○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。
 我が党は、この児童虐待の防止等の法律の改正については党を挙げて推進をしてきたわけでございまして、今日、提案者の一人として答弁に来ていただいております富田議員を中心にやってきた経緯がございますので、この改正案に対しましては賛成の立場でございますけれども、幾つか基本的な質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 提案者に伺います。
 まず、今日の委員会で何度も出ておりますけれども、岸和田の中学校三年生の男児が食事を与えられずに衰弱死寸前まで虐待をされた事件では、児童相談所が立入調査権を行使しなかったことが問題になりました。これまで全国で起こっております他の多くの虐待事件でも、やはり児童相談所がなかなか立入調査に踏み切らなかったということが背景にあるというふうに言われておりますけれども、なかなか児童相談所が立入調査に踏み切りにくいというこの背景の理由ですね、どうしてなかなか立入調査が今までできなかったのかということについて、提案者の間でどのような議論があって今回の改正案を提出されたのか、お伺いをしたいと思います。

○衆議院議員(石井郁子君) お答えいたします。
 岸和田の事件と立入りの関係というのはちょっと簡単にはいかない問題も含まれているかと思うんですが、それはちょっとおきまして、立入調査については、平成十二年の児童虐待防止法の制定によりまして、児童虐待が行われているおそれがあるときに行うことができる旨が規定されております。平成十一年度には四十二件行われました。平成十二年度に九十六件、平成十四年度には百八十四件と、その活用が図られるようになってきたものと認識しているところでございます。
 しかしながら、一方で、初期の調査や介入の段階で安易に立入調査を行いますと、保護者との摩擦が大きくなる、後のソーシャルワーク援助において支障となったり、結果として親子再統合が困難となるなど、子供にとって望ましくない状況を招きかねない、こうした理由から、児童相談所はできる限り保護者の理解を得ることを優先すると、立入調査の実施に極めて慎重であったということがこれまでの実施状況に影響を及ぼしている面もあるのではないかと考えているところでございます。

○遠山清彦君 ありがとうございます。
 続きまして、法案の第十条第二項関係でありますけれども、警察署長に対する要請に関連をいたしまして、ちょっと引用いたしますと、児童相談所所長又は都道府県知事は、児童の安全の確保及び安全の確保に万全を期す観点から、必要に応じ適切に、警察署長に対し援助を求めなければならないものとすることとなっておりますけれども、この中で、必要に応じ適切にという点につきまして、これを担保するという観点から、児童相談所の所長や知事に対しまして運用上どのように厳格な規定を設けていくのか、伺いたいと思います。

○衆議院議員(富田茂之君) 委員御指摘のように、児童の安全を確保するために、必要に応じ警察官の援助を求めるというのは大変に重要なことであると私どもは考えております。現在、警察官の援助につきましては、児童相談所運営指針や子どもの虐待対応の手引きにおいてその対応の在り方等について指摘がなされているところであります。
 若干その中の部分を説明させていただきたいんですが、児童相談所運営指針の第十一節、警察との関係というところに、五として虐待事例等における連携という規定がございます。その中に、(2)として、立入調査における連携として、「立入調査に当たっては、必要に応じ、児童又は調査担当者に対する保護者等の加害行為等に対して迅速な援助が得られるよう、児童虐待防止法第十条により警察官に対する援助の依頼を行い、これに基づく連携による適切な調査を行うとともに、状況に応じ遅滞なく児童の一時保護を行うなど、児童の福祉を優先した臨機応変の対応に努める。なお、警察官への援助の依頼については、緊急の場合を除き、行政組織を一体的に運営し、児童の保護の万全を期する観点から、文書により事前に組織上の責任者から責任者に対して行うことを原則とする。」というふうになっております。また、六、その他の(2)として、「児童相談所は警察と定期的に連絡会議を行う等日頃から、情報の共有や意見交換の機会を持ち常に十分な連携を図る。」というような指針がございます。
 現行法上もこれに従って運用がなされていると思いますが、私ども委員が聞くところによりますと、厚生労働省といたしましては、今回の法改正の趣旨を十分にしんしゃくされ、その適切な運用を図っていくこととしており、関係省庁とも協議の上、児童相談所の職員などの実務的ガイドラインであるただいま御紹介いたしました児童相談所運営指針や子ども虐待対応の手引きを今般の法改正に合わせて改定し、具体的な取組を明確にしていく考えというふうに聞いております。

○遠山清彦君 今の御答弁の中で、私も非常に重要だと思いますのは、やはりこの児童相談所のスタッフと地元の警察との日ごろからの日常的な連携、あるいは協議、意見交換といったものがしっかり行われないと、やはり事件あるいは事案が惹起した際に迅速な対応がなかなかできにくいのかなというふうに思っておりますので、是非この点については坂口大臣にもしっかりと対応方をお願いをしたいと思っております。
 続きまして、三番目の質問でありますけれども、今回の改正で、裁判所の令状なしの警察官の立入調査が安易に行われるのではないかというふうに、逆に、警察官の援助は、警察官に対して援助を求めることは大事であるけれども、令状なしの警察官による立入りが安易に行われるようになりはしないかという懸念の声があることも事実でございます。その点について提案者から所見を伺いたいと思います。

