○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。
 両大臣、連日長い審議、大変御苦労さまでございます。私が最後の、今日ラストバッターでございますので、なるべく早く終わるように頑張りますので、よろしくお願いします。
 いよいよ当委員会の質疑も、審議も大詰めになってまいりましたけれども、私、冒頭に一点だけ指摘させていただきたいのは、大臣よく御存じのとおり、今審議をしておりますこの三法案が成立をいたしましても、できれば野党の皆さんも賛成をしていただいて参議院でも成立をさせたいと願っているわけでありますけれども、しかし、この三法案が成立してもこの有事法制の整備が終わったわけではないわけでありまして、今後、国民保護法制やあるいは国際人道法に対応した国際、国内法整備などの重要な作業が残っているという意味では、私たち国会議員は緊張感を失うことなくこれからもしっかりとした審議をしていかなければならないというふうに思っております。
 これを前提に今日幾つか質問させていただきたいと思いますが、既に当委員会でも多くの委員が指摘をしておりますけれども、有事の際に最も大切な国の役割の一つが国民の生命と安全を守ることであると。当委員会の審議の冒頭でも、我が党の山口理事の方から、有事の際の死傷者あるいは傷病者に対する迅速かつ適切な対応の重要性が指摘されました。この延長線上で、今日はもう少し突っ込んだ質疑をさせていただきたいと思いますけれども、まず最初に、これ官房長官かと思いますが、武力攻撃事態法案第二条の五の指定公共機関の定義のところには医療機関が明示されてはいませんけれども、これは含まれると理解してよろしいでしょうか。

○国務大臣(福田康夫君) 事態対処法案二条六号……

○遠山清彦君 六号ですか、済みません。

○国務大臣(福田康夫君) 指定公共機関につきまして、公共的機関及び公益的事業を営む法人で政令で定めるものと、こういうふうに規定しております。
 どのような事業者を指定公共機関とするかと、こういうことでございますが、これは今後の法制整備の中で、これで検討してまいります。
 医療につきましては、武力攻撃事態においても重要な役割を担うものと考えられるため、医療法人等を指定公共機関として指定することを検討いたしております。

○遠山清彦君 分かりました。
 じゃ、医療機関もこの有事の際の指定公共機関に含まれると、指定を検討しているというお答えだったと思うんですが。
 それで、防衛庁長官が先日当委員会で、有事においては民間人の方々が戦闘によって負傷されるということは基本的に想定しない、そういう場所から避難していただくのが前提というふうに発言をされております。そういうのは、理想としては全くそのとおりです。しかし、武力攻撃の形態によっては民間の中に負傷者が出るということも十分あり得るわけでありまして、そうなると、その際の対応、特に民間に大量の傷病者が、有事の中でですよ、出るといった場合にはどうするかということを国の責任としてしっかりと整理をしておく必要があるのではないかと。
 最初に私が伺いたいのは、この多数の傷病者が民間に発生するような事態で、現体制において、この救命治療等どのような対応ができるのかということなんですが、これはあれですか、厚生省になっているのかな、お願いします。

○政府参考人(篠崎英夫君) ただいま御指摘の、現行でどのような体制かという御質問でございますけれども、例えば災害発生時のようなことについてお話を申し上げますと、医薬品の備蓄倉庫ですとかあるいは自家発電装置などが整っております全国五百三十一か所の災害拠点病院におきまして、多発外傷、いろんなところがけがをする多発外傷ですとか、あるいは広範囲熱傷、これはやけどでございますが、そういう重症な救急患者などに対応するための救命医療の提供、こういうものを現行の体制では行える。また、広域災害救急医療情報システムというようなものを活用いたしまして、災害拠点病院を中心として広域的な患者などの受入れとか、あるいは転送などを行う。また、救護医療チームの派遣のための医師、看護師などの確保を行う。そして、地域の医療機関への医薬品などの安定供給及び応急用機材の貸出しなどを通じまして、必要な医療提供の確保を図ることといたしております。
 ただ、多数の傷病者が出たような場合には、有事の規模などによっては様々な限界が出てくるおそれがあるというふうに考えておりまして、いずれにいたしましても、今後国民の保護のための法制を検討していくことといたしておりますので、国民の生命、健康の安全を確保するために必要な医療体制を確保できるように努力をしてまいりたいと考えております。

