○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。
 今日私は、参議院決算委員会、文部科学省を中心にいろいろと質問をさせていただきたいと思いますので、河村大臣、よろしくお願いいたします。
 まず最初に、科学研究費補助事業、いわゆる科研費の問題について幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 今年三月二十六日でありますが、東京慈恵会医科大学の教授がこの科研費約二千五百万円を不正流用したことを理由に懲戒解雇処分される事件がございました。この科研費の不正流用、不正使用の事件はここ数年大変に多うございます。多うございますというよりも、暴露されたもの、事件になったものが多いということも言えるかもしれませんけれども、以前にも東京大学の副学長まで歴任した教授が約一千三百四十万円の科研費を空出張などで不正流用したことが発覚して処分されたこともございました。  こういった一連の問題があるわけでありまして、私、今日質問をさしていただきたいんですが、まず最初に、基本的な数字を確認する意味で質問さしていただきます。
 この科研費の補助事業というのは、国が大学の研究者等に研究費を助成する制度でありますけれども、平成十四年度、今回の決算の対象になっている十四年度の新規、継続合わせてのこの研究課題の補助対象の採択件数と、措置した予算の総額を教えていただきたいと思います。

○政府参考人(石川明君) 平成十四年度の科学研究費補助金についてのお尋ねでございます。  
まず、件数についてでございますけれども、新規の採択が二万一千五件、継続につきましての採択分が二万三千八百六十七件、合わせまして四万四千八百七十二件となってございます。そして、平成十四年度の科学研究費補助金の決算額は一千五百七十五億二千七百五十万円でございます。

○遠山清彦君 ということは、この平成十四年で四万四千件余りの科研費の補助事業が案件としてありまして、千五百七十五億円の、決算ですから、予算が措置済みということになっているわけです。
 会計検査院のこの平成十四年度決算報告の中では、平成十一年から十四年の期間に科研費の交付内定を受けた研究課題のうち、これ引用しますと、研究期間内、研究期間の間に研究機関から異動したり長期間離れていたりなどしていた研究代表者にかかわる研究課題千十七件につきまして調査をしたところ、その一割を超える、まあ二割に近い百七十三件について、この研究代表者が資格要件を満たしていなかったことを報告しております。まあこれ、調査母数考えますと、問題の氷山の一角なわけですね。
 大臣もこれ記者会見で今年に入ってからおっしゃっていますけれども、幾つかの大学、特に医科大学の医局に、あるいは医科大学の教授の研究室に支給された科研費の研究費の中には、その研究代表者がこの補助金が出る前から海外へ留学しちゃっているケースもあるんですね。あるいは、補助期間が二年間で、最初の二、三か月だけその大学にいて、その後、海外にさようならと。もう大臣もよく御存じな事件のケースでは、研究代表者はいなくなっているわけですから、払われたお金はほかの人に、ほかの研究員に教授の裁量で、じゃ、おまえ使っていいよというふうにやっていたと。これはもう完全な不正使用、不正流用ということが起こっているわけです。
 実は、もう大臣よく御存じのとおり、平成十三年度決算に関する内閣に対する決算委員会の警告決議で、この科研費の不正の使用の問題について再発防止のための対策を求めております。どういう対策を取られたのか、お聞きします。

○政府参考人(石川明君) 平成十四年度決算の警告決議についてのお尋ねでございます。
 研究経費の不正使用に関しましては、ただいまお話ございましたように、昨年、参議院の方から、「研究費使用について必要な制度改善を一層進めるとともに、綱紀粛正、内部監査の強化等の指導を図り、この種事案の再発防止に万全を期すべきである。」という平成十三年度決算に対する警告決議をいただいたところでございます。
 文部科学省におきましては、昨年の四月に、全国の国立大学等に対しまして、研究経費の不正行為の防止についてという通知を発出いたしました。その中で、研究経費について臨時の内部監査の実施を求めました。それから、会計事務に係る調査の積極的な実施ですとか、あるいは教職員に対する研修等の実施によりまして、より一層の再発防止に努めるよう指導したところでございます。また七月には、研究機関の実務担当者、これ千六百人余りでございますけれども、東京に招集いたしまして、不適正経理の具体的な事例を示すなどいたしまして、臨時説明会を開催して適正な経理・管理につきまして周知徹底を図っております。さらに九月には、取扱規程、科学研究費補助金の取扱規程を改正いたしまして、研究費の不正な使用を行った研究者につきましては一定期間、科学研究費補助金の交付の対象としないというような措置を導入してございます。
 これらのこと、もろもろの取組をいたしておるところでございまして、文部科学省といたしましては、今後とも研究費の不正使用の防止に向けて全力で取り組んでまいりたいと、このように考えております。

