○遠山清彦君 続きまして、公明党の遠山でございます。
 私は、経済産業省に質問をさせていただきますが、後ほど東電の問題について幾つかお伺いしたいと思いますけれども、まず最初に、特許庁、知的財産関係でお話を伺いたいと思います。
 私は、今年の七月二十二日に特許庁を視察させていただきまして、日本を知的財産立国にするために特許庁の皆さんが大変に、地道ながらも大変な日常業務を一生懸命やっているのを拝見させていただきまして、深い率直に感銘を受けたところでございます。
 他方、問題が全くないわけではございません。例えば、日本の特許審査期間は、大臣よく御存じのとおり、二〇〇一年平均で二十二か月と言われているわけでありますけれども、米国は約十三か月というふうになっているというふうに聞いております。
 今後、更に審査請求期間の短縮に伴って審査請求件数も急増することが予想されているわけでありまして、先般出ました知的財産戦略大綱にも、必要な審査官の確保や専門性を備えた審査補助職員の積極的な活用による審査体制の整備ということが記されているわけでありまして、私も、日本が今後もっともっと知的財産立国になっていくためには、世界最高レベルの迅速かつ的確な特許の審査というものが行われていかなければいけない、またそのために、こういう今財政状況でありますけれども、人員の補充が必要であれば、これ確保していかなきゃいけないというふうに思っておりますけれども、経済産業省の方のお考えをお聞きしたいと思います。

○大臣政務官(松あきら君) 遠山議員に私からお答えをさせていただきたいと思います。
 七月に特許庁を御視察いただきまして本当にありがとうございます。正に、先生がしっかりと見ていただいたとおり、本当にみんな一生懸命頑張って大変な仕事をしてくださっているわけでございますけれども、昨日、私は中国から戻ってまいりまして、中国は第二のシリコンバレーを目指していると、また知的財産立国を目指しているということで様々な政策を取っているところでございまして、我が国こそ知的財産立国を実現しなければ、正に国際競争、国際社会の中で私は生き残っていかれないというふうに思っているところでございます。
 しかし、そのためには、優れた技術やアイデア、これに対しまして事業化のタイミングを逃さずにこれを保護するプロパテント政策が不可欠でございます。このために我が省といたしましては、特許審査期間の短縮化という現下の課題を解決し、効率化を図りつつ、将来的には世界最高レベルの迅速で的確な審査を目指してまいりたい、正に先生がおっしゃるとおり、目指してまいりたいというふうに思っております。そのために必要な特許審査官の増員ということは大変重要であるというふうに思っております。
 今後も、アウトソーシングを活用した審査体制の整備や、あるいは早期審査制度の強化に取り組んでまいりたいと思っております。
 なお、迅速かつ的確な特許審査の実現には、実は制度を利用する民間の方たちの協力も大事である、必要であるというふうに思っているわけでございます。
 なぜならば、我が国の特許審査件数、欧米に比較して非常に多いんですね。米国三十三万件、日本四十四万件、欧州十一万件と、こういうふうになっておりまして、特に大手企業の上位十社を見ますと特許成立率は五四・八%、必ずしも高くない。つまり、こういった企業行動が特許庁の審査負担あるいは審査待ちの件数を増やしまして、我が国全体としての審査処理のスピードを遅らせて、また企業コストを増大させているということも事実であるわけでございます。真の知的財産立国の実現には適切な民間企業の努力も必要だというふうに考えております。
 今回、私ども、四十二名の審査官の増員をお願いをしている、要求をしているところでございますけれども、いずれにいたしましても、我が省といたしまして、知的財産立国の実現に向けて積極的に取り組んでまいる決意でございます。

○遠山清彦君 ありがとうございました。
 四十二名の増員を要求されているということですが、是非、私どもの立場からも応援をしていきたいというふうに思っております。
 続きまして、知的財産の訴訟が最近起きております。かなり大きいものでありまして、発光ダイオードの訴訟、また最近では味の素の訴訟が起こりまして、大きく取り上げられております。これは私は、要するに日本では企業が莫大な利益を上げた発明あるいは技術に関して、発明をした張本人、個人研究者が法によって保障された対価を支払われていないんではないかということが根底で大きな問題になっているというふうに理解をしております。
 これは、法律上は特許法の三十五条、特に三項のところで保障された権利であるわけでありますけれども、従来の日本の企業文化の中では必ずしも職務発明、職務発明ということで会社に使用権を、通常使用権を認めている項目が特許法のこの一項目め、二項目め、あるわけでありますけれども、しかし、その三項、四項で保障されている特許権者、つまり発明した人は、使用者によって事実上冷遇されてきたのが私は実態なんではないかというふうに思っております。
 先ほど申し上げたとおり、日本が今これから経済産業省主導で知的財産立国を目指している中にあって、独創的で優秀なやはり研究者により一層のインセンティブを与え、また特許法の三十五条、この三十五条自体を見直そうという意見が企業サイドあるいは発明者サイド両方から出ているという現状があるわけでありますけれども、私は、バランスとして考えたら、やはり従来、発明する側の研究者の権利が必ずしもしっかり保護されてこなかった、権利関係が非常に不安定だった、あるいは通知されてこなかったというところがあるわけでありまして、また、この法律の中に書かれております相当な対価というものが一体何を具体的に意味するのか。
 これは今年五月、大阪地裁が、例えば会社が得た利益の五〇%、これを相当の対価とすべきだという司法の判断が出ているわけでありますけれども、これらの一連の現在進行中の事態を踏まえて、今後、この問題について平沼大臣、どういうふうに取り組んでいくお考えなのか、お聞きをしたいというふうに思っております。

