遠山清彦です。先週、野田総理に対する問責決議案が参院で可決され、いよいよ衆院解散総選挙が近づいてきました。現在の衆院議員の任期満了は来年8月末ですが、世論調査の結果に如実に表れているように、もはや国民は、民主党にこれ以上政権を担当してもらいたいと思っていません。

この3年間余りの民主党政府の内政・外交上の失態は、言葉で表現できないほどひどいものであり、これ以上国益を損じないためにも、本当に「近いうち」に国民の信を問うべきです。

「しかし、公明党は、そのダメな民主党と社会保障と税の一体改革について3党合意をしてしまったではないか!」という指摘を受けることがあります。なぜ公明党は、マニフェスト総崩れの民主党と3党合意に至ったのか?私の考えを以下、述べたいと思います。

結論を一言でいえば、「年金、医療、介護、子育てを4本柱とする社会保障を、与野党の政争の具にしないため」です。これまでの日本の政治を振り返ると、国民生活にとって土台であり、重要・不可欠なこの社会保障サービスをめぐって、選挙のたびに、与野党が争ってきました。その結果、政権交代が起こると社会保障の基本設計が大きく変わる可能性が意識され、そのこと自体が、国民の将来不安をあおる結果になっていました。

前回の衆院総選挙がその典型でした。民主党は、当時、「自公政権の年金制度は破たんしている。私たち民主党が政権をとれば、年金3制度の一元化の実現、最低保障年金7万円の創設をやる!」と根拠も示さず叫びつづけ、実際に多くの国民が期待をして支持をしました。ところが、政権交代から3年経ち、年金の一元化は、3制度ではなく2制度(厚生年金と共済年金)の統合が決まっただけ。最低保障年金7万円は、「遅くとも40年後には実現できる」と言い訳するありさまであり、その信頼は地に落ちました。

われわれ公明党は、「社会保障分野で、こうした愚かなことを繰り返してはならない。政権交代があっても、社会保障制度の安定性を保つために、与野党が協議し、合意をめざすことの意義は大きい」。そう考えて、今回の3党協議に参加する決断をしました。

今回の合意の最大の意義のひとつは、「選挙で、与野党が入れ替わっても3党合意の中身は変えない」という点です。これは、戦後日本の政治史上画期的と言っても言い過ぎではないものです。

ところが、この3党合意も8月のお盆前に、破たん寸前になりました。2大政党である自民党と民主党が「衆院解散の時期の確約」をめぐり対立し、3党合意に基づく法案の成立が危ぶまれる事態を招いたからです。公明党は早期の解散を求める点では自民党と一致していました。しかし、国民の立場に立った大局的判断として3党合意に参加した意義を自ら否定する考えは全くありませんでした。

私たち公明党は、民主党・自民党の2大政党の間に入り、それぞれの主張は主張として、3党合意を破棄しないよう、双方に粘り強く説得の努力を続けました。その結果、ギリギリのところで法案を救済することができました。

与野党の間には常に緊張感があり、対立があります。それは議会制民主主義につきものです。だからと言って、国民不在の党利党略に走れば、政治への不信は増すばかりです。最後は、公明党が主張したように、社会保障と税の一体改革関連法案は成立しました。これは、国民の立場に立って「筋を通す公明党」の存在が日本にあったればこそ、と思っています。こうした公明党の努力を正視眼で評価する報道も少なくありませんでした。

先週の問責決議案の採決でも、公明党は筋を通しました。あの問責は、自民党・公明党以外の野党会派がお盆前に参院に提出したものであり、提出の理由には、3党合意を否定する内容が記されていました。私たちは、いくら民主党政権を倒したくても、自分たちの決断や政策を否定する内容の問責決議案には賛成できないということで、採決を棄権しました。

「政治は権謀術数の世界」。確かにそうかもしれません。しかし、政策は政策論として冷静に論じ、政治姿勢も一本筋の通ったものを貫いていかなければ、政党も政治家も時代の流れの中で淘汰されていくに違いありません。

政治の世界にも、常に新たな勢力、新たな人材が登場してきます。新陳代謝という意味では、歓迎したいと思いますが、発言内容や政治姿勢を状況に応じてコロコロと変えるようでは、人気はあっても一過性の流行現象で終わるだけでしょう。改革には瞬発的なエネルギーが必要ですが、それだけでは成功しないはずです。長期間の地道な努力も不可欠です。

公明党は、結党以来約半世紀の歴史と実績を踏まえながら、これからも日本の改革をリードしていきます。公明党は筋を通します!