○遠山清彦君 それで、官房長官、今答弁にありましたけれども、全国で五百三十一か所の災害拠点病院があると。それは大規模災害が起こったときにも現状でも対応できるということになっているんですが、実際には全国の医療機関では非常に多くの入院患者を抱えております。病床もベッドもほぼ満員の病院も多い状態なんですね。
 そうすると、これは必ずしも武力攻撃事態に限らないかもしれませんけれども、短期間に大量の傷病者が発生をした場合、これは緊急の受入れをするのが困難な場合があると。今も限界は当然あるということがあったわけですけれども、そうすると、この武力攻撃事態の法案が成立した後の話になると思いますが、有事の際のやはりこの医療体制の計画策定というのは、これ非常に重要になってくると私は思っております。
 私の質問は、これは、じゃどこが主体になってこの有事の際の医療計画を作っていくのかと。政府が国会に提示をいたしました「国民の保護のための法制について」という書類を見ますと、これ基本的には都道府県知事が主体になってこの有事の際の医療対応をやることになっています。緊急時の医療施設の確保だとか使用、あるいは医療の提供の要請や指示ということを場合によっては行うことになっているんですけれども、しかし、これ都道府県によって対応の質の差が出てくることは間違いないわけで、そうすると、やはり国も一定の関与をしなければいけない、役割を持たなければ、これは効果的な有事の際の医療体制の計画策定ってできないと思うんですが、どこがこれ主体になってこれやっていくことになるんでしょう。

○政府参考人(篠崎英夫君) それでは、私の方からお答え申し上げますけれども、有事の際には、国が策定する基本方針を踏まえまして、基本的には先生今御指摘のございましたように、各都道府県知事が行って、そして必要に応じて国が支援を行うと、このようになっておるわけでございます。
 具体的には、先生も御指摘になりましたように、具体的にはその骨子案におきまして、緊急あるいは臨時の医療施設につきましては医療法の適用を除外するというようなことですとか、あるいは都道府県知事が医療従事者に対して医療の提供を要請、そして指示できる旨の規定を設けるなどの仕組みを作ると、そのような方向で検討しているところでございます。

○遠山清彦君 分かりました。
 それで、今おっしゃったことは、ある程度このガイドライン的に政府の文書に書かれていることになるわけですけれども、地方自治体がかかわりますから、恐らく総務省とかもかかわって、内閣官房も当然中心的な役割でやると思うんですけれども。
 次に聞きたいのは、正に今お話がありましたけれども、既存の医療施設だけでは民間に大量の傷病者が発生したとき対応できないと。自衛隊の野戦病院、これも当委員会でもちょっと議論になりましたけれども、自衛隊の野戦病院は基本的には自衛隊の負傷者、傷病者への対応ということでありますから、これは限界があると、民間の対応という意味では。
 そうすると、政府の文書には、今厚生省で言っていただいたんですが、「緊急の必要がある場合に開設する臨時の医療施設については、医療法を適用除外」という文言が明記されております。これは、そうなると、自衛隊の野戦病院とはまた別個に臨時の、必ずしも野外病院とは限りませんけれども、そういった病院を造っていくということになるんでしょうか、これは官房長官。

○国務大臣(福田康夫君) そういうことになると思います。
 今考えておりますのは、傷病者がもう非常に多数に上ったというようなときに、これは既存の医療施設では足りない、当然臨時の医療施設を開設する必要が出てくるわけでございます。その場合に、委員の御指摘のとおり、医療法の特例を設けなきゃ、これはいろいろな基準がございますので、これは無理だろうということでございますから、御指摘のことも踏まえて体制整備しなければいけないということになります。
 その場合に、そういうような臨時の医療施設を確保するために、都道府県知事による土地や建物の一時使用に関する規定を置くといったようなこともしなければいけないと思っております。