○遠山清彦君 今の御答弁は若干、この間、財務大臣が、政府が去年の当委員会の決議に対して、警告決議に対して取った措置として要約しているものを若干詳しめにおっしゃった内容だと思う、要するに二つやったと言っているんですね。
 一つは、文科省所管の国立大学等に対して臨時の内部監査及び教職員に対する研修等を実施するように指導したと。私、通知も全部読ませていただきました。しっかりと通知は出しておりました。もう一つは、正にさっきも言ったように、空出張やって、もう国民の税金ですよ、この科研費を一千万円以上ですね、出張したふりをして不正使用した、流用した、横領したと言っていいのかどうか分かりませんが。そういうことをした研究者については、これは一定期間と今おっしゃっていましたが、要するに二年から五年の間、この補助、科研費の対象としないという措置を取ったということでございます。
 それで、ちょっと文科省、もうちょっと政府参考人、詳しめに聞きたいんですが、この国立大学に対しての臨時の内部監査、それから教職員に対する研修を実施しなさいよと通知は出しましたけれども、出してから、最初のやつ出してからほぼ一年になるかと思いますが、これは何件ぐらい具体的にやったという報告を受けているんですか。

○政府参考人(石川明君) この四月の通知に基づきまして内部監査の実施を求めております。これにつきましては、内部監査の実施をして、もし手続等に不十分なところがあればこれをすぐに是正するように、またそれによって不正が見付かった場合には直ちに報告するようにという指示をしてございます。その結果……

○遠山清彦君 何件、何件。

○政府参考人(石川明君) はい、件数といたしましては全部のすべての国立大学に対して内部監査の実施を要請しております。

○遠山清彦君 いや、だから要請したんじゃなくて、要請を文科省がして、それをちゃんとやりましたという報告を受けていないんですか。

○政府参考人(石川明君) これはすべてについて内部監査が実施されておるというふうに承知しております。

○遠山清彦君 教職員に対する研修はどうですか、研修。要するに、あのですね、この問題は、私も大学の教員二年やっていましたからよく存じておりますが、要するに大学の教員の個人のモラルの問題が非常に大きいわけですよね。本来、大学の教員までやっている人に、国からこういう用途で使いなさいと言われたお金を、こういうほかに使っちゃいけませんよなんという指導をすることは本来おかしな話なんですが、しかし、しなきゃいけないぐらい事件起こっているんですね。私、大臣も御存じだと思いますけれども、私これ手元にちょっと関連の記事集めただけでこんなにあるんですよ。愛媛大学もやっているし、いろんなほかの医科大学でもありますしね。
 だから、教職員に対する実施はどうなっているんですか。

○政府参考人(石川明君) 教職員に対する研修等の実施につきましても、これは期限を切りまして、五月、失礼しました、当時の四月の通知でございますけれども、五月の十五日までにその研修の計画について報告せよということでございまして、すべてのところで研修が実施若しくは計画をされておるというふうに承知しております。

