○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。
 小泉総理におかれましては、外遊前に大変にお疲れさまでございます。
 まず、今特別委員会におきましては、このテロ特措法の改正、延長問題が議題になっているわけでありますけれども、公明党は、既に衆議院の国会論戦あるいは参議院での論戦でも表明しておりますとおり、この法案の改正に対して賛成の立場でございます。
 私は、日本が積極的かつ主体的に国際的な平和貢献に関与していくあるいは参画をしていくということは、これは憲法前文にうたわれた平和主義の精神の具現化にほかならないと考えております。憲法前文の一部を援用させていただきますが、憲法前文にはこういうところがございます。「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」と。日本でも、一部の政党はいまだに、「平和のうちに生存する権利」というものが日本人だけに確保されればよいかのごとき狭い解釈をしていると私は思っておりますけれども、それは自国のことのみに専念する議論であると思います。私は、日本の憲法の射程というものは日本人だけでなく、この「平和のうちに生存する権利」というものは、イラクの人々であれアフガニスタンの人々であれ有しているということを私は日本憲法は確認しているというふうに思います。
 その権利を有している日本人以外の人々がその権利をしっかりと行使できるような環境を整備するために、我が国としてやれることはすべてしていこうということが、私は、今年の通常国会あるいは今この臨時国会で議論していることの本質ではないかというふうに思います。
 この点についての小泉総理の御見解を伺うと同時に、また、付け加えまして、総理、今、憲法改正論議がかまびすしくマスコミ等でも取り上げられておりますけれども、私は、この現在の日本憲法前文の精神というもの、理想というものは変える必要がないほどの歴史的なまた名文章で表現されていると思いますけれども、この点も併せて総理の御見解を伺いたいと思います。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今、遠山議員が憲法の前文について重要な点を指摘されたと思います。日本国だけのことではないと。
 これは、繰り返しますが、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、」云々と書いてあります。こういうことを考えれば、自国のことだけではない、全世界の国民が平和のうちに生存する権利を有するということを込められた憲法の前文だと思っております。この大きな理想に向かって、「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」、これが日本国憲法の前文であります。
 そういう憲法の精神を高らかにうたった前文と各憲法の条項、その中にあって、日本が平和主義、民主主義、基本的な人権を守りながら、自国民の平和と安全、福祉推進と同時に国際社会においてどのような責任ある役割を果たしていくか、これが今求められているのであって、私はこういう点を踏まえまして、二年後、我が自由民主党におきましても結党五十周年を迎えるものですから、時代に合った憲法というものをどう変えていくかという一つの案を考えたらどうかと。まだ二年ありますので、それぞれの意見、各方面から聞きながら、我が党独自の案をまとめて国民的な議論を喚起すべき時期に来ているのではないかと、そういうことを今党として検討しているところであります。
 もちろん、憲法改正においては、国会の三分の二以上の議員の発議によって、賛成によって国民全体の投票にかけられるわけでありますので、各方面から議論は当然出てくると思いますが、第一党の自由民主党が案を出すということによって、そういう国民の間に活発な、有意義な議論が展開されて、より良い憲法が制定される環境ができればいいなと思っております。