○遠山清彦君 そうすると、有事の際に、仮に、ちょっと最悪のシナリオみたいで申し訳ないんですが、しかし最悪の場合に備えないといけませんから。有事の際に民間に傷病者が大量に発生したという場合には、既存の医療施設でも当然限界一杯対応する、それから臨時の医療施設も医療法の適用除外をして対応すると。自衛隊の野戦病院は基本的に自衛隊でしょうけれども、場合によってはやや民間も診る場合もあるというふうに私理解しているんですが。
 次に、それを前提としても、もう一個問題があると思うんですね。それは、傷病者、患者の輸送、搬送の問題なんです。
 仮に、こういった今私が冒頭述べたような施設がちゃんとあっても、陸路であるいは空路でこの病院に傷病者を搬送するのが困難な事態というのも想定され得るわけですね。これは、実は後でもちょっと申し上げますけれども、阪神大震災のときも道路とか鉄道が寸断されましたので、いわゆる患者さん、傷病者を陸送するあるいは空輸するというのは大変困難だったんですね。後で言おうと思ったんですが、今言いますが、自衛隊、海上自衛隊があの阪神大震災のときには六百八十隻の艦船投入、それから海上保安庁は二百八十隻だったかな、二百八十隻投入して、かなり海から支援したんですね。
 そこで、それを、そういうことを前提に私今日提言をしたいのは、こういう有事の際に、やはりシナリオによりますけれども、事態によりますけれども、陸送や空輸が難しい事態も想定した場合には、やはり病院船のようなものが私は必要なんではないかというふうに思っております。
 日本は今、病院船持っておりません。防衛庁長官よく御存じだと思いますが、海上自衛隊の船の中には、私、見たことないんですけれども、迎賓艇「はしだて」というのがあるんですか、迎賓艇「はしだて」とか、それから輸送艦「おおすみ」、それから補給艦とわだ型の三隻。ここがある程度の医療施設を持っているというふうに言われておりますが、限定的です。
 私、今ここに資料を持っていますが、「おおすみ」は、医療設備では、ICU、集中治療室が一室、ベッドは一床だけ、一般病室は二室あって、ベッドは八床、手術室が一室ということで、一番いいと言われている「おおすみ」でもこういう状況だということなんですね。
 実は、この病院船については、従来から災害関係で政府の中でも、九〇年代に入ってから特にそうなんですが、多目的災害救助船みたいな名前で検討がされてきました。調べたら、一九九一年には政府の調査予算も付いたと。ところが、災害のときだけに稼働する船を造るのは費用対効果の面で問題があるんじゃないかということで、流れた経緯があるんですね。
 ただ、じゃ、世界を見渡したときに病院船がないかというと、ありまして、今、世界じゅうで病院船は、少ないんですけれども、八隻ございます。
 アメリカが、タンカーを改良した巨大なやつを二隻、これは七万トン級ですけれども、二隻持っておりまして、どういう装備かといいますと、参考までに、ベッドは千床、手術室は十二、そしてICUのベッドが八十床、回復室が二十床、ベッドですね、中等度、中程度のケア用病室が二百八十床、軽度が百二十床、部分的ケア用が五百床、患者用のエレベーターも九基、酸素製造設備も有しているというのがアメリカに二隻ございます。それから、一万トンクラスでロシアで四隻。中国は、非常に小さい、余り使えないんじゃないかと私は思うんですけれども、二隻、二千トンぐらいのやつがあるということになっているんですね。
 そこで、官房長官に、これは今返答できるような話じゃないかもしれないけれども、是非こういう、やはり日本は四方を海に囲まれておりますし、山も多い、川も多いと。武力攻撃事態、有事の形態によっては、先ほど私、申し上げたとおり、病院どうするかという問題もあるけれども、じゃ、病院そろっても、そこに人を運ぶという輸送の問題出てくるんですね。そうなったら、やっぱり海にそれなりの設備を持った病院船があればその近くの海域に行ってこれ対応できると。これは是非、ほかの国にも例がありますから、政府として検討いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(福田康夫君) 緊急事態もそうであります。と同時に、災害、大災害のようなときにそういうような可動性の、可動する医療機関があるというのは、これは一つの手段として大変いい構想だというふうに思います。
 ですから、もう今から十年前にそういうことを検討したというのも、これ私もちょっとそのころ検討したのは知っておりますけれども、いつの間にか立ち消えになってしまったと。立ち消えになったというのはいろいろ障害もあるんだろうというふうに思うんですけれども、それは大変考えとして結構なことだというふうに思っております。
 確かに、日本は島国ですから、その周りをぐるぐる回れるようなというふうな、そういうふうなこともあります。しかし反面、船というのは時間掛かるんですよね。例えば、ちょっと調べたんですけれども、神戸から、例えば阪神・淡路の大震災があった神戸からこの間あったあの岩手まで船を回航すると、五千トン、一万トンの船ですと一日半掛かるというんですよ。というようなこともありますので、緊急を要するというような意味においてはちょっと問題があるんじゃないかなというような感じがいたします。
 しかし、じゃ、二隻持ったらいいじゃないか、三隻持ったらいいじゃないかというふうな議論も、想像力は幾らでも拡大してくるというふうに思いますけれども、そういうようなことも踏まえまして、今後いろいろと検討していく課題の一つだというふうに思っております。

