○遠山清彦君 公明党の遠山清彦です。
 アフガニスタンにおけるテロとの戦いはまだ終了しておりません。米国を始めとしてイギリス、フランス、ドイツ、オーストラリア、カナダ、イタリア、韓国などの主要国がいまだに協力支援活動を継続しているわけでありますから、この段階で日本のみが撤退をするということは、私は、テロ特措法の第一条に定められております、「我が国が国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取組に積極的かつ主体的に寄与する」という趣旨にも反するであろうことから、今回の協力支援活動実施期間の延長については妥当であるというふうに考えております。
 以下、この前提の下に幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 最初に、防衛庁長官にお伺いをいたしたいと思いますが、先ほど他の委員から既に同じ質問がございまして、詳細は検討中、あるいはおっしゃることができないということでありますが、今回の実施要項の主な変更項目として輸送業務が一回限りで加えられたわけでございますけれども、この輸送のルートですね。出発地、経由地、最終到着地等については、安全上の理由もあるでしょうし、まだ煮詰まっていないということもあるでしょうから、明らかにできないと。明らかにできないとしても、一点確認したいことがございます。
 それは、テロ特措法の第二条の3では、同法で規定されている対応措置に関しては、「戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる」地域で実施することになっております。
 最低限、今回新たに加えられた輸送業務はこの第二条の3の条件をクリアしていると断言していただけるでしょうか。防衛庁長官、お願いします。

○国務大臣(石破茂君) これは、当然、法の趣旨からそういうことに相なります。当然のことだと思います。

○遠山清彦君 続きまして、個別具体的な仮定の質問にはお答えになれないでしょうから、一般論として伺いますけれども、今回の輸送業務も含めた対応措置を実施中に、この実施区域の中で戦闘行為が始まった、あるいは始まる可能性が高いという情報が防衛庁にもたらされた際にどのような対応をされるのか。これは特措法の中にも規定されていることでありますけれども、念のために長官のお口からお聞きしたいと思います。

○国務大臣(石破茂君) これは、実際に実施することを命ぜられた自衛隊の部隊等の長等はということですね。これはもう本当に法の繰り返しになって恐縮ですが、委員からもう一度確認というお話でございますので、申し上げさせていただきます。
 部隊等の長などは、活動を実施している場所の近傍において、戦闘行為が行われるに至った場合又は付近の状況等に照らして戦闘行為が行われることが予測される場合には、当該協力支援活動等の実施を一時休止し又は避難するなどして当該戦闘行為による危険を回避しつつ、防衛庁長官による実施区域の指定の変更や活動の中断命令を待つこととなる。
 今回の輸送業務においても全くこの趣旨に変更はございません。そういうことに基づいて行動が行われるわけでございます。

○遠山清彦君 分かりました。
 是非、防衛庁の方では、先ほども極度の緊張感を保ちつつ現場もまた防衛庁本庁の方でも対応されていると思いますけれども、是非不測の事態が起こった際には間違いのないように迅速に行動していただきたいというふうに要望をさせていただきたいと思います。
 続きまして、また再び防衛庁長官にお聞きいたしますけれども、昨年のこのテロ特措法の審議が国会で行われた際に、いわゆるシビリアンコントロールの確保の問題が焦点の一つであったというふうに私自身記憶をしております。海上自衛隊のインド洋上での活動の詳細については、先ほど来話が出ておりますとおり、現地で活動している部隊あるいは隊員の安全面への配慮からすべて公にするというわけにいかないのは当然であると私も考えているわけでございますけれども、他方、一般の日本国民から見れば、毎日報道されるわけでもございませんし、なかなかインド洋上で自衛隊がどういう活動を行っているのかと。インド洋上でガソリンスタンドのようなことをやっているのかというふうに思われている方もいるかもしれませんけれども、なかなか分からないというのが事実であると。
 そこで、これは長官の前任者である中谷防衛庁長官にはいろいろとお話を当時審議でいただいているわけでありますけれども、石破長官、新しく最近就任されたということで、再びこのテロ特措法に基づく自衛隊の本件の活動について、シビリアンコントロールが適正に確保されているんだということについて、長官のシビリアンコントロールに関する見識も含めて再度確認をさせていただければと思います。

