○遠山清彦君 公明党の遠山でございます。
 川口外務大臣におかれましては、ゴールデンウイーク中の外遊、大変に御苦労さまでございました。先ほど来いろいろお話がありまして、バッジを外務大臣が付けているか付けていないかのメリット、デメリット、いろいろ言われておりますけれども、私は、最大のメリットというのは、やはり政党の議員ではございませんので、休み中に地元を回らなきゃいけないとか、下手に海外へ行くと怒られるとか、党務で忙しいとか、そういうことがございませんので、そこを私、やはり最大のメリットでありますので、是非これからも積極的に外務大臣として海外を回って、要人と会っていろんな会談をしていただきたいと。
 私も国会議員になりまして二年弱でありますけれども、七、八回外務省の御協力も得まして海外に調査や視察へ行かせていただきましたけれども、やはり自分の目で現場を見たり海外の要人とお会いをいたしますといろんなことが学べますし、また誤解も解けるというふうに感じておりますので、是非これからも頑張っていただきたいと思います。
 私、一問目で、決算とはちょっと関係ないんですけれども、今回の中東外交のことについてお伺いをしようと思ったんですけれども、同僚委員からいろいろお話ございました。私、一点だけ具体的にお伺いをいたします。
 報道されておりますけれども、外務大臣がイスラエルに行かれましてシャローム外相と会談した際に、五月の十九、二十日に東京で信頼醸成会議を開催をするということが決められたというふうに聞いておりますけれども、この会議の趣旨、目的と、外務大臣として、こういうイスラエルとパレスチナと日本の有識者を招いてこういう会議を開くことでどういう成果を上げようとされているのか、簡潔で結構ですので、お答えいただきたいと思います。

○国務大臣(川口順子君) 十九日、二十日に日本で、イスラエル、そしてパレスチナ、それから日本、それぞれ五名程度の人たちを招いて信頼醸成会議を開きたいと考えています。場所は東京を考えています。これについてはイスラエルでも話をし、パレスチナでも話をいたしまして、それぞれ賛同を得、またメンバー等についても一緒に議論をしたいというお話もございました。
 私は、今回、中東に行って改めて強く感じたのが、信頼醸成をイスラエルとパレスチナの間で作っていくことの重要さでございます。これは、強調してもし過ぎることがないということでして、ロードマップを考えてみても、暴力を停止をするということから始まるわけですけれども、この暴力の停止というのは、御案内のように、それほど簡単ではない。いろいろなことが今後あり得るわけでございますけれども、そういったときに、やはり一番大事なのはイスラエルとパレスチナの間に信頼関係があるということだと私は思っていまして、そのために日本が努力をする、協力をしていくということは、日本ができる、中東和平のためにできることの一つとして大変に意味があることであり、重要なことであるというふうに思っています。
 そういう意味で、これは一歩一歩進んでいく話でして、一回会議をやったから非常に大きな成果が上がるということではありませんけれども、これをやりたいと思っておりますし、そういう意味では、過去においても若い各国政府の人たち、お役人を関係の国から呼んで一緒に研修をするということもやっておりまして、信頼醸成については既に幾つか実績も積んでおります。

