○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。
 まず最初に、警察庁にお話をお伺いしたいというふうに思いますが、よろしいですか。
 九月十七日以降、北朝鮮当局が公式に拉致を実行してきたことを認めて以来、様々な報道がされてきているわけでございます。この報道の中で、いろんな新しい事実、元々あったのかもしれませんけれども、国民としては、私も含めて知らなかったような事実がいろいろ出てきた。いろいろ出てくる中で、国民の中には、こんなに元々いろいろな事実や情報があったのに、なぜ日本の警察は北朝鮮が認めるまで本気で捜査をしてこなかったのかと思っている人もいることは事実でございます。
 ましてや、曽我ひとみさんのケースの場合には日本人の請負業者がかかわっていたというようなことが示唆されていることもあり、やはり今までの捜査というのはちょっと甘かったんではないか。あるいは、日本の社会の中で、この拉致問題というのは捏造である、あるいは作り話であるといったような意見や風説を流す団体や個人がいたこともあるわけでありますけれども、これらの意見に引きずられた面もあったのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(奥村萬壽雄君) 警察といたしましては、この北朝鮮による日本人拉致容疑事案につきましては非常に重大であるという認識の下に、日本の国内外におきまして正に地面をはい、そして血のにじむような捜査を一生懸命行ってきたところであります。その結果、北朝鮮による拉致容疑事案は現時点で十件十五名と判断するに至ったところでありますし、また一部の被疑者につきましては逮捕令状を取りまして、今国際手配をしているところであります。
 今、委員御指摘のありましたような拉致が捏造だというような意見とか議論もありましたけれども、警察といたしましては、日本国民が北朝鮮という外国に連れていかれたという極めて重大な事案だと。この重大性にかんがみまして、警察といたしましてはできる限りの精一杯の捜査をしてきたところだというふうに考えております。

○遠山清彦君 今、警備局長から血のにじむような捜査をされてきたということで、それは一面事実であろうとは思うんですね。
 ただ、例えばこれは九月二十四日付けの毎日新聞で報道されている話ですけれども、また有名な、今有名な話になっておりますが、一九八八年九月六日にポーランドの消印で石岡さんの手紙が御家族の元に届きました。その一か月後、この手紙にも有本さんの、有本恵子さんの家族にこれを渡すようにということがあったので有本さんの家族にもこの手紙が行って、この有本さんの家族がある衆議院議員の秘書の仲介で警察庁と外務省に相談をしたけれども、記事によれば全く取り合ってもらえなかったと。なぜ取り合わなかったのか、御説明をそれぞれ外務省と警察庁からいただければと思います。

○委員長(松村龍二君) どちらを先。

○遠山清彦君 警察庁、最初でいいです。

○政府参考人(奥村萬壽雄君) ただいまの報道は承知しております。
 事実関係を申し上げますと、これは昭和六十三年の秋でありますけれども、有本恵子さんの御家族から有本恵子さんが北朝鮮におられるという趣旨の手紙が届いたという御相談を受けました。その時点で私ども警察といたしましては、関係者から事情聴取をする、あるいは海外の治安機関との情報交換等をやりまして、必要な捜査を開始をしております。それから、その後、御家族が私ども警察庁の方へ来られました。その際も、当時の担当者が事情を更に詳しく伺うというようなことをしておりまして、私どもといたしましては誠実に対応させていただいているところでありまして、取り合わなかったというふうなことはないというふうに承知をしております。

○国務大臣(川口順子君) 有本さんの御家族からの御依頼につきましては、これは外務省としてお話を承ったということだったと私は承知をしております。
 当時、国交が北朝鮮と我が国との間にはございませんで、これを現実的に取り上げていく、働き掛けていくということにつきましては、現実的に制約があったわけでございます。その後、一九九一年になりまして一月に日朝の間の国交正常化交渉が開催をされたわけでございます。そのときに御家族からの御依頼を受けまして、本会談の際にこの問題を取り上げて北朝鮮側に対して調査を申し入れたということでございます。