○国務大臣(石破茂君) これは、昨年、この法律を作りますときに、これは多くの政党、私も自由民主党の責任者の一人として公明党さんとも議論をさせていただきました。あるいは民主党の皆様方とも議論をさせていただきまして、いろんな方と議論したところでございます。
 要は、シビリアンコントロールというのをどういうふうに考えるかというお尋ねでもございますが、国会の承認ということがシビリアンコントロールの必須要件なのかということも私は議論の対象になったような記憶がございます。すなわち、国会によって指名をされた内閣総理大臣、それが組織をするところの内閣、また安全保障会議というものがあって、先般の五月の延長のときもそうでした、今回もそうです、安全保障会議を開いて、そして閣議で決定をして、そして遅滞なく国会に御報告をいたしておる。これも一つのシビリアンコントロールの形なんだろうと思っています。
 要は、国民に対して、有権者に対して直接責任を負う人間が物事を決定するということが私はシビリアンコントロールの、民主主義的シビリアンコントロールの本質なんだろうと思っています。したがって、かつてのソビエトにもシビリアンコントロールはなかったのかといえば、それはある形あったのだと思います。すなわち、政治将校という者が必ず横に付いておる。例えばレッド・オクトーバーなんて映画でもそうですね。必ず艦長の横には政治将校が付いているわけですよ。それもシビリアンコントロールといえばシビリアンコントロール。だけれども、それは国民に対して直接責任を負わないねという意味で我々とは違うんだろうと思います。
 今回の延長につきましても、先ほど来、官房長官から御答弁がございますように、このような内容、例えば輸送を行うということ、そして延長するということを決めました。そのことについて、安全保障会議を開き、閣議の議を経て、決定を経て、そして遅滞なく御報告を申し上げておる。私はこれも一つのシビリアンコントロールの形なのだろうと思っております。

○遠山清彦君 ありがとうございます。
 御議論の趣旨は大筋私も理解をいたしますし、共有をいたしますけれども、レッド・オクトーバーの政治将校は選挙で選ばれていないので、なかなか日本の話と同一にできないかなと思いますが。

○国務大臣(石破茂君) だから違うと申し上げたんです。

○遠山清彦君 分かりました。違うと申し上げたんですね。済みません。私の聞き違いでございました。
 続きまして、イージス艦の派遣問題について私もお聞きをしたいと思います。
 ちょっと専門的な話になるかもしれませんけれども、長官はそれ以上に専門的な方ですので、あえてお聞きをしたいと思いますが、イージス艦というのは正式名称ではなく、カテゴリー的には護衛艦に入ると、その意味では基本計画の変更なしに派遣できるということは私も理解をしております。しかし、私自身としても、今回イージス艦を派遣することに対しては慎重な姿勢を持っておりました。
 理由は、ある意味簡単でございまして、このイージスシステムという、ほかの艦船とのリアルタイムな戦略、戦術情報の共有能力を保持している護衛艦が、同様な能力を備えた米軍艦船が展開している海域に送られますと、理論的には、理論的にはですよ、理論的には日本の個別的自衛権の枠外での共同軍事行動に組み込まれる、結果として、結果として組み込まれるおそれが生じるのではないかというのが私の理由でございました。
 そうなると、これが集団的自衛権の行使に当たる、当たらないという話も一つあるわけですけれども、そういうことを私も思っておりましたら、一部のメディアでこういう話が出ておりました。それは、この議論おかしいというんです、要は。なぜかというと、ほかの艦船の情報ネットワークシステムは今派遣されているイージスシステムのない護衛艦も搭載しているんだからイージス艦だけの装備ではないという反論があったわけです。
 そこで、長官、私ちょっと調べてみたんですが、イージスシステムを搭載している艦と搭載していない艦はやはり歴然たる、その情報共有能力において歴然たる差があるんではないかと私は思うんです。
 軍事研究者の文献によれば、アメリカ海軍でいうところのCEC、つまりコーポレーティブ・エンゲージメント・ケイパビリティー、日本語で共同交戦能力というものを保持できる可能性があるものはイージス艦だけだと。なぜかといえば、イージスシステムというのは、先ほど長官はギリシャ神話の話をしていましたが、本質的に何かといえば、これは数百万行に上るコンピューターソフトなんですね。ほかの艦に乗っていないんですよ、イージス艦にしか乗っていないんです。
 ということは、イージス艦を派遣するときに、いや、イージス艦の装備とイージスシステムの乗ってない艦の装備はデータリンクシステムにおいては余り変わらないというのは、私、これはちょっと言えないと思うんですが、長官の御見解、お願いします。

○国務大臣(石破茂君) 現在、CECの御指摘がございましたが、CECというもの、いわゆる共同交戦能力と、こういうふうに仮に訳しましょうか。これは、まだ米海軍においても研究開発段階であって、まだ実用化されていない。当然私どものイージス艦もこのようなCEC能力を保持はしていないということだと、私は現在思っております。
 このCECというものが入ってまいりましたときには、また議論は当然違ってくるのだろうと思っておりますが、現在のイージス艦が持っております、委員御案内のとおり、リンク16という能力はそれ以前の、もちろんイージスもリンク11を併用はしておるわけでございますけれども、リンク11というシステムと、私は、本質的に差があるかといえば、それは質的な差をもたらすものではない。CECになりますと、そこに質的な差という概念が生ずるのだろうと思いますが、リンク11とリンク16の間に本質的な差があるかといえば、私はそれは否だろうと思っておるところでございます。

○遠山清彦君 長官、今アメリカ海軍でも実用化されていないと。
 私が、今手元にある軍事専門誌、めったに読みませんが、によると、二〇一〇年までに米海軍は実用化を目指して今やっていると、部分的にジョン・F・ケネディ空母戦闘群にCECの機器が搭載されているとか、そういうことがあるわけですが。
 一点、じゃ確認しますけれども、それでは、日本の今保有しておるイージス艦と米海軍の艦船の間にCEC、つまり共同交戦能力は確立されていませんね。これ、確認です。

