてできないものが結果的にできてしまったということは、私どもとしてはあってはならないことだと思っております。
 併存事態というのも、じゃ周辺事態と武力攻撃事態がどのように併存をするか、それはもう可能性としては幾つか考えられるわけですが、その場合に、私どもとしては調整メカニズムを通じましてそのようなことがないように、実際にその二つは日本にとっては異なる事態でございますので、そのようなことがないように心掛けていかなければいけないと思っています。調メカがきちんとワークするように、それは平素からきちんとした検証が必要だと考えております。

○遠山清彦君 分かりました。また野党の皆さんとやっていただきたいと思います。
 次に、またちょっと厳しめの質問ですが、井上大臣、この第十一条、第十一条の規定見ていただくと、指定行政機関も「法令及び対処基本方針に基づき、必要な行動関連措置を実施する」と書いてあるんですね。ただ、ここには前条の第四項とは違って一切条件が付いていないんです。それで、これは私、個人的にはあり得ないと思っていますよ、あり得ないと思っていますが、第一条に条件の制約が入っていないために、この行政指定機関を通じて第十条の四項では禁止されている武器の提供を日本が米軍に対してすることが可能なんではないか。だから、立法者が、法案提出者が意図的にこの第十一条では武器の提供できませんという明示を落としたんではないかという指摘が一部であるんです、一部で。
 私は、自衛隊が、自衛隊の部隊ができない武器の提供、あるいは後でも議論しますけれども、米軍も全然望んでいない日本からの武器の提供というものを、例えば国土交通省を通してとか、あるいは防衛庁本庁を通してとか、米軍に対して武器の提供をやるなんということはあり得ないというふうに思っていますが、この点について、実態上あるいは法律上もできないということでよろしいですか。確認の質問です。

○国務大臣(井上喜一君) これはもとより積極的にそのできるという根拠規定がなければできないことではありますんで、もとよりできないわけでございますし、しかもこの武器は、アメリカの国内法令でこれACSAに基づく手続の枠組みに従って他国から武器を受領することができないということは、これはっきりしているわけですから、アメリカの方もこれはもうできないということであります。また、現実的にもまあそういうことですね、アメリカが要請するような状況ではないと。こういうことでありますんで、法律のその根拠規定、あるいは米国の中の法律の規定、それから現実の要請、そういう必要性があるのかという、もういずれの点からいきましてもこれはないということであります。
 この第十一条でありますけれども、行動関連の規定、措置でありますから、いずれにしても武力攻撃とか武力攻撃予測事態じゃないとこれは発動しない規定ですからね。だから、各省庁で何かの支援ができるようなことがあれば各省庁の権限の範囲内でそれはあり得ると思うんでありますけれども、御指摘のような、武器をこの規定を援用して提供するということはないということであります。

○遠山清彦君 次に、防衛庁長官にお伺いをいたします。
 簡単な質問ですが、武力攻撃事態等発生の際に日米安保条約に基づいて米軍も行動するわけですね。これ武力攻撃排除のために行動するわけですが、その際に、自衛隊との関係でいうと共同対処ということになると思いますが、これ、双方の、自衛隊と米軍の指揮権の関係はどうなりますか。