○遠山清彦君 官房長官、大変前向きなお答えありがとうございます。
 実は、長官自ら立ち消えになったというお話していましたけれども、私、今日、これ、こっち向いて言わなきゃいけないんですけれども、私、調べたら、これ、私のオリジナルのアイデアじゃ全然ないんです。一九九六年、自民党病院船建造プロジェクトチームというのがあったんですね。今やっていますか、何か。全然やっていないんですね。ですから、自民党の中に名前まで病院船建造プロジェクトチームというのが、座長だれだったかまで調べていませんけれども、できていたのに、今は跡形もなく消えてしまっているということでありますので。
 それから、今、長官もいろんな障害があったと。私も考えました、確かに費用対効果の面で言えばいろいろ難しいところあるだろうなと。しかし、これ、例えば病院船、病院機能の付いた政府専用船を造っても、平時に遊ばせておかなくてもいいと思うんですね。例えば、人材研修に使ったり、修学旅行、学生にちょっと貸し出したりとか、あるいは昔、日本で行われていた青少年の洋上学校、これに使用したり、場合によっては政府の会議とかキャンペーンもこの船使ってやるとかということもできると思いますし、それからもう一つ、私が思ったのは、船だから時間が掛かるという問題があるんですが、国際協力の分野の医療援助にも場合によっては使えるのかなという思いがありまして、ですから、決して、有事のときのためだけにこれを造って、平時は遊んでいるじゃないかということには、アイデアの出し方によってはならないんじゃないかと。
 できれば、太平洋側一隻、日本海側一隻とか、少なくとも。そうすると九州が怒るかもしれないんであっち側に一隻とか、そうすると北海道も必要になって、いろいろ大変なんですが、それは予算との相談もありますけれども、是非、多目的災害救助船というか、名前はどうでもいいんですが、病院船というか、検討した方がいいというふうなことを申し添えておきます。
 それから、次の質問が、仮に専用の病院船を持つことがじゃ難しかったとしても、次に考えなきゃいけないことがあるんです。それは、民間の商船の利使用、利用の問題なんですね。
 民間の商船を徴用して病院船や輸送船として活躍させた例として参考になるのが、フォークランド紛争のときのイギリスなんですね。当時、イギリスは枢密院令を発布しまして、商船を利用しました。病院船ということに限って言いますと、民間の客船であるウガンダ号、ウガンダ号というのが一万七千トン級あるんですが、これを徴用して、改装して病院船として活用いたしました。
 イギリスは、これは防衛庁長官御存じかもしれませんが、緊急時には軍事所要として病院船あるいは海軍の後方支援にも実は使っているんですけれども、平時から客船とか貨物船の商船の徴用計画を策定をしております。イギリスはNATOに対しても緊急時に船舶を提供する義務を負っているわけですけれども、それで、イギリスの国防省と貿易産業省が中心となって海運会社とか船主の英国海運総評議会と定期的に打合せをしておりまして、実はフォークランドのときは、アルゼンチンがイギリスに、いや違う、フォークランドに侵攻するという意図が明らかになった日に、国防省で官民合同の海運計画会議というのを開きました。民間商船の利用について迅速な調整をしたというふうに言われております。
 それで、私もびっくりしたんですが、フォークランド紛争で動員されたイギリス海軍の船というのは三十九隻なんですね。じゃ、民間の商船が何隻動員されたかといいますと、客船キャンベラ号やクイーンエリザベス二世号や、さっき言ったウガンダ号も含めて徴用された船が三十二隻、チャーター契約で動員された、使ったのが十七隻で、四十九隻。つまり、イギリスはフォークランド紛争の際には英国海軍の船よりも十隻多い民間の船を投入をしたということがあるわけです。
