麻薬と同様の作用

 都市部を中心に若者の乱用が問題となっている「脱法ドラッグ」を規制する東京都の条例が1日から施行された。麻薬類似品についての製造、販売などを禁じているほか、違反者には懲役2年までの罰則もある。都議会公明党が推進してきたもので、規制条例の制定は全国初の取り組みだ。

 脱法ドラッグとは、幻覚や妄想など麻薬や覚せい剤と同様の作用がありながら、法律の網にかからない薬物の総称だ。口から飲み込むものだけでなく、ある物は「ビデオクリーナ」だったり、直接肌に塗る「アロマオイル」などと称して販売されている。商品は100種類以上あり、しかも、繁華街の路上や若者が出入りする「クラブ」、インターネットなどで容易に入手できるから深刻だ。

 脱法ドラッグには、一度でも使うとやめられなくなる依存性があるほか、幻覚や妄想、意識障害などの健康被害をもたらす。使用者による殺人事件や中毒死も起き、社会問題化している。中高生が手を染めるケースも急増しているという。都の条例制定はこうした状況に敏感に対応したものだ。

 条例では脱法ドラッグなど健康被害の恐れのある薬物を「知事指定薬物」として指定し、製造、販売、広告、授与などの行為を禁じた。その上で、職員に立ち入り検査の権限を与える一方、警告に従わない者に対して、販売中止や回収、廃棄などを命令できるようにした。つまり若者の被害防止へ、「供給側を断ち切る」(福祉保健局健康安全室)のが狙いだ。

 脱法ドラッグは、麻薬と微妙に成分が違うため麻薬取締法では摘発できない。しかも、類似の薬物が次々と生み出され、麻薬指定も追いつかない状況にある。薬事法に照らしても、使用法や効能が明示されていなかったり、口から摂取するものでなければ規制が難しかった。製造、販売業者はこうした点を巧みに突き、法の網をすり抜けている。”脱法”と呼ばれる理由がここにある。

 都条例はこうした薬物にも幅広く対応するため、指定薬物に指定する前でも、製造や販売の中止を勧告できる緊急対応も可能とした。罰則適用は6月から。都に告発された違反者には、2年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる。今後、都内では”脱法”は通用しなくなるはずだ。

国も法改正を検討

 国も法改正を視野に入れ検討を始めている。有識者会議が10月までに対応策をまとめる方針だ。また国連麻薬委員会(事務局ウィーン)総会も先ごろ、日本提案の脱法ドラッグに関する情報共有を求めた決議を採択した。国際的な協力体制にも期待がかかる。

 公明党は、青年局(遠山清彦局長=参院議員)が脱法ドラッグを含めた薬物乱用対策の強化を青年政策に掲げ、首都圏で署名運動を展開している。また、党内に「脱法ドラッグ対策検討チーム」(丸谷佳織座長=衆院議員)を設置し、検討を続けている。

 先の参院予算委員会では、遠山氏が有識者会議がまとめる対応策が10月をめどとしている点について「それまでの間は(事実上売買が)野放しとなる」と鋭く指摘し、対策強化を求めた。

 ネットやメール、口コミみを通じ、若者を薬物に誘う情報や機会が増大している。それにも増して対策のスピードを加速しなければならない。正しい知識の普及・啓発を含め早急な対策強化が必要だ。
(公明新聞:2005年4月8日付)