○遠山清彦君 警察庁の方に一言だけ申し上げますけれども、今年の通常国会でも、ここに有本さんの御家族を始めとして、外交防衛委員会で御家族の方来ていただいていろいろと参考人質疑やりましたけれども、今、局長は明確に取り合わなかったという報道は間違っていると否定をされたわけでありますけれども、しかし、この九月十七日以来の御家族のお話を聞いても、その前の、我々が参考人招致ここでしたのも前ですけれども、前の御家族の話を聞いても、誠実に対応されたというふうに御家族で思っている方はほとんどいらっしゃらないというのがあるというふうに私は思います。その場にいたわけじゃありませんからあれですけれども、少なくとも御家族の皆さんはなかなか取り合ってもらえなかったというふうな御認識でいるということを真摯に受け止めて、また今後の捜査に生かしていただきたいというふうに思っております。
 そこで、次の質問に移らさせていただきますが、今、川口外務大臣が国交がないので、これは警察庁もそうですよ、国交がないので捜査するのは難しい、それはそのとおりだと思います。向こうでの捜査権は全くありませんから、これは大変に難しい、外務省にとっても警察庁にとっても難しいようなケースであったというふうに思うわけです。ただ、今後の捜査で日本の国内での、つまり北朝鮮の中に今捜査員を派遣してあちこち事情聴取するとかというのは不可能でしょうから、現時点では。ただ、国内での調査を、これはもう既に調査、捜査は着手されていると思いますけれども、徹底的にやっていただきたいと思うわけです。
 その理由の一つは、この北朝鮮の拉致の問題をいろいろと考えてみますに、やはり日本国内で拉致に協力をした人物や団体がいたであろうということは、これはまだ推測の域を出ない部分もありますけれども、大体多くの人がいろんな報道等を読んだらそういうふうに思っているわけですね。
 ですから、例えばあの不審船、舛添先生もおっしゃっていましたけれども、の中からプリペイド式の携帯電話が出てきたとか、日本製のゴムボートが出てきたとか、日本の中で物品を調達していた人がいたのではないか。あるいは、北朝鮮が拉致をしようと対象者のリストを仮に作っていたとして、その相手の日本人の素行調査や事前の人物調査などという形で協力をしていた人間や団体が日本の国内に既に前からあったということはもう想定され得るわけでありまして、こういった日本サイドの、必ずしも日本人とは限らないかもしれませんけれども、日本国内にいた人物あるいは団体による拉致協力の実態解明について警察当局として今後どう取り組んでいかれるのか、伺いたいと思います。

○政府参考人(奥村萬壽雄君) ただいま委員御指摘のような、日本人拉致事案について日本国内の協力者がいたんじゃないかという報道があることは私ども承知しておりますし、また今回の事実調査における北朝鮮側の回答の中で日本人の請負団体というふうなことも言われておりますけれども、現在これらの拉致容疑事案につきまして私ども捜査中でございまして、そういうケースがあったのかどうかということについてはお答えを差し控えたいと思いますけれども、いずれにしましても、これら拉致容疑事案の全容解明に向けまして私ども全力でこれに当たっていきたいというふうに考えております。

○遠山清彦君 是非、これは国内の捜査権のあるエリアでの話ですから全力でやっていただきたいというふうに思うわけでありますけれども。
 次に、ちょっとこれ、最初警察庁さんに聞こうと思ったんですが、法務省さんに聞きたいことがございます。それは、今後警察の方で捜査しまして、仮にある特定の拉致案件について特定の個人や団体の関与が裏付けられた場合、これは当局として、政府としてどういうふうに対応していくのかということなんですね。
 これは、この罪は、拉致の罪は、日本の刑法で言いますと二百二十六条の国外移送目的略取罪、あるいは幇助した場合は幇助罪に当たるわけでありますけれども、新聞ではこれは七年の時効が成立していると断定調の話が多いんですね。ところが、私、今回勉強してみましたら、必ずしも時効が成立したと言い切れない、時効が成立していないと考え得る余地があると思うんですね。
 幾つかあると思うんですけれども、二つだけ主なものを申し上げたいと思いますが、一つは、これは誘拐とか拉致に関する判例でも出ておりますし、学説上もそうでありますけれども、難しい言葉で言えば、一定の法益侵害が継続している状態では犯罪事実が継続していると。つまり、これは継続犯だと。つまり、拉致された人がまだ日本に戻されていないわけですから、原状回復していない。つまり、犯罪行為自体が終わっていない。犯罪行為自体が終わっていなければ時効が起算されないんですね。時効自体がまだ発生していないということになるので、もう時効が成立しているから、これに関与した人、罪に問えませんよということは言えないのではないか。
 それからもう一つは、刑事訴訟法の二百五十五条にありますけれども、拉致の実行にかかわった人が国外にいる場合には、国外にいる期間はずっと時効停止しますね。そうすると、時効七年といっても、今後の捜査いかんによってはこれ、時効が成立してから罪を問えないということは、例えば日本国内で二十年前に拉致に関与した人がいたとしても時効じゃないんです。ということを考え得るのではないかと私は思いますが、法務省、どうでしょうか。