○国務大臣(石破茂君) 指揮権は各々が持っております。指揮権が併存という形になりまして、具体的な行動はそれぞれ調整をしながら行うことになります。

○遠山清彦君 そうすると、自衛隊と米軍は指揮権の統合、共有はしないと、双方で緊密な連携調整を行いつつ武力攻撃排除の作戦行動をするということになるんですけれども、日本有事の場合は、当然、日本の国土が舞台、シアターになるわけでありますから、この国レベルの調整だけでなくて、あるいは軍隊同士の実務者レベルの調整だけではなくて、例えば、仮に日本の国内のある一部の地域で米軍自体が武力攻撃排除のために行動すると、展開すると、そうすると、その米軍が展開した地域の地方自治体とか、あるいは場合によっては民間団体との調整もやらなきゃいけないと思うんですね。
 実際に、この米軍行動関連法案の八条、第八条には、ちょっと読みますよ、こう書いてあります。政府は、合衆国軍隊の行動又は行動関連措置の実施が地方公共団体の実施する対処措置に影響を及ぼすおそれのあるときは、関係する地方公共団体の連絡調整を行うものとすると。
 それで、これ、井上大臣と防衛庁長官、どっちでも、両方でもいいんですが、これ、いろんな資料を見ますと、例えば実務レベルでは日米共同調整所というのは既に既存で、そこで調整できますけれども、でも地方自治体、日本の地方自治体、県知事と、例えば県知事周辺が武力攻撃事態に対していろんな対処取っているところに、米軍がそこに展開してきて、そこと調整が必要だったときに、だれが責任持ってその調整やるのかということは、実は具体的には全然分かんないんですよ。これ、どうします。

○国務大臣(井上喜一君) これは、基本的にはやっぱり国が責任を持ちまして調整することになると思いますけれども、ただ、現場で具体的にそれじゃどうするのかとなりますと、それはやっぱり地方公共団体の長の調整にまつところもあろうと思うんであります。したがいまして、いろんな情報をきっちりと関係の地方公共団体に伝えることはもちろんでありますし、その場合に国として必要な指示をするときはやっぱり指示をするということでありまして、この地方公共団体がその指示を、指示といいますか、状況において大変戸惑うというようなことのないようにそれは措置をしていかないといけないということは当然のことだと思います。
 したがいまして、基本のところはやっぱり国が調整をする。個別といいますか、地方公共団体限りで調整できるようなところは、国からのいろんな情報を勘案しながら地方公共団体で調整をしていただくと、こういうことになると思います。

○遠山清彦君 大臣、今の答弁だとちょっと納得できないんです。要するに、国が、だから日本の地方公共団体と米軍の間に国が間に入って調整しますと。それは概念としてはそうだと思いますよ。
 私が聞いている質問は、それ、運用上どこがやるかということが今の時点で、政府、これ明確になっていなかったら全然説得力ないですよ。ですから、例えば武力攻撃事態が起こって、まあ予測事態でもいいんですが、対処本部できるでしょう。でも、対処本部がやる総合調整というのは国内の総合調整なんですよ。地方自治体と国の、政府の間の総合調整、あるいは自衛隊も含めて総合調整しますけれども、僕が聞いているのは、米軍と地方自治体の調整が必要になったときにだれが、政府内のだれが、どこが責任持ってやるんですかということなんです。これ、もう一回。

○国務大臣(井上喜一君) 基本的にはそれは米軍でありまして、それは作戦なんかに行動いたしますこれは自衛隊ということに、それはもう当然のこととしてなると思います。

○遠山清彦君 いやいや、ですから、米軍じゃないんですよ。米軍と地方自治体の間に入って調整するところは、いや、これね、もしお考えになっていないんであれば、例えば、私が考え得るに、事態対処本部の中にそういう地方自治体と米軍の調整が必要になった場合に動く調整官を置いて、そういうスタッフ付けてやりますよということぐらいは今の時点で言わないとこれいけないんじゃないですか。もう一回。参考人、じゃ、はい。

○政府参考人(増田好平君) お答えいたします。
 ただいまの大臣の答弁に若干補足させていただきますと、まず米軍とそれから我が国政府との調整という段階がございます。これは再々申し上げておりますように、日米間の調整メカニズムというものを通じて調整が行われるということでございます。
 そういった中で、米軍の行動というものが我が政府に分かるわけでございます。その上で、政府といたしましては、正に対策本部を通じまして総合調整の一環として地方公共団体にも連絡をして、こういうことがあるよと、正にそれを具現化してこの法案の中で明文化しておりますのが第八条だというふうに理解しております。