 そこで、先ほど病院船を政府専用で持った方がいいんじゃないかという話をしたわけですが、イギリスとすべて同じようにはできないわけですから、私はここに絞り込んで、いわゆる人道的な医療対策。ですから、戦争の場合はこれはジュネーブ条約上も敵側の兵士も負傷したらみんな面倒見なきゃいけないわけで、実際ウガンダ号はやっているわけですけれども、フォークランドで。この医療対策としての民間船舶の利用と、使用というものも検討した方がいいんではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(石破茂君) 戦争中は我が国も病院船というのをたくさん有しておりました。そして、戦争中は我が国は商船会社の持っている船を一杯徴用をいたしました。戦後そういうことがなぜないのかといえば、結局、第二次世界大戦、太平洋戦争中にそういう船は片っ端から沈められたということがありました。
 アメリカにおきましても、そしてまたイギリスにおきましても船舶の徴用制度というものがございます。そういう場合に、私、正確には存じませんが、船舶の建造費の幾らか部分を政府が負担をすると。しかし、有事においては、あるいは緊急時においては徴用する、そういう関係にあるやに私、記憶をいたしております。
 日本の場合にじゃなぜ今、先生御存じのとおり、日本籍船というのはほとんどないんですね。ほとんどが便宜置籍船という形を取っております。それは、もうそういうことにも基づいて、じゃ我が国が日本国籍船を持ちたければ、船舶の建造費、日本が出せばいいじゃないかという話になるんですが、そうすると何で嫌がられるかというと、そうすると何か有事に徴用されるんだろうと。そうすると太平洋戦争のときみたいに片っ端から沈められるというような一種の悪夢みたいなものが残っておりまして、この徴用というものがなかなかうまくいかないということは、やはり我々は、戦争時における一種の反省みたいなもので、国家としてそういうものに対してどう取り組むかということで考えなければいけない。
 他方、我が国の船の中で、我が国のほとんど輸入を負担いたします船の中で我が国国籍の船がほとんどないということをどのように考えるかということとも裏表の問題だと思っております。そういうことも十分踏まえました上で、先生がおっしゃいますような病院船、それをどういう形で持つか。
 自衛隊の「おおすみ」の話をいただきました。「おおすみ」も、私も呉に置いてあります「おおすみ」、何度か見ましたが、確かに高度な医療システムを持っております。ただ、それが大勢の人を一遍に収容できるかというと、できません。じゃ、それに拡張性はどれぐらいあるんだろうか。あるいは、これはもう思い付きみたいな話なんですが、陸上自衛隊の野戦病院のセットみたいなものをその「おおすみ」に積み込んだら一体どういうことになるのだろうか。そういうのは素人の思い付きの域を出ないのかもしれませんが、どうすれば一番納税者の御負担に資するのか、そしてどうすれば日ごろ遊んでいるというようなことが起こらないのか、そういうことをよくよく考えてみなければいけないことだと思っております。
 その病院船の自民党の委員会、私もかかわったことございますが、確かにおっしゃるようなことであります。ただ、そこにおいて、中山太郎先生なんかが中心になって御議論なさっておられるものでありまして、阪神大震災におきましても、またいろんな、世界各地でいろんな紛争が勃発して医療の必要となる人々が出る場合にも、我が国として何ができるのかというときに、この病院船において議論されたことは常に自民党の中で生きておりますし、また今後も先生始め多くの方の御教導をいただきながらいろんな可能性を模索していくべきものと思っております。

