遠山清彦です。5月2日、国会において全会一致で第1次補正予算が成立しました。言うまでもなく、この補正予算は3月11日発災した東日本大震災後の復旧と復興支援の財源と支出を明示したものです。この予算の使いみちについては概ね異論はありませんが、財源面で基礎年金の国庫負担分を流用したことなど、若干納得できない部分はありました。しかし、大震災への対応には迅速性が求められることから、公明党も賛成しました。

この4兆円強の第1次補正予算で、当面必要な対策を遂行していくことになります。しかし、菅直人政権の震災後の対応には、多くの点で問題があり、その問題点について政府中枢にしっかり自覚してもらうと同時に、改善する努力をしっかりやってほしいと思っています。

第1の問題点は、政府の指揮系統が混線し、「重要な決断を一体誰がしているのか、わからない」という点です。内閣にはすでに28もの対策本部やワーキングチームが乱立し、会議ばかりに時間が取られ、重要課題への現場対応がおろそかになっているのが実態です。

公明党の石井政調会長が、予算委員会質疑において、福島第一原発の避難指示が地元市町村への事前相談なしに行われたこと。高濃度放射能汚染水の海洋への放水が周辺自治体や周辺国への事前説明なしに行われたこと、等を具体的に取り上げ、政府の失態を明らかにした通りです。(後者の問題について、怒った隣国韓国の首相は、「日本の首脳が無能だ」とさえ言いました)

また、国会審議では、仮設住宅建設の見通しを巡り、内閣の混乱が浮き彫りになりました。菅総理は「(8月)お盆までに全ての避難民を仮設住宅へ入居させたい」と繰り返し答弁しましたが、その担当である大畠国土交通大臣はあいまいな立場に終始し、野党側に大きな不信を抱かせました。

仮設住宅建設の見通しを示すことは、今、非常に重要です。報道等で周知のとおり、現在避難所で暮らしている10数万人の方々は精神的にも肉体的にも限界に近づいていると言われています。空調もなく、支給される食事も単調、衛生状態も悪く、プライバシーもない。こんな状況を2カ月以上耐え忍んできた東北人の粘り強さに敬意を抱きますが、あと3カ月4カ月そのままで、と言われては、さすがに無理だと思います。

そんな中、全国の自治体やホテル旅館から、避難民受け入れのオファーがありますが、なかなか埋まっておりません。やはり避難民の方々の健康を考えれば、今いる避難所から2次避難をそういった公営住宅や旅館等に求めていただくことが必要だと思う人が多いのですが、避難されている方々には、具体的な見通しがないのに、被災した地元を離れるのに躊躇する気持ちがあることも事実です。そこで、被災地での仮設住宅の完成時期がわかれば、「この時期には仮設が完成しますから、それまで別の場所に一時避難してください」と言えるわけです。これを今の政権はやっていない。大問題だと思います。

また、今の政府には重要な情報が入りにくいのではないか、と私は感じています。福島第一原発の現場で現在活躍するドイツ製(プッツマイスター社製)の生コン圧送車の1台目は、私が3月17日深夜に総理官邸にもたらした情報から、政府の検討が始まりました。それはそれで良かったのですが、後から考えると、この特殊車両は高層ビル建築の現場では一般的なものであり、国土交通省の官僚で存在を知っている者も複数いたはずです。なのに、なぜ原発事故発生から6日経ち、野党議員の私から指摘されるまで官邸は知らなかったのか、この点に疑問を覚えます。

この問題に限らず、結局民主党の誤った「政治主導」の弊害が随所に顕在化しています。本来、今回のような未曾有の国難に際し、政治家も官僚もあらゆる知識と経験を活かして対応すべきところ、民主党の「政治主導」のもとでは、「余計な進言をすると、ろくなことにならない」という事が官僚に蔓延していたと思わざるを得ないのです。

いずれにせよ、このような問題点が改善されないまま、被災地の本格的復興を担うことができるのだろうか、われわれ野党には強い懸念があります。この点が、衆参の予算委員会での質疑を通じてさらに現実のものとして、浮き彫りになりました。一部の与党議員からも、同じ趣旨の問題提起がされました。こうした現実のなかで「はたして菅総理のままで、復興がうまくいくのか」という主張が強くなってきたのだと思います。

しかし、総理を代えるというのは、かなりエネルギーのいる政治的作業です。解散総選挙で信を問うか、内閣不信任案を可決するか、あるいは民主党内の政局で党首が代わるか、基本的にこの3つの選択肢しかありません。東日本の現状を考えれば、このような作業に政治家がこぞってエネルギーを使うことを、国民は今は望んでいないような気がします。であるならば、菅総理が総理として適任だとは言いませんが、この危機下の現職総理としてすべきことをしてほしい、とも思います。

5月の大型連休明けには、まず本格的復興支援へ向けた政府の体制を再構築してもらいたい。そのための法的根拠となる「復興基本法」(仮称)を早期に国会に提出し、第1次補正予算のすみやかな遂行と、復興のグランドデザインを描き、それに基づく第2次補正予算案の策定を決断してもらいたい。安易な大連立などは想定外ですが、政府与党がしっかりとした復興支援をやるならば、野党も協力をしていくことになると思います。

連休明けまでに、民主党幹部は反省すべきは反省し、心を入れ替えて新たな復興支援体制を築いてもらいたいと思います。