○国務大臣(石破茂君) そういうことは確立されたとは承知をいたしておりません。

 分かりました。
 ということは、今日は確認にとどめたいと思いますけれども、イージス艦はそういったCEC確立する能力はあるけれども、現段階では米海軍との間でも、恐らく日本のイージスシステムを搭載した艦との間でもこの能力は確立されていないというふうに理解をしておきたいというふうに思います。
 まだ時間がありますので、官房長官に一つだけお伺いしたいと思いますけれども、イラクに関しまして、政府は十九日の上野官房副長官の記者会見において三人の政府特使をイラクの周辺六か国に派遣するというふうに発表をいたしました。これは、記者会見によりますと、目的はイラクに対する国際包囲網を形成するということというふうに説明をされているわけでありますけれども、再度簡潔に御説明願いたいんですが、この特使の方々はどのようなメッセージを持って周辺国に行かれるのか、お願いいたします。

○国務大臣(福田康夫君) 我が国は、国連安保理決議一四四一に従いまして、イラクが実際に即時、無条件、無制限の査察を受け入れて、そして大量破壊兵器の廃棄を始めとするすべての関連安保理決議を履行する、こういうことを強く求めておりまして、そのために必要な外交努力を行ってきております。
 そういうような外交努力の一環として、今般、我が国が周辺諸国、すなわちサウジとかエジプト、イラン、ヨルダン、シリア、トルコ等に総理特使を派遣すると、こういうことにいたしたわけでございまして、これは複数の特使でございますけれども、今月末をめどに派遣すべく、現在、関係国と調整をいたしておるところでございます。

○遠山清彦君 私は、政府がこのような特使を送るという措置を取られたことを、外務大臣にも申し上げますけれども、大変にすばらしい外交努力とタイミングだったというふうに歓迎をしておるわけでありますけれども、米国政府の意図はともかくとして、今、国際社会の大勢は、やはりフセイン政権が国連決議を受諾したことを歓迎をして、でき得ることならば懸念されているイラクに対する軍事行使というものを回避をしたいというのが私は国際社会の大勢であろうというふうに思いますので、それに向けての外交努力を今後とも継続をしていただきたいというふうに思います。
 外務大臣にお伺いをいたしますけれども、十九日の報道によりますと、外務省が十八日に、米国によるイラク攻撃が行われた場合を想定して、周辺諸国、地域に滞在している邦人避難あるいは邦人保護のシミュレーションを行ったということですが、これには本省と在クウェート大使、また在イスラエル大使も参加したということなんですが、イラクに隣接している国はクウェートとイスラエル以外にもまだイランとかシリアとかヨルダンとかあるわけでございますけれども、事態の推移によってはより広範な地域での政府の対応を求められると思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

○副大臣(矢野哲朗君) 遠山委員の御質問でありますけれども、私、シミュレーションに立ち会ったものでありますから、私から答弁をさせていただこうと思います。
 万が一にも万全を期さなければいけないというような事態に備えましての思いでシミュレーションをやったということだと思うんでありますけれども、事態の展開次第では、イラク周辺のより広範な地域での邦人保護に関する対応が必要だと。
 我が省としましては、早い段階からイラク周辺の十数か国に所在する我が方の公館に対しまして訓令を発しました。在留邦人、短期滞在者の掌握、緊急事態対応マニュアルの整備、状況に応じた退避計画の立案、在留邦人との緊急連絡網の整備、在留邦人に対する説明会の開催等の措置を取ってまいりました。
 当日でありますけれども、外務省で行われましたシミュレーションでありますけれども、こうしたすべての関係在外公館の参考とすべく、事態の展開に応じて邦人保護のために取るべき諸措置について、在クウェート大使館、在イスラエル大使館、在イラク大使館を例に取り上げまして、模擬訓練を行ったということであります。
 当然、今後万全を期すということで、今御指摘の関係数十か国になりますかね、そういうような展開をする中で整備をしていくということに相なろうと思います。

○遠山清彦君 これは是非ほかの国々にもしっかりやっていただきたいと。特に、外務省は瀋陽の事件のときからいろいろと指摘されておりますけれども、マニュアル、緊急対応マニュアルがあるかないかという問題が一つ議論であって、その後マニュアルを今準備されてきているということではあるんですけれども、マニュアルを作っただけで、それが本当に現場の館員一人一人に徹底されていなければほとんど意味のないことになりますので、是非、特にあの地域の周辺国の在外公館に対しては徹底的にマニュアルの内容を体得していただくような方向で大臣からも御指示をいただければというふうに思っております。
 最後に、簡単に、もし邦人に限らず、予見はいけませんけれども、イラク周辺で不測の事態があったときに難民などの大量発生が起こって人道的被害が生じた際に、国連から要請があれば、日本はアフガニスタンやあるいは東チモールのときと同様、緊急援助などの人道支援をする用意があるのかどうか、最後に一言、大臣に聞きたいと思います。

○国務大臣(川口順子君) これは非常に大事なことでございまして、可能な限りできるように今後とも検討していきたいと思います。

○遠山清彦君 以上で終わります。