○遠山清彦君 たしか中南米の国のチリだったか、どこか、ちょっと記憶定かじゃありませんけれども、政府側と反政府側を日本に呼んで、民主化に関する、参加型民主主義に関するセミナーか何かをちょっと前にたしか日本でやって、それが非常に成果が出たという話を議員になる前、研究者やっていたときに聞いたことがありまして、理由は何か、政府側と反政府側ですから、自分の国ではほとんど会話をしない、意見交換しないという中で、東京に来て同じホテルに泊まらされて、外務省に、そして食事も一緒にしながらいろんなワークショップをやった結果、非常に信頼が築かれたというふうに聞いたことがございますので、是非この問題でもそういう核になるような方々を日本が中心になってつくっていく努力をしていただきたいと思います。
 これからちょっと決算委員会らしい質問をさせていただきたいと思いますし、また私、与党でありますけれども、若干野党的に今日なるかもしれませんけれども、お許しをいただいて、まず報償費、いわゆる機密費の流用問題とその後の外務省の改善努力について何点か伺いたいというふうに思います。
 この問題は国会でも何度も議論をされてきたわけでありますけれども、とにかくこの公金、国民の税金の流用の規模といい、また幾つかの案件は犯罪だったということで裁判所によってもう裁定されているわけですけれども、この行為が実行されていた期間が長いということといい、やはり外務省に対する国民の信頼が粉々に私は砕かれてしまったと思っております。
 具体的に二例だけ挙げますと、元要人外国訪問支援室長の松尾氏の詐取した額というのは、これは主に内閣官房の報償費でありますけれども、五億七百万円、それから元欧州局西欧一課課長補佐の浅川氏の場合は約四億二千三百万円と。それぞれ昨年、実刑判決を受けているわけでありますけれども、たった二人で九億三千万円の公金が流用されてしまったと。
 これは二人とも外務省職員であったということでございまして、時間の経過と他の重要な外交問題の登場によってマスコミあるいは国民の関心も低下してしまっているかもしれませんけれども、私は、決算委員会の場できちんと、過去の問題ではありますけれども、この過去の問題を受けた現在の、あるいは未来に向かっての改善策というものを確認をさせていただきたいと思います。
 最初に大臣、基本的な質問でありますけれども、この不正流用の対象になった報償費の必要性、なぜ必要なのか、報償費の目的について簡潔にお答えいただければと思います。

○国務大臣(川口順子君) 不正流用があったというのは本当に残念なことですけれども、目的は、これは外交を適切に円滑に行っていくための費用でございまして、例えば情報収集ですとか、相手方の意見に影響力を与えるための活動ですとか、そういったことでございまして、外交活動を円滑に行っていくためには私は非常に大事な費用であるというふうに思っています。

○遠山清彦君 私も基本的には、この機密費というか報償費は必要だというふうに思っているんですね。
 ただ、外務省の行動計画にこの報償費の目的について三点明示されておりますので、ちょっと御紹介を、外務大臣は当然御存じなんですが、言いますと、一番が「不断の努力によって造られた信頼関係に裏打ちされた人脈を基礎としての的確な情報収集のため。」、二番が「外国との交渉や我が国にとっての外交関係を円滑かつ有利に展開するため。」、三番目が「国際会議等での我が国の議論を正しく理解させるよう、会場の場で様々な関係者に働きかけるため。」と。会場で働き掛けるのにどうしてお金が必要なのかよく分かりませんが、こういうことが挙げられているんですね。
 それで、一つだけ言えるのは、これ、どれもやや抽象的な定義になっているわけです。私は、先ほど冒頭に申し上げたとおり、報償費は必要だと。なぜかならば、情報収集と分析、それを政策立案に生かしていくと、これは重要なことです。それからもう一つは、海外でテロ事件に邦人が巻き込まれた場合なんかには、やはり弾力的、機動的に運用できる資金が必要なのはこれ当然です。キルギスの人質事件で使われた、使われないという話があるわけでありますけれども。
 外務省のこの報償費は、平成十三年度は五十五億七千万円で、今年度は三十億円まで減額をされております。諸外国と比べれば、この額というのは法外に大きいというわけではありません。私が持っているあるデータによりますと、アメリカは二・八兆円、イギリスは四百六十一億円、ドイツも三百八十六億円と、機密費というか諜報費というか、使っているわけであります。イギリスの場合は使途、内容についてもほとんど公開してないという状況になっているわけで、それから考えれば、日本の三十億円というのは小さな額だと。
 ただ、日本の問題点は、こういう諸外国の場合は情報・諜報専門機関が設置をされていて、その分野のプロというものを養成してお金を使っているわけですね。日本の場合は、これは私は別に作れと言っているわけじゃないんですけれども、こういった情報収集専門機関というものが、独立したものですよ、ありませんから、結局それを実際に担うのは外交官。ところが、外務省の外交官がいわゆるアメリカの例えばCIAとかFBIの諜報要員と比べて特殊な訓練を受けているかと、受けてない。そうすると、日本の情報収集というのは非常にそれぞれの個々の外交官の個人的資質に依存しているんですね。情報が集める何か、何かスパイ映画が好きでよく見て何か血肉にしているような人はうまいかもしれないけれども、全くそういうことができない外交官はやっぱりできないでしょうね。うそつけない、顔に全部表れる、これはできない。そういう訓練が全くされていない、情報収集のプロフェッショナルとしてのノウハウがない人たちに対してあいまいな定義の目的しかない報償費を数十億円単位で使っているということは、これは必要なんですが、費用対効果的な立場でどれほど意義が見いだすことができるのかという点がどうしてもやっぱり問われてしまうと思いますが、この点について大臣、どう思われるか、お聞きをしたいと思います。

