○議長(倉田寛之君) 遠山清彦君。
   〔遠山清彦君登壇、拍手〕

○遠山清彦君 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりましたイラク人道復興支援特別措置法案につきまして、内閣総理大臣に質問いたします。
 今日の世界、そして日本を取り巻く状況は一層厳しさを増しております。相次ぐテロ事件、内戦の頻発、難民の発生、そして大量破壊兵器の拡散と、国際社会全体で知恵と労力を出し合わなければ解決できない難問があふれております。
 日本も国際平和を希求する諸国家の一員として、またその安全と繁栄を国際平和に大きく依存する国家国民として、これらの問題解決に積極的かつ主体的に取り組まなければならないことは言うまでもありません。
 特に、人間の安全保障や平和の構築、平和の定着という新概念を二十一世紀の外交の柱に据えた以上、日本は、それをスローガンで終わらせるのではなく、行動で示していく必要があります。
 その意味でも、今回のイラク復興支援に対しては、日本は、法的、財政的な制約に配慮することは当然ですが、自らの国力に応じ、でき得ることはすべてやっていくという姿勢を持つことが重要だと考えます。これは、国連安保理決議一四八三が明快に示しているとおり、何よりも人道上の要請であります。
 この点に関し、まず、イラク復興支援に日本が取り組む意義について総理の所見と決意を伺います。
 さて、イラクの医療の現状は誠に深刻であり、医療支援は急務であります。政府を始め、与野党や医療支援NGOの調査報告でもこの点は一致して指摘されており、私自身も本年六月にイラク北部地域を現地調査した際、病院を視察し、その実情を確認いたしました。
 小泉総理は、この医療支援分野でアラブ諸国との共同作業を模索し、五月二十四日のエジプトのムバラク大統領との首脳会談の結果、日本、エジプト両国が共同でイラクに対する医療支援を行うことが合意されました。日本がアラブ諸国とともに復興支援を行う構想は、イラク戦後の中東地域の安定化に資するという面からも高く評価するところですが、現地で苦しんでいる人々のことを思えば、一刻も早い実施が求められております。
 明日、日本及びエジプト両政府の合同調査団がバグダッドに派遣されるとのことですが、支援実施の見通しと期待される成果について、このプロジェクトを当初から主導されている小泉総理自身の見解を伺います。
 さらに、政府には、イラク北部のクルド人自治区における化学兵器被害の調査と医療支援も検討していただきたいと思います。私が公明党派遣団の一員として六月に同地域を訪れ、自治区政府の保健大臣から直接聴取したところによれば、サダム・フセイン政権時代、自治区内の実に二百か所以上の村々で化学兵器が使用されたとのことで、その被害の調査を日本にお願いしたいという要望を受けました。
 先般、衆議院本会議において、我が党の太田幹事長代行からも同じ質問をさせていただきましたが、明快な答弁をいただけませんでしたので、改めて総理に要望を申し上げ、答弁を求めます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、衆議院の審議では、自衛隊派遣の是非が焦点の一つとなりました。イラクを実際に視察、調査した者の一人として、私は自衛隊派遣のニーズは明確にあると考えます。
 周知のとおり、イラクでの活動環境は非常に厳しく、地域格差はあるにせよ、食糧、水、電力、住居等の自給能力と安全確保能力の保持が不可欠であり、そのような自己完結性を備えた組織として、自衛隊は復興支援のための即戦力となり得ます。
 また、与党調査団の報告にもあるとおり、人道支援物資の輸送や水の浄水、補給に関して自衛隊に対する期待が高まっております。これらの分野における自衛隊の能力は、今日までの国連PKO活動への参加実績を通じて立証済みです。
 特に、特に浄水・給水分野では、一九九四年、ルワンダ難民救援のためにザイールに派遣された自衛隊の給水隊員四十三名が、車載型浄水セット八台を使って一日平均千二百トン、約二か月間の活動期間の間に約七万トンの給水を行い、現地で高い評価を得ました。
 また、現在も継続中の東ティモール国際平和協力業務においても、最近、自衛隊はスアイ宿営地から撤退しましたが、給水所だけは残してほしいとの現地の強い要望があり、六名の隊員が残って作業を継続していると聞いております。
 そこで伺いますが、このような実績を有する自衛隊が実際にイラクで浄水・給水作業に取り組む際には、どの程度の規模の給水ができると想定されているのか、また、給水の対象にはだれが想定されているのか、総理の答弁を求めます。
