○遠山清彦君  公明党の遠山清彦でございます。
 今日は、荒木、下村両参考人、本当に貴重な御意見ありがとうございます。私の方からは、荒木参考人と下村参考人にそれぞれ一問ずつお聞きをしたいと思います。  まず、荒木参考人の方には、日本のODAの特徴としては要請主義と、それから自助努力と、自助努力の支援という二つのキーワードがあると思いますけれども、これに関して、要請主義というのは日本が援助をしようとする国の方から援助を要請してもらうと、それで要請に基づいて日本が政策判断をして、そしてODAを実施するということなんですが、一部でこの途上国の中には、どういうプロジェクトを援助してほしいか要請すること自体がなかなか難しい。これは能力的な面もございますでしょうし、政治的な面もあると思いますけれども、そういうときに、いわゆる日本側の例えば開発コンサルタントがですね、こういうプロジェクトをおたくの国でやったらいいんじゃないですかと、日本のODAでというふうに。いわゆる、まあ俗っぽい言い方をすると入れ知恵をして、そして、その入れ知恵に基づいて日本国に対して援助してくださいと要請をすると。これは、現地の日本大使館も関与しているかもしれませんけれどもね、このプロセスに。そして、その要請に基づいてODAが下りると。ODAが下りると、当然入れ知恵をしたのが日本の企業あるいはコンサルタントの場合、また、そのプロジェクトの受注関係で、結局はそのコンサルタントにつながるところが受注をすると。
 いわゆるODAを舞台にした、日本の国内で一時ありました公共事業の出来レースのような、あるいは談合のようなことが行われているのではないかという意味で、この要請主義というのが本当にいいのかという意見が一部であると思いますが、これについて是非とも御見解をいただきたい。
 また、これに関連して、結局、本当にODAが必要な時期に、あるいは必要な国にODAを出すというよりも、外務省の縦割り行政の、地域課の縦割り行政の中で、この国に毎年数億円の、あるいはウン十億円のODAは行かなきゃいけないんだという下に、要請がなければ要請をこちらで作り出すということを実態としてやっていれば、これ全然ODAじゃないんですね。予算消化のためのODAなんです。こういうことが荒木さんから見て、外から見て、ないのかどうか、この点についてお聞きをしたいと思います。
 それから一点、下村参考人には、簡潔に申し上げますが、下村参考人のレジュメ二枚目、正にこの決算委員会としてはびっくりするようなことが載っているわけです。つまり、「同じような仕事が多くの組織によってばらばらに実施されている」、あるいは「同じような仕事が重複して実施されている」。これは、日本の今、国内の行政改革ではこういうところを正に改革していこうとやっているわけですね。これ、下村先生のレジュメにもろに、同じ仕事を違う組織がばらばらにやっている、重複して実施されているって明確に書かれているということは、これはもう決算委員会として見逃すことができない点でございまして、この点について下村参考人からもうちょっと詳しめに、どうしたらこれなくすことができるのか、お聞きしたいと思います。