○国務大臣(川口順子君) 情報収集は、いい外交をやっていくときの根本であると思っています。それで、まだまだ外務省においては情報収集について、この蓄積といいますか、これをもっとやっていかなければいけないと思っております。そのための人材の養成も非常に大事であると思います。
 私は、今、これは副大臣共々、報償費について実際に決裁も、ある金額以上、十万円以上のものについてはやっていますけれども、これを見ていて思いますのは、外務省がむしろもっと情報を、報償費を活用してもっと情報収集に力を入れるべきであるというのが今私の実感でございます。これをやることが日本の国益を守るための基礎であると思っています。

○遠山清彦君 分かりました。
 ちょっと観点を変えまして、報償費の支出の内容の概略について、概要について公表すべきじゃないかという指摘を外務省の変える会がしていることは外務大臣も官房長も御存じだと思うんですけれども、私も、やはりある程度の規模のある額ですし、ああいう不祥事があったということもありますので、変える会の提案の中には、括弧書きですけれども、例えば二十年たったら二十年前の報償費の支出の内容については国民に説明をすべきではないか、公開すべきではないかという意見があるんですけれども、外務省はやや消極的な立場であるというふうに聞いておりますが、これはどうしてですか。

○政府参考人(北島信一君) 報償費の使途の公開問題でございますけれども、一定期間後ないしは概要であっても、公開するという姿勢を示すことによって情報提供者や協力者の信頼を損なったり萎縮させたりすることにつながるおそれがあり、その結果、真に機微な情報を入手し得なくなるおそれがあると思います。また、公開されることになれば、概要であっても、その概要を基に我が国の情報収集や外交工作の概要が分析され、さらには対策を講じられ、情報収集や外交工作活動に重大な支障が生じるということがあろうかと思います。

○遠山清彦君 それで、ちょっとまた外務大臣に聞きますが、会計検査院にちょっとお伺いしますけれども、これは会計検査院の検査では、報償費に関する決裁書、それから関連の証拠書類ですね、これは検査の対象にしていますか。それから、もししているんであれば、いつからかお答えください。

○説明員(石野秀世君) 外務省の報償費の検査ということでございますから、当然、事前決裁書あるいは支出決議書といった決裁書、さらにはそれに関連する関係の書類というものの提示や提出を求めまして検査を実施してきておりまして、これは従来からそのやり方はこういうことでやってきておるところでございます。

○遠山清彦君 従来から会計検査院もこの機密費、報償費の決裁書についてはずっと検査してきているわけですね。
 幾つかでいいんですけれども、この報償費の使途として不適切なものあるいは不正だったものの事例についてちょっとお話しいただけますか。