○遠山清彦君 じゃ、今、局長の御答弁は、すべての国立大学で臨時の内部監査もやり、そして研修も、教職員に対して不正な流用しちゃいけませんよと、やったということですね。もし今後、国立大学で科研費の不正使用が発覚したら、文科省も、検査結果を、ああそうですか、やったんですかと丸のみしたという意味では、責任出てきますからね。
 大臣、これ、あれですよ、国立、後で私言う話に関連しますから言いますけれども、大学当局が研修ちゃんとやりました、不正使用しちゃいけませんよというふうに指導をやりましたと、それから臨時の内部監査ですか、監査ですからね、かなり強力な言葉ですから、監査をしっかりやりましたよと、全部の国立大学報告していて今後こういう問題起こったら、これ大問題ですからね。この点は指摘します。
 次に、大臣にこれは御答弁をいただきたいというふうに思いますが、先ほど私申し上げたとおり、いわゆる不正流用した研究者に対してはこの科研費の補助の交付を一定期間禁止をしますと。それから、四月二日の読売新聞の記事によりますと、正に今月からは共同研究者も、いわゆる研究代表者だけじゃなくて共同研究者も連帯責任を負って、一年間にわたって科研費を申請できなくなるという厳しい措置をしたということも新聞にも報道をされておるわけです。ただ、私はこれは甘い措置だというふうに言わざるを得ません。なぜならば、先ほど東京大学の名前を出しました。この委員会の中にもそこの大学の出身者の方が多くいらっしゃるかもしれませんけれども、これ東京大学でも二度、最近でも起こっているわけですね、事例があるわけですね。
 そこで、私は、連帯責任と言うんであれば、一つの大学なり研究機関でこの科研費の不正が起こったと、一回ですね、そのときは研究者本人に対して制裁措置というか、そういうものを取ると。もし同じ機関で再度起こった場合には、私は、その大学、研究機関に所属する全員がこの科研費の申請資格を少なくとも一年ぐらい失う、なくすと、ぐらいの厳しい措置を取らなければいけないというふうに思っております。そうなれば、例えば大学の教員で、まあ意図的にせよ出来心にせよ、自分が国からいただいた、元々国民の税金である科研費の補助金を不正に流用しようとしたときに、それが発覚して自分が不利益を被るのはともかくとして、自分の所属する大学のほかの研究者にも全部これが来年及ぶとなれば、それは相当な抑制効果になりますよ。本当はこんなこと言わなければモラルが保てない大学の教員の質に問題あると思いますが、しかし現実にこれだけ多発していることを考えたら、私はここまで踏み込む必要あると思うんです。
 大臣は、実は私、調べて分かったんですけれども、一月二十七日の会見でそこまで言っているんですよね、もうその不正使用した研究者出した大学全体にも責任負わせなきゃいけないということを言っているんです。ただ、その後に、事務方の抵抗を受けたのか何か知りませんが、これトーンダウンしているんですよ、トーンダウンして共同研究者だけ一年間とかね。それ、甘い。
 大臣、私も大学の講師、二年間だけですけれども、やりました。やった感覚で言いますと、やっぱり、自分はともかく、ほかの同じ大学の教員に迷惑掛けるとなったら、これやりませんよ。自分で抑制します。どうですか。

○国務大臣(河村建夫君) 正に研究者のモラル、医師のモラルの問題だと私も思いまして、この話を聞いたときに、今甲子園も終わったところですけれども、あれ、甲子園の予選のときにだれかやったら全部出場パアになるじゃないかと、こう言ったんですよ。  私も同じような思いを抱いておりまして、ただ御指摘の点、私も内部でいろいろしたんですが、その場合に、特別に優れた研究をしている、それがストップするということになると、これは言葉を大きく言えば国益を損なうような実験も中にあって、そういうこともあるんで、ちょっと一遍にそれまで行くには影響大き過ぎるんじゃないかと、こういう御指摘もあったものでありますから、当面その申請者の資格対象については共同研究者までと、こう今いたしておりますが、しかし今後の課題としては、おっしゃるように、そのまた期間内にまた起きるとか、それからこの流用の内容ですね、同じ研究者、同じ研究の方向に向かってこの人がもらったんだけれどもとか、そういうこともあるかも分かりませんが、しかし流用の状況によってまた同じ事件が繰り返されるということになれば私はそこまで考えないと、残念ながらそれでなきゃ止められないというなら私はそこまで考えなきゃいけない課題かなと、こう思っておりますが、まず共同研究者までしても相当影響が出るんで、この点でまず見て、当面これで見ようと。しかし、今後こういうことが頻発するようであれば、そのことも含めて考えなきゃいかぬと、私はこう思っております。