○副大臣(大島慶久君) 遠山先生にお答えを申し上げます。
 今、先生が自ら御指摘をいただきましたように、この特許法の三十五条そのものを削除することを含めましていろんな、改正についていろんな方面から様々な御意見があることは我が省といたしましても承知をいたしております。
 他方、同条を削除することともしした場合、契約当事者として弱い立場にある多数の研究者の権利保護に欠けるおそれがある、これは先生がいろいろ今御指摘いただいている中で十分御理解いただいていると思いますが、そういう面もございます。
 こういった特許法三十五条に関して様々な意見があるということを踏まえまして、知的財産戦略大綱におきましては、職務発明制度の再検討を行うこと、こういうことに現在なっておりまして、今後、この職務発明規定が研究者に与える影響、あるいは企業の実態を踏まえながら、改正の是非については、二〇〇三年度中に結論を得るべく、産業構造審議会において目下検討を開始をいたしたところでございます。
 第一回目が九月十八日にスタートいたしましたが、できるだけ先生の御意見にも沿えますような検討が図られることを我々も期待をいたしております。

○遠山清彦君 分かりました。
 続きまして、もう時間も余りありませんので、東電の問題で通告していた質問全部できないと思いますので、是非聞いておきたい質問を選んでちょっとお聞きをしたいと思います。
 まず、東電を告訴するおつもりなのかどうか、この点についてお聞きをしたいと思います。
 保安院は、九月十三日の段階では、電気事業法や原子炉等規制法の法令違反を問えないということで刑事告発や行政処分をしない方針を明らかにしましたが、その後、新聞の報道では、大臣から待ったが掛かって、十七日の記者会見では刑事告発や行政処分をする可能性を残す発言をされております。
 もしできれば、私、今月末までに結論を出すのかなと予想しておりますけれども、保安院としては、法律に基づいてこの東電の隠ぺい、改ざんについて告発あるいは行政処分をするおつもりなのか、お聞きをしたいと思います。

○政府参考人(佐々木宜彦君) 九月十三日に公表いたしました調査の範囲の限りでは、刑事告発に当たるような事案は見当たらなかったということでございますが、これは暫定的な調査結果でございました。少しでも早く国民の皆様にお知らせすることが重要であることから取りまとめたものでございます。
 その後、東京電力が既に公表いたしました内部調査結果の分析、法令に基づきます報告徴収あるいは立入検査の実施など、更に今調査を進めております。また、当初の二十九件以外に新たに明らかとなった案件についても現在調査を進めております。
 今後、これらの調査結果も盛り込んで当省としての報告を取りまとめることとしておりますが、その結果を踏まえて法律に基づいて必要な措置を取る場合はあり得ると考えておりますが、いずれにせよ、最終的な調査結果を待って判断をしたいと考えております。

○遠山清彦君 分かりました。
 それで、今回いろんな問題が出ているわけでありますけれども、一番ひび割れが多く発見されているのは、私も専門じゃないのでよく分かりませんが、沸騰水型軽水炉、BWRというもので応力腐食割れというものが起きていたということになっているわけでありますけれども、このシュラウドのひび割れの問題については、実はこれ、私は財団法人原子力安全技術センターのホームページに科学技術庁が元々書いていたものが転載されていたものを見付けてちょっとびっくりしたんですが、そこにはこう書いてあるんですね。
 一九九〇年八月、スイスのミューレベルグ原子力発電所において、最初の炉心シュラウドの溶接線近傍に割れが発見され、応力腐食割れであることが判明したと。その後、米国のゼネラル・エレクトリック社の勧告により各国で目視検査が実施され、一九九五年十二月までに世界で二十プラントにひび割れが発見されていたと。
 つまり、日本では今年ですが、世界では一九九五年十二月までに二十のプラントで既に同じひび割れが発見されていて、警告も九〇年に出されていたんですね。今から十二年前です。これがしかも日本政府の、科学技術庁のホームページに書いてあったのに、旧通産省は対応したのでしょうか。