○説明員(石野秀世君) 今は、報償費に関しての検査院の指摘事項についてのお尋ねということでございます。
 一つ目は、十二年度の決算検査報告におきまして、報償費の使途を見直し、大規模レセプション経費ですとか酒類購入経費、文化啓発用の日本画購入経費など定型化、定例化しているという経費については、報償費ではなく他の費目で支出することなどの改善が必要なのではないかという処置を要求したものがございます。
 それからもう一点は、十三年度の決算検査報告でございますが、この中で、外務本省の各課において取引先に対して支払った金額と実際に要した経費との差額、これをいわゆるプール金として積み立てていたという問題について検査いたしまして、七年度から十三年度までの間にこの積み立てた金額が二億八千六百万円あると。そして、この中に報償費に係るものが約五千九百万円あるという指摘をしているところでございます。

○遠山清彦君 今の御答弁だと何となく事務的でよく分かりませんけれども、要するに具体的に言うと、報償費で絵を買ったりとかワインを買ったりしていたのは全然情報収集に当たらないということで指摘があったということがあります。
 それから、私の方から付け加えさせていただきますと、平成十三年の決算報告の中で挙がっている事例ですね、百三ページですが、ここでは北米第一課が主催して、局長主催の宴を五十四万七千百円の見積書でやったんですけれども、その日にほかのパーティーがもうあって、これやらなかったんですね。やらなかったのにこのホテルから五十一万九千四百八十円の請求書が来て、それそのままそっくりプール金にしちゃったということが指摘されているわけでして、私、先ほど官房長がおっしゃった機微な情報を得る、あるいはその情報提供者が将来公開されるとなると足がすくむということなんですが、こうやって検査院の対象にもなっていることですし、既にですよ、なっているし、じゃ二十年じゃなくて例えば五十年後だったらいいとか、別に二十年にこだわれば、それは二十年たったらまだおれは生きているなと思ってやめる人いるかもしれませんけれども、五十年たって生きている人はなかなかこれいないわけでして、いても忘れているでしょうから。
 ですから、これ、外務大臣、ちょっとお聞きしたいんですけれども、やっぱり何というか、情報が、その情報提供者が足すくむよと言いながらやはり不正なことが行われるということは、今の現下の日本の国民感情からするとなかなか許容し難いところでありまして、私、二十年という具体的なやつを捨てますけれども、やはり一定期間の後に公表をするような方向を検討していただけないでしょうかね。

○国務大臣(川口順子君) 報償費について一定期間後に公表をするべきではないかという御意見の考え方の背後にあるものというのは、報償費が不正に使われてはいけないということだろうと思います。私も報償費が不正に使われるということがあってはこれはならないと思っています。
 そういう意味で、外務省として今やっておりますのは、先ほど来お話の出ている会計検査院の検査ということに加えて、副大臣以上が十万円以上のものについては決裁を見るということがございますし、監察査察官という制度を作って、そこで監察査察を行うということもやっているわけでして、これで不正がないようにやって、それで不正がないということを確保できるというふうに今考えております。
 それで、これがそういうことで、これでもまだ足りないということが将来あったといたしましたら、それはまたその時点で、何が、どういう手を打てばいいかということを考えるということだろうと思いますけれども、五十年後であれ、やはり日本国がどのような形で情報収集をし、何をしているかということについて手のうちを外国に知らせるということは、私はやはり国益に何らかの害を及ぼすというふうに考えております。
 そういった国益に害を及ぼしてもやる必要があることというのはあるかもしれませんが、現在は今その外務省で考えている、会計検査院も含めてやっているやり方で、それで不正な支出が行われないということが確保できるのではないかというふうに私は思っております。それでなおかつ国益も害さないということではないかというのが今私が考えていることでございます。

○遠山清彦君 私、若干この情報公開と国益の問題について外務大臣と見解を異にしておりますが、これはまた別の議論ですので後日に譲りたいと思います。
 それで、先ほどもちょっとお話ありましたけれども、官房長、たしか平成十三年の七月から十万円を超えるこの報償費の支出案件については副大臣以上の決裁ということが決まったというふうに聞いておりますけれども、これは副大臣、大臣のみが報償費の決裁権を持っていて、事務方は持っていないということなんでしょうか。
 それからもう一点が、在外公館で使用する報償費についても十万円以上は全部副大臣以上が決裁しているのかどうか、この二点についてお伺いします。