○遠山清彦君 ありがとうございます。
 憲法改正のお話を忌憚なく披瀝していただきましたけれども、私ども公明党も、従来の論憲という立場から、最近は加憲と、加える、必要な新しい条項は憲法に加えることもやぶさかではないという立場を表明しているわけでありますが、私はこの憲法、そういう中に、時代に合った議論というものをしていかなきゃいけないという一方で、やはりこの憲法の、積極的な国際貢献をしていくということを含んだ憲法の平和主義、それから基本的人権の尊重、それから主権在民と、この三つはしっかりと堅持をしなければいけないと思いますし、また、今のこの日本国憲法が出てきた歴史的背景というものの大事な部分というものは、例えば今私は前文を引いたわけですけれども、この前文の、前文の理想というものは私は残しておくべきではないかというふうに個人的に思っております。
 ちょっと次の質問に移らさせていただきますが、先ほど民主党の榛葉委員からも一部、アメリカの言うがままではなくて、日本独自の貢献をした方がいいというお話をしておりました。私も同感なわけでありますが、他方で、榛葉委員が最後に質問されたこのDDR、元兵士の武装解除、それから動員解除、そして社会への再統合ですね、これを日本が、ある意味歴史上初めて主導的立場から政策の策定の段階から関与してやっているということは、正にアメリカ軍がやっていない、米国がやっていない、しかし平和構築にとってはある意味アフガニスタンで最重要の仕事をやっているということは、私は政府は既にそういう意識でもう仕事をやっているんだというふうに思っております。
 先ほど、川口外務大臣御紹介しておりましたこのアフガニスタンでのDDRの責任者をしておられるのは、伊勢崎賢治さんという立教大学院の教授でございますけれども、私も個人的に何度かお話をさせていただきました。
 この武装解除の問題というものは、大変重要であると同時に、大変日本にとってはやりにくい面もございます。平和憲法の制約上の下、軍事的な面で参加するということは、主導するということはできないと。ただ、武装解除された兵士が社会に再統合される中で、新しい仕事、雇用がなければ、これは社会が不安定化することはだれの目にも明らかなわけですから、そこの部分で中長期的に日本がやれることというのはあるんだろうなというふうに思っております。
 ただ、この伊勢崎賢治日本政府特別代表、DDRに関して代表なんですけれども、が最近の雑誌の投稿で、障害になっている一番大きな問題点を指摘しているんですね。
 それは何かといいますと、伊勢崎さんはシエラレオネでこの武装解除、五万人の元兵士の武装解除を成功させた日本人で唯一のそういう経歴を持った方だと思いますが、ただ、そのシエラレオネのときは一万七千五百名の平和維持部隊、PKFがいたんですね。この部隊が中立の軍事力として存在したために、元兵士たちが、新政府側と反政府側のゲリラの兵士たちが武装解除に応じたという背景があるんです。ところが、アフガニスタンではISAFという米軍中心の治安維持部隊がある。しかし、必ずしも中立でない。それから、カルザイ大統領の下の新国軍、これはある軍閥、一つの軍閥からの軍人が主体の軍になっておりますから、やっぱり中立じゃないというような状況の中で、PKFはありません。ありませんので、中立の軍事力がアフガニスタンにない中でこの武装解除をやるというのは大変だという指摘が雑誌の中であるわけですね。
 それで、これは伊勢崎さんも示唆しておりますし、私が外務省からいただいた書類にも書いてありますけれども、中立的な国際軍事監視団というものを創設しなきゃいけないということを日本政府が提唱して、他の参加国との調整を開始したという話があるんですけれども、これは川口外務大臣、本当でしょうか。

○国務大臣(川口順子君) それは事実でございます。
 委員もおっしゃられましたように、国際監視団がいるということはDDRの過程が中立的に、中立性、信頼性を持って行われているということを示す上で非常に重要であるわけで、委員もおっしゃられたように、アフガニスタンには国際監視団というのは今ないわけでございます。
 カルザイ大統領がこのDDRをスタートするときの大統領令というのがございまして、これはまだきちんとした意味で、公布は間もなくされるということで、今の、今日の時点ではされていませんけれども、この中にも国際監視団を設置をするということが大事であるということが書かれているということでございます。
 我が国はこの設置を提唱をし、そして今までUNAMAと一緒に監視団がどういう役割を果たし、あるいはどういう構成を持つべきかということについて検討をしてまいりました。この取組はアフガニスタン政府からも高く評価をされているというふうに考えています。

○遠山清彦君 これはまた外務大臣になるかと思いますが、このDDRをスムーズに実施するために今検討されている国際軍事監視団というのは、いわゆる従来のPKOの、国連のPKOのミッションのような形で作られて、場合によっては日本の自衛隊も参加可能というような形で考えておられるんでしょうか。

○国務大臣(川口順子君) 今、大統領令、これで考えられています国際監視団というものの機能は、まず非武装で公正な選択、除隊兵士の公正な選択そして登録を監視をする、そして除隊作業、武器の回収作業を監視をする、動員解除から社会復帰が適切に進んでいるということについて監視をするということでございまして、今、こういった観点で具体的に何ができるかということですけれども、例えばISAFに行って見てもらうということも一案としてあるだろうし、それからカブールにある各大使館の武官団に行ってもらって見てもらうということも実際にはあるだろうと思います。
 いずれにしても、国際的にも、それからアフガニスタン国内双方の監視というのが必要であるというふうに考えておりまして、一応非武装ということでございますので、この国際監視団に自衛隊を派遣するということは今の大統領令の枠内では想定をされないことだろうと思います。