○遠山清彦君 大変に専門的なお答えをいただきまして、ありがとうございます。
 確かに戦時中は民間の船、病院船も含めて、あるいは民間人しか乗せていない避難する船も機雷で沈められたケースもありますし、実際に攻撃されて、潜水艦等ですね、沈められたことがあったわけでありますけれども、ただ一点だけその点で指摘したいのは、ジュネーブ条約の第二条約ですね、あそこでも病院船の保護が今義務付けられておりますし、さらに一九七七年の追加議定書でも義務付けが行われておりますし、さらに、ちょっと私これ記憶、今手元に資料がない、定かじゃないんですけれども、一九九〇年代半ばぐらいにやはり海運関係の学者たちが集まって病院船保護についての詳細なマニュアルをたしか策定をいたしまして、白地に赤い赤十字をどこに付けてどういうパターンで点滅をしたら病院船と認識されるかということまで決まっておりますので、今日ではそういったことは、戦時中起こったようなことは起こらないんではないか。そもそもこれは戦争犯罪に当たることになりますので、その点は指摘をしたいというふうに思います。
 それで、時間がなくなってまいりましたので、前回ちょっと私もやらせていただきました在日米軍基地関係の話をもう一回やらせていただきたいと思います。
 今回、政府が出している法案の中で米軍の行動の円滑化に関する法律は出ていないわけでありますけれども、これは一般国際法上、外国軍隊がある国に駐留している場合には、これはその国の法令が適用されないと。ただし、これも一般国際法上もそうですし日米地位協定上もそうですけれども、米軍の場合は尊重義務があると。ただ、法令適用されませんから法令の適用除外の法制は作る必要がないということで今回出ていないというふうに理解をしています、大ざっぱに言えばですね。
 ただ、私ここで、これは官房長官でも防衛庁長官でもいいんですけれども、今、もし仮に有事の際に米軍が動く。今、日米ガイドラインの中では、米軍と自衛隊の作戦の調整をすることはこれ取決めがちゃんとあるんです。しかし、米軍が仮に行動した場合に、やっぱり国民生活に何らかの影響を与えたときにそこを調整する、法律を言っているんじゃないですよ、枠組みはガイドラインにも書いていない。つまり、民生面に、米軍が日本有事で動いた際に民生面で影響を与えるかもしれない、その際にそれをどうするかということを調整する、協議をする枠組みはないんですね。
 私は、これもしかしたら官房長官、これ後でやるぞと思っていることかもしれませんけれども、日米ガイドラインを改定するのか新しく枠組み立ち上げるのかして、いわゆる米軍が行動した際に国民生活に影響を与えた場合にどうするんだということを協議をする、調整をするスキーム、枠組みをしっかりと作らなきゃいけないと思うんですが、これについての政府の立場、どうでしょうか。