○政府参考人(北島信一君) お答え申し上げます。
 十万円を超える報償費の支出に係る決裁書につきましては、まず主管課で起案をしまして、副大臣に回付する前に関係課との協議を経て会計課長を含む事務方でまず決裁を取っております。
 それから在外公館における報償費でございますけれども、在外公館に十万円を超える報償費を配賦するに先立ち、同様に副大臣以上の決裁を得ております。

○遠山清彦君 矢野副大臣、決裁やっています。

○副大臣(矢野哲朗君) やっていますよ。

○遠山清彦君 ああ、そうですか。分かりました。何となく今、間があったのであれですけれども、信用しましょう。
 それで、先ほど外務大臣が査察の話をされていましたので、そっちに私、今日移りたいと思いますけれども、一昨年の九月から外務省が一連の不祥事を受けて査察を強化されてきたことは私も存じております。一昨年の九月から今年の三月まで特別集中査察というのを二十四回、計七十八の在外公館に対して実施をしたと。それから、昨年の四月一日には、北田検事、法務省から外務省に入れまして監察査察官というお立場で、大臣訓令によりますと外務本省の活動及び運営状態、経理状態、外務公務員の能率、研修及び服務状態等を監察するという体制を整えたというふうに聞いているんですが、ただ私、一点納得できない点がございまして、この在外公館に対する査察で、今年の四月二十三日、これですけれども、変える会が出した報告書によると、抜き打ちの在外公館に対する査察というのは行われていないとなっているんですね。
 この中で、外務省が総括したことになっている文章にはこう書いています。抜き出しますけれども、抜き打ちの査察については、どのような方法が有効であるかを考慮しつつ、必要に応じて実施する考えというふうに書いております。ところが、やっていないと、抜き打ちを。
 ところが、昨年四月四日の参議院の外交防衛委員会で私の質問に対して当時の杉浦副大臣はこう言っているんですね。平成十三年の九月から十四年の三月まで、去年の三月までの間に何回か抜き打ち査察をやりましたと、こう副大臣は言っているんです。言っているのに、この今年の四月の報告書には一回も抜き打ちはやっていませんと、これどうなっているんですか。

○政府参考人(北島信一君) お答え申し上げたいと思います。
 監察査察室におきましては、これまで実施しました特別集中査察、これ、委員が御指摘になった査察でございますけれども、それ以外にも特定の情報等を端緒として査察計画に予定されていない公館等に対して緊急に調査を行うということを随時実施してきております。緊急調査と言っております。これも広い意味では査察に準ずるものと言えますけれども、諸般の事情から正規の査察の形態を取っていないことから、今委員が御指摘になった変える会の報告書の中の書き方になっているわけでございます。そういうふうに整理したということでございます。
 他方、昨年四月の杉浦副大臣の答弁でございますけれども、こうした緊急調査、こうした緊急調査を踏まえて、これらが広い意味では査察に準ずることから抜き打ち査察を行っているという趣旨の答弁をされたものと、そういうふうに承知しております。

