遠山清彦です。民主党は「国民年金の未納者が4割を超えた」という問題を強調し、中には「今の年金制度は破たんしている」とまで主張する議員もおります。しかし、これは誤った認識です。

そもそも日本の年金制度は、サラリーマンが加入する「厚生年金」、公務員・教員が加入する「共済年金」、そして自営業者が加入する「国民年金」の3種類があります。厚生・共済年金の加入者は、給与から年金保険料を天引きされているので、未納者はほとんどいません。

民主党がさかんに指摘するこの国民年金の未納者4割とは、実は、厚生・共済も含めた年金加入者全体のわずか5%程度に過ぎないのです。

つまり、95%の日本国民は真面目に年金保険料を払っており、5%の未納で制度が破たんするはずはないのです。いたずらに数字のトリックを使って「破綻する」と国民の不安をあおっている民主党の責任は、非常に重いと指摘しておきます。

加えて、民主党が主張する「年金一元化」について、問題点を指摘しておきます。民主党の年金一元化とは、前述の年金3制度を一つに統合し、保険料は単純に所得に比例、最低保障年金を付けた形にするというものです。

「職業にかかわらず、同じ年金制度で公平に生活保障がされる」が売り文句です。一見、良さそうに見えますが、深刻な問題が隠されています。一つは、一元化された新年金制度が完全実施されるのは、実は40年後になってしまうということ。

現在の年金加入者には、すでに保険料を40年も支払っている方もおり、この新制度に加入することはできません。世代が完全に入れ替わらないと一元化された制度が実施できないということなのです。

ところが、民主党は、この「40年後に完全実施」ということをあまり言いません。そのため、多くの国民が「政権交代した翌年あたりから、すぐ新年金制度になる」と勘違いしているのです。問題から目を逸らすような、民主党の姿勢は非常に不誠実です。

また、現在国民年金に加入している方々(自営業者など)が、新制度の所得比例方式に切り替わった場合、保険料が厚生・共済年金に比べて倍になるという問題があります。厚生・共済年金の加入者は、保険料は「労使折半」が原則なので、所得比例方式となっても、保険料の自己負担は半分で済みます。

ところが、自営業者の場合、労使ともに自分となるので、折半する相手がおらず、その結果支払う保険料もサラリーマン・公務員の倍になります。倍の保険料を40年間支払って、老後にもらう年金額がサラリーマン・公務員と同じでは、きわめて不公平な制度になってしまいます。

このような不公平な制度を国民の皆さんが容認するとは思えません。民主党は、この問題への対処も明確にしておらず、あまり言及もしません。無責任きわまる政治姿勢です。

メディア、特にテレビ報道は、民主党の改革案に隠された、こうした重要な問題点について、あまり詳しく取り上げていないように思います。

「政権交代」を声高に叫ぶのは自由ですが、その先にどのような問題やマイナス面が待ち受けているのか、明確に伝えなければ、国民の多くは、不正確な情報で判断を誤ってしまうと、私は非常に深く懸念しています。