○政府参考人(海老原紳君) これはガイドラインに書いてある事実関係でございますので私から御説明をさせていただきたいと思いますけれども、ガイドラインにおきましては、日米政府間はこういう場合には整合性を確保しつつ適切に共同で対処するということになりまして、書いてあるわけでございますけれども、具体的に申しますと、平成十二年の2プラス2、いわゆる2プラス2でございますけれども、この際に発表されました日米間の調整メカニズムというのがございますけれども、これを通じまして日米両政府間の必要な調整が行われるということになっております。
 今、遠山委員がおっしゃいましたような、米軍の行動によりまして日本の国民の生活に対して影響があり得ると、正にそういうことでございまして、したがいまして、この調整メカニズムといいますのは、局長級のもの課長級のもの、いろいろなものございますけれども、必要に応じまして、これは外務省、防衛庁ばかりではなくて関係の省庁、あらゆる関係の省庁から代表が入れるということでございますので、このメカニズムを通じまして今おっしゃいましたような必要な調整が行われることになるだろうというふうに考えております。

○遠山清彦君 分かりました。
 じゃ、既存の調整メカニズムで、私は、頭の中は、基本的にこれは軍事作戦上の調整が中心なんではないかという思いがありましたし、また、かかわるのも外務省と防衛庁だけなのかなというのがありましたので、今の御答弁で、既存の調整メカニズムでもそういった民生面に対する影響も含めて米国政府と調整ができるというふうに理解をいたしますけれども、他方、これから国民保護法制作っていく中で、こちら側が新しい体制整えるわけですから、そこの点からも踏まえて、必要なまた米国政府との調整はやっていただきたいというふうに思っております。
 それから次の質問が、これは、政府は今後米軍の行動の円滑化に関する法制を出すのか出さないのかちょっと分かりませんけれども、いわゆる政府の答弁見ますと、物品役務の提供等の課題について検討しているというふうに聞いております。そうなりますと、これ、現在、共同訓練とPKOと周辺事態の発生時に限定されて適用されている日米物品役務相互提供協定、ACSAですか、この適用対象を、今、だから申し上げた三つに限定されているわけですが、これを日本有事にも拡大する改正というか、その変更ですね。それを検討されているのか、それとも全く新しい新法をやっぱり作らないといけないのか。そこはどうなんでしょうか。

○国務大臣(川口順子君) ACSAについては、今、委員がおっしゃられたようなことでございますけれども、米軍に対する支援の具体的な在り方、これにつきましては、このACSAを武力攻撃事態等に適用するというために改正をする可能性も含めまして、今後、政府全体の問題として関係省庁の間で協議をいたしまして、その上でまた米側とも協議をしていくと、そういう考え方でおります。

○遠山清彦君 分かりました。
 この米軍関係では最後の質問なんですが、これは最近の話で、在日米軍に関して、特に沖縄駐留の海兵隊に関して、米国政府内で大幅削減あるいは撤退、行く先もオーストラリアなんて話も出ているわけですが、具体的に。これは検討されているという報道が、一連の報道がありました。政府としては、未確認あるいは正式に聞いていないということであるようでありますけれども、他方、報道見ていますと、アメリカ国防総省に、沖縄県、官房長官、ちょっと何かあれだったみたいですが、沖縄県とか一部のマスコミが国防総省に問い合わせをしたら、検討しているという事実を認めたという話もあります。
 これあくまでも、この報道が本当だったとしても、あくまでも検討中であって最終決定ではありませんから、日本政府として特段反応する必要もないというお立場なのかもしれませんが、しかし問題は、この中身が、沖縄の海兵隊の問題という中身が正に、沖縄県では当然のことながら、また日本の安全保障全体に大きな影響を与える話ですし、またその沖縄でも在日米軍基地の整理、縮小という大きな問題にかかわる案件でありますから、余り、米国政府で検討始まっているけれども、まあ最終決定じゃないから待ちましょうという、消極的、受動的な姿勢でいいのかと。
 それ、私が言いたいのは、この海兵隊をどうするかということに関して、日本政府としての意見というか、立場ということもあらかじめ言っておかなければ、向こうが最終決定しましたよというのを後からああだこうだと言って私は何となくそれは変えるのは難しい状況に追い込まれるんじゃないかと。
 ですから、案件が案件だけに、しかもこれだけ大々的に報道されているわけですから、マスコミは当然、憶測記事も書きますし、全く根拠のないこともあり得るわけでありますけれども、案件が案件なので、日本政府としてどういう立場でこれ臨むのか、お答えいただきたいと思いますけれども、外務大臣。

