遠山清彦です。軽減税率について、よく聞かれる批判に反論します。

税収が減るから、財政再建の遅れや社会保障抑制につながるのでは?

現政権下で税収は大幅に増えています。民主党政権下と比べて約21兆円です。現行の財政再建計画や社会保障の充実強化に影響させずに、見込まれている税収減(約1兆円)を吸収することは、可能です。政府の税収構造全体の中から、平成28年度中に安定財源を提示することで政府与党は合意しています。

高所得者優遇になるのでは?

軽減税率の対象は酒類と外食を除く食料・飲料全般(および定期購読される新聞)です。消費に占める食料・飲料の割合は、低所得者層の方が高所得者層より高くなります。ゆえに軽減される恩恵が大きいのは低所得者層の方です。だからこそ欧州諸国で何十年も導入され定着しているのです。

納税事業者の事務が煩雑になるのでは?

5年程度の時間をかけて周知し、事務負担への政府支援を充分にすれば、混乱回避はできます。将来的にインボイス(売買に伴う税額が記載された書類をもとに納付・還付を行う方式)が導入されることで、日本の税制は、より透明化・公平化されます。中長期的には、メリットの方が大きいと考えます。

適用の線引きが難しい。線引きで新たな利権が生まれるのでは?

今回の「酒類と外食を除く」という線引きは、欧州諸国と比較してもさほど煩雑ではありません。合理的なものです。品目を細かく分けるわけではないので、利権も生まれません。

給付付き税額控除制度の方が良いのでは?

給付付き税額控除制度の導入には「政府による個人の所得と資産の正確な把握」が大前提になりますが、現段階でその見通しはありません。(マイナンバー制度を普及させ、所得や資産の捕捉に利用するまでには、相当な年月がかかるため、来年4月、消費税10%時には全く間に合いません)また、この制度は、一度消費税10%分を払った後で軽減分を還付する仕組みのため、痛税感の緩和にもなりません。また、申告をしないと恩恵を受けられない人も増えてしまいます。軽減税率は、買い物する度に、その場で恩恵を得られる点で、優れています。