○政府参考人(佐々木宜彦君) 今、先生御指摘のとおりでございます。
 シュラウドの応力腐食割れに関しましては、海外の原子力発電所での発生が伝えられておりまして、一九九四年、平成六年でございますけれども、東京電力の福島第一原子力発電所二号機でも発見されましたことをきっかけといたしまして、当時の資源エネルギー庁は、技術専門家の意見を聴取しながらシュラウドの点検計画に関する検討を行いまして、平成六年の十一月にこれを取りまとめました。
 具体的には、発電時間が六年を超す沸騰水型原子炉を対象といたしまして、シュラウドの溶接線のうち、それまでにひびが発見されたことのある部位について、少なくとも定期検査二回ごとに一回の頻度で点検を行うことを点検計画として定めたものでございます。
 その後、二〇〇一年、平成十三年七月でございますけれども、東京電力の福島第二原子力発電所三号機において、腐食に強いとされておりました種類のステンレス鋼を用いたシュラウドにつきましても、加工方法によっては応力腐食割れによりますひび割れが生じたということでございまして、原子力安全・保安院といたしまして、平成十三年九月に、事業者に対して、同様の加工方法により製作されましたシュラウドについては定期検査時の点検の実施と報告を文書により求めたところでございます。
 この点検結果につきましては、随時事業者から報告を受けております。異常があった場合には個別に改善を指示するということでございまして、これらについては四半期ごとに原子力安全委員会にも報告しているところでございます。

○遠山清彦君 院長、今のお話は、結論的に言ったら、やっぱり国際社会で起こっている事態を深刻に受け止めてちゃんとやっていないというふうに私は解釈せざるを得ません。世界でこれだけ警告を出ていて、実際にひび割れが見付かっていて、しかし保安院は日本の原発から全然同じような報告が上がってこないことを不思議にも思わずに、これはNHKの「クローズアップ現代」でもやっていましたけれども、点検したって、ひび割れたところを外して点検して、それを、ああそうですか、全然ひび割れはありませんかと認めていたということがあるわけです。
 さらに、これは是非最後に平沼大臣にお答えいただきたい問題ですが、今回の問題が起こって、ある匿名の、原子力行政にかかわっていた元官僚がこういう発言を雑誌でしているわけですね。
 「膿を出すいいチャンスだ。表面しか見ることのできない役所のチェックには限界がある。」抜き打ち点検もこれからやるそうですが、制度化して。「抜打ち点検も格好をつけるにはいいだろうが、電力会社の改ざんは絶対に見抜けない。唯一の解決法は、告発者に傷がつかないようにしての内部告発の奨励しかない。」と発言しているわけです。これは、実は三年前にジェー・シー・オーの臨界事故が起こったときに改正があって、内部告発をした社員に対する解雇その他の不利益な取扱いを禁じる規定が設けられて、実は政府の立場としても内部告発を奨励しているわけなんですね。
 ところが、今回、内部告発は、もうこれは既に大臣何度もいろんな記者会見でおっしゃっていますけれども、二年前にされたのに、それがある意味ほったらかしになって、しかもほったらかしになっている最中に、もう新聞に出ていますけれども、内部告発をした人、その人が了解したということらしいですが、この人が特定できるような情報を東電側に漏らしてやっていたと。そうすると、規制をする側とされる側がやっぱりなれ合いの関係にあったと言われても私は全然しようがないんじゃないかというふうに思っているわけですね。
 ですから、東電が隠ぺいしていた、改ざんしていたという問題と、次元の違う問題として、東電とやはりこの保安院、それから経済産業省、大きく言えば、がなれ合いの関係にあって、全然チェックが働いてこなかった。大臣、先ほど中立、独立にチェックしてきたと言っていますけれども、そうは言えない事態があったというふうに思うんですね。
 ですから、私は、これは保安院の責任と関係職員の処分含まれるかどうか分かりませんけれども、保安院の検査体制の抜本改革しなきゃいけないと思いますけれども、最後にお願いしたいと思います。

○国務大臣(平沼赳夫君) 今、遠山先生からOBのそういう話も御披露になりました。私も、その出どころ等が明確じゃないので、それに対してはコメントいたしませんけれども、私どもといたしましては、今回の原子力安全・保安院による調査の過程について、その手法とか要した期間については大変数多くの御批判を賜っていると認識しておりまして、その評価を厳正中立に行うために、御承知のように幅広い分野の専門家に入っていただきまして、私直属の今評価委員会を設けて御審議をいただいているところでございますし、また、今後の体制、検査の在り方も含めて、今回のような問題の発生を防止するための再発防止というのも御指摘のように一番大切でございますから、これも別の小委員会をしっかりと設けさせていただいて今検討を進めていただいているところでございます。
 経済産業省といたしましては、こういった御議論をしっかりと踏まえまして、これからの原子力安全規制行政の在り方でございますとか、法制面などの規制の枠組みについていかなる措置が必要かについて検討をしなければならないと思っておりまして、御指摘の点がそういう疑いが起こるようなことがないように私は万全を期していかなきゃいけないと、このように思っております。

○遠山清彦君 以上で終わります。