○遠山清彦君 大臣の後段の御発言で、もし今後も大学の研究者等による科研費の不正流用が続いて、とりわけ発覚した場合、何しろ、確かに国益を損ずるような、大事な研究をされている、まじめに研究をされている教員がいることも私は存じ上げておるつもりです。確かにそういう人たちに影響が出るということは問題なんですが、しかし、この不景気のときに、国民の税金二千五百万円不正流用したとか、東大の副学長までやった人が空出張をやって一千三百四十万円も、何に使ったのか知りませんけれども、学生と飲んだのか懐へ入れたのか知りませんが、しかし一年間や二年間で一千三百四十万円も懐へ入れて、それで別に刑務所行かないんですよ、この人。懲戒解雇されただけじゃないですか。ですから、これは、だって役所だって、私、勤めたことありませんので分かりませんけれども、二十万とか三十万着服しただけでも場合によっては刑事罰とか問われるんじゃないですか。それから見たら、この科研費の処分とか今の文科省の措置はやっぱりちょっと甘いんですよね。
 ですから、研究は大事だというのはおっしゃるとおりです。大臣も恐らく思いとしては私と同じだと思うんですが、まあ今日のところは、引き下がるわけじゃありませんが、もし同じような事件が今後起こったら文科省としてはより厳しい措置を、これいろいろやりようがあると思うんですよ。大学全体に広げなくても、学科とか学部に限定してやってもいいわけですし、そうしたらその学科とか学部の教授同士で、こういうことは本当にやめようと。いや、やめようと言ったら今やっているみたい。ないようにしようということに、申合せにしますしね。これは、文科省があるいは学術振興会議が領収書とか全部チェックするわけにいきませんからね。本当にどこまで行ったって最後は本人のモラルなんです。だから、それを促すということを検討していただきたいということで、今後の課題とさせていただきたいと思います。  続きまして、ちょっと厳しい話が続いて大臣に申し訳ありませんが、医師の名義貸しの問題についてお聞きをしたいというふうに思います。
 先ごろ、北海道の岩見沢市の元病院長らが、勤務実態のない医師の名義を借りて、介護報酬、これは幾らでしたっけ、十三億円ですね、介護報酬十三億円を得ていたことが詐欺罪に当たるという、認定される判決が出ました。医師の名義を借りた行為が犯罪だというふうにされたわけですけれども、そこだけ見るとこれ厚生労働省じゃないかと思うんですが、名義を貸している人はだれかというと、これは文科省も既に調査済みでありますけれども、ほとんどが国公私立大学の医学部に籍を置く大学院生であったと。  しかも、これらの大学院生が個々人で動いていたわけではなくて、国立大学の教職員までもが名義貸しに関与していたことが明らかになっており、いわゆる医局が組織ぐるみでこの名義貸しに関与をしていたと。
 名義を借りる病院側としてはやはり、これは別種の問題でもあるんですが、医師数の確保によって診療報酬の減額を避けるというメリットがあったというふうに言われております。他方、名義を貸す大学、医局側としては、大学病院で無給で働く、これ自体問題なんですが、無給で働く大学院生のアルバイト代を出してもらえる、あるいは、新聞にも出ておりますけれども、保険証をこの名義を貸している病院から発行してもらえるということがありまして、両者のもたれ合いになっていたと。
 それで、この一連の事件は、悪いこととは知りつつ、しかし仕方がないということでやってきたのかもしれませんけれども、有罪判決が出たわけですから、この医科大学の医局ぐるみとされる名義貸しの行為について、やはり文科省として主体者意識を持って責任ある対応をしなければいけないというふうに思いますけれども、文部科学大臣の責任ある所見をお伺いいたします。