○遠山清彦君 分かりました。
 まだ全部詰まっていないようですので、また詰まってきたところで機会があれば国会で議論をしたいというふうに思います。
 あと、小泉総理におかれましては、是非、アフガニスタンへの日本の貢献というと、さっきからしょっちゅう出ていますけれども、やゆされるような形で、洋上のガソリンスタンドというような形で自衛隊の、海上自衛隊の給油活動ばかりが取り上げられてああだこうだと言われておりますが、私は、今このアフガニスタンで例えばやっているDDR、これはもう重要な平和貢献の作業ですから、これは日本の主導でやっているんだということを機会あるときにまた国民にしっかりアピールをしていただいてほしいというふうにお願いをしたいと思います。
 時間が私余りありませんので、もう最後の質問になっちゃうかと思いますけれども、私、実は国内の、日本のテロ対策の関連資料に目を通しているときに非常に気になることが一つございまして、それを最後に質問させていただきたいと思います。
 国土交通省から副大臣来られているかと思いますが、日本でもオウム真理教によるテロがございましたし、また、これは火災ですけれども、今年二月には韓国の大邱市で地下鉄の駅の火災というものがありました。総理、よく御存じのとおり、交通機関というのはテロの標的になりやすいわけですね、不特定多数の人間を一度にねらいやすいという意味で。
 実は、この韓国の大邱市の地下鉄火災を受けて、国土交通省が日本の全国の地下鉄の駅を調査をしました。私、データ全部いただいていますが、六百八十四の地下の駅のうち、排煙設備や避難誘導設備などで基準を満たしていない駅が何と二百六十八もございます。
 もうちょっと具体的に言いますと、排煙設備、つまりホームで煙がこもったときにこれを外に煙を出す設備が不備な駅が何と二百、それから避難誘導設備の不備が百三十二、消火設備の不備が五十六、通報設備の不備が三十五と。これらを幾つか兼ねている駅もありますから、総数が二百六十八というふうになっているわけです。
 これらの駅は何で不備かというと、国土交通省から説明いただいたら、一九八二年の火災対策基準制定前にできた駅がこういう不備があるということなんですが、私、総理、びっくりしたのは、オウム真理教のあの事件があって、それでまたほかの、お隣の韓国でもああいう火災があって、国土交通省が調べたら三百近い駅で全く不備があると。
 それで、総理、もっと衝撃的な話をちょっと具体的にしますと、私が通勤で使っております丸ノ内線、これは……(「私も使っている」と呼ぶ者あり)ああ、そうですか。使っている国会議員の方、多いみたいですが、丸ノ内線は古いだけにほとんどの駅が不備なんですね。私、特に主要駅、例えば東京駅を見ると、排煙設備、ホームの階及び事務室の排煙設備なし。それから、どんどん近づいてきますよ、総理に。霞ケ関、排煙設備、ホームの階の排煙設備はなしと。コンコース階の煙の拡散容積不足等とあります。それから、国会議事堂前駅は最悪に近いですね。避難誘導設備は避難通路が一通路のみと。ですから、もうパニクった乗客が一つの通路に殺到してしまうということで、避難誘導設備も不備。それから、排煙設備もホーム階の排煙設備はないと。これは恐らく英米の、海外の危機管理の担当者が見たら、日本は何を考えておるんだと言われてしようがないというふうに思うんですね。
 それで、ですから、残り時間も余りありませんけれども、国土交通省の方から、国土交通省調べて知っているわけですから、どういう対策をこれから取られるのかということを簡潔にお話しをいただいて、最後に総理、総理、総理として、リーダーとしてこれどうするのか。国会議事堂前の駅でこれですからね、ほかはいわんやですから。よろしくお願いします。

○副大臣(佐藤泰三君) ただいま御指摘の韓国の大邱市地下鉄に関しまして、二月十九日で鉄道事業者に火災対策の一層の整備充実を図るとともに、調査の結果が、今、委員申し上げたとおり、六百八十四駅のうち、昭和五十年以前の二百六十八駅が不備を指摘されました。
 よって、この結果を踏まえまして、地下鉄の火災対策基準に適合しない駅につきましては、平成十六年度より五年間で火災対策施設の整備を義務付けるとともに、特に大規模な改良工事を要する避難通路や排煙設備の整備に関しましては支援していきたいと考えているところでございます。
 さらに、今後の地下鉄道の火災対策の在り方につきましては、消防庁と協力しまして地下鉄道の火災対策検討会を設置し、総合的に検討を進めてまいりたいと思っているところでございます。
 以上でございます。

○遠山清彦君 はい、済みません。まだあと一分ありました。
 総理に一言最後聞きたいと思いますが、今、総合的に検討するというお話ですけれども、もうこれは早急に総理主導で手を打っていただいて、民間の駅ではありますけれどもみんなが使っている駅ですから、もう既に一回地下鉄でテロがあったわけですからね、日本は。そういう意味で、是非総理から、これ対策をしっかりやるという御答弁をいただきたいと思います。お願いします。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今、調べていただいてこれだけ不備な点があると。この不備な点、しっかり安全面、十分な対策ができるように更に、早速指示を出したいと思います。

○遠山清彦君 以上で終わります。