はびこる悪質業者

 若者を中心に広がる脱法(違法)ドラッグの規制強化へ向けた動きが加速している。昨年(2005年)末から輸入販売業者に対する取り締まりが相次いでいるが、厚生労働省は、米国から脱法ドラッグを大量に輸入し販売していた都内の業者を薬事法違反の疑いで警視庁へ告発する方針を固めた。

 輸入・販売されていたのは「RUSH(ラッシュ)」。血管の拡張作用がある揮発性の液体で、吸引すると多幸感が高まるが、血圧が急低下し、死に至る危険があるという。米国内では製造販売が禁止されている。厚労省が米政府の情報提供を基に調査を進めたところ、この事実が判明した。

 調べに対し業者は「購入者が吸引していたのは知っているが、芳香剤として輸入しているだけ」とし、販売中止などの求めに応じなかったとされる。極めて悪質だ。

 脱法ドラッグとは、麻薬などと同様に幻覚や多幸感などの精神症状を引き起こすが、化学構造式のわずかな違いから法律の網にかからない薬物の総称だ。「芳香剤」「ビデオクリーナー」などとして販売されると薬事法の適用も難しくなる。現在、国内では100種類ほどの脱法ドラッグの流通が確認されており、アダルトショップのほか、ビデオ店や雑貨店、インターネットの通信販売を通じて公然と売買されている。繁華街では、脱法ドラッグが口コミで若者の間に広がっているという。

 こうした現状をいつまでも放置しておくわけにはいかない。東京都は昨年(2005年)6月、国に先駆けて独自の規制を始めた。条例に基づいて、販売目的で脱法ドラッグを所持していた男が逮捕されるなど効果を挙げている。

 だが、脱法ドラッグは東京だけの問題ではない。ネット上では野放し状態と言っていい。国の徹底した対応が求められる。昨年(2005年)から対策強化の方策を探っていた厚労省は、有識者会議の提言を受け、全国規模での規制強化に乗り出す方針だ。20日に召集される通常国会に、薬事法改正案を提出する準備を急いでいる。

 改正案は人体に有害な麻薬と似た構造の化学物質や、これらの物質を正当な理由なく含んだ製品を違法ドラッグと定義。防臭剤、芳香剤の名目でも違法性が疑われる段階で輸入や販売を禁止できるようにするほか、個人輸入も一定の法規制を行う方向だ。

 公明党は国、都の脱法ドラッグの対策強化を主導してきた。都議会公明党は都の規制条例の早期制定を推進。党青年局(遠山清彦局長=参院議員)は首都圏で署名運動を展開し、対策強化を尾辻厚労相(当時)に要請。また、党内に脱法ドラッグ対策検討ワーキングチーム(丸谷佳織座長=衆院議員)を発足させ、法規制のあり方など具体策を検討してきた。

啓発活動が重要に

 青少年の薬物乱用は、後の人生に大きく影響を及ぼす。興味本位で手を出してしまうのを防ぐには啓発活動が特に重要だ。乱用実態を把握するため病院ネットワークの構築も検討すべきだろう。若者の入手機会を減らすにはネットの監視強化も欠かせない。国際的な情報交換の枠組みづくりも急がなくてはならない。

 また、規制強化にばかり目を向けがちだが、現実に薬物依存に苦しむ人々の更生を手助けする取り組みも重要だ。薬物依存は体ばかりでなく心をも蝕む。幅広い視点からの対策が求められる。

公明新聞:2006年1月17日付