○政府参考人(樋渡利秋君) 委員御指摘のとおりに、公訴時効は一般論で申し上げますと犯罪行為が終わったときから進行することになっております。また、公訴時効は犯人が国外にいる期間は進行を停止することというふうにされておりますところ、かかる時効の停止は、犯人が複数である場合、それぞれについて別個に判断すべきものと解されております。すなわち、複数の者が事件に関与している場合には、各人の我が国への入出国状況いかんによりまして、共犯者の中でも各々の時効完成の有無が異なる場合が生じ得るところであります。
 さらに、最初の御質問で略取・誘拐の罪の性質でございますが、これも委員御指摘のように、それを継続犯と見るか状態犯と見るか。すなわち、委員御指摘のように、まだ犯罪が終わっていないと見るのか、既に犯罪が既遂に達してあとは違法状態が続いているのかというところで犯罪行為が終了した、終わったときという起算点が異なるわけでございまして、そのいずれの時点を起算点とするかについては、この点をめぐりまして裁判例、学説が種々分かれている、そういう見解が分かれているところであります。
 これにつきましては、個々の事案の内容に応じまして司法の場で判断されるべきことでありまして、法務当局として意見を申し上げる立場にはないということで御理解いただきたいと思います。

○遠山清彦君 今、つらつらと長い説明があって、結論的には法務省としてなかなかこれだというふうに言えないということで、ただ、私も判例とか調べましたら、例えば昭和五十三年の七月の大阪高裁の誘拐関係に対する判決で、被誘拐者に対する実力支配が続く間は犯罪行為が継続する継続犯であるという例えば文言があるわけでして、北朝鮮に拉致をされた人たちが北朝鮮の実力の支配に継続して置かれている場合には、これはなかなか犯罪行為が終わったというふうに言えないのではないかということもあります。
 それから、学説上の争いがあることも私、認識しておりますけれども、通説では、大方の説では、ある犯罪が起こった後の結果が、行為が終わった時点というよりも、犯罪によって起こった結果が発生した時点から起算をすると。そうすると、この拉致なんかの場合には、拉致という行為が終わった時点を起算時点とするのか、拉致された人がその行為によってどういう結果に至ったのかというそこを見極めなければ、私は時効の起算点というのは軽々には決められないというふうに思っておりますので、政府の皆さんにもそれを御認識いただいて、またこれは最終的には司法の判断になると思いますけれども、警察庁の方にも是非捜査で、関与した者、日本国内、国外を問わず徹底追及をしていくという姿勢を持っていただきたいというふうに思います。
 続きまして、安倍副長官にお伺いしたいと思いますが、今後、正常化交渉が始まっていくということで、私は、大切なことは、これはもう副長官よく御存じだと思うんですが、やはり拉致問題の解明というものが北朝鮮によって他の懸案で日本側の譲歩を引き出すカードに使われないようにしなければいけない。そういう意味では、これはちょっと表現が難しいんですけれども、拉致問題と正常化交渉は不可分だと言えるんですが、他方、拉致問題のじゃ余り証拠もないような、だれが見ても作り話と思うような情報をもらう代わりに、経済協力とかほかの分野で日本側は譲歩しますよみたいな取引ということに使われてはいけないという意味では分けなきゃいけないと。正常化交渉のほかの案件がどう進むのであれ、拉致問題の解明というものは続けていかなきゃいけない、厳しくやっていかなきゃいけないというふうに思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○内閣官房副長官(安倍晋三君) 今の御質問にお答えをする前に、先ほど法務省あるいは警察庁に対して御質問の件でございますが、私ども、実行犯等々の時効の問題、また再捜査の問題につきましては、専門幹事会におきましてもう一度すべての案件を洗うように、当事者と思われる者がいれば当然事情聴取等々をするようにという指示はいたしております。
 ただいまの御質問でございますが、私どもといたしましては、この正常化交渉におきまして拉致問題の解決を最優先事項といたしました。これは閣僚会議においてそのように政府の方針を決めたわけでございますが、それにのっとりまして正常化交渉の中において拉致問題の全面的な解決を図っていきたいと、こう思います。
 その中で、私どもが確信できないというか、私ども自体がそれが真実であるということが認定できない資料を出されるときにどう判断するかということでございますが、私どもはそれぞれの資料について私ども独自に認定をするということが極めて重要であると思います。それに対しての協力は当然求めていかなければいけないと、このように思っております。
 そういう意味におきましては、原則をしっかりと据えて、安易な妥協はせずに交渉をしていくということを申し上げておきたいと、このように思います。