○国務大臣(河村建夫君) この問題出まして、平成十五年九月に全医学部を置くすべての国公私立大学対象に、その実態と防止対策、防止方策、調査をいたしました。  名義貸しに至ったきっかけは、特に名義貸しをたくさん出した大学に聞いたところによりますと、医局の医師からアルバイトの紹介だけでなく医療機関から直接依頼を受けたり、先輩医師から紹介されたケースもあって、大多数が名義貸しという認識がないままにアルバイト紹介等に安易に応じたと、こういうケースが多いと。仕方ないという部分もありますし、余りそういう意識がなかったということがあるということでありました。
 ただ、実態調査において名義貸しを意図して紹介を行った医局の医師、五大学で六名、調査対象七十九大学、七万三千五百六十二名でありまして、この調査結果からすると、名義貸しに医局がかかわって、そこの医局ぐるみでやったということになると、もうひとつ明確でないという点もあります。しかし、これはやっぱり、正に名義貸しをやって実際に勤労、働かないのにその報酬をもらっておったというようなケース、一種の詐欺になるわけでありまして、こういうことについてはやっぱりちゃんと根絶していかなきゃいかぬと。また、国民からもこれは変だと思われているわけでありますから、こういうことは絶対に防止しなきゃいかぬということで、医師の紹介、各病院に対して医学部から紹介して医師が行く場合がありますが、この紹介のシステムはやっぱり透明化する必要があると、こう思っておりまして、このことを指導を徹底するように要請をしたところです。
 それから、この問題については今遠山委員も御指摘ありましたが、やっぱり病院側も診療報酬を確保するために医師、医者が確保されていなきゃいけない。要するに、医師不足の背景があるわけですね。これも慢性的な医師不足というのがあるので、これは医療政策上の問題でありまして、私も予算委員会で御答弁を申し上げたんですが、一方では医師を抑制しろと言いながら現実には医者が不足している部分もあると。この辺の医療政策は、これは厚生労働省側とも提携をして、名義貸しの根絶と地域医療ですね、地域医療の充実、この両面からこの問題には解決策を取っていかなきゃいかぬと、このように考えておるところであります。

○遠山清彦君 いや、文部大臣御指摘のとおり、この問題は、私、根が深いし、背景は結構多様だと思っているんですね。私、この間の参議院の厚生労働委員会で、へき地医療対策について厚生省側の方にもっと、やっぱり過疎地とか山間部とかあるいは離島に非常に深刻な医師不足の問題抱えている地域にもっともっと、自治医科大学の学生ばっかり行っているんです。そうじゃなくて、ほかにもそういう地域で頑張りたいという若いお医者さんが行けるように、私はもうへき地手当ぐらいまで出して行政やるべきだということを主張しているんです、それはちょっと今、今日の委員会とは違うんですけれども。確かにこの名義貸しの裏には地方の医師不足というのがあると。
 それからもう一つ、ただ文科省としてちゃんとできることは次の問題だと思うんです。それは、やはり大学によって差があるでしょうし、医局によっても差があるでしょうし、その医局を統括する大学の教授の質によっても違いがあると思いますけれども、やはりいろんな新聞報道やテレビ報道で既に明らかになっておりますが、こういう医局員として働いている若いお医者さんたちは相当悲惨なコンディションで生活をしていると。そこの医局のトップである教授にある意味生殺与奪の権を握られていて、不義なことがあっても逆らえば未来がなくなると。そういう一種異様な封建体質を、いまだに医科大学の医局の中にあるということを私はいろんな調査で認めざるを得ません。そこについては、文科省としても、しっかりとメスを入れて改革をしていただきたいと思います。
 ところで、大臣、申し訳ありませんけれども、これも大臣にちょっと聞きますが、文科省がこの四月から新しい医師臨床研修制度を導入すると。これは、今私が指摘したような弊害をなくしていくために取る方策でもあるようですけれども、要するに、研修医を今までみたいに内科とか外科とか一つの科だけではなくて、内科、外科、産婦人科、地域医療など各分野を一定期間ずつ回ることを義務付ける新しい研修制度なんですね。
 ところが、これで問題が発生をし始めておりまして、つまり、これを導入すると、今度医局に、いわゆる私が今申し上げたような若い医局員がいなくなると。で、医局が人員不足を起こして、今まで地方に派遣をしていた医師を呼び戻すということが副作用的に起こってしまって、この結果、地方の病院の医師不足に拍車を掛けるという、やや意図していなかった問題が今生じていると言われておりますが、この点について、大臣としてどういうふうにお考えになるか。