○国務大臣(川口順子君) この沖縄の報道の件につきましては、これは別な委員会でも申し上げたかと思いますけれども、こういうことが今、米側によって検討されている、報道されているようなことがあるというふうには私どもは確認をした上で承知をいたしておりませんで、また、つい先日でしたでしょうか、ウォルフォビッツ国防省の副長官が来た際にも、ウォルフォビッツ副長官の方から、そういうことはないということを話として聞いております。
 それで、一般的に、我が国とアメリカとの間で、これは外務省、防衛庁両方の当局間で様々な安全保障問題については議論をしてきております。また2プラス2、昨年の十二月にやりましたときにも、それから先般の日米首脳会談におきましてもこういった協議については安全保障問題についての協議を強化をしていきましょうという話はあったというふうに記憶をいたしておりますけれども、そういった場で引き続き、アメリカとの間では緊密に協議をしていきたいと考えております。

○遠山清彦君 分かりました。
 いずれにいたしましても、私も沖縄北方特別委員会等で、この沖縄の米軍基地に関しましては、やはりSACOの最終合意、特に普天間の基地の移設問題が暗礁に乗り上げているというか、進捗状況が見えないということに対していろんな立場の方がフラストレーションを感じているという現状でございますので、特に沖縄県民の立場に立てば、本当に政府が本気で取り組んでいるかどうか分からないといった声が強いことも事実でございますので、是非、そのことも含めてしっかりとやっていただきたいというふうに思います。
 もう時間がなくなってまいりましたので、最後の質問になりますが、外務大臣にお聞きをいたします。
 私は、この有事法制が整うことは大事である、これは法治主義の観点から大事であるというふうに思っているわけでありますけれども、他方、やはりこれから日本がやっていかなければいけないのは、世界の安定と平和のために日本がどういうふうに貢献をしていくかと。
 日本は、従来、国連中心主義という言葉がありますけれども、これに対する批判も最近強くなってきております。私は、国連は非常に重要な国際機関であると、唯一の国際社会の合意形成機関という意味でですね、重要性は落ちていないと思いますけれども、他方で、国連というものを今、私たちは直視しなきゃいけないと。日本人はどうしても国連というと中身を考えずに何でもいいということを思いがちなわけでありますけれども、しかし他方で、国連安保理の構成国を見ても、例えば、国連分担金出せば、日本は一九・六%負担をしております。しかし、安全保障理事会の常任理事国であるフランスと中国とロシア、三か国合わせてもこの日本の分担金の半分に達しません。そういう状況をこれからやっぱりしっかりと変えていかなきゃいけないんじゃないかという問題があります。
 それから、外務大臣、今日、具体的に最後に答えていただきたいのはこの点だけでいいんですが、安保理改革と並行してかなり長い間指摘されている国連憲章の五十三条と百七条、いわゆる敵国条項ですね。
 これは、第二次世界大戦中に連合国の敵国であった日本、イタリア、ドイツに対しては、安全保障理事会の承認なくしてこの三か国が現状改変をしようとしたときには武力行使ができるという条項で、とんでもない、現在ではですよ、条項になっているわけです。
 これについては、一九九五年に国連総会が撤廃を進めようという決議をしているんですけれども、八年たっても全然進捗していないと。これに対しては、日本が、ドイツ、イタリア政府と共同で、やはり敵国条項は今の時代に全く合っていないわけだからなくすべきだということでやっていくべきだと思いますが、これについての決意を伺って、私の質問を終わります。

○国務大臣(川口順子君) それぞれ重要な点であると思います。
 国連改革については、先般、日米首脳会談でも総理から取り上げて、一緒にフォローをしていきましょうということになっておりますけれども、これについては全力を投球したいと思いますし、それから、敵国条項については、委員おっしゃいましたように、九五年の時点で決議もございますが、これについてはほかの、その決議の他の部分との関連でしばらく時間が掛かっているという状況にありますが、我が国としては、これはもはや敵国、我が国には敵国は適用はないというふうに考えておりますけれども、なおこの敵国条項の削除については最大限の努力をしていきたいと考えております。
 それから、日米首脳会談で総理がブッシュ大統領におっしゃられたことでございますけれども、これについては、国連改革は非常に重要である、敵国条項についても具体的に取り上げられて、ブッシュ大統領とお話をなさって、その結果として、一緒にフォローをしていきましょうということになったわけでございます。

○遠山清彦君 ありがとうございました。