○遠山清彦君 続きまして、これは安倍長官でも外務省でもいいんですけれども、先ほど舛添委員からも指摘がありました、公式文書に、金正日総書記が小泉総理にこの拉致問題で謝罪をして再発防止を約束したと報道されておりますが、公式文書にはやはりそういったところまで踏み込んで載っていないと。まして、今、日本は拉致問題の真相の解明というものを北朝鮮に強く要求をしている段階でありまして、私としては今後どういうふうに交渉が進展するか見守らなければいけないところもありますけれども、やはり日本政府と北朝鮮政府が合意をした文書の中に、北朝鮮側が拉致の問題について解明の努力をし続けるということを義務付けるような言葉を書いた文章を作る、あるいはこれは国交正常化、仮にするとしたら、そのときにどこまでこの拉致問題の解明が進んでいるかにもよると思うんですけれども、いずれにしましても、私は、あの日朝の平壌宣言だけを根拠に拉致問題の解明をしていくことはちょっと難しいのではないか、つまり北朝鮮側の努力を担保できないという意味では是非何らかの公式文書に、今後作る公式文書があればこの問題をしっかり書いていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(川口順子君) 北朝鮮による拉致問題への謝罪というのが公式文書にないということでございますけれども、まず、先ほどから申し上げていますように、この拉致の問題の解明、これは国交正常化交渉の中で最優先の事項としてやっていくということでございます。
 そして、紙の中では、この平壌宣言の中では、これは「日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題」というふうに書いてありますし、ここで二度と遺憾な問題が、「このような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとる」というふうに書いているわけでございますし、口頭でも金正日総書記が小泉総理に対してそういうことが遺憾であると、おわびをするということをおっしゃっていて、二度と発生させないということも言っているわけでございます。
 拉致の問題ということは、小泉総理が金正日総書記と会われてお話しになって、そこで初めて解明の入口に立つことができたということだと思います。今まではそれを言った途端に席を立って出ていってしまうというような状況であったわけで、この入口に立って、今後、正常化交渉の中でこれは強く相手に真相解明を求めていくということには変わりありませんし、北朝鮮側がこれに対して対応をきちんとしてくれるということについてはそれまでの金正日総書記の姿勢その他からも明らかだと思いますけれども、いずれにしてもこの平壌宣言の基本原則と精神にのっとって北朝鮮側が対応しない場合にはこの交渉は前に進んでいかないということでございますから、これについてはきちんとやっていくということでございます。

○遠山清彦君 分かりました。
 次に、安倍副長官に再度お聞きしますけれども、誠に残念なことに、この拉致問題が、拉致被害についての報道が連日なされる中で、在日朝鮮人に対する暴行、暴行未遂、暴言、脅迫、無言電話などの嫌がらせが合計で三百件ほど発生しているという報道がございます。先日、神奈川県では女子小学生が日本人の男性に足をけられるという事件もあったわけですけれども、私、こういう人権感覚の疑われることは絶対あってはならないし、またこの拉致問題の解明するという立場からも百害あって一利なしの行動であるというふうに思いますが、安倍副長官の御見解を伺いたいと思います。

○内閣官房副長官(安倍晋三君) 私もそうした報道があったことを承知をしております。
 この問題につきましては、法務大臣から人権擁護を所管する担当部局に対し人権擁護活動を強化するよう指示がなされたわけでございまして、当然こうしたことが決して起こらないよう私どもも努めていきたいと、このように思っております。