○遠山清彦君 分かりました。あのね、法律の建前論としては私、一応ここで理解しておきますけれども、もう一問質問ありますから。
 ただ、いや、今のお話だったら、そしたら新潟県の方に、済みません、森先生の地元、新潟県に米軍が展開していて、それで国、国と調整するといって、じゃ米軍の司令官も米軍も新潟県にいるときに、すぐ近くに地方公共団体で調整しましょうといっているのに全部東京を通してやるなんてのは、これははっきり言うと米軍、プラクティカルですから絶対こんなことしませんよ。ダイレクトに地方とやる。だから、そのときに、そのときにそれは国が関与しないと、それは法律上も建前上も良くないですから。だから、私が言っているのは、そういうシステムを、メカニズムをちゃんと作るということを政府として意思持っとかなきゃいけませんよということなんです。それは防衛庁長官、うなずいているから分かるでしょう。その点、ちょっと訴えておきます。
 最後の質問、外務省、外務大臣、お願いしたいと思いますが、国際人道法違反処罰法案に関連をいたしまして、これは外務大臣よく御存じだと思いますが、戦争犯罪の問題で、やっぱり過去にいろんな事例が各国の軍隊の中であるわけですね、戦争犯罪。必ず、この戦争犯罪のいろんな事例を研究しますと、常に出てくる問題というのは上官命令の問題と上官責任の二つの問題なわけですね。
 つまり、ベトナム戦争なんかで幾つか象徴的な事例があったわけですけれども、上官が部下に対して戦争犯罪となるような行為を強要すると。部下から見れば、もし上官の命令に従わなければ上官に撃たれるかもしれないというぐらいの恐怖感を感じながら虐殺をしてしまったと。その場合に、上官から命令されたと、従わなかったら、で、軍隊の中においては上官の命令に従うことが一番大事なんだと言われているわけですから、それによって自分の罪の違法性は阻却されるということがよく言われるわけですね。
 もう一つ、上官責任というのは、部下が逆に戦争犯罪やっているのを知りながら、あるいは場合によっては知らなかったとしても、それを積極的に防止する措置を取らなかった場合に、その上官の責任が阻却されるかどうか。
 この点について、日本政府として今回こういう国内法を整備するに当たってどのような立場で臨まれるのか、お答えいただきたいと思います。

○政府参考人(林景一君) お答えいたします。
 二点、上官、上官命令の抗弁といいますか、の問題でございますけれども、これにつきましては実定法上明示的な規定を置いたものがあるわけではございません。

○遠山清彦君 ICCはある、ICCは規程はある。

○政府参考人(林景一君) 済みません、我が国に関しましてということでございます。済みません。
 ジュネーブ四条約及び追加議定書におきましては明示的な規定は置かれておりません。ただ、もちろん、今おっしゃいましたようにICCの規程三十三条、あるいは旧ユーゴ国際刑事裁判所、ルワンダ国際刑事裁判所の規程におきましては、原則として上官命令の抗弁によって責任が阻却されないという形になっております。この範囲というものについてどうかということについてはいろいろ議論ございますけれども、大きな流れといたしましては、いわゆる上官命令の抗弁の効力には相当制限があるというのが国際的な流れだろうというふうに考えております。
 二点目といたしまして、いわゆる上官責任の問題でございますけれども、これにつきましてはジュネーブ四条約には明示的な規定は置かれておりませんが、第一追加議定書の八十六条二項におきましては、上官は部下の違反行為を知っており、それを防止するためにすべての実行可能な措置を取らなかった場合等におきましては責任を免れないということになっておりまして、これは旧ユーゴの国際刑事裁判所あるいはルワンダ国際刑事裁判所、あるいはICC規程の第二十八条等におきましても、上官責任ということが原則として免れないといったようなことが書かれておるということでございます。ただ、これにつきましても、やはり範囲ということについては明示的に定まっているということではございません。

○遠山清彦君 終わります。

※政府参考人
増田好平氏(内閣官房内閣審議官)
林景一氏(外務省条約局長)