○委員長(鴻池祥肇君) それでは、まず荒木参考人からお願いをいたします。

○参考人(荒木光彌君)  それでは、そのODAの要請主義と自助努力のキーワードについてお答えします。
 確かに、今ODA大綱、今現在改定しましたODA大綱では要請という言葉はなくなったんですね。それで、需要という言葉に変わっているんですけれども、いわゆるこれは要請主義、主義的な要請を真に受けてやるということについては深く反省していこうということになりまして、それで、今まで、先ほどいろいろとコンサルタントの問題が出ましたけれども、今まではプロジェクト、開発途上国の援助する対象とするプロジェクトは、まあ商社もそうですし、コンサルタントもそうでしょうけれども、つまりプロジェクト、通称プロジェクト、まあ発掘、形成ということでやってきたと。これはある意味、つい最近までは見えざる制度化というか一種の暗黙の了承でやってきたということで、ちょっとこれでやってきたんですね。それが行政経費からいっても安く付くというのが政府当局の発想だったと思います。
 しかし、それでは先ほど言ったいろんな問題が起こってくる。もちろん、一部にはいわゆる腐敗の構造を相手に作ってしまうんじゃないかとかいろんなことがありましたので、現在、そういうこと、ODA、私も関係しましたんですけれども、第二次ODA改革懇談会で提言しましたODA総合戦略会議の中に国別援助計画というのをしっかりと立てていこうということで、国別援助計画の中で明示された分野あるいはプロジェクト、というか特に分野あるいはプログラム、それに集約して、つまり日本側からどちらかというと提案をしながら相手と政策対話をやって決めていこうと、こういうような方向へ大転換をしつつあります。
 したがって、その間で国民の目というか一般の人に透明性を高めて、どういう形でこのプロジェクトあるいはプログラムが決定されていくのかという決定のプロセスの透明化を図っていきたいと、こういうふうにやっている最中のように見ています。実際、私もその委員会に参加していますのでよく存じておるんですけれども、これは昔と大分、本当に違いました、違うようになりました。
 それから第二の問題ですけれども、予算の張り付けという話だと思います。つまり、国別に予算を張り付けていて、相手、受取国は、毎年一定の予算が来ますから、何もしなくても日本から、つまり日本の外交的な視点というのは全然忘れちゃって、先ほど柏村先生がおっしゃったような、いわゆるいろんな人権や民主化の問題についても日本の提案についてついつい、ついつい忘れてしまうというわけじゃないですけれども、無視しちゃって、これとあれとは別ということで通っちゃうと。
 これは毎年、知らない間にというわけじゃないけれども、一定の予算が自動的に付くものですからね、そういうようななれ合いの、外交のなれ合いが出てくると。それは今、厳粛にチェックをしなきゃならないということで、必ずしも国別の計画というのは、従来どおりの計画でないと計画どおりに予算を付けないと、こういう方向で行こうじゃないかという議論はされている最中ですし、私はそうあるべきだと思います。

○委員長(鴻池祥肇君) 次に、下村参考人、お願いをいたします。

○参考人(下村恭民君)  同じような仕事が多くの組織によってばらばらに実施されているということですが、これは予算をごらんいただいても、各省に技術協力の予算が、細かくというとあれですけれども配分されていて、その金額はほとんど増減がないということがあると思いますね。その各省の下にある機関がいろいろな形で技術協力をやっている。ただ、そうだからといって成果が上がっていないということではなくて、非常にいい仕事も行われています。もちろん、問題のある仕事もありますけれども。
 問題は、予算が、先ほどアップストリームのところで申し上げましたけれども、非常に小規模分散になって、人も小規模分散で張り付けられていますから基本的に無駄があると。それを集め、統合できたらずっと有効な使い方ができるであろうというふうに思うわけですね。
 もう一つ、同じような仕事が重複して実施されているということなんですが、これは、例えばある事業をやるときに、あるいはある国に援助を出すときにいろんな方が説明を求めるということが、これは昔からあるわけでしょうけれども、援助実施機関側からいうと説明する相手がどんどんどんどん増えているということだろうと思います。例えば国会の方々に御説明をする、あるいは各省に御説明をする、NGOの方々にも御説明をするというふうになってきて、それだけで相当な時間と労力を取られているということも実態だと思います。ですから、チェック・アンド・バランスは、後のチェックはきっちりやるけれども、権限は移譲してとにかくやらせてみるということも必要ではないかというふうに思いますが。
 それから、最後に一つ、要請なんですが、要請主義という受け身の姿勢は問題があると思いますけれども、要請という手続自体はないと、途上国のいろんな実力者がばらばらにパイプを持って援助を求めてくるということにもなりましょうから、そういう手続自体は、統合した手続というのは重要だと思いますけれども。

※参考人
国際開発ジャーナル主幹荒木光彌君
法政大学人間環境学部教授下村恭民君