遠山清彦です。先週は、沖縄から東京、中国へと連続出張し、めまぐるしい毎日でした。帰国後も党本部での全国県代表者懇談会に参加して、すぐに九州に転じ、地元で年末の挨拶回りや、講演会などをこなしています。来年の通常国会は、1月中旬スタートと思われますので、それまでしっかり九州・沖縄を回り、有権者の皆様の声を直接うかがいたいと思います。

また、明年の最大の政治決戦は、4月の統一地方選挙。公明党の地方議員の過半を超える約1700人が挑戦します。久しぶりに野党として戦う統一地方選ですが、公明党らしさをいかんなく発揮して、必ず全員当選を期してまいります。

さて、12月14日から17日まで山口なつお代表、斉藤鉄夫幹事長代行、西田まこと広報局長と共に、中国を訪問してまいりました。山口さんが公明党代表に就任して初めての訪中です。私にとっては、香港含めて5度目の訪中となりました。今年の参院選後、党国際局長としてずっと調整を続けてきましたが、尖閣列島問題等もあり、最終決定まで紆余曲折がありました。しかし、「年内訪中」の目標を実現することができ、役目を果たすことができたと一安心しております

北京は、今年一番の冷え込み(マイナス9度)でしたが、快晴の日が多く、山口代表は休む間もなく会見と視察を行いました。会談した相手は、後述の習国家副主席を除いて、丹羽大使(在中国日本大使)、王家瑞中国共産党中連部長(大臣級)、張志軍中国外交部筆頭副部長、宋健中日友好協会会長、陸昊共青団第一書記、および視察先の唐山市幹部等でしたが、どの会談も率直かつ建設的なものでした。

尖閣問題を念頭に、山口代表から中国側に「尖閣諸島は日本固有の領土であり、領土問題は存在しない」との基本見解を伝えた上で、「アジアおよび世界の平和と発展のために日中関係の改善は必要である」という主張を明確に伝えました。これに対し中国側は「自国の立場と考え方はある」としながらも、日中関係の改善に向けて中国共産党と公明党が共に努力していく方針については、完全に一致しました。特に、双方の国民感情が損なわれた状態にあることは好ましくないとの観点から、より活発な民間交流の促進について建設的な意見交換がなされました。

また朝鮮半島の非核化と安定化の努力、拉致問題の解決、6カ国協議の意義等についても、有意義な意見交換ができました。

12月15日の午後3時半から約50分間行われた習近平国家副主席との会見では、同副主席から重要な発言がいくつもありました。私の(不完全な)メモを見ると、習氏は、「日中関係は一衣帯水の二国間関係であり、両国の長い歴史から見れば、互恵関係、友好関係が唯一の選択肢だ」とまず主張。その上で「人間関係の場合、隣人との関係が悪くなれば、引っ越しすれば良い。しかし、国家間の関係では、それはできない。日中共に同じ地球村に住んでおり、長期に渡る安定的な日中関係は両国のみならずアジア、世界全体の平和と発展にとって重要だと考えます。」という見解を示しました。

そして尖閣問題で日中関係が冷え込んだことを認めつつも、中国政府として日中関係を重視する立場から改善へ向けて努力を重ねていることを力説し、「対話と協力」の重要性を強調しました。さらに、日本のメディアで報じられたように、「日本は(中国の)ライバルではなく、パートナー」とし、その上で、省エネ、情報通信、金融、北東アジア地域の安定化等のあらゆる分野でグローバルな諸問題に共同で対処していきたい旨の発言がありました。

会談の後半に向かい、習副主席はさらに率直な見解を述べていたように思います。「中国が改革開放路線に転換してから30年がすぎ、世界から注目される成果をあげることができた。しかし、中国側は冷静に受け止めている。中国の1人当たりGDPは、まだ日本の10分の1にも及んでいない。」「現在の先進諸国全ての人口と、中国の人口はほぼ同じだ。もし、中国人全員が先進国並みの生活を送られるようになれば、地球の資源や環境は持たなくなる可能性がある。」「今、中国では、1億5000万人が、国連の貧困基準を下回っており、中国の発展のアンバランスは、都市部と農村部の格差や地域間の格差を生んでいる。近代化への道のりはまだ長い。」と。

これらの見解を直接伺いながら、私は中国の指導者は極めて冷静に自国の状況を分析し、13億人という途方もない国民の生活をどう守るか、日々悩んでいるのだろう、と感じました。日本の外交評論家の中には、こういう発言をパフォーマンスととらえる方もいるようですが、私は習氏の政治指導者としての当事者意識と責任感をその場にいて強く感じました。傍観者と当事者、この差は非常に大きいのです。

中国はまさに大きな国なので、一つの事柄だけで全てを判断することが妥当でないことは、私も認識しています。また中国の社会・経済・政治・外交も、これから様々な変化を経験するだろうし、今の状態が永遠に続く保証は何もありません。しかし、少なくとも国家の指導者たるものが、世界と自国の状況を冷静に分析し、強いリーダーシップで打つべき手を打つという姿勢から、私は学ぶことが多いと思いました。

会談の最後を、習副主席は、「中国は覇権を求めません。これからいつまでも平和的発展を続けていきます」と結びました。日本と中国、過去の歴史を教訓として、アジアと世界の平和のために、真に協力できる関係の構築を目指し、私もまた、さらに努力していきたいと決意しました。