遠山清彦です。昨日、臨時国会が開幕し、野田総理が所信表明しました。本会議場で聞いておりましたが、人柄の良さとか謙虚な政治姿勢はわかりましたが、東北復興・日本経済再生についての具体策や財源は全く示されず、インパクトがないものでした。

しかも、被災地や原発事故現場の方々が一生懸命頑張っていることを強調すればするほど、なぜ政府与党が臨時国会を4日間で閉めてしまうのか全く理解できず、説得力はありませんでした。言葉を丁寧にしたから、現実が変わるほど政治や社会は甘くないと思います。野田総理のさらなる決意と行動を求めたいと思います。

さて、私は、9月11日に佐賀県武雄市で開催されたフェイスブック学会総会において特別講演をさせていただきました。テーマは、「ソーシャルメディアと政治」。ソーシャルメディアとは、ツイッターやフェイスブックに代表される、「つながり」を重視したインターネットの新潮流です。提供されているサービスの総称として、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)と言われる事もあります。

フェイスブック学会の会長は武雄市長の樋渡氏です。彼とは歳が同じで、また約10年前からの親友でもあり、彼の依頼ということで即了解した私でしたが、11日が近づくに連れて、「一体何を話そう」と少なからず悩みました。「こういう時は、ありのまま行くしかない」と、結局あまり準備もせず、思っているところをありのままにお話ししました。以下、私の話のスピーチのポイントを紹介したいと思います。

佐賀武雄市でフェイスブック学会総会が開催されることは、非常に画期的である。先進のIT関係の会合は通常東京や首都圏で開催される。それが、武雄市で!これは地域活性化の先進モデルとも言える。(しかし、満場の参加者は、大変満足そう。それもそのはず、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の講習を受け、かつ温泉に入り、かつ佐賀の大自然がはぐくむ美味しい料理が食べられるから!)

「政治は結果が大切」今回のフェイスブック学会に参加するにあたり、何が新たな結果をと考え、外務省のフェイスブックページに着目。なんと、従前はフェイスブックから割り当てられた非常に長く、機械的に羅列された覚えられないアドレスになっていた。元外務大臣政務官としてすぐに外務省に連絡、私が講演する2日前に、現在の簡易なアドレスに変えさせることができた。

外務省フェイスブックページ:http://www.facebook.com/Mofa.Japan

SNSは「生活の縦軸と横軸を矛盾なく広げるツール」である。縦軸とは自分の住む地域とのつながりの深さ、横軸とは地域から市へ県へ日本全体へ、そして世界への広がること。以前、think globally, act locally(世界的規模で考え、地域で行動せよ)という言葉が流行ったが、現実にはこれはなかなか両立しなかった。地域に詳しい人は世界に疎く、世界に詳しい人は地域に疎い、これが通常だった。しかし、SNSはその一つの世界で縦軸・横軸双方を矛盾なく広げることができる。

SNSでのつながり、コミュニティーは単なる「ヴァーチャル(仮想)」的関係ではない。フランス首都パリの世界最大規模の地域SNS「ププラード」の例を紹介した。

SNSは「情報の一方通行からの脱却」:既存マスコミ(テレビ、新聞、雑誌等)の影響力は極めて強いが、私たち国民は常に「受け身」であり、情報の信ぴょう性を確かめる手段があまりない。マスコミは、真実を伝えないこともあり、一部の真実しか伝えないこともあり、全く情報の根拠がなく記者の主観で書かれることもある。問題は、それらの情報を獲得し判断する私たちの力が今日まで弱かったということ。

政治家の世界では、「マスコミで勝てないなら、クチコミで勝て!」と言って選挙をやる場合が多い。フェイスブックやツイッターなどのSNSは、まさに「双方向のクチコミ」ツール。これによって生の情報をそれぞれの個人が獲得し、判断材料とすることができる。この点は、まだまだ政治家でも理解していない人が多いが、SNSは民主主義の成熟に大きく貢献すると思う。

SNSの登場で個人が個人として政治参加できるようになった。私が先日トカラ列島の宝島(フェリーで鹿児島港から13時間)に行った際のエピソードを紹介。私がツイッターで「宝島行きます!」とつぶやいたら、「待ってます、気をつけて」のコメントが!「はーい!天気が・・・」と続くわけだが、以前なら宝島の島民が国会議員と直接コミュニケーションとるのは至難のわざだった。今は、簡単にできる。(ただし、多くの政治家がまだSNSを敬遠している。最大の理由は、心ない誹謗中傷が多いから。)

SNSの最大の課題は、やはり「メディアリテラシー」。デマ情報や個人への誹謗中傷情報が瞬時に暴走し、甚大な人権侵害や被害に至ることがある。この点で日本の教育は遅れているかもしれない(だから、武雄市での講習会は意義がある!)

最後に:ネット上の選挙運動の解禁問題について、永田町の動き。昨年6月各党合意ができ、公職選挙法を改正し、主にウェブサイトを利用した選挙運動の解禁を目指したが、あと一歩のところで鳩山元総理辞任の騒動があり、ながれてしまった。しかし、有権者の公正な判断を仰ぐためにも、ネットで選挙関連情報を流すことは極めて重要と考える。よって、新たに各党合意を作って、なんとしても改正案を成立させたいと思う。

多少、当日の話に加筆しましたが、大要こんな趣旨で話しました。その後、実際のSNSでの反応を見ると、私の予想以上に評価されたようで、大変恐縮しています。いずれにせよ、もっとSNSを使って日本の民主主義の質を向上させられるように、頑張りたいと思います。

最後に余談。私の講演は、USTREAMでリアルタイム配信されたのですが、それを観ていた友人から、「話の内容は良いのだけれど、遠山さんの声がデカイ」と指摘されました。確かに、自分で聞いてもデカイ。なぜか?実は、会場の参加者の中に少なからず私の講演中に下を向いている人がいました。下を向いている=つまらない?と感じた私は、自然にどんどん音量を上げてしまったようです。後日会場にいた人に聞くと、下を向いている=フェイスブックやツイッターで講演の模様を発信している、だったようで、反省しております。講演の模様はネットで公開されておりますので、ご興味ある方はご覧下さい。

日本フェイスブック学会総会 遠山清彦特別講演
http://www.ustream.tv/recorded/17199452

また私が言及したパリの地域SNS「ププラード」については、講演の最中に参加者や参加者がリアルタイムでSNSに発信した情報によって、ネットで調べられ、詳しい資料情報がすぐにネットに出回っておりました。これからの政治家は「ウソをつくとすぐばれる」ということを自覚した方が良さそうです。

樋渡市長はじめ、武雄市に集まった皆さん、本当にありがとうございました!