* 政府との意思疎通の重要な役割

NGOの経験に学ぶ
 政府はこのほど今夏に南アフリカのヨハネスブルクで開催される「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(ヨハネスブルク・サミット)におけるシビル・ソサイエティ担当大使として外務省審議官を指名した。シビル・ソサイエティとは「市民社会」の意味で、NGO(非政府組織)、NPO(非営利組織)など市民団体で構成される社会総体を呼ぶ言葉である。
 国際的な人道支援の場におけるNGOなどの役割は、近年ますます高まっている。貧困や環境破壊、教育の立ち遅れなどが、世界のさまざまな問題の根として存在する。こうした問題の解決には、途上国にあって長年、苦労を重ねながら支援に汗を流し、問題解決へのノウハウを蓄積しているNGOの経験と知恵に学ぶことが重要だ。
 先に発表された外務省の第2次改革懇談会の最終報告でも、NGOとの連携強化や人材活用にスペースを割いているのも、NGO重要視の表れだろう。NGOとひと口にいっても、その態様や活動形態は一様ではない。その国の政府に対しても友好的である場合もあれば批判的な姿勢を持つNGOもある。しかし、それらさまざまなNGOの意見を虚心坦懐に聞き、相互協力の道を模索していくことが必要ではないか。
 公明党の遠山清彦参院議員は、今年3月の参院予算委員会の外務省問題に関する集中審議で、NGOと外務省の関係を取り上げ、「NGOと政府機関は重要なパートナーであり、補完関係にある」と述べ、政府とNGOの意思の疎通を円滑化する試みとして、スウェーデン政府内に置かれてきた「NGO担当大使」の制度をわが国においても新設するよう求めた。
 このNGO担当大使の役目は、人権、開発、環境、軍縮などの各分野において、国際的に活躍するNGOや国内のNGOと絶えず連携を保ち、政府に対しこれらの問題に対するNGOの立場について情報を送る。またNGOに対しても政府の取り組みの情報を常に伝える。そのためにNGO担当大使は、国連の主要会議へ積極的に出席するなど、国内外のNGOの意見について最新の情報を収集する――というものだ。1970年代半ばに設けられたスウェーデンのNGO担当大使の制度は、現在ではNGOの多様化により政府の担当部局が対応するように変わっているが、もともと同国ではNGOが政府の政策立案の段階からタッチするなど、政策作成・決定に深くかかわっており、わが国とはその土壌が大きく異なっている。
 遠山氏はその後も参院外交防衛委員会で「日本政府と日本や海外のNGOとの良好な関係を築く上でも大事だ」と、再三にわたってNGO担当大使を設置するよう強く要望した。こうした主張を受けて、外務省としてシビル・ソサイエティ担当大使(NGO担当大使)の設置を決めたものだ。

民間人の登用を
 先日の参院外交防衛委で遠山氏は、大使実現の決定を評価した上で、NGO大使を一時的なものではなく恒常的な制度とし、さらにNGOの事情に詳しい民間人を登用するよう求めた。川口順子外相は「前向きに検討したい」として、常設の方向で取り組む意向を示した。NGO大使の制度化は、日本のNGO重視の重要なメッセージとなるだろう。
(公明新聞)