○遠山清彦君 是非よろしく対応方をお願いしたいと思います。
 続きまして、石破防衛庁長官、御就任おめでとうございます。
 お聞きしたいと思いますが、もう既に出ている質問なので、簡潔に私、申し上げたいと思いますが、長官よく御存じのとおり、北朝鮮はスカッドB、スカッドC、それからノドン1ですか、これは日本全域が射程に入るミサイルというふうに言われていますけれども、既に配備済みと。テポドンも実験している、していないという話がいろいろあるわけでありますけれども、やはりこの安保協議で、先ほども長官、どなたかの答弁で申し上げていましたけれども、おっしゃっていましたけれども、やはりこの核兵器、大量破壊兵器、それから生物化学兵器も含んでですね、またミサイルの問題、これらの具体的な項目について、いわゆる米朝合意を履行してくれといって任せるんではなくて、やはり日朝というこの軸の中でも、これはお隣の国で核兵器持たれたり、それを搭載して攻撃できるミサイル持たれているときに、黙って見ているということはあり得ないわけで、ですからこの具体的な案件についてやはり北朝鮮が日本に対して脅威を与えないという担保を取るぐらい毅然とした態度で交渉していただきたいと思いますが、つまり具体的な案件について具体的な進捗がなければこれは正常化の合意もできないと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(石破茂君) 委員の御見解に私は全く賛同をいたします。すなわち、御指摘になりましたように、米朝枠組み合意にお任せをというようなことであってはならないのであって、テポドンはそれはアラスカまで飛ぶのかもしれませんが、ノドンの脅威に実際に我が国は今もさらされておるわけだと思います。そしてまた、工作船は我が国を対象としたものであります。
 そして、ミサイルに生物化学兵器を載せれば、それはそのままノドンの脅威すなわち生物化学兵器の脅威になるわけですから、このことは当然我が国の脅威であるという認識の下に正常化交渉、そして何よりも安全保障の協議の場で我が国の問題として、国際的約束の履行ということは我が国の問題なんだという認識の下にきちんと交渉をしてまいりたい、そして国民の安全を確保したい、それが政府の役割だと認識をいたしております。

○遠山清彦君 ありがとうございます。
 最後の質問になるかと思いますけれども、再び安倍長官にお伺いをしたいと思います。実は日朝の首相協議ではほとんど話題にならなかった個別の案件で、しかし日朝間の中で特に日本側にとって深刻な問題として、これは今防衛庁長官が言及をしました工作船とも関係ありますけれども、麻薬の密輸問題が私はあるというふうに思っております。
 専門家によりますと、九〇年代後半から北朝鮮製の麻薬、覚せい剤、薬物の密輸が、日本向けが増えているというふうに指摘されているんですけれども、実際それを裏付ける事件も数多く起こっております。私が簡単に重立ったやつだけ言うと、一九九七年四月十五日のチソン二号事件で、日本国内で初めて北朝鮮から密輸された覚せい剤五十八・六キロが押収される事件がございました。九八年の八月二十三日には東シナ海の公海上で日本の暴力団員が北朝鮮船籍の漁船から二百二・六キロ、末端価格で百億円以上の覚せい剤を、これは北朝鮮製と後で分かりましたけれども、受け取った事件が起こる。九九年にも幾つか事件があったんですが、特に十月三日には何と史上最高の五百六十五キロの覚せい剤が台湾漁船によって北朝鮮から密輸をされて日本に運ばれたものが押収をされたわけでございます。
 このような大量な覚せい剤の薬物の密貿易、日本向けの密貿易をだれが一体やっているのかという点でありますけれども、実は今年七月に、だれがやっているかということについて非常に示唆をする事件が国外でございました、台湾と韓国でありますけれども。この二つの事件によって、もう時間がないので詳しく申し上げませんが、一つは台湾の方は、北朝鮮の海軍の船から麻薬を台湾の漁船が受け取ったというようなことが発覚したわけであります。つまり、国家が直接関与して薬物の密貿易をやっていたと。それから、韓国で書類送検された人の話によれば、民間の密売組織も北朝鮮にあるということが分かったわけでございます。
 今、日本は第三次薬物乱用期でございまして、未成年者に対する薬物の浸透が非常に心配をされている時期なわけでございます。北朝鮮からこのように大量の、何百キロという、一遍で何百キロという覚せい剤が北朝鮮から来ているという、それで、しかも国家がかかわっているということが今年に入って分かってきたわけでありますから、是非、この日朝交渉の過程の中でも、北朝鮮が国家ぐるみで日本に麻薬を密輸をするようなことがないように、この点についても具体的に毅然とした態度で臨んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○内閣官房副長官(安倍晋三君) 北朝鮮を仕出し地とする薬物の大量密輸事件が発生していることにつきましては、政府としても重大に受け止めております。八月に開催をされました日朝局長級協議等の場においても取り上げてきたところでございます。
 いずれにしろ、本問題については今後とも関係当局と緊密に連携をしつつ日朝国交正常化交渉等の場においてしかるべく取り上げていきたいと、このように考えております。また、北朝鮮側の誠実な対応を強く求めてまいりたいと思います。

 以上で終わります。