○遠山清彦君 これは非常に外務省の書類を読むと分かりにくくなっているんですけれども、今明らかになったのは、要は、査察には、普通の査察があって、特別集中査察があって、これはだから事前に通告が行くんですね、やりますよと。それから、次に緊急調査というのがあって、さらに一番きつい抜き打ち、もう何の前触れもなく突然公館にやってきて、はい査察しますよということだと思うんですが、この一番きつい抜き打ちはやっぱりやっていないと。緊急調査というものをやっているから、それが抜き打ち的といえば抜き打ち的なので、杉浦副大臣も去年の外交防衛委員会の私に対する答弁でそう言っていたということなんですが。
 ただ、官房長、外務大臣、これ、緊急調査に関するレポートを、私、外務省大臣監察室から、官房からもらって読みましたけれども、こう書いてあるんですね。特定の情報に基づいて、当初査察を予定していなかった在外公館に対して緊急に調査を行ったケースが十数件あると。これはいいんです。いいんですが、このうち、刑事告発が行われたアトランタ総領事館の事案以外は、刑事告発が相当と認められる事案ではない上、館内の人間関係の運営にもかかわることが多々あることなども踏まえ、公館名の公表は差し控えたいということになっているんですね。
 こうなると、抜き打ちとは全然違いまして、一つは、刑事告発が相当と認められないという判断をだれがどういう基準でやったのか全然国民には、国会議員にも分からないと、分からない。これが一つ。それからもう一つは、緊急調査をやった在外公館がどこかも公表しませんから、不正を、不正と言っちゃいけないのかもしれないけれども、不適当な経理をやったかもしれないから緊急調査をしたわけですよね、特定の情報に基づいて。その公館の名前も分からないんじゃ、これは全然再発防止効果が弱過ぎるんじゃないかと私は思っています。
 そもそも、さっきの変える会のレポートに一点私おかしいなと思うのは、もう検事とか公認会計士が外務省の監査体制にかかわっているわけですね。これは外務大臣もお認めになると思いますが、私は、外務省がこの一連の不祥事があったからこそ他省庁に先駆けて最も厳格な監察査察システムというのを入れたと思うんです。だから、そういう意味では、私、比較的な意味でいえば、今、外務省の方が他省庁に先駆けてこういう経理に関しては厳格なシステムを持っていると思うんですね。
 なのに、抜き打ちというところになるとやっぱり何となく身内に甘いような、緊急調査をしても公館の名前も出さない。それから、刑事告発が相当じゃないというふうに認めた。だれが認めているのかもよく分からない、どういう基準で認めたのかよく分からないというのは、せっかくこう体制を整えたんだけれども、最後のところでちょっと妥協しているんじゃないかというふうに見えるんですが、これは大臣、いかがですか。

○国務大臣(川口順子君) まず、告発をするかどうかという決定は最終的に私のところでいたしています。これは、もちろん私は案件が上がってこない限りはどういう案件があるかということは分からないわけでございますけれども、いろいろな今までの私が一年三か月この仕事をやっていての感想で言えば、すべての案件、問題がある案件、政治的、その告発をしないということを決定する案件についても私のところに相談があるというふうに私は考えています。
 それから、公表、名前の公表ですけれども、これはなかなか難しい判断でありますけれども、現在の、全くこれは全然問題が何もない、通常の常識で考えてということについても、その前の、例えば情報提供があったりというようなことで査察をやるということはあるわけでございまして、そういったことも含めて全部公表をするということが今の日本社会のいろいろな情報についての関心といいますか、ということから考えて、適切な結果を生むかどうかということについてはやはりきちんと考えてみなければいけないというふうに思っています。非常に問題があるということであれば、またそれは考えるということはあるかもしれませんけれども、すべて公表するということがいい結果を生むかどうかということについて考えないといけないと思っています。

○遠山清彦君 分かりました。
 この緊急調査については大臣の責任でやっているということであればいいんですけれども、ただ、この点だけは、要するに抜き打ち査察は、悪質かもしれないケースが、例えば特定の情報に基づいて、確度の高い情報に基づいてあった場合とか、やっぱりやった方がいいと私は思っております。つまり、通告なしで査察を入れて、それで何もなければシロはシロでいいわけですから。
 ただし、こういう体制を整えても、私は別に外務省に関するいろんな暴露本とかそういうことの中身を信じるつもりは全くありませんけれども、やはり事前に、何月何日に査察官が行きますよと言って、ある程度の、海外ですから急に現れるわけにもいきませんし、時間的猶予があれば証拠書類等を隠滅するということは理論的には可能なわけで、そういう海外の在外公館の置かれた地理的な特殊性とか距離とか、そういうものを考えますと、やはり時には抜き打ち査察もやる、そういう決意を外務大臣が持っているんだということをしっかりと明示しなければ、緊急調査やって名前も公表しませんよということであれば、私は、それは外務大臣の判断は尊重します。それはそれで尊重しますが、抜き打ち査察はもう絶対やりませんよということじゃなくて、やるのが原則だけれども、やるに適する事案がないからやっていないんだという立場と私は大きく違いがあると思うので、この点だけもう一回、抜き打ち査察を必要なときはやるということをちょっと明言していただきたいと思います。

