遠山清彦です。今年の通常国会も一度延長されましたが、いよいよ8月末に会期末を迎えます。ついに菅総理は退陣します。その事実上の後継を決める民主党代表選挙が29日にも行われることになり、その関係報道が連日続いています。

私たち公明党は3月11日の東日本大震災以来、被災地の復旧復興支援に全力で当たり、その関係の政策や予算については政府に全面協力をしてきました。必要な議員立法も数多く作成し、政府に提案したり、他党の合意を得て議員立法で成立させてきました。

しかし、菅総理大臣の下では復興支援が前に進まないとの結論にいたり、震災後3ヶ月の6月に内閣不信任案を国会に提出しました。(残念ながら、否決。)菅総理のリーダーシップのなさ、思いつき発言と言い訳の繰り返し、その結果としての閣内不一致、等々、理由は枚挙に暇がありません。

とりわけ、私がことさら残念に思うのは、菅内閣の閣僚たちが好き勝手に発言を繰り返し、政治を混乱させたため、「大臣の発言の重み」というものが全く感じられない事態を招いたことです。「日本国民の政治不信ここに極まれり」であります。私たちが与党の時代には、想像ができないほどの民主党政治の「軽さ」。その害悪の深さを民主党の心ある議員諸氏には深く認識し反省していただきたいと思います。

さて、来週の前半には、次の民主党代表=総理大臣が決まっているはずです。次の総理になる方に要望したいことは、たくさんありますが、特に次の4点を強調したいと思います。

(1)東日本大震災からの復興に与野党が一致して取り組める体制の構築
より具体的には、「大連立」などカタチから入るのではなく、被災地の復旧復興支援作業をフルスピードで前進させるために、復興のための与野党の常設の協議機関を作り、その場で復興関連の合意を迅速に形成し、その合意については内閣における閣議決定と同等の重みをもたせることが重要です。すでに、一部の復興関連政策については、民主、自民、公明、3党の政調会長や幹事長レベルで合意形成してきた実績があるわけで、これは政府与党の決断があれば、必ず実現できます。

(2)税と社会保障の一体改革についての与野党の協議機関の設置
少子高齢化と財政赤字に直面する今の日本にとって、税と社会保障の一体改革も東日本の復興と同様に待ったなしの課題です。2009年の政権交代前後に、年金などの問題が政党間の政争の具となり、その結果必要な改革ができないまま事態が悪化していますが、もはや国民生活に直結する社会保障の問題で与野党が喧嘩する姿にはうんざりしていると思います。消費税の増税問題も、「なぜ増税なのか、増税してどこに使うのか、どういう手法で増税するのか、増税で困る中小企業や低所得者の救済策は何があるのか」という関連課題について、国民にわかるように与野党間でしっかり協議し、結論を出さなければならない時期に来ていると思います。早急に与野党の協議機関を作るべきです。

(3)衆参の選挙制度改革
直近の参議院選挙の票の最大格差は、すでに5.03倍、衆院選挙のそれは、すでに2.3倍であり、双方とも最高裁判所から「違憲状態」と指摘されています。次の選挙までに、参議院も衆議院も選挙制度を変えることが国会の責任です。ある地域の有権者が他の地域の有権者の5票分をもって国会議員を決めているというのは、異常事態であり放置すれば日本の民主主義そのものの正統性が問われます。次の総理はリーダーシップを発揮して、衆参の選挙制度改革実現へ向けた与野党協議を早急にスタートすべきです。

(4)景気対策・円高対策
最後ですが、これも待ったなしの景気・円高問題です。今、日本のみならず欧米も含め世界全体の経済が低迷していますが、日本は大震災復興もかかえ、さらに輸出産業に大打撃を与えている円高もあり、将来の景気見通しが急速に悪化しています。このままでは日本の国際競争力が著しく低下するだけでなく、日本の産業そのものが人件費等の安い海外へ移転してしまい産業の空洞化と雇用の減少を招きかねません。長期展望に基づいた成長戦略と緊急にできるあらゆる産業支援策を策定し、実施に移さなければなりません。

先日、私も積極的に関与してきた「道州制懇話会」のシンポジウムで、堺屋太一氏が興味深い指摘をしました。「ポルトガルが国家として凋落した契機は、1755年に発生したリスポン大地震だった。日本も今回の東日本大震災の影響を甘く見てはいけない。国家として歴史の中で凋落してしまうかもしれない」という趣旨の警鐘を鳴らしたのです。

国会の事務所に戻り、リスボン大地震を調べてみて、私は少なからず驚きました。この大地震の死者は5万から6万人超の規模であり、しかも死者の多くが15mもの大津波によるものでした。そして、確かに堺屋氏が指摘したとおり、それまで大航海時代の新興の雄であったポルトガルは、その後国力が衰え、スペインや大英帝国との競争に一度も勝つことはなかったのです。

もちろん今回の大震災で日本の首都が壊滅したわけではありませんし、当時のポルトガルと日本の内外の諸条件には大きな違いがあります。しかし、それでも私たちは最大の危機感をもって今の日本の難局に当たらなければならない、と痛感しています。次の総理大臣がそういう危機感を持って政権運営を担ってくれるかどうか、しっかり見極めたいと思います。