○国務大臣(河村建夫君) 遠山委員御指摘の点、新しい医師の研修制度によってこうした問題があるということ、これは私も聞いておるところでございまして、この制度によって大学側は医師をきちっと確保しなきゃいけなくなったと。要するに、病院に行っているやつ引き揚げなきゃいかぬという現状、現実が起きていると、こう聞いております。
 特に大学病院は地域の中核的な医療機関でありますから、これは、地域医療機関から医師の照会があった場合には、本人が合意すれば紹介をするというこのシステムを作ってきたわけですね。しかし、現実に、医療機関へ、ほかへ回るとか、あるいはもう雇用条件合わないとか、当該の医師が開業したとか、その後任の医師がなかなか派遣できないという事例が増えておるというふうに聞いておるわけでございます。
 そこで、今、遠山委員御指摘のように、新しい臨床研修が、いろんな科を回させるとかそんなことがありまして、短期間でどんどん変わっていくというようなこともあって、大学病院もその医療供給体制を変更する必要が生じております。こういうことについても考えなきゃならぬということ。
 それから、研修医のアルバイトも禁止したと。原則禁止という方向が出ておりますので、これは、これから大学病院、それから地方の医療機関、両方において、これ、よっぽどこの協議体制を作りませんと、今御指摘のような問題がもっと攪拌していくんじゃないかと私も心配しております。
 そこで、この両者の関係においてその不足が出た場合に、この話、相互の理解を得ながらその医師の配置ができるようにどうしていったらいいかということを考えていかなきゃならぬということで、今、厚生省、それからいわゆる地方自治、総務省も連携をしていただきまして、地域医療に関する関係省庁連絡会議、これを持ちまして、今この取りまとめの中で都道府県の医療関係部局、あるいは大学と地域の医療機関などの協議会、こうしたところで、これらの協力体制をどうするかということで今取組を進めておるわけでございます。
 医師は定着しない、さっき、離島、辺地等へなかなか行く医者がいない、こういう問題がございます。これは、地方の各大学の医学部を持っているところにはその地域枠を若干設けて、地域に定着させる方策も取ったらどうかというようなことも今進めておるわけでございますが、いずれにしてもそうした医師の確保、これは大きな問題でございまして、深刻に受け止めながら、できるだけ大学側がこれに協力できるような関係省庁との連携、これをしっかりひとつ推進をしていきたいと、このように思っております。

○遠山清彦君 正に大臣今おっしゃったように、実は、これはもうここまで来ると文科省だけの問題ではもう全然なくて、これは厚労省の側でやはり地域医療、へき地医療の方の医師の充実をどういうふうにしていくのかと、これはもう、私、この間、厚労委員会でさんざん詳しく質疑をさしていただきましたけれども、まだ取組が不十分。
 たしか北海道、東北は、望ましい医師の数に対する充足率が五割程度なんですね。ところが、日本全体の医者の数で考えると、医者が増え過ぎて過剰だなんという話になっているんですよ。東北、北海道は五割ですよ。沖縄は、私よく回りますけれども、離島なんか行ったら、もうどこ行ったって医者不足で大変です。文科大臣、沖縄の離島へ行ったら大変なことになりますよ。
 そういう状況をどうやっていくのか。これ、厚労省、文科省、それから総務省との壁乗り越えて、やはり地方の人々、特に高齢化もスピードが速いと言われているわけでありますけれども、どういうふうにこれから対応されていくのか、御答弁願いたいと思います。

○政府参考人(岩尾總一郎君) 先生御指摘のように、地方の医師確保の問題は私ども重要な課題と認識しております。先生おっしゃったように、医師の数、現在二十六万人ほどおりますが、毎年七千人ほど新規に入ってきます。亡くなる方もいるとしても、五千人弱は毎年増えていくということですから、どのように適正に配分していくかという、私どもとしては地域偏在の問題をどのように改善していくかということは大きな問題だと思っております。
 あと、専門、医師の専門性の問題その他もございますが、このような中長期的、総合的に対策を進めるということが必要だと認識しておりますので、引き続き文部科学省を始め関係省庁と十分協力しながら、医療計画の見直し、医師需給見通しの見直し、地域における医師確保の新たなシステムの検討など、総合的に取り組んでまいりたいと考えております。