○国務大臣(川口順子君) 私が必要と考えればやるつもりです。

○遠山清彦君 分かりました。
 それで、次に、監察査察官の権限についてというか、査察官が不正を発見した場合、不正の疑いがある事案を外務省本省の中の活動を監査する中で発見をした場合、あるいは在外公館でもいいんですけれども、これはもう処分をしなければいけない、あるいは処分を検討しなければいけないというときに、どういう手続でだれが行うのか。
 これ、何で聞くかといいますと、監察査察官の権限が書かれた法令を読みますと、その辺明確に書かれていないんですね、手続が。ですから、これは官房長ですか。

○政府参考人(北島信一君) 御説明申し上げます。
 監察査察官が不正が疑われる事案を把握した場合、所要の調査を行った上、確認した事実関係を監察査察官から人事課長に伝えることとしております。これに基づきまして人事課長が必要に応じ追加調査等を行った上で、処分を行うか否か、処分を行う場合の具体的な内容等につき検討し、事務方としての案を処分権者たる外務大臣に諮る、そういう手続でございます。

○遠山清彦君 人事課が窓口になるにしても、今、官房長最後おっしゃっていましたけれども、処分権者である大臣が必ず責任持って適正にやっていただきたいということを要望いたします。
 最後に一点だけ。
 ちょっと聞きづらいことですけれどもお伺いしたいのは、これは外務大臣に一言コメントいただければいいんですが、先ほど私、冒頭申し上げた、機密費の流用事件の松尾、浅川両氏とか、あるいはハイヤー代を水増しした事件で捕まった小林氏などの三人は、外務省内ではいわゆる初級ノンキャリアの出世頭で、職務上はロジ担当のスペシャリストということで高い評価を受けていたと指摘をされております。この三人は経歴上非常に類似点があるというところから、やはりこういった不正流用問題が起こった構造的な背景に外務省内の事実上の身分制度があったんじゃないかと、弊害として。つまり、キャリア、ノンキャリア、初級ノンキャリアという大きく分ければ三つになるわけですけれども、私は、これはなかなか認めたくないことでありますけれども、やはり何らかの関係はあったんじゃないかと。
 これは変える会が、例えば在外公館における職員の夫人間に上下関係はないことをわざわざ徹底しなきゃいけませんよと言っていることにもこの身分制度が存在したんじゃないかということを示唆しているわけでありますね。
 これ外務大臣、この問題は難しい面もあると思いますけれども、絶対やっぱり克服していかなければいけない問題だと思いますが、大臣の目から見てこの問題が今克服されてきているのかどうか、その点について伺って、私の質問を終わります。

○国務大臣(川口順子君) 結論を先に申し上げれば、克服されつつあると思います。外務省にとって、適材適所で人事が行われるというのは外務省にとってのメリットであります。他省に先駆けてということをそのモットーにしてやっていますけれども、外務省で人事の公募制度というのを昨年やって、今年ももっと改善をし、もっとそのスケールも大きくして今やりつつあります。そういったこともほかの省庁ではやっていないことでして、今もっと、時間がないので言いませんが、ほかにもたくさんありますけれども、そういうことを通じてこの問題は、まだ完全とは私思っていませんが、克服途上にあると思っております。

○遠山清彦君 終わります。