 私は、本年三月、六月と、二回イランを訪問し、政府要人とも対話をしてまいりました。イランは日本との友好関係を重視しており、我が国にとっても、イランは、エネルギー政策のみならず、日本の中東外交戦略上最重要の国の一つであると言っても過言ではありません。
 最近、イランの核開発疑惑やその他の問題をめぐり、イランと米国とのあつれきが激化し、アザデガン油田開発問題に象徴されるように、その影響が我が国にも及び始めています。イランはイラクとアフガニスタンの間に位置しており、同国での更なる混乱は、中東和平にとっても、国際平和にとっても決して好ましいことではありません。
 政府としては、イランと粘り強い対話を重ね、同国が国際社会で孤立化することのないよう外交努力を傾けるべきです。小泉総理自身が早い機会にハタミ大統領と直接対話するべきであると思います。油田開発問題への政府の対応も含めて、総理の見解をお聞かせください。
 最後に、国連改革について伺います。
 イラク危機をめぐる国連の機能不全を受けて、国連改革の断行を求める声が高まっております。日本は、従来から国連憲章のいわゆる旧敵国条項の削除や国連安保理理事国の拡大を含む諸改革を唱えてきました。様々な問題を抱えていても、世界百九十一か国の代表が集い、討議する唯一の国際機関である国連の重要性は不変でありますが、時代の変化に応じた改革の実施も必要です。そのためには、小泉総理の強いリーダーシップと行動力が不可欠です。
 この点に対する総理の所見と決意を求め、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 遠山議員にお答えします。
 遠山議員は、実際にイラク現地調査をされ、日ごろから国際活動に熱心なことについてはよく承知しておりまして、敬意を表しております。
 イラク復興支援に取り組む意義についてでございますが、イラク復興支援は、イラク国民の人道面での困窮を緩和するとの人道的意義に加え、エネルギーの安定供給に直結する中東地域の安定にもつながるとの意義を有しております。
 我が国は、御指摘の人間の安全保障や平和構築の理念も踏まえ、国際協調の下、イラク支援に積極的に取り組み、我が国にふさわしいできる限りの貢献を行っていく考えであります。
 イラクに対するエジプトとの合同医療支援についてでございますが、明日よりエジプトとの合同調査団を派遣し、イラクに対し医療分野でいかなる協力が必要か見極める考えであります。その上で、イラク国内の病院への医療機材の供与や、我が国が長年技術協力を行ってきているエジプトにおいてイラク人医療関係者の研修を行うことを含め、日本とエジプト両国で実施可能な支援を行ってまいりたいと考えます。
 化学兵器被害の調査と医療支援についてでございますが、我が国は、国際協調の下、イラクが一日も早く再建され、イラクの人々の生活が正常化するよう、御指摘の点も踏まえ、現地の状況等を踏まえ、速やかにできる限りの措置を講じていく考えであります。
 自衛隊が実施する業務の具体的な内容についてでございますが、現地に派遣した政府調査チームの報告等によれば、水の浄化、補給や航空機による物資輸送などの活動分野が想定されますが、現時点において自衛隊が実施する業務の具体的内容は確定しておりません。
 今後、イラクの現状や各国の取組について更に詳しく把握した上で、我が国にふさわしく、またイラク国民からも評価を受けることができるような業務を決定してまいりたいと考えます。
 我が国の対イラン政策についてでございますが、我が国は、唯一の被爆国として、イランをめぐる核開発疑惑等に関する国際社会の懸念を共有しております。イランがIAEAに完全に協力するとともに、追加議定書の早期かつ無条件の締結及び完全履行を通じて懸念を払拭するよう求めております。また、エネルギー資源に乏しい我が国にとってエネルギーの安定供給は最重要の政策の一つであり、イランにおける原油自主開発の推進は重要な課題であります。
 我が国にとってこれら双方の課題が重要であるとの認識に立って対応していくとともに、今後ともイランとの二国間対話を通じてイランの改革路線及び対外関係改善路線を助長していく考えであります。
 国連改革についてでございますが、安保理改革や旧敵国条項削除の問題を含む国連改革については、私は昨年の国連演説でも取り上げました。さらに、改革のかぎを握る米国の協力を得ることが必要と考え、先般の日米首脳会談でこれを取り上げ、国連改革の重要性について一致いたしました。
 今後とも、関係各国と精力的に協力しながら、改革の実現に向けて取り組んでまいります。(拍手)