○遠山清彦君 ありがとうございます。これについては、今後も厚労委員会等でも私も注視をしていきたいというふうに思っておりますので、対応方よろしくお願い申し上げたいと思います。
 続きまして、また文科省にお伺いをいたしますけれども、今年度から海外に留学する日本人学生に対する奨学金制度が創設をされました。私もイギリスの大学院に六年間留学をしていたこともございますし、また公明党としても強く主張をしてきた政策の実現になるわけでありまして、大変に歓迎をしております。
 もう大臣も御存じのとおり、今日、海外の大学や大学院で学びたいという若者は日本では大変に増えておりまして、特に真剣に学位を、海外の大学、大学院で学位を目指して学ぶ学生を応援するということは非常に大きな意味があるというふうに私は思っておりますし、日本全体の発展につながるというふうに確信をしております。
 ただ、一点だけ確認をしたいというか質問したいことがございまして、この今年創設された制度は予約採用方式となっているんですね。つまり、日本の大学、高校に在籍していないと利用できないんです。これ、貸与の奨学金の話、私今しているんですね、借りるやつですね。これはちょっと私は厳し過ぎる要件なんではないかなと思っているんですね。
 つまり、大学を出てから一度社会で数年経験を積んでから海外の大学院行きたいという人は使えないんです。あるいは、日本の高校を出て海外の大学行って、そのまま海外の大学院行く人は、今、海外の大学に在籍しているためにこれ使えないんです。これは実態に合っていない。貸与ですよ、給付じゃなくて。給付の方もあるんですが、百人だけ。貸与の方、これ、たしか千人ぐらい対象だったと思うんですけれども、これ、私、要件厳し過ぎると思うんですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(遠藤純一郎君) 十六年度から新たに海外留学の支援の制度を設けたわけでございます。全く新しいものでございますから、限られた財源を有効活用し、十分な事業実施効果を確保すると。こういうことで、在学中から目標に向かって計画的に海外の大学等に進学を希望する者であって、海外の大学等を修了する十分な能力を有する者、これを貸与の対象とするということで、我が国の高校、大学等の卒業見込み者につきまして、その学校長の推薦でそれらの状況を確認するということで、十六年度からスタートをしようと、こういうことでございます。
 厳し過ぎるじゃないかという御指摘もございます。この貸与対象の在り方等につきましては、今年度からということもございまして、事業の実績、学生のニーズ踏まえながら、今後どういう対応が可能か検討していきたいと、こう思っております。

○遠山清彦君 ちょっと、要は、今年初めてやるから実績を見てというように私今受け取りましたけれども、私自身留学をした者として、あるいは大学の教員として学生を留学、送り出した人間としては、非常にちょっとこれは実態に合ってない要件ではないかという思いは捨て切れませんので、今後の実績の推移を私も注視をしながら、必要があれば変えていくというスタンスを御理解をいただきたいというふうに思っております。
 私、時間がないのでもう質問じゃなくて、これ文科大臣に一点だけ聞いてほしいんですね。
 今、若年者の雇用対策の一環で若者自立・挑戦プランというのが出ていますね。その中で文科省も重要な役割を果たしているんですが、文科省から資料をいただくと、キャリア教育総合計画みたいなものがどんと出ておるんです。その中で、キャリアアドバイザー、民間の人を学校に送って社会で学ぶ意味を教えましょうというすばらしいことをやっているように装っている文書を堂々と国会議員に回しておるんですね。
 私、調べたら、大臣ね、このキャリアアドバイザーって何人いるんですかと言ったら、六百十五人いますと言うんですね。それはどういう予算でどういう人を選んでやっているんですかと調べたら、大臣、何とびっくり、この六百十五人というのは、厚労省の緊急地域雇用創出特別交付金で進路指導のために雇った六百十五人をいって、キャリアアドバイザーと言っているんです。文科省で予算も付けずにやったことを、キャリアアドバイザーを利用して学校で民間人に、子供たちにキャリア教育やっていますなんてよくも言えたなと私は怒り心頭に達したんです。
 今日はもう時間過ぎちゃいましたから質問言いませんけれども、これ、文科省はキャリア教育担当の審議官もいない、参事官もいない、統括する部局もない。私は、これから若者の雇用対策、若い人がフリーターのリスクとか分かりながら社会でしっかりやっていくためには教育機関が大事だというふうに思っていますので、是非、大臣のリーダーシップで改善していただきたいと要望しまして、私の質疑を終わります。

※政府参考人
石川明氏(文部科学省研究振興局長)
岩尾總一郎氏(厚生労働省医政局長)
遠藤純一郎氏(文部科学省高等教育局長)