○衆議院議員(小泉龍司君) 先生御指摘になられましたとおり、警察官が一度入りますとやはり親子の間に大変深い亀裂が入ります。元に戻すのが容易ではない、そういう心配も確かに深くあるわけでございます。しかしまた、適切に保護したい。ここの兼ね合いをどうするか。
 我々も立法過程で大変議論いたしましたけれども、まず、今回の結論としましては、十条にございますように、現行の警察官職務執行法の適切な運用を期していこう、こういうことでございます。これは、あくまでこの法律の枠内の考え方は、警察官というのは側面支援でございます。主体として入るのは児童相談所の職員等専門家でございます。それを側面から支援していこう、こういう考え方でございます。現実に十五年中に、昨年、九十二件の警察官の援助要請がございまして、そのうち五件が立入りを拒否をされました。しかし、説得して説得して、合いかぎを持ってくる、おじいちゃんを連れてくる、様々な工夫で、そのうちの三件はドアが開いたということがございます。二件だけはチェーンカットいたしました。
 こういう形で、現状においては警察立入り権の濫用は起こっていないと思いますけれども、今後そういう点についても十分法の適正な執行を期していきたいと、このように思っております。

○遠山清彦君 続きまして、最後に、提案者に対する質問としては最後ですけれども、虐待を受けた子供に対する支援措置が今回の改正で新たに盛り込まれたということになっておりますけれども、具体的にどのような措置が盛り込まれたのか、またその重要性についてお伺いをしたいと思います。

○衆議院議員(石毛えい子君) 委員御指摘のように、虐待を受けた子供に対する支援が盛り込まれたという点は、今回の改正点の最も大きな注目すべきポイントの一つであるというふうに発議者として申し上げたいと思います。「支援」という文言自体は、法の目的を規定いたしました一条を始めといたしまして、四条一項、三項、あるいは五条二項というように、随所に「支援」の文言を盛り込んでおりますが、具体的にその施策を規定しておりますのは第十三条の二でございます。ここでは、まず、国及び地方公共団体は、虐待を受けたために学校での学習が遅れてしまった児童について、年齢やあるいは能力に応じて十分な教育が受けられるようにするために、教育の内容、方法の改善、あるいは充実を図る等の施策を講じなければならないというようにしております。
 もう一つの点でございますが、国及び地方公共団体は、児童虐待を受けた児童が十八歳になった後も含めまして、自立を支援するために、居住の場所の確保、進学あるいは就業の支援その他の自立の支援のための施策を講じなければならないとしております。このことによりまして、虐待を受けた後に保護者との関係が絶たれてしまったような場合の際にも、施設を退所する場合において、アパートを借りる際や就職の際の保証人の問題、あるいは高等教育を受けるための学資の問題、就職をする際にアパートを借りることができないというようなことで、これまで住み込み形式の職業の選択に偏りがちであった、そうしたことを是正していく、解決していくというようなことが具体的な施策として期待をされているところでございます。
 発議者として繰り返させていただきますが、今回は、第一条の目的の規定におきまして、虐待が児童の人権の著しい侵害であることを明確に規定をいたしまして、予防、早期発見、保護という一連の施策、その施策に加えまして、さらにただいま申し上げました自立のための支援を具体的な施策として規定したところに、これ繰り返しでございますけれども、この改正法案の大きな意義があるというふうに考え、是非とも、今後この意義が十全に発揮されるようにと期待をしているところでございます。
 以上です。

○遠山清彦君 御丁寧な答弁ありがとうございます。本当にその方向でしっかりと法施行時には運用が行われることを私も同様に強く期待をしたいと思います。
 最後になりますけれども、厚生労働省にお伺いをいたしますけれども、やはりこの児童虐待防止の改正案が通りまして、そして今朝のこの委員会で同僚の委員からもございましたけれども、いろんな意味で予算措置を拡充をしていかなければいけないんではないかというふうに思っておりますけれども、この予算の拡充について最後に厚労省からお伺いをしたいと思います。

○国務大臣(坂口力君) 今回の予算におきまして、対前年度でございますけれども、三・五倍の予算付いたわけでございます。したがいまして、これらを使ってより効率的にこの虐待防止のために使用しなければいけないというふうに思っております。
 一つは、家庭だけでは養育が困難な世帯に対しまして、保健師でありますとかあるいは子育てOBといったような人たちに訪問をしていただいてお話合いをするケースを増やしていく。皆さんに、やはり自分たちだけではなくて、いろいろなことが聞いてもらえる人がいるということが最も大事だというふうに思いますので、そうしたことができるようにしていきたい。
 それから、施設をもう少し小規模化をいたしまして、できやすくしていきたいといったこともございますし、家庭支援相談員、名前をどうするかは別にいたしまして、そうした専門の御相談に乗るような人たちも増やしていくといったようなことを行う。里親制度もございますし、なかなか、里親制度もあるんですけれども、まだ十分に理解をされているとは言えない状況にございますから、皆さん方にやはりこの里親制度というものをよく理解をしていただいて、そして多くの人が里親になっていただけるような体制というのも作り上げていかなければならないというふうに思っております。自立援助ホームといったようなところの設置箇所数の増加といったことも大事だというふうに思っております。

○遠山清彦君 以上で終わります。ありがとうございました。